英雄と敵の二重生活   作:毎日健康黒酢生活

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その劇中で『i』を演じる

お互いがお互いの顔を相手の肩にうずめて血のような涙だけが流れる。

どうしていいか分からなくなり『レプリカント』…いや、『通形ミリオ』の肩に顔を預ける。

何でだよ。

俺は『レプリカント』を殺しに来たのに、『レプリカント』も俺を殺しに来たのに、お互いに泣きあって抱きしめる。

こんなの、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()破壊(ころ)()()()()()。』

 

 

「どうして俺は。」

 

 

()()()()()()()

 

 

 

『「()()()()()()()()。」』

 

 

 

『「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」』

 

 

 

重なったオレタチの言葉に『レプリカント』はふっと微笑んで見せて独白していく。

ジブンの罪を認めるように。

俺の全てを包み込むように。

 

 

 

『オレのこと。ホントは分かってるんだろ。』

 

 

 

『どうしてオレのそばに居たいのか。』

 

 

 

『本当に分からない?』

 

 

 

『クソみたいな前世界の記憶を見せられて。』

 

 

 

魔王(『先生』)なんてバケモンと戦って。』

 

 

 

『気が狂いそうな終焉に魘されて。』

 

 

 

魔王(『先生』)に飼われて。』

 

 

 

『なのに、シアワセを求めるオレは。』

 

 

 

『そんなツライことから逃げるために。』

 

 

 

『オマエに全部ツライこと押し付けてたのに。』

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()。』

 

 

 

そう言って『レプリカント』は俺の頬に手を添えて『通形ミリオ』の顔で俺の瞳をのぞき込む。

 

 

『オレが嫌なこと全て押し付けて生まれた家族(ティキ・ミック)。』

 

 

『オマエはオマエが生まれた瞬間を憶えていないのか?』

 

 

「…――ッ!?」

 

 

その一言に、今までの()()()()()()()『レプリカント』の言動、懐かしさの理由、要領を得ない言動の全てが繋がった。

俺の殺されたこと。煙管を使っていたこと。慢心していたこと。なにより『新月(しんげつ)真愛(マナ)』を知っていること。

アイツならば知っている。

 

 

 

いや、()()()()()のだから。

 

 

 

「オマエ…『通形ノア(オレ)』か?」

 

 

 

『やっとかよ。『ティキ・ミック(オレ)』。』

 

 

 

「お前は俺が殺したはずだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 

 

事実、表の顔を捨ててから殺人衝動は無くなった。

言いようのない不快感はあるが、殺人衝動を俺に代行させていた『通形ノア』は死んだはずだ。

通形ノア(オレ)』は諦めたような口調で話し出す。

 

『あぁ、半分正解で半分ハズレだ。』

 

「…()()()?」

 

『オマエがあの時『悪夢に魘された(もう一人の)通形ノア』を殺した瞬間、なんでか、大将たちの顔が浮かんでな。必死になって心の中で逃げ出したよ。』

 

()()()()()()()()()()。手放したく無かったんだ。あのシアワセな時間を。』

 

『オマエの心の隅っこでいつも怯えてたよ。』

 

『見つかったら今度こそ殺される。』

 

『だから、隠れて隠れて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。』

 

「そのこと先輩は知ってんのか?」

 

『いやぁ?ただ、あんまり馴染まないし彼が寝てる時にオレが活動してるから疲労感とかは感じてるんじゃないかな?』

 

「じゅあ、そのまま死ぬまで逃げてればよかったじゃんか。」

 

()()()()()()()。』

 

『通形ノア』は『通形ミリオ』の肉体を使いその表情を諦観に染めて、絶望の淵にいるかのように慟哭する。

 

そのカラダじゃなきゃ!あの陽だまりには!帰れないんだ!!!

 

だから!!!

 

その身体返せよ!!!

 

その絶叫と共に俺の心臓目掛けて腕が透過していく。

同時に俺の中にあるべきはずだったものが少しずつ戻ってくる感覚。

少しずつジブンが侵されていく。

すぐさま、拒絶してお互いに距離を取る。

 

『ショックだなぁ。ジブンに拒絶されるなんて。』

 

「じゃあ、オマエもオレを受け入れろよ!」

 

落胆する『レプリカント』に翼を向けるが透過して躱される。

結局『通形ノア(アイツ)』だって『ティキ・ミック(オレ)』を受け入れるつもりは無い。

 

いつまでも同じ光景がリピートされる。

 

お互いがお互いを受け入れずに決定打のないままに千日手のような戦闘が繰り広げられる。

 

破壊されるのは周囲の建物のみで、お互いの体には傷1つ付いていない。

 

『レプリカント』は怨嗟の声を上げながら攻撃を繰り出す。

 

『ふっざけんな!!!』

 

通形ノア(オレタチ)が死んで!!!』

 

『なんで、ティキ・ミック(オマエ)なんかが!!!』

 

シアワセそうにしてんだよ!!!

 

『レプリカント』の羨望交じりの声の理由が分かった。

ティキ・ミック(オレ)は幸せだ。

ヴィラン連合(家族)も仲間も守るべきものも全て持っている。

対して、通形ノア(アイツ)はどうだ?

