投稿は不定期で、飽きたら終わります。
この作品の注意事項
・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
……?
私はどうやら仰向けに寝ているようだ、私は周りを見渡した。光が全く無いその空間は広く少し高い天井が有り、頭側に壁がある。
地面を見ると砂の地面が見える。洞窟だろうか?
……いやそれよりも。
どういう事だ?
気が付いたのがついさっきで、気が付く前の事が分からない。
どうしてここにいる?私は誰だ?なぜ頭に覚えのない知識や情報がある?
これからどうしようか……。
訳が分からず横になったまま途方に暮れる私、しかし頭にある知識から生きる為の情報を探し出す。
自分の事も頭の知識も後回しだ、生き残るには水と食べ物がいる。
私は起き上がり改めてあたりを見る、相変わらず光一つ見えない暗闇だ。
あてがある訳では無いけど壁沿いに進んでみるか……。
とりあえずここにずっと居てもどうしようもない。
早く水と食べ物を見つけなければ死んでしまう。
私は壁を右側に見ながら歩き始めた。
それなりの時間歩くと砂だった地面が岩になり、左側に広がっていた空間が無くなり迷路のようになった。
道中には特に何もなくただ暗闇が広がっているだけだった。
そう簡単にいかないとは思っていたけど、このまま出られないとまずい事になる。
動ける内にどうにかしなければ……動けなくなってしまったらもうどうにもならない。
自分が誰なのか、ここがどこなのかも分からないうちに死にたくはない。
幸いまだ全く疲れらしきものは感じない、しかし念の為に少し休憩する事にする。
私は壁に背を預け座り込む……そうだ、知識に何か役に立つ物は無いだろうか。
頭の中を数分探り、私は役に立ちそうな知識を見つけた。
風の流れを感じることが出来れば風上が外につながっているようだ。
取り敢えず風に注意しながら進もう、他には何か……。
風に注意しようと決めながら知識をあさっていると気になる知識を見つけた。それは「多くの生物は光一つ無い場所では物が見えない」という物だった。
……見えるな。
私には普通に周囲が見えている、暗いという事は分かるのに普通に見える。
どうやら私は多くに含まれない生物のようだ。
しかしこの状況ではありがたい。何も見えなければそれこそあのまま死ぬか、何も見えない状態で彷徨うしかなかったはずだ。
私が多少変わった存在である可能性が見えたが……出来る事が多いのは悪くはないだろうし休憩はここまでにして移動を再開しよう。
早く落ち着ける状態にまで状況を改善し、知識や私自身の事をしっかりと確認したい。
私は立ち上がり再び歩き始めた。
……おかしい。
私は大して変わり映えしない洞窟を歩きながら考えた。
というのも、体感だが相当な時間をさまよっている筈だ。空腹や喉の渇き、疲労なども知識として頭にあるが特に体に違和感は無い。
知識には食事、つまり外部からエネルギーなどを得る事なく生存出来る生物は居ないとあるが……。
私の知識に私の事が無いのはどういうことなのか……私と知識は元は別の物だったりするのだろうか?
知識の中を探せば私自身の事も分かるのではないかと期待していたが、どうやら無理なようだ。
私が本格的に何者なのかわからなくなってしまった。
今まで気が付いていなかったが私は寝てもいない。
睡眠の事をすっかり忘れていた。忘れて居れば眠くならないなどという事は無いだろう、つまり私は睡眠も必要無いという事だ。
暗闇を問題にせず、食事も水も必要無く、疲れもしなければ睡眠もしない。
それは生物なんだろうか、少なくとも普通ではない事は分かる。
知識に無いだけでそういった生物もいるのかもしれない。
……どうやら私はこのままでも死ぬ事は無さそうだ。
と言う事は焦る必要は無くなった訳だ、ゆっくりと脱出しようか。
そうだ、時間に追われる事が無くなったのなら一度知識の事を確認しておくか。
こうして暗い洞窟の中、私は自分の知識を確認し始めた。
……こんな所か、すっかり時間を忘れて確認してしまった。
現時点で分かった事は……まず知識は大半が完全でない事。例えばある物の名前や用途、使い方は分かってもその作り方や材料が分からなかったり、といった具合に知識や情報に抜けがあるようだ。
そしてこの知識がもともと私の持っていたものではない事。
これは私がその内容を知らないと言う時点で予想していた。どうして私の頭に中途半端な状態で存在するのか不明だが、これも私の為になるなら無いより有った方が良いだろう。
この知識がすべて正しいとも言えないが、試してみたい知識もあった。
それは魔法や錬金術、魔道具作成などだ。これらの知識は基礎がしっかりと存在している物と半端な物があったが、参考にすれば使えるようになるかもしれない。
ただ……何をするにしてもこの洞窟から出なければ難しい。ここで一生を終える気はない、必ず外に出る。
本当に洞窟かも分からないからな……外なんて無くて世界全体がこんな感じだったりしないよな?
