英雄と敵の二重生活   作:毎日健康黒酢生活

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オリジン:メモリー

ここは…どこだ…

 

曖昧な意識のまま歩く。

 

現実味のない暗い世界。

 

暗く、辺り一面が水浸しの廃墟になった世界を1人で歩く。

 

空を見ると白くて大きな月が嗤っている。

 

 

あれ?

 

空の月は白いのに水面に映る月は黒く泣いている。

 

水面をのぞき込むと俺の顔は映らずに身に覚えのない光景が誰かの視点で映される。

 

 

 


 

 

 

小汚い服を身にまとう俺。

視線の先には3人の友人がいる。

炭鉱で働き、その日暮らしで気ままに過ごす。

薄汚い格好で欠けたマグカップを片手に休憩小屋で駄弁る。

時折、イカサマポーカーで日銭を稼ぎ豪華に夕食分け合う。

その映像を映す視点の主は楽しそうだった。

場面が切り替わる。

 

 

どこかの書斎で銀でできたボタンを指で弾いて手を慰めている。

テーブルの向かい側には窓の外を眺める灰色の肌をした10代の少女がいる。

その少女がこちらへ向き直り喋る。

 

『でもね。ティッキー…ティッキーは…。』

 

また、映像が切り替わる。

 

 

白い外套を羽織った白髪の少年。

片腕しかないその手には白い刀身に黒い十字架が施された大剣を握りしめこちらを睨む。

その剣に視点の主は切られ、視点の主が気絶したからか映像は暗転する。

 

 

薄暗い空間で円卓に座る様に()()が揃う。

()()()()

無精ひげを生やした中年の男性が両手を広げて歓喜や悲壮、憤怒全ての感情がごちゃ混ぜになった表情で涙を流して声を張り上げる。

なぜか分かる。俺たちの主人だ。

 

『コレで7000年もの戦いは終幕(フィナーレ)デス♡終焉(デス)を始めマス♡』

 

 

映像が切り替わる。

視点がいやに低い。

子供の視点か?

両脇には見覚えのある両親と共に手をつないで歩いてる。

思い出した。3歳ごろの俺だ。

確か、比較的裕福な家庭で()()()()を除けば平穏だった。

 

 

また切り替わる。

今度は少し成長したようで視点が高くなってる。

ここは憶えている。

両親に連れられ始めて初めて『先生』に出会った時の記憶だ。

そして、最後に両親を見た記憶。

だが、『先生』に会ったところまでは憶えているのだがその先の記憶がない。

 

『やぁ、君は■■■■くんだね?』

 

その言葉にうなずく小さな俺。

 

『ご両親からのお願いでね。君に個性を与えるよ。』

 

俺にある問題点とは『無個性』だったのだ。

そう言って俺の頭に手を乗せる『先生』。

その瞬間、苦しみにのたうち回り血反吐を吐く俺。

 

かっあああぁぁぁ!!!」

 

永遠と思えるような苦痛の中、無事意識を取り戻し、『先生』を睨み付ける。

 

『おぉ!凄い!拒絶反応に耐えきったのか!もう1つプレゼントしてあげよう。』

 

そう言い再び俺の身体に触れようとする『先生』を拒絶した。さらに自分の周囲の大気を拒絶して巨大な真空空間を作り始める。

 

「俺に触るなぁ!」

 

個性の暴走もあり『先生』との全面的な戦闘になり、施設ごと両親を潰してしまった。

その戦闘は子供の俺の体力が無くなるまで続き、その後俺は『先生』に引き取られ『通形ノア』になったのだ。

 

 

 


 

 

あぁ、全て思い出した。

 

なんでこんなにも()()()()()()()()()()のも理解した。

 

あぁ、そうだよな。

 

ノアの一族(おれたち)は神に捧げられた12匹の子羊だったな。

 

ノアの一族(おれたち)が礎になった世界なのにこんなことってないよな。

 

ノアの一族(おれたち)無個性(庇護)から外れて勝手に進化するなんて。

 

許せない。

 

奴ら(新人類)を許すな。

 

絶ッ対許スナ。

 

心の奥底から間欠泉の様に憎悪が湧き出す。

 

リセットするか。

 

今回は『オレ』1人ぼっちみたいだけど上手くやるよ。

 

ノアの一族(おまえたち)と作った世界だもん。

 

勝手に弄られるのは気に食わない。

 

次の世界ではまた、ノアの一族(おまえたち)と会えるといいなぁ。

 

 

でもさ、こっちでもヴィラン連合(ファミリー)ができたんだ。

 

ちょっとくらい贔屓してもいいよな?

