少女(仮)の生活   作:YUKIもと

126 / 260

 どんな敵にも勝てるように主人公にはやりすぎなほど最強で居て貰わなければ。





063-03

 

 私達は室内へ移動し、魔法の勉強を始めた。

 

 今のヒトハは備え付けられた機能ではなく、自由に魔法構築し使う事が出来る。

 

 使うためには色々と知らなければならない事がある。

 

 「これから魔法を使う為の勉強を始めるが、その前にお前が戦う為の方法を教える」

 

 「戦う為の方法ですか?」

 

 「そうだ、以前のイシリスは周囲に多くの魔力があった。しかし現在は僅かしかなく、宇宙空間にも豊富にあるとは言えない。そこで、カミラのように本体とも言える以前の体と、着ている給仕服から魔力の供給を受けて魔法を使用する方法を教える」

 

 「主様の構成物から魔力を引き出して使う方法ですね?」

 

 「そうだ、その後魔法の基礎を教える。基礎さえしっかりと出来ればいずれ自分で魔法を作る事も出来るだろう」

 

 「宜しくお願いいたします」

 

 こうして彼女はいつもの日常に、戦闘訓練と魔法の勉強が加わった日々を送り始めた。

 

 

 

 

 

 

 「主様、無駄の少ない強度の障壁をどうやって張っているのですか?」

 

 三人でのんびりしている時、ヒトハが私に尋ねて来た。

 

 「それは私も興味あるわ。お母様は障壁で攻撃を受ける時に、丁度良い強度に張っているわよね?どうやって見極めているの?」

 

 カミラも話に加わってくる。

 

 「難しい事では無い、実際に攻撃を受けて大体の威力を判断しているだけだ」

 

 私の言葉に二人はよく分からないという表情をしたので、詳しく説明をする。

 

 「私が複数の障壁を張れる事は知っていると思うが、外側に攻撃の威力を判断するためだけの障壁を展開し、威力を見極めているだけだ。つまりただの工夫だな」

 

 「なるほど……」

 

 「主様、私にも出来るでしょうか?」

 

 「複数の障壁を同時に展開しそれぞれを個別に制御した上で、障壁にかかる攻撃の負荷を正確に把握し、それを基に適正な強度で即座に障壁を展開出来れば可能だ」

 

 「ただの工夫って言う難易度じゃない気がするけれど……試してみたいわね」

 

 「カミラ様、私との訓練で試してみては?」

 

 「そうね、やってみようかしら」

 

 二人はそう話し合っている。

 

 「基本的には常に出来るだけ強力な障壁を張っておいた方が良い事は忘れるな。私は戦闘中にも行っているが、下手に行うと相手に遅れを取るぞ」

 

 そう忠告すると二人は訓練の時だけにすると言った、失敗した時にどうなるかは分かっているのだろう。

 

 「役には立つぞ。事前に障壁で受けきれない威力である事などが確認出来れば、回避に切り替える事も可能になる」

 

 未知の敵の攻撃を受ける時には便利だ。

 

 そういえば以前やって来た種族の艦の攻撃はかなり弱かったな。

 

 警戒していたのだが、恐らく戦闘力の低い輸送艦の様な物だったのだろう。

 

 あの種族にも興味はある。知的生命体が生まれるまでの間に関わるのも悪くはなさそうだが、まずはイシリスを優先したい。

 

 私は今の所はイシリスを優先しようと考えながら、訓練に向かう二人について行った。

 

 

 

 

 

 

 ヒトハは順調に訓練と勉強をこなしていった。

 

 やがてヒトハは最低限ではあるが、問題無い所まで成長した。

 

 次は宇宙空間での戦闘訓練を行う事になる。

 

 私はヒトハの体を環境の変化にも強く作った、どんな環境でも問題無く活動出来るだろう。

 

 彼女は以前の体の時に宇宙空間に出ている。

 

 そのおかげかは知らないが、多少振り回されている程度でそこまで悪い動きでは無かった。

 

 この調子ならすぐに自由に動けるようになると思う。

 

