少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 どんな問題も主人公が能力と魔法で何かすればどうにかなるんです。

 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。



014

 

 ケインに会いにウルグラーデに到着した、元々大きな都市だった様だが魔法学校が出来てからますます賑わっているようだ。

 

 「まずは宿だな」

 

 私はそう呟くと周囲を見る。

 

 大きな通りを人々が行き交っている。

 

 久しぶりの喧噪の中を進み、見かけた店で食料を買うついでに宿の場所を聞く。

 

 ……ここか。

 

 訪ねた店員にお勧めの宿を聞いたのだが、確かに良さそうだ。

 

 「いらっしゃいませ!ようこそ魔術の麓へ」

 

 宿の従業員らしき少女の声が迎えてくれる、魔術の麓というのはこの宿の名前だ……魔法学校があるからか?

 

 「一月借りたい」

 

 「結構長いですねお嬢さん、観光ですか?」

 

 「いや、知り合いに会いに来た」

 

 受付の男と話しながら必要な事を記入する。

 

 「この町は広いし店も多くあります。回ってみるのも良いかも知れません、興味がおありでしたら魔法学校に行ってみるのも良いでしょう、見学出来ますよ」

 

 「そうだな、時間があれば行ってみよう」

 

 「ゆっくりしていってください、これが部屋の鍵になります……向こうの階段の二階へどうぞ、風呂は男女別になっていまして、時間は夕方六時から夜十時までになります、間違えないよう気を付けてください」

 

 「分かった」

 

 部屋の鍵を受け取り二階に上がり部屋に入る、質素ではあるが作りは良い。値段を考えれば確かにお勧めの宿だな、後は食事が良ければいいが。

 

 

 

 

 

 

 部屋を出て町を探索していると神殿のような建物があった、趣味のいいデザインだ。 

 

 「すまないが、あの建物はなんだか教えてもらえないか?」

 

 「ん?お嬢さんはこの町は初めてか?あの神殿はクレリア神教の神殿だよ。興味があるなら行って見な、誰でも入れるぜ?自由の神様だからな」

 

 道行く男に尋ねた私は返ってきた答えを聞いて、脱力した。

 

 「なるほど、ありがとう」

 

 「おう、じゃあな」

 

 そう言って去っていく男、神殿か……崇められている本人としては一度は見ておくべきかな。

 

 神殿はそれなりに大きいのだがかなりの人が居る、全員信徒では無いだろうが人気があるのか?

 

 奥には台の上にワンピース姿の少女の像があった。台の割に小さい……というか私とほぼ同じ大きさだ。神殿の関係者に聞いた所、実際に降臨した神の姿がこのくらいだったらしい……確かにそうだな。

 

 その後ろの壁にはあの時私が教祖達を処刑した時の姿の絵が掛けられていた、顔などの細部は描かれていないが……どう見ても神というより邪神に見える。

 

 黒く長い髪を広げ黒い霧をまき散らしている姿を見て神だとは思わんな、私なら。

 

 その後説明を聞いていたのだが、あの出来事は現在初めてこの世界に神が降臨し神罰を与えた神話になりつつあるらしい……それを聞いた私の顔はきっと面白い顔だっただろう。

 

 何とも言えない気持ちになったまま宿に帰り、食事と風呂を済ませて翌日まで部屋で過ごした……食事は中々美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 その後、普通に学校を訪ねようと思ったのだが申し込むことで見学出来るようなので申し込んでみた。

 

 そしてその数日後、参加日がやってきた。

 

 学校を見ると建物もそうだが敷地もかなり広い。

 

 学校の校門前の広場に集まったのは私を含め十人、皆若い男女だ。

 

 意外と少ないと思ったが広場には他にも同じような集まりが出来ている、その中には大人や老人まで居る。

 

 資料を渡され見学がスタートし説明を聞いていると入学だの授業だのという言葉が耳に入ってくる、資料の内容を見てこれはもしかしてただの施設の説明ではなく入学する生徒に向けた見学なのではと思い始めた。

 

 私は休憩中に一緒に見学している一人に聞く事にした。

 

 「すまない、少し聞きたい事があるのだが良いか?」

 

 「ん?貴女は一緒に見学してる方ですね」

 

 校内の飲食店で渡された書類を見ながら休憩している、メガネをかけた背中まで伸びる灰色の髪を三つ編みにした少女に聞くと、少女はメガネを触りながら答えた。

 

 「ああ、聞きたい事があってな」

 

 「聞きたい事は職員の方に聞いたほうが良いのでは?」 

 

 「参加者に聞きたい事なんだ」

 

 彼女の対面に座りながら答える。

 

 「まあ、構いませんよ」

 

 そう言うと資料をまとめ聞く態勢になる彼女。

 

 「ありがとう、この見学だが……どういった目的なのか教えてもらえないか?」

 

 「は?」

 

 ポカーンとする彼女、そうだな自分で参加しておいて目的が分からないと言えばこうなるか、もっとよく読んでおくべきだった。

 

 「この見学に参加している者は入学希望者なのか?」 

 

 呆けている彼女にさらに質問する、暫くすると彼女は頭を押さえながら答えてくれた。

 

 「何なの貴女……見学申し込み書に入学用と書いてあったでしょう?」

 

 「……見落としていたようだ」

 

 文字が魔力を含んでいれば見落とさなかったと思うぞ。

 

 私の言葉を聞き溜息を吐く彼女、私はもう一つ聞きたい事を聞いた。

 

 「施設説明の見学が出来ると宿で聞いたのだが」

 