浮かんだ疑問を抱きながら私は歩き続けるのだった。
知識の確認をした時からどれほどの時間が経っただろうか。
迷路のような洞窟を歩き回り続ける道中、汗もかかない事や排泄もしないことに気が付いた。
そして恐らく私が私の知らない何かを必要としていたりしない限り、何もしなくても問題無く生活出来る事も分かった。
自分の多少おかしな特徴に支えられ、さらに歩き続けた私はわずかに流れる風を感じた。
ようやく外に出られるかもしれない。
風が流れてくる方に向かう。進むうちに迷路状だった洞窟は少しづつ一本道になりさらに進むと、わずかに光が見えた。
私は光に向かい歩みを進める。
すると少しずつ光が強くなるにしたがって周囲が暖かくなってきているのを感じた。
洞窟内はだいぶ寒かったようだ。
今まで気にならなかった事を考えると気温の変化も私には意味がないのかもしれない。
そして私は外に出た。
外に出ると広がる青空と眼下に見える広大な森が目に入った、少し遠くの森の中には川があるのが見える。
どうやらそれなりの高さの丘の上に出たらしい。私は丘の上に立ち世界の姿を眺めた。
……いい景色だな。
青々と茂る森。
日の光を反射しキラキラと輝く川の水面。
遠くにうっすらと見える山脈。
瞳を上げれば月が3つ見える。
大きな月が1つと、小さな月二つだ。
しばらく景色をただ眺めていた。こういったものを美しいと感じる事が出来る自分にどこか嬉しさを感じた。
十分に景色を眺めた後、これからどうするかを考えることにした。
何しろ多くの生物が生命を維持するために必要な事を私は必要としていないようなので、目覚めた当初の目的である食料と水の確保は必要なくなった。
となると魔法、錬金術、道具作成辺りにさっそく手を付けてみるのも良いかもしれない。
きっと何かの役に立ってくれるだろう。
まずは見える川の傍まで移動して落ち着くことにしようか。
丘も下れない坂ではないし、一直線に川を目指すか。
私は目的の川を確認し真っ直ぐに歩き出した。
短い草や名前が分からない花などが所々に生えていてほのかに土の匂いがする。
時折暖かい風が大地を撫で、草花を揺らしている。
辺りにはさまざまな大きさの虫達が空にも地面にも無数に飛び回っている。
この虫達が私が初めて見た私以外の生物か。
特に苦も無く丘を下り平原へたどり着いた。所々に木々が生え、大きな物から小さな物まで岩がまばらに転がっている。
私の腰ほどの高さの草を踏みしめて進むと、空を鳥のような生物が群れを成して飛んでいる姿が見えた。
ほどなく平原と森の境目までやってきた。それなりに深い位置に川があったはずだ、このまま真っ直ぐ進めばぶつかるだろう。
森に入ると木々の枝葉が光を遮り薄暗くなった。僅かな木々の隙間から日が差しこみ光の筋を作り出している。
森の中には様々な生物がいた。道中の丘や平野など比べ物にならないほど様々な種類の植物、茸、昆虫達。
さらに名前の分からない小動物達の中にリスのような小動物も見かけた。
ある程度進んだころふと気が付く。
……大型の肉食獣もいる可能性がある。
危険かもしれないが……もうかなり入り込んでしまっている。
色々と生物として必要な物が必要なくても、私自身が弱かったらどうにもならない……殺されたらお終いだ。
大型肉食獣の知識はあったのにここまで来てしまった。ただ……なんといえばいいのかわからないけれど、知識に様々な危険な動物の知識はあった。しかし……どの動物を見ても何故か脅威に感じなかった、ハムスターもドラゴンも同じように感じた。
今からでも注意して進もうと考え、注意をしながら進んでいると周囲がさらに暗くなって来た……どうやら日没が近いようだ。
深くなって行く森の中を歩き周囲が真っ暗になった頃、川の流れる音が聞こえ始めた。
それからしばらく歩くと森が途切れて視界が開けた、月明りで照らされた広場に川が流れている。
かなり暗かったと感じたのは森の中に居たからか。
この辺りが丘の上から見えた辺りのはずだ、もし違ったとしてもここで十分だ。
さて、ここで落ち着く訳なのだが……何をすればいいのか分からない。
衣食住と知識にはあるが食べ物はいらないし、寒い洞窟を延々さまよっても問題ないのだから家などいらないだろう。
服も……汗をかかないなら必要ないのではないだろうか。
まずは便利そうな魔法を使えるか練習してみるか……。
何もいらない事に気が付いた私は知識にある魔法の練習方法を試す事にした。
魔力がないと使えないらしいが、もし私に魔力が無いならば諦めるしかない。
川べりに座り魔力を感じる訓練を始める。さて、出来るかどうか。
川のせせらぎと虫の音だけがする時間が続き、空が明るくなり始めた頃。
体からにじみ出る魔力と周囲にある魔力を見る事が出来るようになった。
知識にある通りだからこれが魔力のはずだ。思ったより簡単に出来たが……しかしこれで魔法が使える事が分かった。
次は実際に魔法を発動させる練習だ。
おすすめは土か水の魔法らしい。扱いやすく制御を失敗しても被害が少ないようだ。
というわけでまずは土を選び、土を固める魔法の練習をしよう。
そう考えながらふと水面を見ると少女が映っていた。長い黒髪、黒い瞳、服はワンピースという物に似ている、黒いワンピースだ。
そういえば自分の姿を確認した事は無かったな。
川に近寄ってじっくりと見てみる……見た目は知識にある人間にそっくりだ。
今までの事を考えると人間にそっくりな何かだとは思うが。
眠そうな目をしているな。寝る事はないのに、肌は色白で身長は小さいな……130㎝ほどしかないんじゃないか?
