少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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066-03

 

 フタバ、ミツハ、ヨツバの訓練が終了して時が経ち、生活に慣れた頃。

 

 私が作り上げた五人の教育係となる使用人の教育が終了した。

 

 ヒトハが教育を担当した為、使用人としての能力はかなり高い。

 

 戦闘能力や魔法技術も身に着け、教育係として全ての事を一定以上教えられる状態にまで育て上げた。

 

 名前は全員で話し合った。

 

 そして四姉妹が葉を表している事もあり、花の名前が付けられる事に決まる。

 

 リン、ソニア、ティモル、ミスミ、マギ。

 

 最初の五人にはこれらの名前がつけられた。

 

 それに合わせて合計二十五人の新たな使用人を製作し、一人につき五人の教育を任せた。

 

 教育係である彼女達の教育が上手く行かなければ別な方法を探そうと考えていたが、彼女達は見事に二十五人の使用人を育て上げてくれた。

 

 この教育方法の成功で私達が教育を行う必要は無くなり、人手も充実した。

 

 私はフタバ、ミツハ、ヨツバに二十名ずつ割り当てる事を決めると、更に三十名製作し教育を任せた。

 

 これで、使用人である彼女達はヒトハ達姉妹を除いて六十名。

 

 全員に花や、それに近い名が付けられている。

 

 彼女達も私の娘の様な存在だ。

 

 

 

 

 

 

 「侍女隊?」

 

 ある日、ヒトハから使用人という名称を変えたいという提案があった。

 

 「はい。私と妹達を含めた全体の呼称として名乗る事を許していただきたいのです」

 

 使用人隊、侍女隊。

 

 確かに侍女隊の方が良いな。

 

 「分かった、名前の変更を認めよう。今からお前達は侍女隊と名乗れ」

 

 「ありがとうございます、主様」

 

 「侍女隊の方が響きが良いからな」

 

 こうして彼女達は私の侍女隊となった。

 

 

 

 

 

 

 時が過ぎ、教育中であった三十名が教育を終えると、侍女隊は総勢六十四名となった。

 

 屋敷内は侍女達が日々の当番をこなしながら自由に過ごす様になり、随分と賑やかだ。

 

 今の所はこれ以上侍女を増やす目的が無い為、新しい侍女の教育は行っていない。

 

 私は彼女達が教育を受けている間に宇宙戦艦の操作方法を調べていたのだが、簡単な操作説明書の様な物が見つかった。

 

 この内容を身に付ければ最低限の航行は可能だろう。

 

 しかし、そうなると広大な宇宙へ出る事になる。

 

 現在、四姉妹以外の侍女隊の者は転移が出来ないが、間違いなく出来た方が安心だ。

 

 教えておいた方が良いだろうな。

 

 転移を覚えさせる事を決めた私は、教育係であった最初の五人を一時的に当番から外して転移魔法を教え始める。

 

 彼女達に転移はまだ難易度が高く、時間はかかったが丁寧に教え込む事で転移を習得する事が出来た。

 

 私は奮闘してくれた彼女達に感謝を伝え、後を任せた。

 

 彼女達は全ての侍女に転移を習得させる為に、今も授業と訓練を行っている。

 

 全員が転移を習得した後はフタバ、ミツハ、ヨツバがそれぞれ二十名を管理し、侍女隊全体はヒトハがまとめる。

 

 もしも何かあればカミラに話が行き、カミラが必要だと判断すれば私に報告が来るだろう。

 

 

 

 

 

 

 ある日、私は本格的にニアレに行く準備を始める前に、最近放置していたイシリスの様子を見ておこうと地上に降りた。

 

 植物が生えていたイシリスだが、いつの間にか以前の様な荒れ果てた世界になっていた。

 

 あの植物達は適応出来なかったのだろう。

 

 そう考えながら海へ出ると、何かがいるのを感じた。

 

 私はすぐに海中を覗く。

 