 「それは保護者向けの一般施設見学の方、私達がいるのは入学施設見学よ……」

 

 疲れたように語る彼女、私は施設見学が目に入った瞬間用紙を取って書き込んでしまった。

 

 「確かに用紙の作りは同じで一般用、入学用と書いてある字が違うだけだから間違える事はあるかもしれないけど」

 

 やはり間違えやすいのだな、ケインにデザインを変更させよう。

 

 「でも気が付かずに参加までしてしまう人はそんなに多くないんじゃないかしら」

 

 ……そうか。

 

 「ありがとう。私の不注意だった事が分かった……普段はここまででは無いのだが」

 

 「ずっと完璧な人なんて居ないわ……あなた私と同じ年くらいでしょ?いつか入学したくなるかもしれないし?」

 

 フォローする彼女、気遣いが出来る子だな。

 

 「そうするよ、そうだ名前を言っていなかったな……私はクレリア・アーティアだ」

 

 「クレリア?貴女の両親は随分熱心な信徒なのね、娘に神様の名前を付けるなんて」

 

 そう言って私を見る彼女、そうか……あれだけ広まっているんだ、そう捉える事になるか。

 

 しかしこれで名乗っても私が本人だと知られる事は無くなった。

 

 「私はヘレン・ワーズよ」

 

 私が考えていると彼女が名乗ってきた。

 

 「よろしくな。私の名前だが……この名前は不味いのか?」

 

 神を名乗るとは、となるのも嫌なのだが。

 

 「大丈夫よ。つける人は多くないかもしれないけど、自由の神だもの。そんな事は気にしないと思うわ」

 

 好きにしろと言う事だろうか……間違ってはいないかもな、私の邪魔をしなければだが。

 

 こうして私は入学者用の見学を終え宿に帰った。

 

 

 

 

 

 

 見学を終えた翌日。普通に会いに行く事にした私はもう一度学校へと向かった。

 

 「ケイン・イヌスに会いに来た」

 

 学校の事務所の様な場所で用件を告げる、受付の女性は書類をめくり答える。

 

 「事前にご予約はしておられますか?」

 

 「していないが」

 

 「ケイン校長はご予約していない場合お会いになれません」

 

 困ったような顔で言う女性。そうか、奴も立場が出来たのだ。

 

 会いたいと言う者全てに会っていては何も出来ないか。

 

 「そうだな、名前だけでも伝えてくれないか?それでだめなら大人しく諦める」

 

 「……それぐらいでしたら」

 

 仕方のない子供を見るような顔で言う女性、いつもの事だ。

 

 「クレリア・アーティアが来たと伝えて欲しい」

 

 「少々お待ちくださいね」

 

 名前には特に反応しない女性、子供にクレリアと付けるのはやはりおかしい事では無い様だ。

 

 そのまま待っているとケインが会うと言ったようで、校長室に案内された。

 

 

 

 

 

 

 案内された、校長室の扉にはいつかの手紙の印の絵が描かれていた。

 

 「ご案内しました、校長」

 

 扉をノックし告げる女性。

 

 「入ってください」

 

 そう聞こえると扉を開けて中に入る。部屋の壁には本がぎっしり並んでいる、手前には応接用の質の良い家具、その奥に大きな机があり資料らしき紙束がたくさん置かれている。

 

 「ご苦労様です、私が呼ぶまで部屋には来なくて構いませんよ」

 

 「分かりました」

 

 そう言って受付の女性は部屋を出て行き、部屋には私とケインが残された。

 

 「お久しぶりです、師よ」

 

 跪くケイン。かなりの時間が経ったというのに見た目はともかく態度はほとんど変わらんな、こいつは。

 

 「そうだな。手紙は貰ったが」

 

 「お世話になりました」

 

 「わざわざ手紙を送って来るとは、どうして念話を使わなかった」

 

 「色々とあるのです。一言で言うと手紙という証拠を残しておく必要があっただけですが」

 

 ケインを立たせて言う私、彼は私に説明した。

 

 「念話で話をつけてしまうといきなり人員を増やすことになりますからね。このような事を提案し了承されて行ったという過程を手紙という形で残す必要があったので」

 

 部屋のソファに促され座りながら聞く。

 

 「良く分からんが必要だったからやったと言う事だな?」

 

 「はい。こちらの都合でお手数をおかけしてしまいました」

 

 クッキーを出し、飲み物を入れてくれるケイン。

 

 「しかしそうだとしても念話で事前に話す事は出来ただろう?」

 

 「まあ、そうなのですが私の意地というか……どうにもならない事以外に念話で助けを求めないと心に決めていたもので……」

 

 苦笑いしながら答える。

 

 「下らんな」

 

 呆れながら思わず口にしてしまう私。

 

 「貴女ならそう言うと思っていました」

 

 申し訳なさそうに言う彼、しかしな。

 

 「悪かった。お前の事を言える立場ではないんだ、私もな」

 

 「何かあったのですか?」

 

 「……クレリア神教の時の事だ」

 

 「ああ……最初に聞いた時はさすがの私も飲み物を吹きましたよ」

 

 微笑みながら言う、そこまで驚いたか……驚きもするか。

 

 「あの後私は身を隠し人類の勢力圏の外で過ごしていた」

 

 黙って話を聞くケイン、私はさらに続けた。

 

 「私が姿を変えられる事は話したな?姿を変えればその様な事はする必要は無かった、しかし私は身を隠す事を選んだ」

 

 飲み物を一口飲む。

 