それに私は女だったのか。まったく気にしていなかったが自分の事を自然と私と言っていたし……声も涼しげな柔らかい声をしているしな。
……よく見ると埃が付いているか?私の体からは汚れは出なくても周りの汚れはついてしまうのか。
よし……川で体を洗ってみるか。濡れたまま過ごす事になるが気温も暖かいし、何より私の体ならば問題ないだろう。
私は流れが緩やかな所を探してワンピースを脱ぎ川に入った、自分の体を見て違和感を感じる。
……ん?なんか違和感があるな……知識にある人間とは違うような……いや、私は人間に似ているだけで違うようだし当然か?
すぐに違和感の正体に気が付いた。私の体は乳首や性器が付いていないようだ、指で確認したが肛門も無かった。
知識に似たような物があったような……そうだ、マネキンだ。生身のマネキンとでもいうべきか、見た目は女に見えるが正確には無性なのだろうか。
どうにか出来る事ではないだろうし、早く体を洗って魔法の練習に戻ろう。
……ん?服はどこに行った?
置いたはずの場所に服が無く、黒い霧のような塊が漂っている。そしてその霧は私に吸い込まれた。
一体何なんだ……。
私の体に吸い込まれたという事は……私自身の問題なんだろうな。自分の体の事を自分で分からないのをこのままにしておく訳にはいかないか。
魔法の練習は後だな。
まずは自分に何が出来て何が出来ないのか。この体はどういったものなのか……出来る限り調べる必要がありそうだ。
知識も活用して色々な事を試してみよう。
時間の余裕はある、何も必要としない体は便利だ。
私は黒いワンピース姿で広場から少し入った森にある木の前に立っていた。
……よし。
私は意識を自分の髪に集中させる、数本の髪が伸び動き出した。
「ふっ!」
凄まじい速さで髪が目の前の木を横薙ぎに通り抜ける、見た目は何も変わらない。
私は近寄って木のに手を当てぐっと力をいれる。すると木はズレて行き、轟音を上げて地面に倒れた。
かなり使えるなこれは。
知識を使い色々試してみた結果、ある程度出来る事が分かった。
まず私の体は決まった形を意識しないと、光を通さない黒い霧状の何かの塊になる事がある。
そして体の形や強度、重量を変え、自由に動かせる。これは先ほど木を切断するために使ったものだ、髪を鋭く長くし、力を込める事で切断した。
かなり強力で、これならある程度なら敵がいても撃退出来るだろう。
更に現在は子供の姿だが大人のようにもなれる。人型以外にもなれたが、私が自然になっていたこの子供の姿が無難だろう。
後は水中でも問題無く活動出来る、もともと呼吸をしていなかったようだ。
体は温度は問題無く感じる、冷たいのか熱いのか感じる事が出来る。ただし分かるだけでそれが私に影響を及ぼす事は無さそうだ。
体の一部で服などの物を作れる。ただし今の所は実物か構造を知らないと作れず、あまりにも複雑な物も作れないようだ。
そして作った物は私が消そうと思わない限り離れても維持される……最初に脱いだ私の服が消えたのは私が自分の力を把握していなかった為、不安定だったのではないかと思う。
これは意味があるかは分からないが、食事もとれる。
川の水を飲んでみたがしっかり水の味を感じる。どうやらいくらでも飲めるようだ、満腹になる事はなかった。
味が分かるのなら美味しい物を食べてみたいとも思う、いくらでも食べられるのでたしなむ程度に。
意識を傾けると周囲の様々な物を感じる事が出来る。
更に集中すれば地中の虫や岩の中の鉱石なども感じる事が出来た。
これに関してはあらゆる物を感じ取れるのかこれからも試そうと思う。使い方を間違えなければかなり有用だろう。
今の所はこれくらいだ、今の内に試しておいてよかったと思う。
やれる事が一気に増え、これからの生活に大いに役に立ちそうだ。
私が人間ではなく私と言う種族である事も間違いないだろうし、そのうち意思の疎通が出来る他の生き物や私の同類を探してみよう。
私が老いる前には見つけたい所だな。
さて……自分の力の確認はいったんここまでにして、後回しにしていた魔法の練習に取り掛かろう。
まずは土、次に水、それから風、火の順に試してみよう。
こうしてまずは土の魔法の練習を始めてから二回目の夕方には土を思い通りに動かしたり、岩のように固めたり、打ち出したり出来るようになった。
土の魔法の練習はこの辺りで一度中断しよう。
さらに練習中に新しい事にも気が付いた。感知能力が上がり魔力が良く見えるようになったのだが、木が周囲の魔力を吸い、吐き出しているのが分かった。
その時木が吸っている周囲の魔力と、吐き出す魔力が違うのだ。
