「―――というわけで。第一にトガとトゥワイスはサブミッションを完遂の上、帰宅。第二に『
自分の仕出かした出来事に思わず頭を抱えてしまう。
正気じゃないから、
その事実を受け止めながらその亡骸を収めた空間を指でなぞっていると、黒霧さんが声をかけてくる。
「ティキ・ミック。
エシは私の制止も聞かずにアナタの為に命を捧げました。
『アナタを見捨てればアナタに
「あぁ。多分、エシの声があったから戻って来れたんだと思う。」
あの居心地のいい夢の中で
黒霧さんが真剣に親が子を窘めるように言葉を続けていく。
「ならば止まらないでください。この先、組織を拡大を続けていくうちに残っている
だが、『扇動』したアナタは立ち止まってはいけない。
私も死力を尽くして
だから、と黒霧さんは続ける。
これは彼の宣誓だ。
俺と弔に対する誓い。
そして、エシへの弔詞だ。
「
アナタが指し示した道を。
弔が歩き、作った道を。
言葉と共に片膝をつき、片方の手を俺に伸ばす。
その瞳、声色から堅い意志が窺える。
黒霧さんの手を取り俺も誓う。
「あぁ。誓うよ。
「
普段の穏やかな雰囲気に戻り、感慨深そうに珍しく諭すような、親が子を褒めるような口調で独白する。
「正直、『先生』にアナタたち2人を紹介されたときは不信感を覚えていました。
アナタは特に酷かった。
『先生』から幼少期の話は聞いていましたが、『先生』が逮捕されるまではひどく歪な形に殺意が赴くままにこの世の全てを敵に回そうとしていました。
多分、アナタにとっては『先生』ですらその対象だったのでしょうね。」
長年、『先生』と共に俺のことを見てきた黒霧さんには自分ではうまく隠していたつもりだった
だが、そんなことも気にせずに
「
しかし、
エシの死を嘆き、悲しみ、糧としている。
そんなアナタだからこそ。
この瞬間、この宣誓を以て。
ここに
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『ティキ・ミック』の暴走により、ヒーロー並びに警官隊、死穢八斎會の逮捕者達は壊滅状態に陥っていた。
無傷と言える者は無く、多くの死傷者、重軽傷者で溢れていた。
その光景はまるでかつて起きた『大災害』の再来のようだった。
しかし、あの時とは違い『
『黒い
その騒動に避難誘導されていた一般市民たちも助けになろうと救助の手伝いを始める。
そして、邸宅から緑谷、切島、ミリオ、天喰、イレイザーヘッド、ロックロック、ファットガムが出てきた。
瓦礫をどかしていたねじれがそれに気づき駆け寄る。
「大丈夫だった!?
……サー・ナイトアイは?
他のみんなは?」
7人しか出てきていないことに気が付き、他の突入隊のメンバーの安否を問う。
しかし、7人の暗い面持ちで答えを知る。
「…サーは僕たちの盾になって。
死穢八斎會の逮捕者達もやられた。」
地上よりもひどい惨劇が繰り広げられたであろうことをその言葉で知る。
あれだけいた突入隊が、警戒していた構成員たちが。
皆一様にしてあの『黒い
その事実を受け止めていると、
その姿を確認して、動けるプロヒーローたちは迎撃の構えを取るが、ただ天に向かって伸びるだけで周囲の人間を襲ってはこなかった。
そして出来た、天に伸びる黒い塔はやがて結び解けるようにして崩れていく。
その中から背中からは翼のように無数の黒いムカデのような触手を生やした灰色の肌をした英国紳士のような服装をした『ティキ・ミック』が現れた。
その翼で飛ぶようにして上空に停滞し、周囲を見回した後。
『やぁ、気分はどうだい?ヒーロー?
…俺は最悪だよ。』
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全てを聞いて覚悟ができた俺は演出の為に翼を上空に向かってただ伸ばす。
どこにいてもこの黒が見えるよう何よりも高く。
ただ天に向かって伸ばす。
そして、十分な注目を集めた後、解き解く。
黒い柱から現れた俺を周囲の人間が様子を窺うように注目する。
俺の声以外の音を全て拒絶して俺の声が届く全てに語り掛ける。
「やぁ、気分はどうだい?ヒーロー?