 「似たようなものだ。出来たのにやらなかった私も、お前と変わらない」

 

 「なるほど。貴女は今の姿にこだわって身を隠す道を選んだ……助けを求めないと心に決め迂遠な手段を使った私と同じような物だと」

 

 私の話を聞き頷きながら言うケイン。

 

 「まあ、お前は手紙という物証を残す目的もあったのだろう?」

 

 彼を横目に見ながら言う。

 

 「後悔は無い、そうしたかったから選んだ」

 

 「ええ、私も後悔はありません。そうしたくて選んだのですから……貴女は自由の神ですからね」

 

 「それはやめろ」

 

 

 

 

 

 

 それから他愛の無い話をしていたが伝える事を思い出した。

 

 「そうだケイン。この学校の見学申し込み書の事だが、見直した方が良いぞ」

 

 「なぜ師がその事を?」

 

 私は見学申し込みを間違えて参加した事を告げた。

 

 「なるほど……一目で分かる様に変更させましょう」

 

 「そうしてくれ。見学に参加していた少女にも間違えやすいと指摘されていたぞ」

 

 「他の者に任せてしまったのは失敗でしたね」

 

 そう言うケインを見ながらクッキーを食べる、中々美味い。

 

 「全てお前がやる必要は無い。学校の規模が大きくなれば手が回らない事も増えて行く、だから他の者に任せているのだろう?」

 

 「そうですね。どうしても私でなければいけない物は私が行い、余裕があれば他の物を処理していますね」

 

 机を見て言う。

 

 「他の町に分校を作ったりしないのか?」

 

 「その話はあったのですが、距離が離れてしまうと管理に手間がかかりますからね。一か所にまとめた方が楽です、適当な授業をされる事も少なくなりますし」

 

 「そうか」

 

 私はソファに身を預けた。

 

 「師よ、今後の予定はあるのですか?」

 

 「この町を見て回る……程度だな」

 

 元々ケインの顔を見に来ただけだ、予定など無い。

 

 「もしよろしければ私の学校の相談役になって頂けませんか?」

 

 「私が?」

 

 突然姿勢を正し私に頼むケイン。

 

 「ええ。特に何かをしなければいけないという訳ではありません、学校を回りやりたい事をやっていただければ良いのです」

 

 「事によってはかなりの無理を言うかもしれんぞ?」

 

 ケインを見ながら言う。

 

 「貴女が言うのならそれだけの理由があるのでしょう」

 

 正直、ケインが作った学校をじっくり見てみたいとは思う、特に今後の目的がある訳では無いし……。

 

 「分かった、弟子の夢であった学校を見せて貰おうか」

 

 「ええ、ぜひ見て下さい」

 

 私はケインが作り上げたティリア魔法技術学校で相談役になる事にした。

 

 

 

 

 

 

 「師の事は校内に連絡しておきます。後、他の者が居る時は私の事は校長と、師の事はクレリアさんと呼びますので」

 

 「分かった」

 

 その後関係者に私の事を知らせるため、一週間後から来てもらう事、滞在中は宿でも敷地内の客用宿舎の客室でもどちらでも良い事を聞いた。

 

 「町の宿は引き払うか」

 

 客用宿舎に滞在する事を決めて町の宿へ向かう。

 

 「すまない、少し良いか」

 

 宿の受付に行き、従業員の男性に声をかける

 

 「はい、何でしょうか?」

 

 「予定が変わってな一週間後に部屋を引き払いたい」

 

 「何かありましたか?」

 

 心配そうな男性。

 

 「魔法学校に住む事になってな」

 

 「そうでしたか!入学を勧められるとは才能があると認められたのですね!」

 

 感心する男性、入学では無いが説明するのも面倒だ。

 

 「悪いな」

 

 「構いませんよ、頑張って勉強してください」

 

 その言葉を聞いて部屋に向かう。

 

 「どうしたものかな」

 

 部屋の椅子に座り考える、私は校内での立場を決めて欲しいと言われていた。

 

 「相談役になれるような立場……」

 

 ……皆を納得させられそうな物が思い浮かばないのだが。

 

 一週間後には学校での生活が待っている。

 

 

 

 

 

 

 一週間後、私はケインに案内され客室に到着した、かなり良い部屋だ、風呂もあるし自炊もできる。

 

 「この部屋でこれから過ごす訳だな」

 

 「食事は自分で作っても良いですし、校内の食堂でも、町の店でも師のお好きなようにしてください」

 

 「分かった」

 

 私の立場はあの後ケインに連絡し一時期ケインと共に魔法の訓練をしていた友人で、見た目は子供だが成人女性であるという事にした……大きく間違ってはいないだろう。

 

 「本当に全校集会で紹介しなくて良かったのですか?」

 

 「構わない、大勢と関わるつもりは無いからな……今の所は」

 

 私の事はこういう人物が居るという連絡だけに留めてもらった、全員と関わる事は無いだろうしその場で出会った者と関われば良いだろう。

 

 「変わる事もあると言う事ですね」

 

 「私がその気になればな」

 

 ケインの言葉に返す、ここで過ごすうちに気が変わるかもしれないしな。

 

 「では、後は自由にお過ごしください。出来るだけ人の常識に合わせて下さいよ?」

 

 「そのあたりは上手くやるさ……これでも町で暮らしていたんだ。知っているだろうに」

 

 部屋を確認しながら答える。

 

 「念の為です」

 

 楽しそうな顔で返すケイン。

 

 「いざと言う時の備えは大事だな」

 

 私は薄く微笑みながら言った。

 