 ただ見ただけでは特に何も見えないが、更によく見ると小さい物が漂っているのが見える。

 

 とても小さく単純な構造のようだが、これは生物だ。

 

 私は生物が生まれるにはまだまだ時間が必要だと考え、長い目で見るつもりでいた。

 

 先にニアレに行く事になると考えていたのだが、思っていたよりも娘達に時間をかけていたのかも知れない。

 

 いや、イシリスが生命の生まれやすい惑星である可能性もあるか。

 

 とにかく、生命が生まれたのならこちらが優先だ。

 

 この生命が何処まで進化するか見てみたい。

 

 やがて知性を持ち、私達と会話が出来るような存在になる事を期待しよう。

 

 私は気分良く転移で月へと帰った。

 

 

 

 

 

 

 月に帰った私は、皆にイシリスに生命が生まれている事を伝えた。

 

 「えっ……生命が生まれていたの!?」

 

 私の話を聞いてカミラが驚いている。

 

 その周りでは数人の侍女が飲み物を用意していた。

 

 「ニアレに行くのは中止し、このままイシリスを観察する事にした」

 

 「……いいの?ニアレには以前やって来た知的生命体がいるはずよ?」

 

 カミラが尋ねて来る。

 

 「生命の観察が優先だ。ニアレも確かに気になるが、それ以上に新たに生まれた生命が知的生命体に進化する所を見てみたい」

 

 途中で終わってしまう可能性も高いが、それでもこの機会を見逃す気は無い。

 

 知的生命体と判断する基準が曖昧だが、その辺りは私の感覚で判断してしまおう。

 

 「じゃあ、ここで過ごしながら生まれた生命の観察をするのね?私も結構気になるし良いと思うけれど」

 

 「そのつもりでいる」

 

 「その間、他の事はしないのですか?」

 

 話を聞いていたヒトハが尋ねて来た。

 

 「勿論やる時はやる。だが下手に別な事をして気を取られていると、気が付いた時にはイシリスに知的生命体が溢れていた……という事態にもなりかねない」

 

 「……なるほど」

 

 「主様ならばそういった事が起こりそうですね」

 

 私は集中すると時間の経過をあまり気にしなくなるからな、カミラとヒトハは私について思い当たる事があるのか納得している。

 

 「お母様が以前に目が覚めた時は、既にある程度文明を持った人類が居たのよね?そこに至る過程を見たいの?」

 

 「そういう事だ」

 

 私はカミラの言葉に答えた。

 

 「先に生命が生まれるとは思っていませんでした。私はニアレに行く準備が先に終わると考えていましたから」

 

 ヒトハも私と同じ様な事を考えていたようだ。

 

 「私もそう考えていたが、実際にイシリスに生命が生まれているからな」

 

 「あの……ご主人様。お話が良く分からないのですが……」

 

 話をしている私達にフタバが申し訳なさそうに口を挟む。

 

 彼女の方へ目を向けると、彼女だけではなくミツハとヨツバも不思議そうにしていた。

 

 「そうか、お前達には詳しくイシリスの話をしていなかったな」

 

 私は簡単にイシリスに以前いた知的生命体、人類の事を三人に説明し始めた。

 

 

 

 

 

 

 「そんな者達がいたのですね……」

 

 「滅んじゃったんでしょ?今も居たら面白そうだったのになー」

 

 「かなり弱かったみたいだし、相手にはならなかったと思うけどね」

 

 三人共反応は様々だったが、いまいちピンと来ていないようだ。

 

 私は以前撮影した写影があった事を思い出す。

 

 「少数だが私の友人となった者達もいるし、娘のような者もいた。この子だ」

 

 私は撮った複数の写影を取り出し、その中のルーテシアを指さした。

 

 「うわ!?ホントに私達と似てる!」

 

 「でも、耳が長いな」

 

 「先程ご主人様から教えて頂いた特徴からすると……森人と言う種族なんじゃないかしら?」

 

