※ヒント:拙作での壊理の英語表記は『ELE』。
good girl gone Bad
死穢八斎會の壊滅から数日。
世間は俺がやった演説に悪意が伝染していき誰もが自分こそが正しいと
ヴィラン連合もとい『
ワイドショーでは連日ヴィラン連合に関するものが取り上げられ『神野の悪夢再び』『ヴィジランテ』『世紀の発明を政府が強奪?』など大々的に不安を煽るような報道がなされて、世間では秋が始まろうという時期なのに『
更には『
国会では『心求党』が今回の死穢八斎會摘発は現政権による利権の独占目的の弾圧行為であり、暴力団といえど発明自体は世界初の成功例であったことを考慮して融和をする道もあったのでは?と弾劾し国民の声としてワイドショーを騒がせる。
トガが悪ふざけで始めた動画投稿サイトのチャンネル『トガとふぁみりあ』が1か月でチャンネル登録者100万人を突破して、投稿した動画は過去の演説3本しか上げていないのに総再生回数1億回を超え、もはや『ヴィラン連合』はネームバリューだけで言えばかつての
そして、
そんなこともあり、世間は賑わっているが今日も今日とて俺は壊理と暇を持て余していた。
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「そろそろ、このウザイ髪切りたいな。」
何気なく長くなった髪を弄びながら呟くと、壊理が最早定位置となった俺の膝の上から顔をのぞかせてワガママを言いながら俺の胸をポカポカと叩く。
「えぇ~~!ヤダ!まだ見てたい!」
「ほら、末っ子のワガママだぞ。聞いてやれよ。」
弔がニヤニヤと俺たちのやりとりを囃し立ててくる。
俺の困った顔を見かねた壊理が自分が叩いてた位置を見て、表情を一転させ心配そうに俺の瞳を見つめる。
「ティッキー。その胸の傷まだ痛い?」
「心配?」
両腕を広げお道化てみせて質問に質問で返す。
その答えが出る前に壊理の頬をつついて遊んでいたトガが弔の言葉に反応する。
「壊理ちゃんが末っ子なら、私がお姉ちゃんです!マグ姉がお母さんで、エリアーデが長女?」
「あらあら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。旦那様はティキぽんかしら?」
マグ姉が温かい笑みを浮かべながら、人差し指を唇に当て、キスを投げるジェスチャーをする。
「いやいや、勘弁してよ。歳で言えば俺は壊理の次だぜ?」
…
『『『…えっ!?』』』
しばしの沈黙の後、誰からともなく驚きの声が漏れる。
マグ姉がおずおずと事実確認をしてくる。
「あら?確かに潜入では15歳ってことだったけど本当だったの?」
「マジだよ。何?そんな老け顔?」
確かに、実年齢より高く見られがちだったがマグ姉の反応から彼女よりも少し下くらいを予想していたようだ。
壊理が首を傾げながら呟く。
「ティッキーがお兄ちゃんで、トガちゃんがお姉ちゃん?」
「やんちゃな弔くんが長男で、エリアーデがしっかり者長女、荼毘くんが天然次男で、他はみんなパパですかね?」
トガが壊理を真似て首を傾げながら顎に指を添える。
わけのわからない方に話題が飛んで行く。世間で騒がれているヴィラン連合という犯罪組織とは思えない、まるで本当の家族のような弛緩した空気が流れる。
「…いやいや、家庭崩壊待ったなしでしょ。」
「はみだし者同士案外いいんじゃないかしら?」
「壊理の教育には悪いけどな。」
「…ん?私は皆と居れるのが一番だよ?」
「あら、ヤダ。イイ子!」
コテンと首を傾げる壊理にマグ姉がオーバーに反応する。
壊理はここ数日で
死穢八斎會にいたトガ、トゥワイス、マグ姉はもちろんのこと。面倒見のいい黒霧さん、子供特有のいいレスポンスを返してくれるのでエンターテイナーとして
弔も自分の宣言の通り比較的壊理には優しい対応をする。個性が発動しないように慎重に頭をなでたり、以前からは考えられないような姿も見かける。ワガママもちゃんと聞いてやるのでもしかしたら
スピナーや荼毘も最初は壊理の個性の危険性ゆえに慎重な対応をしてたが、数日もすると壊理の死穢八斎會での不遇な環境を知って、自身達も抱えていた個性故の悩みを重ねて温和な態度で接するようになってきた。荼毘なんかは以前はクールな印象を持っていたが、壊理が幾度も話しかけていくうちに案外はずれたことを言ったり、口数が少ないだけで実は天然なことが判明した。
意外なのはエリアーデだ。その姿から子供は嫌いそうに見えたが、実は姉御肌なのか
しかし、壊理は送られてくる本よりも『エシ』が残した画集を眺めていることが多い。スケッチブックには俺がひたすら描かれたものの他にも、
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俺と壊理以外の
しかし、その強力過ぎる個性故に壊理の特訓に付き合えるのは
植林された山とはちがう、混沌とした秩序のもとに、むせ返るほどの緑の空間の中で俺たちは幾度となく繰り返された行動をなぞる。
俺の黒がかった灰色の肌にスピナーから貰った氷刃のような白い裸の刃を十字にあてがう。
切り口からは年季を重ねた葡萄酒のような深い薔薇色が腕から零れ落ちていく。
その様子に壊理が一瞬だけ眉を顰めるがすぐに個性を発動させようと決意して切り口に手を当てる。
そこにルーチンとなった言葉を投げる。
「いいか?