 それからケインは何か用があれば念話か校長室に来るように言って戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 《ティリア魔法技術学校は事務所、基礎学舎、応用学舎、多目的学舎、男女生徒寮、教員寮、客用宿舎、グラウンドなどが一つの敷地に存在する、魔法と各技術の普及と向上を目的とした魔法技術学校である。

 

 基礎である九級から七級、応用である六級から一級に分かれており、飛び級なども存在する。

 

 授業時間は朝の八時から昼食休憩を挟んで夕方十五時まで、寮の門限は二十一時……》

 

 確かにかなり大きかったがここまでの規模だったとは。

 

 私は校内に出る前にケインの用意した学校説明を確認していた。

 

 魔法科、魔道具科、錬金術科、鍛冶技術科か……。

 

 私の教え子達はこの世界にそれぞれの技術を根付かせたようだ。

 

 ケイン以外は死んだが各技術を生み出し広めた者として記録されているそうだ。

 

 皆の家もこの町にあったな、いずれ顔を出してみるか。

 

 私の事は知らないだろうが子孫の顔を見ておこう。

 

 後は料理店も回りたい。

 

 これは毎日少しずつ回れば良いな。料理も過去に比べて美味しく種類も増えた、私は食事を取る事を忘れる時があるがここならば忘れる事は無さそうだ。

 

 時間は昼に近い、町で食事をして午後から学校に行くか。

 

 

 

 

 

 

 町の目に付いた料理店に入る、値段は気にしない、商会に居た頃にかなりもらっているからな。

 

 「いらっしゃいませー」

 

 席に案内されると店員……ウェイトレスがメニューと水の入ったコップ、小さな濡れタオルを置く。

 

 ……何にしようか。タオルで手を拭きながらメニューを見る。

 

 「注文良いか?」

 

 しばらく考え手を上げてウェイトレスを呼ぶ。

 

 「ご注文をどうぞ」

 

 「キノコ焼きと、料理長お勧め魔物肉のステーキをレアに出来る物ならレアで、最後にフルーツのクリームケーキを頼む」

 

 「かしこまりました、ご注文を確認いたします」

 

 ウェイトレスは注文の確認を確認した後戻って行った。

 

 カミラと一度町に行った時、様々な物が良くなっていて軽い驚きを感じた。

 

 現在の四大技術である鍛冶、魔道具 魔法、錬金によって食料の生産や狩り、保存、運搬、加工が随分楽になり料理の種類が増え、より味を追求した物が提供されるようになった。

 

 「料理長お勧め魔物肉のステーキのレアとキノコ焼きお待たせいたしました」

 

 色々考えているうちに料理がやってきた、よし食べよう。

 

 まずはキノコ焼きを食べた。

 

 うん……美味いな。過去に私も作ったが塩加減も焼き方も酷かった事が分かる、程よい味付けと気持ち良い歯ごたえだ。

 

 

 

 次はステーキ。

 

 焼きたては熱いが私には関係ない事だ。レアで問題無い肉だったようで、しっかりレアになっている。

 

 魔物の肉は生では人に悪影響を及ぼす物もある、私には関係ないが人に紛れている今は余計な事はやめよう。

 

 ……良い味だ。

 

 強めに効いた塩味に加え各種香辛料の香りと刺激。レアな肉の歯ごたえに血肉の味と香りが合わさり中々の物だ。

 

 この町で潰れていない以上一定以上美味しいのは間違いなさそうだと思い、入ったが……中々やる。

 

 これは他の店に行くのが楽しみになってきた。

 

 「フルーツのクリームケーキです」

 

 ステーキとキノコを食べ終わりケーキをお願いした。

 

 三角形の小さなケーキで緑色のフルーツが角切りでちりばめられている。

 

 ん……やはり甘い物が一番好きだな。

 

 初めて食べた果実の驚きは今も覚えている。

 

 あれは野性味がある甘みだったがこのケーキは繊細な甘さだ。

 

 フルーツも甘いのだがクリームとしっかり住み分けられていて、お互いを邪魔しない。 

 

 美味いが、これからより食文化が進めばこれらもそれほど美味い物では無くなるのだろうな。

 

 頻繁に食べれば味が向上していくのを楽しめるかもしれない。

 

 「ありがとうございましたー」

 

 食事を終えて時計を取り出し時間を確認する、この魔道具も便利だな。

 

 十二時四十分、そろそろ校内を見て回ろう。

 

 私は学校に向かって歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 授業中に誰かに会う事は少なそうだ。

 

 私は基礎学舎内を歩きながら思う。授業中は教室以外に人などまずいない。

 

 授業に入り込む気にもならないしな……。

 

 教室の一つに近づき覗き込む。等間隔に机と椅子が並び生徒が座っていてその前で女の教師が魔法の授業をしている、人数は二十人程かな?

 

 「……先生、あの……廊下に」

 

 覗いていると一人の生徒が気が付き教師に声をかけた。

 

 「あら……どうしたの?誰かの妹さん?」

 

 扉を開けて聞いてくる女教師、私は答える。

 

 「ケイン校長に聞いていないか?相談役のクレリア・アーティアだ」

 

 「えぇっ!?」

 

 驚く彼女、大方予想以上に子供だったからという理由だろう。

 

 「も、申し訳ありませんその……」

 

 すぐに謝る彼女、気にするな私と会った者の大半が通った道だぞ。

 

 「気にするな、それより授業を見学しても良いか?」

 

 「え……?は、はい……構いませんが」

 

 

 

 

 

 

 どうやら今年入学した九級生のようで懐かしくなる基礎の授業だった。

 

 二時間ほど授業と休憩をはさんだが生徒達はチラチラと私を見るだけで近づいて来る事は無かった。

 

 それを見ていた教師が最後の授業中私に話を振ってきた。

 

 「クレリアさん何か魔法を見せて頂けませんか?」

 

 「良いぞ」

 

 皆が見守る中私は人差し指を立て顔程の水球を作る……が、教師は驚いているが生徒は良く分かっていないようだ。

 

 「無詠唱……初めて見た……はっ!?」

 

 私の出した水球を見ていた教師が我に返る、無詠唱とはなんだ?