世界に満ちている魔力のほうが濃く感じる。別のように見えるのに同じ名前で呼ぶのは分かりにくい、私は勝手に周囲にあふれている物を魔素と呼ぶ事にした。
そして魔力を使うとその魔力は魔素に変わるようだ。
循環しているのかも知れない。魔素と魔力を交互に使えれば一人で永久に循環出来そうだ。
いつの間にか存在していた知識は間違いなく役に立った、これならある程度は使えそうだ。
こうして私は残りの三つもそれなりの時間をかけて練習し覚えていった。
最初の内は水の魔法でずぶ濡れになったり、火の魔法で森が燃えたり、風の魔法で頭から地面に突っ込んだりしたが……少なくとも今は失敗せず出来るようになった。
そしてもう一つ成果があった。私は魔力に変換せず、魔素を使って魔法を使えるようにもなった。やってみたら出来た……としか言えないが。
これで知識にあった四大元素は終わった。ここからは追々改善して行く事にしよう。
一通り練習を重ね魔力と魔素の扱いも慣れた。ここからは知識にあった便利魔法の練習に取り掛かる。
この魔法は絶対に覚えておきたい、便利だからな。
それはインベントリ、マジックボックス、アイテムボックス、無限倉庫など様々な名前が付いていた。
様々なものを収納し劣化を防ぐ空間を作る魔法だ。
よし……始めるか。
私は集中して練習を始めた。
流石に難しかった。
この一言に尽きる。
ひたすらに練習しようやく使えるようになった、念じれば好きな場所に好きな大きさで入り口を作る事が出来る。
これで大きな物も入れる事が出来る上に、魔素か魔力を送る事でどこまでも拡張できる。
更に生物なども生きたまま閉じ込める事が出来て時間を止めて劣化を防げる。
……生きた生物の保管と時間の停止はもしも誰かに教える時は無くした方が良いかも知れないな。
知識にあるのだから出来るのは分かっていたが、時間停止の機能が予想以上に難しかった。
時間に干渉するのはかなり高度だと思ってはいたが、少々考えが甘かったようだ。
後は名前を決めるだけだが、知識から決めるか……無限倉庫は広げる事は出来るが無限とは言えないからやめておこう。
アイテムボックスは、入るのはアイテムだけではないからやめようか。
後はインベントリかマジックボックスだが……インベントリは言葉の意味が知識になかったのでやめておこう。
そうするとマジックボックスだな、魔法の箱と言う意味らしいしちょうど良いだろう。
そう言えばいったいどれだけの時間練習していたのだろうか。
ふと、かなりの時間が経っているのでは無いかと気が付いた。
……日中の気温が上がっている、おそらく夏に入っているのではないだろうか。
正確な時間は分からないが、はっきりと気温に差を感じる程度の時間は過ぎているようだ。
今思えば四大元素からマジックボックスまでずっと練習していた。
やはり疲労と言えそうな感覚はなく、洞窟で気が付いた時から体調は変わらない。
便利ではあるが熱中してしまうといつまでも続けてしまいそうだ。
これで練習は終わりにしよう。次はこれから覚えた魔法を使って家や家具を作ってみようと思う。
翌朝。
私は知識にあった家を完成させた。木を髪で切り出した木材と、固めた土と岩で作った。
リビング、キッチン、風呂場、寝室、倉庫と部屋を分けた。
初めての割には上手く作れたな。しかし知識には魔法で家を作る方法が無かったな、便利だと思うのだが。
水は川があるし、燃料にも材料にも使える森の木がある。更に土魔法のおかげで地面全体が材料のような物だ。
環境の影響を受けない私に使う機会があるかは分からないが、食事はもちろん風呂という物にも入ってみたかったので材料が豊富なのは助かる。
とりあえずは風呂に入ってみよう……川があるが面倒なので魔法を使おうか。
魔法で作り出した石の浴槽に魔法で水を満たし、弱い火の魔法を打ち込む。
すると盛大な音と共に風呂場に湯気が充満し、水面はぼこぼこと煮えたぎり温かそうだ。
入る前に体を洗うのだったか?
しかし……石鹸と言ったかな。そんなものはないから木をくり抜いた桶でお湯をすくい体にかけてから、浴槽に身を沈めた。
温かい……と言うか……これは熱すぎるのか?体が平気だから分かりにくいな……。
おそらくこれは熱すぎだな。私以外だと何かしら問題があるかもしれない……もし他者と入る時は気を付けよう。
これはいい、用意も簡単だし時々入ろう。
目を瞑り初めての入浴を楽しむ。しばらくゆっくりした後、私は今後の事を考え始めた。
風呂は楽しんだ、風呂から出たら次は食事にしよう。肉、果物、野菜……知識だけで味は分からないがきっと美味いのだろう。
私は風呂から上がり水気を魔法で飛ばし服を作り出す。まずは肉だ、獣を狩り食べる事にする。
こういう時は気配感知を使うべきだろうか?
