少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 『主様、ご報告いたします』

 

 「頼む」

 

 私は帰還したヒトハの報告を聞く、カミラも私の隣にいる。

 

 『アーティア合衆国、森林国家ユグラド、魔工国ガンドウ、獣王国カルガの四国は崩壊いたしました』

 

 こうなる事も考えていたから特に驚きは無いな。

 

 「魔力の回復と新たな技術の研究開発はどうなった?」

 

 『成果を出す前に国が崩壊し、それ所ではなくなりました。現在各町や都市はそれぞれに活動していますが、戦闘が得意な者達が盗賊となり、数を増やして各地を襲っています』

 

 動くのが遅かったからな。制限や技術の話が出た時点で実行していれば、もう少し余裕があったと思う。

 

 「戦闘が得意な者なんてまだいたの?」

 

 『あくまでも他の人類に比べればの話です、私が見た限りでは子供の遊び以下ですね』

 

 カミラの言葉にヒトハが答える、自分の力で戦わなくなった人類が強い訳が無いか。

 

 「法具と防珠も使えないのよね?」

 

 久しぶりに聞いたな、個人携帯出来る魔道武器と障壁発生装置だったか?

 

 『はい。現在は現存している剣などの武器や武器になり得る物などを振るっています。魔法を使える者は戦闘要員では無く、かなり大事に扱われています』

 

 魔法は少し使えるだけでも大いに生活に役立つからな、現状ではそういった扱いになるか。

 

 もし、親しい友人がまだ生きていたら私は人類を助けただろうか?

 

 友人だけしか助けないような気もするな。

 

 そもそもケインとミナ、ルーテシアやエルフィなどが生きていたらこんな状況になどなっていなかっただろう。

 

 「人類の数はまた減りそうね」

 

 『食料は魔力を使用する以前は生産にかなり手間と時間が掛かっていたようですし、錬金薬も新しく作った物は効果を無くし始めている様です』

 

 「食料の問題でまずは荒れそうね……既に盗賊が居るしこれから本格的に略奪が始まりそうだわ」

 

 『そして飢えで人々は死んでいくでしょう』

 

 私が友人達の事を考えている間にも二人は会話を進める。

 

 「家畜化した魔物に食料を与える事が出来なくなり飢えさせた場合、人に襲い掛かるかもしれないな」

 

 私がふと思いついた事を呟くと二人がこちらを見た。

 

 「忘れてたわ、飼いならされているとはいっても魔物は魔物……自然に発生しなくなっても普通の生物のように増える事は出来るはず」

 

 『人を食料にしてまた増えそうですね』

 

 「その方が魔力の回復には良いだろうな」

 

 家畜にされていた魔物が人類を食料にして増え、人類が数を減らせば魔素を魔力に変える生物が増える事になる。

 

 数が逆転すれば魔力が回復し始めるかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 それからも人類はどうにか生き延びていた。

 

 しかし、魔力を使用しない食料の生産が困難で、時間がかかる事が分かると状況が変わり始める。

 

 力のある者達が食料を独占し、手に入れられない者達が飢えて死んでいく状況になり始めた。

 

 やがて限界を迎えた人々は暴徒となり、食料を独占していた者達を数の暴力で圧し潰した。

 

 暴徒となった彼等は食料を奪い、更に暴徒同士で奪い合い、殺し合った。

 

 盗賊が次々と現れては村などを襲い、時には盗賊同士が争った。

 

 豊かであった世界は、力のない者達はただ奪われ、死んでいく世界に変化して行く。

 

 現在でもかろうじて使う事が出来る水を出す魔道具や火を出す魔道具、明かりを生む魔道具は莫大な価値を持つようになり、奪い合いが終わる事無く続いている。

 

 世界は荒廃し始め、人類は衰退の一途を辿って行く。

 

 

 

 

 

 

 「ヒトハ、大体で構わない。現在の人類の数が全盛期と比べてどれほど減ったか分かるか?」

 

 私はソファでくつろぎながら、隣に漂うヒトハに問いかけた。

 

 『恐らくですが百分の一以下にまで減っていると思います、もっと少ないかも知れません』

 

 「……大幅に減っているわね」

 

 『魔力を使用しない現在の食料生産量で、生存可能な数まで減ったのだと思います。魔力の恩恵の大きさが分かる結果ですね』

 

 ヒトハの言う事は納得出来る、食料が増えないのなら人類の方が減るしかない。

 

 「家畜化されていた魔物は完全に処分されたのか?」

 

 『はい、食料が減り始めた初期の時点で、全て殺され食料になりました』

 

 「私もうっかりしていたが、飼料を用意出来ない程に食料が減っていたら大抵は食べるだろうな」

 

 魔物が人を襲うと思っていたのだがそんな事は無かった。

 

 追いつめられ始めた人類は、早々に全ての魔物を処分し食料にしていたのだ。

 

 『これで人類は完全に道を断たれたのでは……?』

 

 魔物が増えれば僅かではあるが魔力が戻る可能性はあった。

 

 だが、もうこの星に魔物は残っておらず、自然に発生する可能性は絶望的だ。

 

 魔物による魔力の増加の道は完全に無くなってしまった。

 

 「そう言えばお母様、海の魔物はどうなったのかしら」

 

 「海か」

 

 カミラの一言で私は海の魔物の事を考える、海の魔物は元々数が少なかった上に人間に狩られていたはずだ。

 

 「深海なら、まだ魔物が残っている可能性はあるな」

 

 今更だが海の中を本格的に調べた事が無い事に気が付いた。海に魔物がいれば長期的に見て元に戻る可能性はある、人類は深海には行けない、手を出される事も無いはずだ。

 

 ただ、私はその事に全く興味を感じなかった。

 

 魔物が地上にいようと海にいようと、私はこれからどうなって行くのかを観察するつもりでいる。

 

 そういえば、移住してから海に入る事が無くなったな。月にも海や湖は作ったが泳いだりはしていない。

 

 「気になるのなら調べてみたらどうだ?」

 

 私は気にしている素振りをしているカミラに提案してみる。

 

 「お母様は気にならないの?」

 

 「興味が湧かないな」

 

 「そう……私は気になるし、ちょっと調べてみようかしら……」

 

 「好きにするといい」

 

 「何か分かったら教えるわね」

 

 「教えてくれるのなら話は聞こう」

 

 カミラは海を調べる事にしたらしい、私はのんびりと過ごす事にしよう。

 

 

 

 

 

 

 「お母様、イシリスの海へ行ってくるわね」

 

 私が世界樹の枝の上で本を読み返しているとカミラが私の元へとやって来た。

 

 「気を付けてな、油断はしない様に」

 

 私が答えるとカミラは微笑む。

 

 「どこに実力者がいるか分からないものね」

 

 分かっているなら良い。

 

 カミラは私にそう答えた後、転移でイシリスへと転移していった。

 

 

 





 国が崩壊し、人類が減る際に酷い目にあっている人達は大勢いますが、主人公は興味が無いので作中に描写はされません。


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