 

 「すいませんクレリアさん。彼らではまだこの凄さが分からないかと……」

 

 申し訳なさそうに言う教師。

 

 水の透明度、水球の維持の精密さ、発動速度、色々良い見本だと思ったが……。

 

 そうか……まだ習い始めで何も分からないのだったな。

 

 「ではこれでどうだ?」

 

 私はそう言うと水球を崩し、水を凍らせてこの学校の印……大樹の根元に一人の少女が佇む姿のレリーフを一瞬で作り出す。

 

 「すげー!?」

 

 盛り上がる生徒、口を開けたまま固まっている教師……この印のモデルは私だそうだ……ケインの奴め。

 

 その後氷を水に戻し消失させると生徒達はみな憧れるような目で私を見ていた。

 

 見た目で侮る者は元から居なかったがはっきりと力を見てより実感した事だろう。

 

 どうやら見てわかる派手さが生徒達の心を掴んだ様だ……実際に行う事がどれだけ難しいかいつか知るだろうな。

 

 

 

 

 

 

 その後。教師が我に返り騒ぐ生徒を抑え、私は教室を出てケインの所へ行った。

 

 職員に指示を出していたケインは彼らが退室すると、もてなしてくれた。

 

 「今日基礎学舎の授業を見てきた」

 

 ソファに座り落ち着いてから言う。

 

 「どうでしたか?」

 

 「皆に教えた魔法を教えた時を思い出したよ」

 

 紅茶とケーキを出しながら聞いてくるケインに答える。

 

 「そう言えば……教師が無詠唱と言っていたが?」

 

 気になった言葉を聞いてみる。

 

 「私が考えました……師の方法では難易度が高すぎる為、僅かな魔法しか発動できません」

 

 ……そうなのか。

 

 「私が編み出した詠唱はよほどの問題がない限り、必要な魔力と長い詠唱を行う事で数多くの簡単な魔法を発動する事が出来ます」

 

 「それは凄いな」

 

 「勿論高度になるほど魔力操作などの技術や知識は必要ですが、詠唱で補う事で成功率が上がります」

 

 新しい技術を作ったのか。

 

 「私では思いつかなかっただろう技術を知るのは良い物だな」

 

 私は薄く微笑みながら言葉をこぼす。

 

 「師の元に居た頃使えなかった魔法もいくつかは使えるようになりましたよ」

 

 「私の教え方はお前達に合っていなかったようだな」

 

 紅茶を飲みながら呟く私。

 

 「それは違いますよ。貴女が教えてくれた知識と技術があったからこそ詠唱技術が生まれたのです……私だけでは不可能でした」

 

 真剣な顔で言うケイン。

 

 「そうか、新たな技術のヒントにはなったのだな」

 

 ケーキを食べながら言葉を返す、美味い。

 

 「恐らく無詠唱で大量の魔力を使い、精密な魔法を一瞬で発動出来るのは師だけだと思います」

 

 「年季が違うからな」

 

 紅茶を一口。

 

 「この詠唱も時が経てばより短い詠唱でより高度な魔法が使えるようになるかもしれませんね」

 

 ケインは紅茶を飲みながら言う、彼の元にはケーキは無い。

 

 「そうだな。人はきっと様々な物を考え出すだろう、私も何か考えつく事があるかもしれないが……楽しみだ」

 

 私は思わず微笑む。

 

 「師が楽しそうで何よりです」

 

 笑いを漏らしケインが言う、これからも好きに過ごすさ。

 

 その後私が魔法を見せた生徒が噂を広げ、腕の良い魔法使いだと校内に広がった。

 

 一緒に居た教師から講義をして欲しいと言う意見があったが、私がやる気にならない限り大きく関わる事は無いと伝えた。

 

 

 

 

 

 

 「クレリア先生おはようございます」

 

 ある寒い日の朝、校内を歩く私に生徒が挨拶をしてくる。

 

 「おはよう。何度も言うが私はここの教師ではないぞ」

 

 半年後。

 

 私が魔法を披露してから私の噂を聞いた生徒が少しずつ話しかけてくるようになり、話しているうちに何故か生徒達に気に入られ先生と呼ばれるようになっている。

 

 「あ、クレリア先生だ」 

 

 「今日も可愛いわね」

 

 「それでいてかっこいい上に魔法も凄いしね」

 

 周りの女子生徒がひそひそと話すが、もっと声を押さえないと私には聞こえるぞ。

 

 「クレリア先生いいよな……」

 

 「見た目と性格のギャップが堪んないよな」

 

 男子生徒の会話も聞こえてくる……恋をするのは良いが私はやめろ、無駄だぞ。

 

 「おやクレリア先生、朝食ですかな?」

 

 教師の一人に声をかけられる。

 

 「お前達までその呼び方をするのか」

 

 教師は笑いながら言う。

 

 「学校の教員でなくても先生にはなれますからね、慕われている証拠です」

 