 

だって、前の世界(まえ)でも許してくれてたもんな。

 

大丈夫だよ。

 

1人でも大丈夫だから。

 

だから。

 

そんな心配そうにこっちを見ないでくれよ。

 

 

 

 

 

 

ノアの一族(兄弟)

 

 

 

 

 

 

もうヴィラン連合(ホーム)に帰らなきゃ。

 

ヴィラン連合(ファミリー)が心配しちまう。

 

『先生』っていう親代わりは捕まってるんだけど、弔はイライラとしながら、黒霧さんと荼毘、スピナーはやれやれっていいながら、マグ姉とトガ、トゥワイス、コンプレスは遊びながら、エリアーデは無関心に、エシは子犬みたいな表情で俺を待ってくれると思うんだ。

 

あっ!新しく入りそうな壊理って奴もいるんだ。こいつのおかげで()()()()()()()()()()。この子は引っ込み思案だけどそこは優しく常識人組が接してくれるだろう。

 

かつてのノアの一族(家族)に今のヴィラン連合(ファミリー)を紹介しながら空気を踏みつけながら歩む。

 

頭上の嘲り嗤う月に向けて夜空を歩き出す。

 

嘲り嗤う白い月はその見た目の縮尺を変えずに、近づくほどに小さくなる。

 

やがて、たどり着いた時には人の顔ほどの大きさになっていた。

 

嘲り嗤う白い月へと手を伸ばし掌を添える。

 

そして、額と額を合わせて言う。

 

 

『ごめんよ。一緒に行こう。()()。』

 

 

白い月に添えた手にはひどく冷えた涙の粒を感じる。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

夢から醒めるように意識がだんだんあるべき場所に戻り、身体の感覚が戻ってきた。

まず感じたのは体の異様な重みだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

微睡を振り切りぼやけた視界を開く。

 

その先では()()()()()()光景。

蛇口が壊れたみたいに、大粒の涙をこぼし続けるエシが俺に血の気のない顔で覆いかぶさり、その顔を俺の右手が添えていた。

 

「…エシ?何してんの?」

 

「!…ティキ・ミック様。…エシは…()()()()()()()()()?」

 

その言葉を言い終えると大きくせき込むようにして血を吐く。

消え入りそうな小さな風音を立てながら荒く細かく呼吸をしている。

視線を下に向けてエシを見ると、()()()()()()()()()()

あるはずの下半身が腹部から大きく抉られたように()()()()()()()

視線をエシに戻すと今にも光が消え入りそうなその瞳で俺を見つめていた。

 

「あぁ、お前のおかげだ。()()()()()。」

 

そう言いエシの頭を撫でてやる。

エシはゆっくりとその口角を上げる。

 

「…エシ!…生まれて良かった。『(タイ)(トル)』」

 

恍惚とした表情で、失神の底に――おそらくは、さめる時のない眠りの底に、昏々として沈んで行った。

同時に俺の身体を押さえつけていた重みもなくなる。

覆いかぶさる家族(エシ)の亡骸を六面体の空間で守る。

その姿はまるで棺に収められているようだった。

事態が全く把握できない。

上体を起こして周囲を確認する。

そこは地下通路だったであろう瓦礫の残骸の山が俺を中心にして出来ていた。

頭上には紺碧に晴れた空が湖水のように澄みきっていた。

次に自分の身体を確認する。

いつものタキシードを着ていたはずなのに黒い外装を纏っている。

真っ黒い体に手の甲の白い十字架が嫌に映える。

背中に違和感を感じ視線を向けると。

羽根のように無数の黒いムカデのような触手が絡み合っていた。

 

「…お目覚めですか?」

 

目の前にワープしてきた黒霧さんに声をかけられる。

 

「あぁ、状況を把握したい。俺が撃たれてからどうなった?」

 

「それがですね―――」

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

全ての原因。
『通形ノア』『ティキ・ミック』『ノア』『前世界のティキ・ミック』のお話です。
原作でも「人間臭くて人間らしい」と評される『彼』に影響を受けた矛盾を孕んだ願いになります。
過去の演説動画でも両方ともこの願いに触れていたのですが、今度は感想欄で当てられなくてホッとしています。
読み返してマジかよ!って思っていただけたら嬉しいです。

今後も拙作をよろしくお願いします。

最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m

  • 英雄と敵の二重生活
  • 『風見幽香』な私。
  • 『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
  • 個性:斬島
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