私は外に出て周囲の気配を探り始め、やがて手頃な大きさの獲物を見つけ出した。
私は獲物のいる場所まで移動する。
ある程度近づいた後、ゆっくりと見える距離まで近づいた。そこにいたのは短い二本の角が生えた鹿のような生物だった。
名前は分からないが丁度良い大きさだ、私の食事になって貰う。
音も無く髪を伸ばし、首を狙って上から素早く振り下ろす。髪は手ごたえ無く通過し、鹿のような生物は反応する事も出来ずに首を斬り落とされその場に崩れ落ちた。
「よし」
一言呟いて死体に近づく。
すぐに髪で死体をつかみ切断面を下にして血を出す。血を抜いたほうが味がよくなるらしいからな。
解体は家の川の近くで行おうか、取り敢えずこの死体はマジックボックスを試すために入れて行こう。
そしてマジックボックスを使おうとした瞬間に私は顔の右に衝撃を受け、視界が回転した。
体に衝撃と木が折れるような音が聞こる。何かにぶつかり感じていた浮遊感が無くなると、視界の回転も止まった。
ああ、攻撃を受けたのか。
周りに全く意識を向けていなかったのは失敗だった。
私自身の気が抜けていては感知も意味が無い、立ち上がり周りを見渡すと私の獲物の傍に赤い牙を生やした熊のような大型動物がいた。
「グルルルル……」
まだ動く私を見て、奴は低いうなり声をあげて警戒しているようだ。
私は特に気にする事なくそれに近づきながら声をかけた。
「そんなに背後からの不意打ちで殺せなかったのが意外か?」
体は何も問題無い、今までと変わらない万全の状態だ。
だが油断したのは私の失敗だ。今回は相手が格下のようだが、同格であれば私は死んでいただろう。
「勉強になったよ、ありがとう」
そう声をかけ髪を一閃すると、わずかな時間の後に熊もどきの頭が落ちた。
こいつも血抜きしてマジックボックスに入れておこうか。
獲物を収納したあと家に戻った時は夕方だった、食事は後回しにし、浴槽に湯を張りつかる。
完全に油断していた。
食事に気を取られ、狩りの成功に喜び、警戒を忘れていた。
ずっと襲われるような事がなかった為に失念していた、大型の肉食獣がいる可能性は考えていたのに。
私は攻撃を受けた右頬を湯舟に映したが、擦り傷一つ無かった。
奴に脅威は感じなかったが、弱そうにも見えなかった。
見掛け倒しという事も無さそうだったしな……。
体の丈夫さもそうだが、不意打ちを受けたというのにいつもと変わらず落ち着ていたな。
知識で様々な危険生物を見た時と同じだった。特に脅威を感じる事は無かった。
実際に見てみれば何か感じるかもしれないと思っていたが……肉体も精神も大分強靭なようだな。
もっと強敵相手ならばと考える気持ちはあるが、殺されてしまったら意味が無い。
せめて先程殺した相手がこの森でどのあたりの強さなのか分かればいいのだが。
出来るだけ警戒は怠らず、殺す理由が無い時は避けるか。
さて、そろそろ上がって食事にしよう。
夜になってしまったが、風呂から上がり川の傍へ行き鹿のような生物を取り出す。
……解体してから風呂に入るべきだったな。だが先程はそんな気分ではなかったし……また入ればいいか。
早速解体をしようとするが……解体の仕方が分からない。
知識に解体方法はなかった、これは実践して覚えるしかないか。
髪を使い、解体方法に四苦八苦しながらも何とか肉を手に入れた。だいぶ無駄になってしまった気がするが、慣れるまで我慢だな。
魔法で乾燥させた木材を組んで火をつける。
肉を小さく切り木の串に刺して火に当たるように地面に刺す。星の瞬く夜に炎の揺らめきと虫の音が響く、すると肉から焼ける音と匂いが漂い始めた。
そろそろいいかな?私は串を一本手に取り、かぶりつくと咀嚼する。
……マズくはないが、何か違う気がする。
肉を次々と食べながら知識にあった塩、胡椒、砂糖などの調味料を思い浮かべた。
より美味しく食べるには必要だな。気長に探すとしよう。
そしてすべての肉を食べ終えた私は、後始末をして家に戻った。
さて、今回のような失敗をしないように対策しておくか。
私は新しい魔法を作る事にした。一定範囲に悪意を持った者が入ると反応する空間を作る魔法だ、敵意と言う難しい判断基準だが何とかしてみよう。
私は魔法作りに集中し始めた。
そしては魔法は完成した。名前は警戒魔法でいいか。
さて……効果を確認しないといけないわけだが、確認するという事は敵に出会う必要がある訳だ。
狩りのついでに確認しようか。
魔法を使い森に入り、気配を感じながら進む。しばらく彷徨っていると大型の獣の気配を感じた。
私は気配へと向かう。姿を見せてこちらを獲物と判断してくれれば魔法の反応を確認出来るだろう。