 「まあ、悪い気はしないが」

 

 そう言うと彼は微笑みを深くして、立ち去って行く。

 

 私はそのまま校内の食堂で食事をとる。

 

 町の料理店に負けない美味しさだ。元々この町で店を出していた料理人を専属で雇ったらしいな。

 

 ゆっくり食事できるのは良い事だ。

 

 私が食事をするのは生徒が登校した後だ。生徒が食事中に私が居ると絡んで来て食事どころでは無くなる。

 

 今年も後僅かだな……。

 

 そろそろ年が変わり新年になる。一月一日に入学式が行われるこの学校では新入生を受け入れる準備が進んでいる。

 

 

 

 

 

 

 年が明け学校の入学式も済み、新入生が新しい環境に慣れようとしている頃。私は多目的学舎の前に集まっている生徒達を見つけた。

 

 胸元のバッジを見ると新入生、九級の物だ。

 

 「どうした?」

 

 「ん?……ああ、先生にここに来るように言われたんだけど開いてないんだ」

 

 困ったように言う男子生徒、教師が開け忘れたのか?

 

 「教師が来るまで待っていればいいが、このままでは寒いな」

 

 そう言って私が彼らの空間を暖めようとした時声がかけられた。

 

 「クレリア?」

 

 声に振り向くとメガネをかけた灰色の髪を三つ編みにしている少女が居た。

 

 「お前は……ヘレン・ワーズだったか?」

 

 「ええ、覚えていてくれたのね」

 

 私に近づいてくる彼女はさらに言う。

 

 「なに?結局入学したの?」

 

 「そういうわけでは無いが、とりあえず寒いだろう?暖めるぞ」

 

 「え?」

 

 私は生徒たちの空間を暖める、皆寒さが無くなり驚いているようだ。

 

 「これ……あなたがやったの?」

 

 「このままでは体調を崩す者が居そうだからな」

 

 「私達と同じ新入生でしょう?どうやってこれだけの魔法を……」

 

 驚いている彼女、入学時に説明を受けていないのか?

 

 「入学時に説明を受けていないのか?相談役のクレリア・アーティアだ」

 

 「ええっ!?同姓同名の別人かと……」

 

 後半をつぶやくように言う彼女。周りもざわつく、そう思っても仕方ないかもな。

 

 「皆!ごめんね!」

 

 教師が急いだ様子でやってきた。

 

 「この季節に外で待機させる様な事をするな」

 

 「すいませんクレリア先生」

 

 私の言葉にただ謝る教師、混乱するから先生と呼ぶな。

 

 「え?えーと……」

 

 私は混乱し始めるヘレンと生徒達に説明をする事にした。

 

 

 

 

 

 

 あの後説明を聞いた彼女達は皆驚き、その授業に交じって見せた魔法にさらに驚いていた。

 

 その時ヘレンに「あんな抜けた事をする人がこんな凄い人だったなんて……」と呟かれ、聞こえてしまった私は何とも言えない気分になった。

 

 その後、私は多目的学舎に残り次に予定されている魔法の実践授業に参加する事にした。

 

 「魔法の詠唱は日常の生活で発動しないように構成されています。丸暗記して詠唱するだけでもよほどの事が無い限り簡単な魔法なら使う事が出来ますが、意味を理解し詠唱の構成を変更する事で魔力と技量にもよりますが、様々な魔法を作り出す事が出来ます」

 

 教師がボードに詠唱を書きながら説明をする。説明を聞くたび思うが、やはり例外はあっても殆どの者が簡単な魔法なら使える……というのは普及にはかなりのプラスになる。

 

 「では、まず水を出す魔法の呪文を教えます。まずは暗記して使って見ましょう」

 

 そう言って手の平を下に向け前に突き出す。

 

 「mizuyonizimidase」

 

 そう唱えると、手のひらから僅かに水が垂れてくる……確かに魔法だが。

 

 いや……何も知らない生徒達に教える訳だしな、最初はこれで良いのか。

 

 私がそう思っている間にも教師は続ける。

 

 「詠唱を変える事で魔力消費も増えますが効果を増す事が出来ます」

 

 そう言って教師は再び詠唱を唱える。

 

 「mizuyokoboreyo」

 

 そう唱えると水の量が増す。

 

 「こうして水が多く出るようになります」

 

 生徒達はわくわくした顔で見ている。

 

 「構成によっては短い詠唱で高い効果が出る事もあれば、長いだけであまり効果が高く無い事もあります。例としては最初の水の魔法詠唱よりも二度目の水の魔法詠唱の方が短く効果が高いです」

 

 説明を続ける教師。生徒達は真剣に聞いている、良い子達だ。

 

 「最初は分からないと思いますが勉強と実践を繰り返せば分かるようになるでしょう……では最初の詠唱を実践してみましょう。ですが人には絶対向けないように!」

 

 先生の言葉で皆詠唱を始める、私は皆の様子を見ていた。

 

 「muziyonizimidase」

 

 一人の女生徒が唱えるが何も起きない、私は彼女に近づいた。

 

 「詠唱が間違っているな」

 

 「あ、クレリア先生……こんにちは」

 

 私を見てお辞儀する女生徒、そこまでしなくても良いのだが。

 

 私は彼女に教える事にした。

 

 「mizuyonizimidase……やってみろ」

 

 優しく教える、厳しすぎても良い結果にはつながらないだろうしな。

 

 「muziyonizimidase……うう」

 

 何も起きない、最初が間違っているな。

 