もう一人の人格(家族)も殺され、陽だまり(親友たちの隣)には戻れない。

たった一人で他人にへばりついて生きている。

 

あぁ、アイツはありえたかもしれないオレなんだ。

 

弔に頼らず、ヴィラン連合(家族)が居ない、『先生』に託さ(おしえら)れなかった、ヒトリボッチのオレだ。

 

今までのアイツの言動は助けを求める、寂しがりな迷子の叫び声だったんだ。

 

俺は翼で『レプリカント』を攻撃するのをやめ、一歩、また一歩と通形ノア(寂しがり)に歩み寄る。

 

『レプリカント』は目に見えて狼狽して、半歩、半歩と後ずさりをする。

 

手を伸ばせば届くような距離まで詰めて()()()()()()

 

レプリカント(通形ノア)』は()()()()()()()

 

つないだ手を優しく引いて抱擁する。

 

「なぁ、『通形ノア(兄弟)』。帰って来な。」

 

『…。』

 

「お前の望みは叶わないけど、いまさら怨嗟の声が1つくらい増えてもオレは大丈夫だから。」

 

俺の言葉に硝子の表に思いッ切り疵を付けるような無気味な歯ぎしりの音と共に『レプリカント(通形ノア)』はつないだ手と反対の手で俺の背中に爪を立てる。

 

 

 

『『通形ノア(オレ)()ティキ・ミック(オマエ)』、()破壊(ころ)()()()()()通形ノア(そんなやつ)()()()()()()()()()!』

 

 

 

優しくその髪を撫でる。

俺たちはカードの表と裏だと思っていたが、本当は鏡合わせだったんだ。

ティキ・ミック(オレ)』は『通形ノア(オマエ)』で。

通形ノア(オマエ)』も『ティキ・ミック(オレ)』だ。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

背後から『レプリカント(通形ノア)』の肩に()()()()()()()()()()

 

 

 

「わりぃな。『ティキ・ミック(ソイツ)』はヴィラン連合(俺たち)のモノだ。」

 

 

 

()()()()()()()()掌から『通形ミリオ』の肉体の崩壊が始まる。

ハッとして『レプリカント(通形ノア)』は振り返るがその視線の先では、俺たちの決定的な違い、死柄木弔(仲間)がニヤニヤと嗤っていた。

 

「亡霊は亡霊らしく大人しくしてな。」

 

『…――っ!死柄木…弔っ!!!』

 

「わりぃ。手間取った。」

 

「ハッ!お姫様待たしてんだろ、さっさと殺せよ。」

 

「いや、お喋りが楽しすぎてさ。それに()()()()()()()()()()()。」

 

お互いに軽口を叩きあう。

レプリカント(通形ノア)』は脆くなった体を強引に動かし、()()()()()()()()をした。

そして、柔らかく微笑む。

 

 

 

 

 

『…あぁ、…ティ…キ。……()()()()。』

 

 

 

 

 

羨望の声と共に『通形ミリオ』の肉体は風に流されるようにしてひとかけらも残らず崩れていった。

 

 

 

ティキ・ミック(オレ)』は相反する2人の『通形ノア』の欲望を叶えるために生まれた。

 

 

 

だけど、その2人を殺してでも守りたいヴィラン連合(家族)を見つけた。

 

 

 

「哀れなアベル(兄弟)に。魂の救済を。」

 

 

 

「『通形ノア』。安らかに眠れ。」

 

 

 

俺の様子を弔は黙って見届けている。

暫くの静寂の後、弔は喋り出す。

 

「…帰ろう。『ヴィラン連合(ホーム)』に。」

 

「あぁ、色々あって疲れた。」

 

その言葉と共に俺たちは黒い靄に包まれる。

周囲には戦闘によって破壊された瓦礫や巻き込まれた怪我人たちがその惨状を繰り広げていた。

月夜に火事の炎が暗い夜空を一様の血の色に焦がし、煙と火の子が渦を巻きながら奔騰してた。

 

その明かりから()()()()()()()1()()()()()()()()

 

そして、血気迫る表情と共に憤激の雄たけびをあげる。

 

「オイ!!!」

 

「ティキ・ミック!!!」

 

「ぜってー!()()()()()()()()()()()()()()!!!」

 

()()()の慟哭を繰り返す様に、俺に向かって宣言する。

 

思わず、笑みが漏れてしまう。

 

なら、(ヴィラン)の俺が返す言葉は一つだけだ。

 

黒い靄に包まれ視界の半分が消えてる中で悪役らしく嗤い、親友との決別をする。

 

 

 

 

 

『捕まえてみな。…親友(ヒーロー)♪』

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

ワープゲートの先では壊理がうつらうつらしながらマグ姉に抱きかかえられていた。

俺の帰宅を確認すると、その表情をぱぁっと明るくさせ、心配そうに俺の顔をのぞき込む。

 

「おかえり。ティッキー。……なんで泣いてるの?」

 

壊理の言葉に涙の跡をなぞり、壊理を抱きしめる。

 

()()()()。『壊理』。」

 

壊理は何も言わずに、俺の頭をゆっくりと撫でる。

まるで、聖母のように慈愛を込めた手が俺を包みこむ。

 

「…()()()()。もう寝よっか。」

 

「あぁ、色々あって疲れた。」

 

 

 

その様子をヴィラン連合(家族)は優しく見守る。

 

 

 

意識が優しい微睡の中に包まれていく。

 

 

 

通形ノア(自分)の残滓を抱きしめて。

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

これにてオリジナルストーリー『ティキ・ミック』と『通形ノア』は終了です。
分かりやすいまとめ、詳細設定など作者が帰宅し次第、活動報告に上げますのでご興味がある方はご一読いただけると今章がより、分かりやすいと思います。
拙作はまだ様々な設定があるため完結までお付き合いいただけると嬉しいです。

今後も拙作をよろしくお願いします。

最近ふとした時に、4作品もマルチ投稿していてどの作品から作者を知っていただけたのか気になってしまったのでアンケートいたします。ご回答いただけると読者層の把握、作者のモチベーションになる、他の読者様はどれをご覧になってるのかなど分かるので是非、お試しください。m(__)m

  • 英雄と敵の二重生活
  • 『風見幽香』な私。
  • 『AFO』はアホ、ハッキリわかんだね
  • 個性:斬島
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