 ルーテシアの姿を見て反応する三人。

 

 「フタバの言う通り彼女は森人だ。名前はルーテシア。友人の娘で私にとっても娘のような存在だった。ある時期から一緒に住み始め、四百五十歳程だったか……?その辺りの年齢で寿命を迎えた」

 

 「主様ー。四百五十年って短すぎないかな?私達もとっくにそんな年齢過ぎてるよね?」

 

 「他の種族は百年程なのですよね?……そんな僅かな時間で一体何をして生きていたのでしょう?」

 

 ミツハとフタバがそんな事を言う。

 

 「私は種族によって時間の感じ方が異なるのではないかと考えている。彼らにとっては百年でも長い時間だ、そしてその時間で面白い事をする事もある」

 

 相手の寿命が短いと、出会った後、次に会いに行った時にはすでに相手が死んでいる事が多い。

 

 恐らく、意識しなければあっという間に時間が過ぎてしまうだろう。

 

 「そうなのですね……」

 

 「ふーん……」

 

 二人とも良く分かっていないかもしれないな。

 

 「主様……こいつは何です?」

 

 黙って写影を見ていたヨツバが写影の一つを指差した、そこには私達と共に写るクログウェルの姿がある。

 

 「彼女はクログウェルだ。黒竜と言う種族だが、これは私が名付けた物だ」

 

 「……彼女?」

 

 ミツハが私を見て言う。

 

 「分かりにくいと思うが女性だ」

 

 「女……見た目じゃ分から無いな。でも強そうだ、戦って見たかったな……」

 

 残念そうに写影を見るヨツバ。

 

 寿命が尽きていなければ今すぐにでも会えるが、言うのはやめておく。

 

 「懐かしいわね、今も生きているのかしら?」

 

 「カミラお嬢様、どういう事なのでしょうか?」

 

 カミラの言葉にフタバが疑問を口にする。

 

 「彼女は私達と共にイシリスにいたの。でも、途中でお母様に頼んで他の世界へと移動したのよ」

 

 「他の世界……ですか」

 

 フタバは呟く。

 

 彼女達には別の世界の話をしていなかったな、興味があるのだろうか?

 

 「そうよ。だから彼女の寿命が尽きているか殺されていない限り、会おうと思えば会えるのよ。お母様の力が必要だけどね」

 

 カミラがそう言うと、ヨツバが嬉しそうな顔で私を見た。

 

 「生命の観察が優先だ。今の所行く気は無いし、お前を送る気も無い」

 

 今の彼女では勝てないだろうしな。

 

 「うう……分かりました」

 

 断ると明らかに落ち込むヨツバ、そんなにクログウェルと戦いたいのか。

 

 「そう落ち込むな、後で私が模擬戦をしてやる」

 

 「やったぜ!」

 

 私の言葉でいきなり元気になる、やはり戦いたいだけか。

 

 「ヨツバさぁ……あれだけボッコボコにやられてるのによくやるよねぇ」

 

 そんなヨツバを見てミツハが呆れたように言う。

 

 この子はそこまで戦いが好きという訳では無いからな。

 

 「馬鹿野郎!だからいいんじゃねーか!手の届かない主様やカミラ様と戦う事で私は強くなるんだ!」

 

 実際、頻繁に模擬戦をしているヨツバはヒトハを除けば侍女隊の中で一番強い。

 

 このままだとこの差は広がる一方だが、私はそれでもかまわないと考えている。

 

 最低限の訓練が終われば、更に強くなるのも他の事をするのも自由だ。

 

 「ヨツバに負けっぱなしなのもやだしなぁ……私ももうちょっと訓練しようかなー」

 

 「私も料理ばかりじゃなくて訓練をしようかしら……」

 

 ヨツバの熱にあてられたのかミツハとフタバも考え直しそうだが、好きにするといい。

 

 

 

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