「…うん。」
壊理の個性の発動と共に俺の腕がぽわっとした淡い光に包まれる。そして映像を逆再生するかのようにゆっくりと傷口が戻っていく。そして、一筋の切り傷が巻き戻ったと共にもう片方の切り傷も巻き戻ってしまい傷跡は無くなってしまった。その様子に落胆して壊理の表情に陰が入る。
「また…失敗しちゃった。」
「最初に比べてゆっくりと巻き戻る様になってるし、進歩はしてるから大丈夫。」
落ち込む様子を無理やり頭を撫でて慰めるがまだ気持ちが乗らないのかその瞳には涙の粒が溜まっていた。
「そうだ!次は歌を歌いながらやろうぜ。」
新しく十字の切り傷を作り、壊理の手に俺の手を重ねる。
そして
安らぎを感じる。
聞いたことのないその曲に自然と涙がこぼれ、壊理も涙を浮かべながら個性を発動する。
俺の口から零れるメロディーに乗せて優しい光が俺たちを包む。
旋律に合わせてゆっくりと傷口がふさがっていく。
つないだ
歌が終わると同時に光が立ち消え、その先には一筋の切り傷のみがあった。
それを確認した壊理は表情をぱぁっと明るくさせて俺に思いっきり抱き着いた。
「ティッキー!やったよ!」
涙の筋がまだ残る無邪気な表情に指でそっと跡をなぞり頭を優しく撫でる。
暫くそのままにしていたらはっとした様子で俺の胸元から勢いよく離れてむすくれる。
「どうした?」
「エリちゃんが言ってたの
「あー、ね。…でも家族には弱いところ見せていいんだぜ?」
そういうと更に不機嫌な顔になる。
「もう!そういうことじゃないもん。」
理由は分からないが機嫌を直してもらおうと頭に手を伸ばすが優しくいなされる。
そのまま俺の手を掴み、黒がかった灰色の手の甲に、そこにある白い十字架に向けて、優しくやわらかな唇を合わせる。
そして、やや頬を赤らめながら恥ずかし気に笑いながら喋り出す。
「続きしよっ!また歌いながらね!」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
前話の時ご紹介した活動報告が700UAに到達しようとしていて多くの方々が拙作に関心を持って頂けてるようでとても嬉しかったです。また、このように伏線を多く回収した時は活動報告に描ききれなかった詳細をまとめたいと思いました。
タイトル:『good girl gone Bad』
作者のお気に入りの香水の名前です。
創世記をイメージした二重性の物語が拙作にピッタリだったので付けさせていただきました。
『壊理』が『ティキ・ミック』に惹かれる理由も深く関係します。
香水界のロールスロイスとか言われてたりするオススメのパヒュームです。
『つないだ手にキスを』
Dグレで登場する物語の鍵となる唄。
歌詞転載は禁止なのでは改変しております。
やはり、拙作は作者のヒロアカ愛とDグレ愛が大きいので両原作を読み直してみると更に楽しめるかもしれません。
今後も拙作をよろしくお願いします。
最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m
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