 「mizu、だ……やってごらん」

 

 「mizuyonizimidase」

 

 そう唱えると手のひらから水滴が垂れてきた。

 

 「やった!」

 

 喜ぶ彼女、微笑ましいな。

 

 「うんそれで良い、忘れるな」

 

 「クレリア先生、ありがとうございました!」

 

 嬉しそうな顔で元気にお礼を言う彼女、頑張れよ。

 

 その後教師と共に他の者にも教えて回った……育てるのはやはり楽しい。

 

 

 

 

 

 

 こうして生徒や教師と交流し時には相談に乗り魔法の助言しながら過ごしているある日、私は教え子達の店を見に行く事にした。

 

 ロドロフ、ミシャ、ラムランの店に行ってみようと思う。

 

 特にロドロフ夫妻とは約束があったが果たして受け取れるかどうか……忘れられているかもしれないな。

 

 こうして町に出掛けた、朝食は何処かで食べてから行くか。

 

 

 

 

 

 

 ……あの店のパンも中々だった。

 

 ジャムトーストを食べて、向かうのはロドロフ夫妻の店だ。

 

 鍛冶と魔道具の祖と言われ始めている二人の店は、確固とした地位をこの町で確立しているようで衰える事は暫くなさそうだ。

 

 「いらっしゃいませ」

 

 店はかなり大きい、武防具と魔道具があるから当然かもしれないが。

 

 「すまないが、初代との約束の物を受け取りに来たのだが……店主は居るかな?」

 

 店員に話しかける。

 

 「は、はあ……?」

 

 ああ、いきなりこれはまずかったな、分かる訳が無い。

 

 「えーと、店主に御用で?」

 

 困惑したような顔で聞いてくる。 

 

 「ああ、ロドロフ夫妻の子孫のはずなのだが……」

 

 誰かに譲ってしまっていたり途絶えていたら、関係ないかも知れんな。

 

 「伝えてはみますが……お会い出来るかは分かりませんよ?」

 

 良かった、取り次いでもらえそうだ。

 

 「初代の約束を果たしに来た……と伝えてくれないか?」

 

 二人が覚えているのならきっと伝えているはず。

 

 「……分かりました、少々お待ちください」

 

 戸惑っているだろうが、きびきびと動く店員は店の奥に入って行った。

 

 思ったよりも早く戻ってきた店員は私を応接室へと案内した、待たされると思っていたが既にそこには一人の男が待っていた。

 

 「始めまして。ロドロフ武防具店、ミシャ魔道具店六代目総店主、ルシオ・アティライトと申します」

 

 一礼する男、恐らく子孫だろう。

 

 「丁寧にありがとう。私はクレリア・アーティアという」

 

 「クレリア様どうぞこちらへ」

 

 ソファに案内される、テーブルには紅茶とクッキーがすでに用意してあった。

 

 「さて、申し訳ありませんがご用件をもう一度お願いしたいのです」

 

 真剣に聞いてくるルシオ、いいとも。

 

 「初代……ロドロフ夫妻との約束の物を受け取りに来た」

 

 それを聞いた彼は頷いた。

 

 「間違いなさそうですね」

 

 私は用意してあった紅茶を飲む。

 

 「随分簡単に信じるな」

 

 あまりにもあっさりとした対応に、思わず問いかける。

 

 「初代の約束を知っている者は代々の店主のみです。貴女は約束を受け取りに来たと仰いました、代々約束を受け取りに来る人物に対して絶対に無礼を働いてはいけない、深く聞いてはならない……そう伝えられております」

 

 「そうか。話は変わるがアティライトというのは……」

 

 そう言うと彼は人の好い笑みを浮かべて答える。

 

 「過去に姓が必要だろうと考えて付けたものですね」

 

 「確かに現在では必要だな」

 

 「ええ」

 

 頷きながら答える彼。 

 

 「では……早速ですがお渡しいたします」

 

 そう言って地下の宝物庫らしき場所に案内される、その扉にはかつて私が登録した古い魔力パターン認証装置が付いていた。

 

 「魔力を通していただけますか?」

 

 「分かった」

 

 促され装置に当時の魔力を流す、そうすると装置が青白く反応した。

 

 「……確かに。どうぞ……開いております」

 

 扉を開き中に入ると黒と赤を使った鎧と周囲に様々な武器が並んでいた。

 

 「ずっとこの場所は主が来る事を待っていました……今、その役目を終えたのですね……」

 

 呆然としながらルシオが呟く。

 

 「待たせてしまったな」

 

 私はそう呟いて鎧に近づきそっと撫でる。

 

 「ん?……手紙?」

 

 私は鎧のそばに手紙が置いてある事に気付いた、そこには二人の名前が書いてある。

 

 「二人とも、確かに受け取ったぞ」

 

 そこには私が姿を隠すと言った時、生きて会う事はもう無いだろうと思いこの場所を残した事。

 

 ケインとラムランも協力してくれた事、この装備の名前。

 

 私の魔力に出来るだけ耐えられるようにしてある事、細かくパーツが分かれており軽装から重装まで変更出来る事などの装備の仕様、最後にありがとうと書かれていた。

 

 私の魔力に反応して自動的に装着されると書いてあったな。

 

 皆が私専用に作った武防具だ……着てみようか。

 

 私が魔力を装備に流すと鎧が分解しまとわりついてくる。

 

 フェイスガードは収納展開が出来るのか……周囲の武器も私の周りに集まり漂っている。

 

 思ったように動かせそうだ、私の魔力にだけ反応するのか……それとも常人では動かせるだけの魔力が無いのか。

 

 永遠の黒き女神か……誰がつけたんだ?