 『宇宙空間ではかなり力を出しても問題無い、ヒトハは常に全力で戦うようにしてくれ。何か問題があれば私が防ぐ』

 

 私はヒトハにそう伝えた。

 

 『了解しました』

 

 『さて……じゃあ始めましょうか?』

 

 ヒトハの初めての宇宙戦という事だからだろうか、カミラはヒトハに開始の言葉をかけた。

 

 『カミラ様……お願いいたします』

 

 そう言ってヒトハは真剣な表情になり、戦闘態勢を取った。

 

 カミラはヒトハの言葉に微笑んで頷いた後、表情を引き締める。

 

 そして宇宙での訓練が開始された。

 

 

 

 

 

 

 私は離れた所から二人の戦闘を見ていた。無数の星の光を背景に、二人の魔法が輝きを放つ。

 

 第三者から見ると中々目立つな。

 

 カミラがヒトハに合わせて規模の小さい魔法を使っているからこれで済んでいるが、私との戦闘の光はかなり遠くからでも確認出来るかもしれない。

 

 背景に溶け込んだ黒い色の魔法なら相手に見えにくいか?

 

 強敵相手には見た目の色などあまり関係無いかも知れないな。

 

 そんな事を考えつつしばらく訓練を見ていたが、ヒトハが何かを仕掛けそうだ。

 

 そう思った直後、遠目からでもわかる太い光が放たれた。

 

 まだ拙い魔法だが彼女は日々成長している。イシリス内でも魔法は禁じていなかったが、体術が主な訓練だったので彼女は魔法を使っていなかった。

 

 もしもあれをイシリス内で使っていたら止めた上で叱っていただろうな。

 

 地上であの威力の魔法を使ったらイシリスが欠けてしまう。

 

 後、ヒトハの魔法はまだまだ集束が甘い、見た目は強力そうで広範囲に見えるが実際は本人の想定以下だと思う。

 

 だからこそイシリスが欠ける程度の威力しか出ていないし、今もカミラが放った魔法がヒトハの放った魔法の中をかき消される事無く突き進んでいる訳だな。

 

 既にカミラは攻撃を回避しているが、ヒトハはあのまま気が付かなければ直撃だ。

 

 カミラの魔法が接近している事に気が付けるだろうか。

 

 見えなくても感じる事は可能だ、それはどんな攻撃も同じ事。

 

 カミラには「それはお母様だけ」と言われたが。

 

 どんな物であっても効果を発揮する前に気がつく事が出来れば防御する事も、かわす事も出来る。

 

 実力があれば無力化する事も、更にそこから反撃する事も出来るだろう。

 

 だが、今のヒトハではどれも難しいと思う。

 

 そう考えていると爆発が起き、カミラから念話が来る。

 

 『ヒトハが魔法の直撃を受けたわ。手加減しているから平気だと思うけれど……続けていいのよね?』

 

 『時間までは何度でも仕切りなおして繰り返し戦ってくれ、お互い異常を感じた場合は中断して私に言うように』

 

 『分かったわ……ヒトハ?また行くわよ』

 

 『かしこまりました主様……。まだまだお願いいたします、カミラ様』

 

 彼女達の言葉を聞いて念話を切る、そして再び宇宙に魔法の輝きが煌めき始めた。

 

 

 

 

 

 

 今日の訓練は問題無く終わった、既に魔法の基礎は教え終えているのでもう私の授業はしていない。

 

 私達は風呂に並んで浸かりながら一息ついていた。

 

 「結局、一方的にやられてしまいました……」

 

 「落ち込まないの。私には長い戦闘経験があるもの……全てにおいて貴女はまだ私に遠く及ばない。今の時点では仕方ないわ」

 

 風呂に浸かりながら、落ち込んだ様子のヒトハに声をかけるカミラ。

 

 「……確かにそうですね。私はまだ赤子のような物でした」

 

 「これから成長していけばいいのよ。それに、私に遠く及ばないとヒトハに言った私も……お母様に遠く及ばないのよ」

 

 「……主様はどれほどの力を持っているのですか?」

 

 カミラの話を聞いて、ヒトハが私に聞いてくる。

 

 難しい質問だな。

 

 「私は今まで全力を出した事が無く、全力がどの程度の物なのか確認した事も無い」

 

 「お試しにならなかったのですか?」

 

 ヒトハがそう言って首をかしげるが、この感覚を説明して理解出来るだろうか?

