英雄と敵の二重生活   作:毎日健康黒酢生活

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『ティキ・ミック』をたずねて・彼はiを忘れている。

深夜、壊理に抱かれながら眠りにつく俺は急な衝撃と共にベッドから落とされる。

寝ぼけた目元をこすると視線の先では弔が片足を蹴り上げていた。上手く壊理に当てずに俺だけを蹴り抜きやがった。俺が離れたことからか壊理が眠そうに瞼をこするのが見える。

 

「行くぞ、クソニート。パチモンの『レプリカント』に分からせてやれ。」

 

「…ティッキー?」

 

弔の言葉にオシゴトの時間を悟り、急に眠りから覚めた微睡の中の壊理の頭をゆっくり撫でる。

 

「わりぃ。ちょっと出かけてくるわ。」

 

「…待ってる。」

 

「そんなむすくれるなって、マグ姉かトガと一緒に寝なよ。」

 

俺の困り顔に構わず、壊理はまだ重たそうな両目をゆっくりと開けて俺に向けて小指を差し出す。

 

「んっ!」

 

「分かったよ。お姫様。」

 

差し出された小指に俺の小指を重ねて約束をする。

壊理は最後の一瞬だけ顔をしかめて俺たちしか知らない()()()()()()()()()()()()()()で秘密のメロディーを口ずさむ。

 

 

そして (いと)()は (ねむ)りについた ♪

 

 

最後まで唄い終えて満足している壊理に合わせるように腰を落とし触れ合う掌にゆっくりと頭を近づけて、小指を重ねる壊理の小さな手の甲にそっと唇を添えた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

壊理は微笑みながらふふんとご満悦してくれてる。

むすくれたお姫様は機嫌を直して騎士を見送ってくれるようだ。

 

「約束。()()()()()()()()()()。」

 

「あぁ、約束だ。」

 

「うんっ!行ってらっしゃい!」

 

「行ってきます。お姫様。」

 

壊理の約束にお道化て見せて弔の元へと向かう。

俺たちのやり取りを見ていた弔が先ほどのやり取りを揶揄する。

 

「さっきの唄はなんだ?前からお前も口ずさんでいたよな?」

 

「さぁな、ヒ・ミ・ツさ♡

 それよりオシゴトは?」

 

「黒霧のワープゲートを抜けた先で説明してやる。付いて来い。」

 

アジトの暗闇に紛れるようにして広がる黒い靄の中に弔の後ろ姿に従ってゆっくりと歩みを進める。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

ワープ先は何処かのビルとビルの間にある細い裏道だった。薄暗いそこからは街灯の輝きに負けずに三日月が光を放っているのが見える。

目覚めの一服に火を付けつつ弔に状況を確認する。

 

「んで?首尾はどんな感じ?」

 

「義爛たちブローカーの情報から裏の人間の関連がないことは裏が取れた。丁度、最近()()()()()()()()()()が機械に強くてな。ヒーローたちの無線を傍受しながら雑魚共を焚きつけて人海戦術で『レプリカント』の捜索を進めている。『ティキ・ミック』を見つけたら幹部にしてやるって誘い文句をヴィランどもに流してな。捕まった雑魚からの情報かお陰でヒーローもより活発に『レプリカント』捜索をしてるよ。」

 

嗤いながら指導者らしく、上手く利用できるものを使いながら潰しの利く戦力で捜索してるらしい。

だが、本題はそこじゃない。俺を呼び出すってことは()()()()ってことなのだから。

勿体ぶる弔に相槌を打ちながら続きを促す。

 

「へぇー。組織拡大も役に立つもんだな。で、本題は?」

 

()()()()。今夜ヒーローが殺された。ただ、見つけた雑魚共々な。通信を聞きつけて黒霧が指揮する索敵系の個性を持ったグループに追わせてる。」

 

「こんな簡単に見つかるなら俺じゃなくても〆れそうじゃん?」

 

「ただ、()()()()()()地面を潜ったりしながら移動しやがる。決め手に欠けて追っているだけなのが現状だ。」

 

「だから、俺が呼ばれたのね。」

 

「あぁ、お前なら何でも掴めるだろ?」

 

「オーケー、オーケー。で、『レプリカント』は?」

 

分かりやすく弔はニヤニヤと嗤い出しながら一度、指で俺を指し示しゆっくりと地面へと傾け足元を指さす。

 

()()()。」

 

「話が早くて好きだぜ。こっちはお姫様待たしてるんだ。」

 

快楽(ジョイド)のノア』の翼を開放し地面に向けて放つ。俺を中心に半径2mほどの範囲を深さ30m程まで円柱になるように翼で()()し、上弦の月が輝く夜空に向けて引き抜く、

円柱の380m3ほどの大きな塊が空に打ちあがる。規模の大きさに弔が口笛を立てて囃し立ててくる。

 

「弔、退いてな。頭上注意な。」

 

頭部を両手でカバーしながら退く弔を確認して、両翼で()()()()()()()して円柱をバラバラに抉りながら破壊する。

細かくなっていく塊に人の腕が見えたので他の全てを破壊した。

空中にはスウェット姿にパーカーで頭部を隠した『レプリカント』だけが残る。

『レプリカント』は重力に従い落下してくる。

空中で身を翻して足元だけ透過して衝撃を殺して俺に背を向ける様にして着地をする。

喫っていた煙草をその足元へ投げて注意を引く。

 

「やぁ、()()()()くん?俺と少しお喋りしようぜ?」

 

俺の問いにその肩を小刻みに揺れさせながらゆっくりと振り返る。相対したその姿に面食らっていると『レプリカント』が喋り出す。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。』

 

 

 

()()()()()()()()?『()()()()()()』』

 

 

 

俺と同じくらいの背丈にガッチリとした体格。

 

 

 

パーカーのフードで頭を覆うその姿。

 

 

 

『レプリカント』は口元を大きく歪ませて嗤う。

 

 

 

憎悪を。

 

 

 

嫌悪を。

 

 

 

哀愁を込めながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

どうも、作者です。

21話までは前振りだって言ってたじゃん。
→このためのね。

各話のタイトル、作中の何気ない会話、描写、後書き、活動報告、感想欄でのやり取り。
その全てに気をつけてヒントを撒きながら拙作は劇場型で進んでおります。拙作に関係ないのは『good girl gone Bad』以外の前書きのみです。読者の方も物語の登場人物ではありませんが巻き込まれていますし、物語に関わっています。作者が感想には必ず返信してるのにもこのためです。

一読者だった頃の作者がそんな作品あれば素敵だなと思って拙作を(えが)いています。

実は、17:00の更新を1番楽しみにしているのは作者自身です。

拙作には作者の『i』が全て込められています。

読者の皆さんに唸っていただける作品になっていればとても嬉しいです。

今後も拙作をよろしくお願いします。

最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m

  • 英雄と敵の二重生活
  • 『風見幽香』な私。
  • 『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
  • 個性:斬島
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