少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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065-02

 

 私はそれなりに時間をかけて考える。

 

 数を揃えるのなら、まとめる者がいた方が良いだろうな。

 

 まとめ役は取り敢えず三人にしておくか。

 

 始めに、ヒトハと同様の構造をした魂を持つ三人の娘達を作る。

 

 この三人はヒトハの妹と言えるだろう。

 

 そして、ヒトハの三人の妹達が調整魂を持つ多数の人型使用人をまとめ上げ、様々な活動を出来るようにする、というのはどうだろう。

 

 艦を動かす時は彼女達に役割を決めて活動して貰い、ヒトハをまとめ役にし各役割からの情報をまとめる。

 

 更にカミラがその情報を確認し方針を決め、私はいざという時に力を貸す。

 

 これでどうだろうか。

 

 一度二人に聞いてみよう。

 

 特別な理由が無い限りは押し付ける事はせず、娘達の意見を聞いておきたいからな。

 

 もし二人が嫌がったら、また考えればいいだけだ。

 

 

 

 

 

 

 私は二人を呼び出してこれから作る妹達とその形態の事を話した。

 

 「私が……妹達のまとめ役ですか?」

 

 「私が方針を決めるの?」

 

 「嫌なら考え直す。無理矢理やらせる気は無いからな。妹達のまとめ役としては姉となるヒトハに、これから増える事になる皆を含めた全体をまとめるのは皇帝をしていたカミラに任せるのが一番だろうと思っただけだ」

 

 「まあ、妥当な判断よね」

 

 「そうだろう?」

 

 私はカミラの言葉に返す。

 

 「妹達と配下の使用人達が集めた情報を私がまとめ、カミラ様に報告し判断を仰ぐ……という事ですね?」

 

 ヒトハが私に確認してくる。

 

 「そうだ、集まった情報を分かりやすく纏めて欲しい。後はその情報を確認したカミラが判断するだろう」

 

 私が答えると、ヒトハは考え込んだ。

 

 それを見ていたカミラが口を開く。

 

 「基本的にお母様が私達の頂点だし、私が方針を決めるとはいってもお母様の言葉が最優先よね?」

 

 「何もしなければそうなる。嫌ならカミラを最優先にしようか?」

 

 「その必要は無いわ。私はお母様が頂点でなければやる気が無いもの」

 

 私の言葉が最優先の方が良いのか。

 

 自分の決定を私に覆されるのが嫌で無いのならそれでも良いが。

 

 「そうか、それでいいのなら頼む」

 

 「分かったわ……ふふ、楽しみね」

 

 私とカミラがそんな話をしている間もヒトハは考えている。

 

 好きなだけ悩んで貰おうとそのままにしてカミラと話をしていたが、やがて私へと跪く。

 

 「先程のお話、お受けいたします。主様を支えるという事は、常に傍にいる事だけが全てではありません。……それに、妹達が出来る事も楽しみに感じていますので」

 

 「そうか、ありがとうヒトハ。必要以上に無理はするなよ?」

 

 「はい、問題ありません」

 

 そう言って微笑むヒトハ。

 

 その微笑みは自然で、無理をしているようには見えない。

 

 私はヒトハの頭を撫でる。

 

 彼女は私から離れる事を良く思っていない様だったが、私が妹達について考えている間に何かあったのか?

 

 『ヒトハは少し考えが変わったみたいよ』

 

 カミラから念話が来る。

 

 『私が一人で考えている間に何か言ったか?』

 

 『皇帝時代に居た使用人の話を少ししたのよ……どうやら思う所があったみたいね』

 

 『やはりこういう事はカミラに任せるに限るな』

 

 『何時も上手く行くとは限らないからね?』

 

 『分かっている、ヒトハの表情を見る限り問題は無さそうだ。ありがとう』

 

 「主様……」 

 

 カミラと念話していると、ヒトハの困惑したような声が聞こえる。

 

 「お前の変化が嬉しくて、ついな」

 

 私は彼女の頭から手を離す。

 

 すると私が撫でやすいように屈んでいたヒトハは綺麗な立ち姿に戻った。

 

 「では、本格的に作り始めるか」

 

 「待ってお母様。その前にもう一つ聞きたいんだけれど……調整魂って何?」

 

 作り始める為に転移しようとした私を、カミラが止める。

 

 「……悪かった。説明をしていなかったな」

 

 私は謝罪して説明を始める。

 

 「名前は適当に付けただけだが、調整魂とはヒトハのように自然に生まれた自我を持つ者ではなく、私が設定した自我を持つ魂だ」

 

 「どういう事?」

 

 カミラが尋ね、ヒトハは黙って聞いている。

 

 「長い時をかけ自然に生まれた自我を持ち、変化して行く過程で敵対する可能性も残しているのがヒトハと、これから作る三人の妹達だ。それに対して、この調整魂は始めから感情や自我、戦闘力、情報の共有能力を持ち、私と私に近しい者には嘘がつけず、敵対する事も出来ないようにする」

 

 「なるほど……報告を受ける側としては嘘がつけなくて敵対出来ないのは気が楽ね」

 

 しみじみとそんな事を言うカミラ、皇帝時代に何かあったのか?

