英雄と敵の二重生活   作:毎日健康黒酢生活

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悪役は笑い出す

ミミックから表の様子が騒がしく、ヒーローや警察が本拠地邸宅の前にいた一般市民を避難誘導していることから、本日検挙が行われると予想されることが伝えられた。

早朝、大部屋でみんながいるときに、今回の検挙の理由とヴィラン連合(おれたち)の動きを説明する。

 

「よーっし、今回の検挙。ヴィラン連合(おれたち)の動きを話すぞ。」

 

「基本的には2人1組(ツーマンセル)で動いてもらう。まず、エシとエリアーデお前ら2人は門の前で突入してくるヒーローと警官隊を足止めしてくれ。死穢八斎會からは「活瓶力也」っていうやつと鉄砲玉が防衛することになってる。正直、討ち洩らしても仕方ないから()()()()()()に専念しろ。お前らのデビュー戦だ。ヴィラン連合として箔を付けてこい。」

 

「「エシ!/はぁーい。」」

 

「次は、トガとトゥワイスね。2人は基本自由に動いて遊撃してくれ。あと、コレも頼むわ。」

 

そう言いながらトゥワイスに()()()()()()を渡す。

内容はカンタン。これから起こる混乱に便乗して、少し()()()()を頼んだだけだ。

それを見たトゥワイスとトガはいたずらを教えられた子供のようにニヤリと笑って返事を返す。

 

「「いいですね!これ!/やってやるよ!」」

 

「オーケー、オーケー。やる気になるのはいいけど捕まらない程度にね。そっちは()()()()()()()って感じだから。お前ら(ファミリー)が捕まったら俺も悲しいから。」

 

「「はーい。」」

 

「ラストは俺とマグ姉ね。俺たちはオーバーホールの護衛。まぁ、基本的にはあいつに付いていくだけかな?」

 

「わかったわ。逃走のサポートって訳ね。任せて夜逃げなら得意よ♡」

 

「まっ、一番の目標はヴィラン連合(ホーム)へ帰ってくることな。」

 

『エシ!/はぁーい/はいです!/OK!/モチロン♡』

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

そう言ってそれぞれがペアになり解散する。

俺はマグ姉を伴ってオーバーホールのもとへと向かう。その道中マグ姉が俺に喋りかける。

 

「ねぇ、ティキぽん。壊理ちゃんはどうするの?」

 

「どうする?たって俺たちにはできることは無いんじゃないか?オーバーホールに連れてかれるにしろ、ヒーローに保護されるにしろ、ヴィラン連合(おれたち)にできることは無いだろ。」

 

「そんな言い方無いんじゃない!?あの子だってアタシ達に懐いてくれてたじゃない!」

 

「マグ姉。子供(がき)1人の為に死穢八斎會(提携先)と事を構えろっていうのか?あんな境遇の子供なんて世の中探せばいくらでもいるぞ?それをいちいち見つけたら保護していくのか?マグ姉、ヴィラン連合(おれたち)はヴィランだ。慈善保護団体じゃないんだぜ?」

 

「…そうね。少し一緒に過ごしたから情が移ったみたい。」

 

「まーまー。マグ姉の気持ちはわかるよ。俺も気に入らない。だけどヴィラン連合(おれたち)といるより、ヒーローに保護されたほうが幸せだろ。」

 

「やるせないわねぇ。」

 

「気持ち切り替えていこうぜ。これからはオシゴトの時間だ。」

 

目の前にオーバーホールとその副官を見つけたため話を打ち切る。

薄暗い地下通路の先、数名の側近を連れたオーバーホールに合流する。

 

「いやぁ、悪いね。待たせた?」

 

「…いや、大丈夫だ。お前ら2人だけか?」

 

「他の4人には、ヒーローの足止めと遊撃をしてもらってるよ♪」

 

「そうか。じゃあ付いてこい。」

 

「それよりさ。()()()なんで連れて行くの?」

 

オーバーホールの脇に控えている副官の腕の中には壊理が抱かれていたので気になったから尋ねる。

白いローブを纏った副官の腕の中では壊理が小さく縮こまり、前に見せた壊理は心を閉ざし、何の反応も示さない状態になっていた。

 

「あぁ、()()か。」

()()の個性があのクスリの原料だ。」

 

()()()の精製方法は教えてもらってなかったが、壊理の傷や扱い、怯え方その全てが繋がった。

虐待なんかじゃない、()()()()()()()()作ってやがった。

隣に控えていたマグ姉の様子を窺う。

今まで彼女の胸に溢れていた壊理に対する悲しみは、憤怒となって爆発していた。

猛毒のような殺気立った表情でオーバーホールを睨み付けている。

 

「…へぇ、思ってたより胸糞悪ぃことしてんな。」

 