気配の持ち主は巨大なイノシシのような獣だった。私が姿を見せると声を上げ態勢を低くする、その瞬間魔法の反応があった。
よし、これならひとまず完成で良いだろう。後はこのイノシシのような獣を狩ろう、首を落としてしまおうか。
「私の肉になるといい」
私が獣に告げると、突然雄叫びを上げて突っ込んでくる獣。
途中で私の髪が首を落としたが、頭をなくしたまま体が突っ込んでくる。
私がその体を横に避けると、先ほどまで私が居た場所を通り過ぎた辺りで大きな音を立てて倒れ、地面を多少滑った後に停止した。
死んでも勢いは止まらないか。さて、急いで血抜きをしてからマジックボックスに保存しよう。
魔法も問題無く効果を発揮したし大きな獲物も獲れた。今日はもう帰ろう。
イノシシの様な獣を狩ってから時が過ぎた。私は狩りを続けて解体の技術を磨き、肉の在庫も増えた。
もう暫く狩る必要は無いだろう。
そして今日は新たな食材を狙うため、私は家のそばの川を見ていた。
魚が食べてみたくなったからだ。
気配感知で魚らしきものがいるのは分かっているので、後は取るだけなのだが……どうやって取ろうか。
……髪を網目状にしてすくってみるか。
私はゆっくりと川の底に切断しない様に変化させた髪を網目状に伸ばした。感知で髪の上に反応が多めに重なったときに一気に持ち上げる。
すると名前は分からないが、15㎝ほどの魚がある程度取れた。私は一部を収納すると、肉を焼いた場所で残りの魚を焼いて食べる事にした。
まずは鱗を取り除くんだったか。
私は髪を使い鱗を取り除き、串に刺して焼く。
やがて魚から油が落ち、ジュウジュウと音を立て始める。しばらくその音を聞き十分に焼き上がるのを待った。
そろそろいいだろう、これ以上は焦げてしまいそうだ。
私は十分に焼けたと感じる魚の刺さった串を手に取り、かぶりつくとボリボリと咀嚼する。
……このポリポリしてるのは骨か?あまり美味しくはないな……。
最初の一匹は丸ごと食べたが、残りは頭と尻尾、骨を避けて身だけを食べてみた。
うん……悪くはない。しかしやっぱり味付けが欲しい所だ。
この辺りの物を食べたら本格的に探してみようか……そう思いながら食べ続けた。
焼いた魚を食べ終えた私は家に戻り、風呂に入って一息つく。
私はいつの間にか昼間に外に出て、夜は家で食事するようになっていた。
夜は獲物が少ないという事もあって昼間は狩り、夜に食事、次の朝まで自分の能力開発や次の日の予定を考える。
この生活も悪くは無いがそろそろ調味料が欲しい、塩なら海か岩塩があれば何とかなりそうだが……。
今の味が特別悪いという訳ではないが、味付けをした物を食べてみたいな……どうにかして海水か岩塩を見つけたい。
飛んでいけば見つかるかも知れないな。
私は湯舟に浸かりながら考える。
道中も魔法で風呂には入ろう、考え事をしたりするのにいい。
早速夜が明けたら探しに行ってみようか。場合によってはかなり長く家を空ける事になりそうだが今まで誰も来た事がないし、もし留守中に誰かが住み着いていたら話し相手になるかもしれない。
空が明るくなり始めた頃、私は調味料探しに行く事にした。
私は魔法によって宙に浮かび一気に上空へ上昇した。姿を見せ始めた太陽の光が眼下の森と遠くの山肌を照らし始めている。
周囲を見回しとりあえず近くにある川の下流へ向かう。そうすれば海へ出る事が出来るはず……何の当てもなく飛ぶよりいいだろう。
岩塩がどんな所にあるのか分からないからな……まずは川の下流に向かって海を見つけよう。
明け方の冷たい上空の空気を切り裂いて、一気に川の下流へ飛ぶ。
しばらくは変わらない森だったが、進むにつれて木々はまばらになり、草が生い茂る広大な平野になった。
完全に日が昇り眼下に鳥達が飛ぶのを見かけるようになった頃、遠くに海らしき物が見えた。
海だ。これで塩が取れる。
私は海に向かって高度を下げながらも更に速度を上げ、砂浜の上空に到着すると下降した。
波の音、独特の匂い……知識で知っているのと実際に体験するのはだいぶ違う。
波打ち際に近づき海に入ると、波が引くときに足の裏に変な感触がする。
変な感じだ……。
味はどうかな、手を海水につけて舐めてみる。
……これが塩の味か、これは確かに肉に合いそうだ。
この海水を塩にする訳だが……知識では魔法を使わない方法だったので魔法も使い塩を作ろうと思う。
大きい入れ物と、要らない物を取り除くためのきめ細かい布を用意した。
さてやってみよう、まず魔法で海水を操り布で汚れを取りながら入れ物へ入れる、魔法とボックスに保管しておいた薪で水分を蒸発させる、水が減って濁ってきたらまた布で不要な物を取り除く。
再び火にかけて固まり始めたら今度は水分を取り除く、残った物を乾かして塩の完成だ。
上手くいっただろうか?