…俺は最悪だよ。」
邸宅の入り口ではイレイザーヘッドが
だが、消えるわけがない。
『
丁度、
イレイザーヘッドともう2人が生徒を守る様にして立ちはだかる。
「ティキ・ミックなぜ俺の個性が効かない?」
「イレイザーヘッド。
生徒だったからって教えてもらえると思ったのか?
そりゃあ、…
色々と世話になった意趣返しで嫌味を言ってやる。立ちはだかる3人のヒーローを無視して切島に肩を貸している
当然、三者三様に、ミリオ達も妨害してくるが無視して歩みを止めない。
少年と切島の目の前に立ち、独白するように尋ねる。
「なぁ、
自分に声がかけられると思ってなかった
「
「…――ッ!?」
その表情が驚愕に染まる。
『通形ノア』の時に感じていた理由のない親しみ、爆豪の昔話、その全てが、
こいつは
しかし、その問いに答えが出る前に支えられた切島が俺に向かい歩いてくる。
拳を構えて今にも殴りかかろうと話始める。
「おめぇに言いたいことは沢山ある。
だけど!
とりあえず、一発殴らせろ!!」
「ヤダよ。痛いじゃん♪」
その大ぶりのテレフォンパンチは。
空振る。
その勢いのまま手負いの切島は地面へと倒れこむ。
「―――ックッショウ!」
…何だか冷めてしまった。
そのまま、
去り際に一言
「次までに答え用意しておけ。次は殺すから。」
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
その日、ネットに上げられた動画が、ヒーローはもとより国家に対する重大な不信感を世間に煽った。
救助活動を手伝っていた一般市民の携帯から撮られた映像なのだろう。
画質は荒いが確かに黒い翼を持った『ティキ・ミック』が宙に飛んでいた。
澄み切った青空と浮かぶ『
そして、地上の荒れ果てた惨状。
地下まで続く地獄のような大穴。
その姿はまるで一種の宗教画のような幻想的な光景だった。
雑音は全く入らずにただ『ティキ・ミック』の声のみが響く。
『私はヴィラン連合所属『ティキ・ミック』です。
今回の惨状は、国家による弾圧により起きました。
我々ヴィラン連合は提携先の死穢八斎會を失い、『無個性薬』に関する多くの研究資料、設備が破壊されました。
我々はただ、個性に悩む人たちの力になりたかった!
現在では多くの人が個性という名の
日常で隣り合う誰かが強力な
すれ違う誰もが
誰もが
その危険性、その
ヴィラン連合はただそれだけなのです。
それが今回、『無個性薬』という金脈に目を付けた国家権力が弾圧を仕掛け、このような惨状が広がりました。
ヴィラン連合は研究を再開するのに優秀な人材を待っています。
誰もが声をあげるだけでは駄目だ。
言葉を行動に。
自由を!
正義を!
平等を!
『真の平和』を!
来いよ。ここが君の
そう短く言い残すと『
そして、その幻想的な光景にしばしの余韻を持って映像は終わる。
今までの演説と比べると短く。
だが、それ故に要点や主張が分かりやすい動画は瞬く間に広がり、国会の前では連日デモが行われ、ヴィラン連合に感化された人間が武装し、立ち上がり社会は大きな混乱に包まれる。
治安は『神野の悪夢』以降悪化していたのがさらに加速し、皆が個性という名の
そして、その反動は国家、ひいてはヒーローの批判につながり、社会は『ヴィラン連合』を中心に大きな炎が燃えるように混沌に包まれていく。
この事件で実利を得たのは『ヴィラン連合』のみで、『死穢八斎會』が実質的壊滅、『ヒーロー』は大きな批判の的にされ、『国家』はその信頼を失った。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少し原作が落ち着くまでプロット練りなどするので、しばらくは日常回をお送りすると思います。
拙作でも描写したのですが覚醒したノアの手の甲には十字架があって、それが酷くアレンのイノセンスの通常状態に似てるんですよね。
すごく気になっているところ。
作者は原作Dグレでアレンが言っていたことを拙作のティッキーに絡めていくのが好きな模様。(今話のとかAKUMAの救済とか)
今後も拙作をよろしくお願いします。
最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m
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