「お前もネットで宣伝しただろ?同罪だ。」

 

「そりゃ、そうだな。」

 

マグ姉が今にもオーバーホールへと襲い掛からんと武器を構える。

俺の心を()()()()()()()()のない荒々しいものが疾風のように満たしていくのが分かる。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

『君はいつまでも『自由』でいるんだよ。』

 

 

 

「やりたいようにやってこい。」

 

 

 

「気に入らないから殺す。」

 

 

 


 

 

 

 

 

 

あぁ、何だよ。

組織拡大なんかガラにもないことにうつつを抜かしていたから『先生』に託さ(おしえら)れたことさえ忘れていた。しっかりと(ファミリー)は教えてくれてたじゃんか。

 

「…マグ姉。」

 

「何よ!ティッキー!今度は止まらないわよ!…って!」

 

俺の顔を見て鬼のような表情を一変させる。

先程とは打って変わって怯んだような顔でこちらを窺うマグ姉。

オーバーホールたちは成り行きを息を潜めたように静かに見守っている。

俺は腕を自分の胸にめり込ませ()()()()()()()()非常用の通信装置を取り出してスイッチを入れる。このスイッチを入れるときは出向組が黒霧さんを使ってでも脱出しなければならないような緊急時のみと事前に弔と話をしていた。1分もしたら黒霧さんがGPSを辿ってここへやってくるだろう。

ティーズの翅を広げてオーバーホールに向き合う。

 

「何の真似だ。ヴィラン連合?」

 

「いや、()()()()()材料(壊理)さえ手に入れば、こんな埃まみれの連中いらねぇよ。」

 

「了解!」

 

磁力付与。

マグ姉の個性で俺の元へと壊理が宙をかけてくる。

空中の壊理と視線が合うが怯えの表情が抜けずこちらを心配そうに見つめてくる。

 

「ダメだよ!ティッキーも不幸になっちゃう!」

 

無抵抗に空中にまう壊理を、鳶が雀を狩るかの如く横から掻っ攫う影が1つ現れた。

空中で受け止めた壊理を包むようにして抱えた。ひどく目立つマントを羽織った()()()()()()ヒーローがいた。

 

「少し話聞かせてもらっていいですか?」

 

「やぁ、久しぶりだね。センパイ♪」

 

通形ミリオ。ステインと同じ瞳を持った正義狂い。

一度、『表の顔(通形ノア)』で会った時がある。

自らの力を伸ばすためには格下(後輩)にすら頭を下げ教えを乞う成長に貪欲な人物という印象だった。

 

「来たらダメだよ!あの人に殺されちゃう!」

 

「大丈夫!俺が君のヒーローになる!」

 

「ハァ…身の程をわきまえないチンピラに英雄症候群の病人が。」

 

言葉と同時に、オーバーホールが地面に手をつく。

 

「マグ姉!撤退!」

 

俺の指示と同時にマグ姉は後方へ大きく撤退する。

瞬間、オーバーホールを中心に大きく足元が塵のように分解される。

すぐさま修復され、棘のようになったコンクリートの地面が俺とミリオに突き刺さる。ミリオも身を挺して壊理を助けようとするが、棘が枝分かれしてしつこく壊理をつけ狙うので、俺の個性を使い拒絶で壊理を守る。

 

「貸し1だからな!ヒーロー!」

 

「アドバイスがあるから君には貸し2だね。」

 

「そのまま壊理(がき)寄こしな!」

 

そう言い、ミリオに接近しその腕を()()()掴む。

まさか透過中の部分が掴まれることは想定をしていなかったようだ。

ミリオの表情が驚愕に染まる。

分かるぜ、その気持ち。

俺も林間合宿で痛いほどに味わったからな。

 

「なっ!?」

 

そのままミリオの腕に沿うようにして俺の腕を透過させ、壊理を奪い取る。

壊理を胸元に引き寄せ、その不安そうな顔に笑顔で語りかけてやる。

 

「いやー、この年でこんな沢山の男に取り合われるなんて将来は魔性の女か?お姫さん♪」

 

「ティッキー!」

 

その表情は爛漫とした花に咲き戻って、朗に笑った。

その頭を撫でてやり、正六面体の拒絶された空間で守ってやる。

壊理は空中に浮かぶ正六面体の中で不思議そうにペタペタと触って確かめている。

 

「ちょっと待ってな。」

 

「うん!」




最後まで読んでいただきありがとうございます。

作者です。
ヤクザ編通しで書いてみて作者的にGOサインが出たので再び上げさせていただきます。
別作品も同時投稿してますので興味のある方は是非ご一読ください。

今後も拙作をよろしくお願いします。

最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m

  • 英雄と敵の二重生活
  • 『風見幽香』な私。
  • 『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
  • 個性:斬島
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