 

 「そうだろう?」

 

 私はそんなカミラに言葉を返して、ヒトハが用意してくれた飲み物を一口飲んだ。

 

 「そうすると、個体差がほとんどないのかしら?」

 

 飲み物を置き、私はカミラの問いに答える。

 

 「最初は無いな」

 

 「最初は?」

 

 カミラは疑問の声を上げた。

 

 「作られた初期は全て同じだが、変化はする。情報の共有は出来るというだけで強制ではなく、共有する情報も取捨選択する事が出来る。勿論鍛えれば強くもなる。時間が経てば共有されている情報とその個体だけが持つ情報が生まれ始め、強さや性格も個体差が出て来るだろう」 

 

 「お母様は個性を出したいのね?」

 

 「その通りだ。今回は報告を受ける事になるヒトハやカミラの事を考えて、嘘を付けず敵対も出来ないようにし、短時間で数を揃える為に最初からある程度完成した者を用意する事にした。もしやりたいのなら全員ヒトハの様に一から育てても良いが、どうしたい?」

 

 ここまで説明したが、その方が良いかも知れない。

 

 今の所、時間はどれだけ掛かっても特に問題は無いからな。

 

 「うーん……。ヒトハはどう思う?」

 

 カミラが先程から黙ったままのヒトハに尋ねる。

 

 「私としましては……始めに私の妹達である三人を育て、その後に数人……例えば五人程の使用人を育てます」

 

 ヒトハには何か考えがあるようだ。

 

 「それで?」

 

 私はヒトハに先を促した。

 

 「その五人の使用人が十分に成長した後、更にその五人に数名……例えば五名ずつ……合わせて二十五名の使用人の教育を任せます。この様に、教育は使用人の中の誰かに任せれば良いと思います」

 

 最初に教育係を育てて、後をその者達に任せるという事か。

 

 良いかも知れない、帝国で部隊を作っていた頃を思いだした。

 

 ヒトハの案を採用させて貰おう。

 

 「三人の妹達以外の使用人は、虚偽と敵対が出来ない様にしておいた方が良いわね。その方が色々と安心だもの」

 

 カミラが意見を出す、それも採用だ。

 

 「皇帝の立場で言わせて貰えば、ヒトハもヒトハの妹達も、縛れるのなら縛っておいた方が良いのは間違いないけれど……しないでしょ?」

 

 「しない」

 

 「そうよね」

 

 私がカミラの問いに即答すると、カミラは微笑んで言った。

 

 カミラも皇帝として言っただけで、本人としてはやりたくは無いのだろう。

 

 二人には話していないが、そういった制限は後から好きなように追加や変更をする事も出来る。

 

 もし使用人の制限を無くしたい時は解除すればいいだろう。

 

 まず私がやる事は無いと思うが、勿論ヒトハとカミラにも可能だ。

 

 「ありがとう二人共。私が言った先程の内容は破棄し、ヒトハの案とカミラの意見を採用させて貰う。まず三人のヒトハの妹達を作り、十分だと言えるまで育てる。その後五人の教育係を作り教育した後、残りの娘達を任せる。そして妹達以外の娘には制限を付ける事にする」

 

 「主様、本当によろしいのですか?」

 

 ヒトハが確認して来る。

 

 「私はお前達の案を聞いて良いと判断したから使った。ヒトハ、お前はしっかり私を支えている」

 

 「はい、お役に立てて嬉しいです」

 

 そう言ってヒトハは微笑んだ。

 

 「カミラ、制限は必要だな?」

 

 私はカミラに確認する。

 

 「必要よ。大量の情報を扱うのなら、情報自体の真偽はともかくとして……報告者が絶対に嘘を言わない、敵対しない、と言うのはとても大きい事だもの」

 

 「そうか。大分予定と変わったが、問題は無い。まずは妹達を作るとしよう」

 

 最終的にヒトハの案とカミラの意見を採用し予定を立て、私は最初の目標であるヒトハの三人の妹達の製作と育成に向けて行動を開始した。

 

 

 

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