出来上がった塩を手に取りなめてみる。
「……美味しい」
私は思わずつぶやいた。海水のままでも初めての塩の味と言う事もあって美味しく感じた、だが完成した塩の味は比べ物にならなかった。
これを知ってしまったら、海水では駄目だろうな。
よし、多めに作って保存しておこう。
入れ物の大きさと数を増やしてしばらくの間滞在し、塩を作り続けた。
満足行くまで大量の塩をマジックボックスに保存し、ついでに海の魚をある程度捕まえて帰る事にした。
帰ったら早速塩を使ってみよう。
塩は楽しみだが隙を作る訳にはいかない。何がいるか分からないのだから油断はしないようにしないとな……そう考えながら私は空へと舞い上がった。
道中は何もなく、我が家に戻って来た。
すぐに火の準備をして肉に塩を振り火にかけて待つ、そして焼き上がった肉を口にする。
「……美味い」
声に出す程に美味しい。もう塩無しで肉は食べられないな……沢山作っておいたのは正解だった。
塩焼きの美味しさのあまり今まで狩った肉と魚にも塩を使い、いつもよりも多く食べてしまったがたまにはいいだろう。
塩を手に入れ食事が美味しくなった、今までが不満だった訳ではないが塩の効果は想像以上に高かったな……。
次は……果物を探そうかな。
海に向かったのは正解だった、岩塩探しをしていたらいったいどれだけ時間がかかっていたか。
現在私は風呂に入り、のんびりしながら考えていた。
早く終わったとはいえ、それなりの時間出ていたのに風呂にも入らず結局ずっと塩を作って家まで戻って来てしまった。
だが塩の美味しさを知った今なら正解だったと言える、減ってきたらまた取りに行こう。
次は果物を探しに森を探索していくか……。
私は新しい目標を定めつつ、いつもよりも長く風呂を楽しんだ。
翌朝。今日からは森を探索して果物を見つける事が目標だ、じっくりと見逃さない様に探すつもりだ。
ただ、普段よく行く辺りには果物らしき物はなかったな……行った事の無い所へ行ってみよう。
私はまだ探索をしていない方向へ向かい、果物らしき物を探す。しばらくしてこの森で手に入りそうな他の食材を思い出した。
キノコや野菜もあればいいのだが……。
しかし、野菜はともかく茸は命にかかわる毒がある物も多いらしいからな。
色々と驚かせてくれる私の体には効かない可能性もあるが、わざわざ試したいとは思わない。
かと言ってこのままでは毒のある恐れがある物を食べる事が出来な……い?
……私はまた思い至らなかったようだ。躊躇なく食べていた今までの肉や魚が無害だと、どうして断言出来る?
実は既に毒物を食べていて、まったく効いてなかったりするかもしれない。……判断するための方法が必要だ。
探索はまた今度だな。今更だが探索も感知を駆使すれば簡単に見つかったのではないだろうか……。
だが今は帰って魔法開発だ。
私の力も魔法も、使い方次第で様々な事が出来そうだがうまく使いこなせていないな……そんな事を考えながら家に向かった。
分析魔法、とでもいうべきか。
家に戻った私はすぐに魔法開発に取り掛かり、魔法を完成させた。
これは名前のまま対象の分析をして何で出来ているか、生物に有害であるかなど、様々な事が分かる魔法だ。
既に手持ちの食材にかけてみたが有毒な物があった。私の予想が当たってしまった……ただ以前から美味しく食べていたので私には毒も効果がないようだ。
うまく機能しているようだ、これからはこの魔法も使いながら食材を探そう。
私が中途半端な時間に帰ってきたため周囲は暗くなり始めているが、もう一度探しに行こう。
再び森へやってきた感知を使えば見えない所や地中、木々の上まで、多くの食材候補があった。
様々なキノコ、ジャガイモのような物、様々な木の実といった具合だ。
更に虫にも薬効がある物が見つかったのでそれらも採取しておいた。
見つけた虫、野菜、木の実など、全ての食材と素材に僅かな数だが有毒な物があったな。
目標の果物が見つからない為、私はもっと先へ進む事にした。
先へ進み続け、とうとう果物らしき物を見つけた。
ぼろぼろの折れそうな樹に拳ほどの白い実がなっている、毒はないようだ。
今にも死にそうだな。
そう思いながら実を一つ取り、食べてみる。
「美味い……!」
これが果物、これが甘さか!
