本日紹介する作品はこちら。
つな✳︎さんの『Skull』です。
リボーンのスカルに転生憑依する勘違い物の作品になります。
終始とんでもない勘違いをされ続ける「不死身」のスカルがとても面白いです。原作と周囲の扱いも違い殺意MAXで迫られたり、様々な視線で見られていきます。
この作者さまのリボーン作品はとてもよう出来ていて物語の整合性も度肝を抜くものがあります。一重に作者さまの作品愛によるものでしょう。
ぜひ、ご一読ください。
都会の喧騒から離れた町はずれにポツポツと点在する寂れた家屋群。その中でも一層と古びて見える廃屋と見間違えてしまうほど荒れ果てている家がある。屋内の様子は柱は歪み、畳はボロボロ、家の中に木の香りを含んだ闇がひっそりと住みつく足の踏み場もないほど乱雑な部屋の中、古びたソファに凭れ掛かるようにして座る体中に手のようなものを付けた男が首元をマフラーのようなもので隠した軽装の爬虫類のような外見の男と、体中にある火傷の跡を無理やり縫合したかのようなダウナーな青年と対峙していた。
傍から見たら剣呑とした雰囲気だが、元々がお喋り好きではない3人なのでむしろ、この何も会話のない雰囲気は一見事務的に見えてしまうが確かにそこにある信頼感が彼らの日常だと言える。
全く会話のない中、両の足を延ばしソファの背もたれに両腕を開いてリラックスしている
「で?わざわざオレを呼び出して何を言いたいんだ?」
「
語調を合わせて答える荼毘に、前置きはいいと小さくつぶやきスピナーが死柄木を問い詰める。
「…俺は世界を変えたかった。」
「…だけどよ。」
スピナーのその口は固く結ばれ横一文字に伸び、眉間にシワがより、肩からダラリと下ろした両腕の拳は強く握られその全身からは慙愧の念がありありと浮かんでいる。その通常とは違うスピナーの様子を死柄木はただただ観察するように静かに俯瞰していた。その態度もあり、スピナーは死柄木にあと腕一つ分ほどの距離まで詰め寄る。
「何なんだよ!このダラけた現状は!!!」
「俺はステインに憧れて
「ステインのように!!!」
「ヒーロー、民衆、悪党、社会、偏見!!!」
「その全部にどでけぇ風穴をぶち明けられると思ってた!!!」
「なのになんだ!」
「何かを成し遂げる前に
「やったことと言えば、せっせと仲間集めをして、ヤクザを潰して金と成果を奪って、学生をブチ殺しただけじゃねぇか!」
「夕方の報道番組では反グレたちをまとめようとしているだけの小物と言われ、ティキ・ミックの演説だけが世論で悪党のイメージとして残る!」
「こんな調子で世界を変えられるのかよ!?」
「答えてくれよ!なぁ!死柄木!」
「
思わず詰め寄り、弔の胸倉を掴み上げる。その勢いに
「あぁ、おまえの心配も分かる。現状では俺たちは『先生』が捕まった時から何にも変わってない。あの時と変わらずそれぞれがスカウトをして、得たものと言えば
「そう言っているだろう!!!」
水のように変わらない弔の態度にスピナーは今まで抑えていたものを吐き出すかのように弔の胸倉をさらに自分に引き寄せ頭一つ分もない感覚で捲くし立てる。
その様子に静観していた荼毘が仲裁に入る。
「まぁ、落ち着けよ。スピナー。」
荼毘は弔とスピナーを引きはがしてスピナーが落ち着くまで間をおいて話題を続ける。
「そう言うことだ。死柄木弔。俺たちはいつまで燻っていればいい?」
みじろぎひとつ許さない深く鋭い視線で答えを待つ。
その様子に弔は着衣を直すと語り出す。
「お前たちがせっせとスカウトをしてくれているおかげでそれなりの精鋭が集まっている。その全貌をしっかりと把握できているのは俺とティキ・ミックだけだったが近々
弔は以前までの投げやりな言動とは打って変わり、1つ1つ丁寧にスピナーや荼毘が感じていた不満に対処しており、解決の道筋ができていることを答えていく。
その表情は何ともいえないいい顔をしていた。皺くちゃの狂相を聖者様みたいに白くて優しく、溶けてしまいそうに甘い笑みを浮かべて言葉を続ける。
「
「でも、
「お前たちにはオレと
何の理由も確証もない。
ただ、俺たちがいるからという言葉にスピナーと荼毘はいつの間にか飲み込まれ、現実の位相から微妙にずれている花園にいるような安心感を覚えていた。奇しくもその言葉はかつて弔が『先生』にかけられた救済の言葉に似ていた。
圧倒されている2人をしり目に弔の本音混じりの言葉が続く。
「
「ヒーローだけじゃない、オールマイトだけじゃない、息づく全てが俺を苛立たせる。」
「苛立ちが収まるのは
「それ以外は要らない。」
「
「だから、後一手、足りないものを黒霧たちが見つけてくるまで少し待ってくれないか?」
弔は顔中の皺を遠慮なく鼻の頭に集めて2人ににへらぁっと不気味に笑いかける。弔を見てスピナーは萎縮し、一歩、また一歩と後退る。
そこに今の今まで黙って壁にもたれて事態を静観していた荼毘がようやく話を切り出す。
「そうか、そうか。お前の口からようやく本音が聞けた気がするよ。」
そう言って荼毘はオーバーに両手を広げながら常のダウナーな雰囲気とは真反対の喜悦に染まった瞳で弔を見つめる。その頬は普段からは考えられないほどに歪に吊り上がっていた。
「ティキの野郎はダメだ。確かにあいつはカリスマもある、個性も文句なしに強い。でもな、
「組織として甘さは必要だが、俺たちの目的のためにはそれ以上に非情さが求められる。」
「だが、今日ここで
言葉と共に一歩、また一歩と死柄木弔に近づいていき地面に落ちていた手を拾うと小さく埃を払って死柄木弔に差し出した。
「ほら、お前の大切なモンなんだろ。」
「……あぁ、そうだ。これが無いと夜も眠れねぇ。」
弔はその手を受け取ると軽口を叩きながら受け取った片手で顔につけ直す。手を付け終わり、腕を下ろして開けた視界では足元に荼毘が跪いていた。
「俺はお前に付くぜ、死柄木弔。お前の思想はどうかは知らんが目的、その行き着く先は俺の理想に最も近い。ヒーローは全て俺が殺す、そのために俺は
荼毘はにへらっとツギハギの頬を痙攣らせて嗤った。
「全てを壊そう。」
「辺りを見回しても一面壊れてるものが無いくらいに。」
「それだけが俺とお前との間にある絶対の契約だ。」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
久しぶりの更新になります。
アニメも始まりましたし支援投稿させて頂きました。
原作の方もとても凄いことになってますね。
ヒーロー社会との全面戦争も構想にあるので描きたいです。
原作より劣勢のヒーロー陣営、原作と違うヴィラン連合のそれぞれの活躍ご期待ください。