 

 「私は限界を感じた事が無い、そもそも限界を感じるという感覚が分からない」

 

 今思えば、膨大な魔力と魔素を生み出せる事が分かる前からそんな感覚は知らなかったし、私が上限を決めていた事はあっても限界と言えるような感覚を感じた事など無かった。

 

 「それはつまり……主様には限界が存在しないと……?」

 

 ヒトハが呟くように言うが、それはどうなのだろう。

 

 「分からない。限界が異常に高いだけかもしれないし、本当に存在しないのかもしれない」

 

 私は湯舟の水面に映る私達を見ながら話を続ける。

 

 「魔法で言うなら、体自体が魔力と魔素の発生源になっている私に魔力切れは起こらないと考えていいだろう。つまり制限無く魔法を作り上げる事が出来る上に、威力や効果もどこまでも上げられるという可能性が生まれる」

 

 「……そういう事になるのね。でも、私達の服やヒトハの以前の体に組み込まれている構成物も魔力を発生させる事が出来るし……同じじゃないの?」

 

 カミラはそう言うが、同じでは無い。

 

 「確かにお前達に使用されている構成物も大量の魔力や魔素を無尽蔵に発生させる事が出来る。だが、僅かな量の構成物でそれだけの量を発生させている事を忘れていないか?その塊である私が意図的に発生させる魔力と魔素の量は、恐らくお前達の想像を遥かに超えるだろう」

 

 何せ、発生量も限界が存在するか分からない上に、その発生も一瞬で終わる訳では無い。

 

 その量が、私の意思で継続して発生し続ける事になる。

 

 恐らく二人が想像しているより遥かに異常な状態になるはずだ。

 

 「確かに、そうなるわね……」

 

 「主様が使おうと思えばその想像を超える量の魔力と魔素を自由に使えるという訳ですか……」

 

 私の説明に二人は呟く。

 

 二人の手元にある構成物でも時間をかければ同じ事が出来るかも知れないが、膨大な時間がかかるだろう。

 

 それに、私は彼女達が無理に膨大な魔力を使おうとすれば、魔法の暴走を抑える事が出来なくなると考えている。

 

 「魔力や魔素を発生させる事だけではない。体の強度も他の生物とかなりかけ離れている筈だ。私は戦闘時、障壁で防御を固めているが、恐らくそのまま受けても私の体には何の被害も無いと考えている」

 

 「……服の強度を考えると、納得出来わね」

 

 「……そうですね」

 

 二人は納得した様に言う。

 

 「これは私の考えなのだが、もう一つ話しておきたい事がある」

 

 「まだ何かあるの?」

 

 カミラの言葉に私は自分の考えを話す。

 

 「あらゆる事において私に限界が存在しない可能性が出て来てしまった事で、私の拳一つで惑星が、銀河が、宇宙が壊れる可能性も無いとは言えなくなった」

 

 そう言うと二人は沈黙する。

 

 やがてカミラが溜息を吐いて口を開いた。

 

 「はぁ……規模がおかしくて出来の悪い物語を聞いてるみたいだわ」

 

 「主様がそうおっしゃるのなら起こり得る事なのでしょうね……」

 

 ヒトハもどこかぼんやりとしている様に感じる。

 

 「自分でも出来の悪い作り話に感じるが、実際に私の感覚では限界が見えない。今言った事がただの妄言であると、私は言い切る事が出来ない」

 

 「試すなら慎重に、少しずつ試して見るしかないわね」

 

 「そうだな」

 

 出来るだけ何も無い宇宙空間を選ぶ事にしよう。

 

 私が長々と話をした事で大分風呂が長くなってしまった、私達はその後すぐに風呂から上がり食事の準備を急いだ。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。