一気に食べた私は、残った種をしまう。増やせる可能性があるらしいからな。
そう思いながら一つ二つと食べて行く。やがて果実はほとんど無くなっていた、もともと多く生っていた訳ではなかったが……食べ過ぎた。
種は集めたが上手く行く保証はないしな……食い荒らしてしまった事だし、この樹を何とか回復させたいな。
回復、回復か……。
よし、回復魔法を作ろう。
私はその場で椅子を作り出し腰掛けると、新たな魔法を作り始めた。
無事に回復魔法は完成したが、他の生物を治す魔法は今までとはまた違った感じだった。
完成はしたが、いきなりこの木にかけるのは不安が残る……と言う訳で、近場の別の樹で試してみた。
別の樹に近づき、僅かに傷をつける。そして回復魔法を使ってみる。
樹の傷はすぐに埋まった。その効果に満足した私は死にかけている樹に向かい魔法をかける。
……最初から明らかに危ない状態だったからな、念入りにかけておこう。
最初はどうでもよかったが、美味い果実をつけるのなら残しておきたい。
回復魔法をしばらくかけ続けると、幹は太くなり葉が生い茂り、高く背を伸ばして多くの実をつけた。
ちょっとやりすぎたかもしれないがこの樹を失いたくないからな、これで当分平気な筈だ。
増えた実をある程度マジックボックスに保存して今回は帰る事にした。
帰ってすぐ手に入れた食材は一通り食べてみた、有毒な物も味は良かったな……。
私は今、壁が崩れた我が家の前にいた。
どうしてこうなったかは単純だ。
家で風呂に入りくつろいでいたら獣がやってきた、何度か狩った獣だがいきなり魔法を使ってきたのだ。
獣は石の塊を飛ばし、リビングの壁を破壊した。
私が居ない時にも来る様だと少し困るな。
保護や保存する魔法でも作ろうか?単純に強度を上げて作ればいい気もするが……うん、決めた。
「強度を上げた物に保存と防御魔法をかけよう」
これで良し。
壊れた壁と家のすべての強度を増し、新たに作り出した維持魔法をかけた。
これは時間経過による劣化と外部からの干渉を完全に防ぎ、強固な状態を維持する、保存と防御の魔法だ。
作る過程で保存魔法と防御魔法も生まれた。保存魔法は食べ物や本などの劣化を無くす物だ、魔法がかかっている限り長期間放置しても傷んだりしないようになる。
防御魔法は物理的な攻撃や熱、冷えなどの変化に強くする魔法。
保存魔法は劣化が無くなるだけで強度は変わらないからな。
この先あるかは分からないが、魔素と魔力両方が世界から完全に失われた時には魔法が切れるだろうな。
これで獣の魔法にも耐えられるようになるだろう。
家の強化が終わり、満足した私は風呂の準備を始めるのだった。
……あの獣、今まで魔法など使ってきた事は無かった。
今までも狩っていたが魔法を使って来た事など……。
そこまで考えて思い至る。そうだ……今までは感知によって先に見つけ、何もさせずに殺していた。……見た事がないのは当然だった、今まで何もさせていなかったのだから。
つまり魔法を使える獣も多くいる可能性があるんだな。
私は新しい事実を知りつつ次の予定を考えるのだった。
私は日々を新たな食材探しと薬効成分がある素材の採取をして過ごしていた。
……が、そろそろ魔法はここまでにしようと決めた。これからも魔法を作る事は止めるつもりはないが、そろそろ他の事に挑戦してみようと思う。
分析魔法によって薬効成分がある素材を見つけた時からやろうと決めていた……錬金術による薬作りだ。
そのため優先的に森で薬効のある素材を多く集めている。新たな食材もそこそこ見つかっていて、この辺りの食材は大体確認したと勝手に思っている。
さて、錬金術に手を伸ばすのは決定として。……ここでやるか、この土地で取れる素材を集めて気候の違う場所に移住し、その場所で新たな素材を探しながら始めるか……。
私はリビングの椅子に座り考え込む。
この場所は最近やや涼しくはなって来ているが、大きく気候は変わらないようだ。
大きく気候が違えば食材も素材も違う可能性が高いはず。
私は方針を決める。
しばらくここで採取をして食材と素材をため込み、違う土地……出来れば寒い土地か暑い土地に移住して、採集と錬金術の練習に取り掛かろう。
そうと決まれば出来るだけ様々な物を多く集めて、後は……塩と果物も補充しよう。
様々な物を集め始めてからある程度の時間が過ぎた、そろそろ旅立つとしよう。
この家は……このままでいいか。
住んでいた家は残して行く事にした。誰かが使ってもいいし、魔法で保護しているのでそう無いとは思うが壊れて無くなってしまっても構わない。
誰かが来た時のために倉庫に保存魔法をかけた食料をある程度置いておいた。この家を訪れた何者かがここに住み着けば私の話し相手になるかもしれないからな。
場所も忘れないように目印魔法を作って家に印をつけておいた、これでどこからでも探し出せる。
さて出発しよう。
道中は魔法で飛んでいくのが手っ取り早い。
次の滞在場所で錬金をある程度身に着けたら今度は徒歩で世界を回るのも良いかもしれない。
そう思いながら私は空へと舞い上がった。
向かうのは北、知識では太陽の位置から東西南北が分かるらしく、それを基に大体の方向を確認しておいた。
まあ北か南に行ければ、最終的には寒くはなるようだから当たりをつけた方向へ行ってみよう。
そして朝日が大地を照らす中、私は目指す方向へと飛び始めた。
長すぎて申し訳ありません。