 

 この武防具の名前だ。今世界に存在する魔法武防具を圧倒的に超えている……二人の技術はここまで上がっていた、それを私の武防具だけにつぎ込んでくれた。

 

 私の事では無いよな……?

 

 名前の由来は書いていなかった。魔法や私の力で彼らに聞く事は出来そうだが……やめておこう。

 

 伝えたかったのなら手紙に書いていたはずだ、私の想像に任せると言う事だろう。

 

 今の私は宙に浮かび黒と赤に彩られた女性型全身鎧を纏い、長い黒髪をなびかせている。

 

 更に背後には様々な武器が円状に並び待機している状態だ。

 

 ふと気が付くとルシオが膝をつき私を見つめていた。

 

 「クレリア、さ……様……貴女は……」

 

 「何も言うな」

 

 彼を遮って言葉を紡ぐ。

 

 「私はまだこの町に居る……だが誰にも今日の事は言うな、私の事も聞くな。場合によってはお前の記憶を消す事になる……私は二人の子孫にそのような事はしたくない」

 

 「ぁ……か、かしこまりました……クレリア様」

 

 ルシオは体を震わせながら、首を垂れ小さな声で言った。

 

 「長い間二人の想いを引き継いでくれてありがとう」

 

 私はそう言って武防具を解除してマジックボックスにしまい、先程の体勢のままの彼に見送られ店を後にした。

 

 

 

 

 

 

 「二人が私だけの為に技術をつぎ込んでくれたのが思いのほか嬉しくて失敗してしまったな……」

 

 あの後私は部屋に戻り反省していた。あの場では普通に回収しておくべきだった、明らかに私が普通でない事が分かってしまっただろう。

 

 ルシオが洩らすとは思えないがこれは私の責任だな。彼が見なくて良かった姿を見せてしまった……何事もなく済ます事は出来たはずだ。

 

 黙っていて欲しいが……どうだろうか。

 

 彼からすれば異常とも言える私の姿を見せてしまったのは私の責任だがそれを黙っていないのは彼の責任だろう。

 

 必要なら忘れてもらおう。

 

 二人の子孫でもあるし、私に敵対した訳でもないから記憶だけ消せば十分だろう。

 

 もしも私の敵になるなら殺そう。記憶を消したとしてもまたどこかで同じ事を知り、同じ事を考え、同じ事をするかも知れない……何も出来なくするのが一番だ。

 

 まだ昼にもなっていないが、その日は部屋でくつろいだ。 

 

 

 

 

 

 

 魔法武防具……魔法装備や魔装具などとも呼ばれて居るが、ロドロフとミシャの作品を受け取ってから一か月程が過ぎた。

 

 変わらず各科の授業を見て回り時々口を出すと言う事を行っていた私だったが、ある日校長室でケインに相談を受けた。

 

 「飛び級?」

 

 「はい、これまで飛び級した者は居ないのですが、出来そうな生徒が居まして」

 

 ケインは資料を渡してくる。

 

 「ミナ・トリアムと言うのか」

 

 森人の少女らしい。やはり魔法に関しては森人が飛び抜けているのか、ケインも森人だしな。

 

 長い寿命で訓練を長く出来るという事もあるだろうが、十二歳で試験を突破する辺り、やはり種族的に資質がある者が多いのか。

 

 更に読み進めると一か月程の時間で詠唱構成の変更に成功したそうだ。

 

 「で?私に何をして欲しいんだ?」

 

 「彼女が飛び級に値するか見定めて欲しいのです」

 

 私を見つめ頼んでくる、だがそれは……。

 

 「私では駄目だろう」

 

 私は置いてあったジャムを紅茶に溶かしながら言う。

 

 「なぜです?」

 

 「私はここの正式な職員ではない。お前に許可をもらって好きなように過ごしているが、それは要するに試験だろう?自分の学校の飛び級試験を外部の者にやらせるのか?……それともそうしなければいけないのか?」

 

 そう決めているのなら代わりにやっても構わないが。

 

 私の言葉にぴくっと反応するケイン……気が付いてなかったのか。

 

 「お前……私が居るからと腑抜けていないか?」

 

 呆れながら言う。

 

 「……こちらで飛び級試験を実施して判断します」

 

 ケインは気まずそうに返事をする。

 

 「それが良いだろう」

 

 誰にでもうっかりはある、ケインも昔教えていた頃は色々やっていた。

 

 後日聞いた所、彼女は見事に合格し級を上げたようだ。

 

 

 

 

 

 

 毎日生徒達と関わり生徒達の考え方や閃きに刺激を受ける日々を過ごしている中、私は朝から部屋でホットミルクを飲んでくつろいでいた。

 

 すると部屋の扉がノックされる。

 

 「開いているぞ」

 

 座ったまま扉の鍵を開けると生徒が一人立っていた。

 

 「おはよう先生」

 

 濃い緑の髪をツインテールにした少女、ティリア魔法学校初の飛び級者ミナ・トリアムだった。

 

 「ミナ・トリアムだったか?」

 

 「はい」

 

 私は彼女を部屋に入れ座らせる。

 

 「突然すいません」

 

 「構わんが、話すのは初めてだったな?」

 

 私と彼女はお互い顔は知っていたが直接話した事が無い。他の生徒と関わらず黙々と授業をこなしているのを見た事がある。

 

 「はい。今日は先生に魔法を見せていただきたくて」

 

 紅茶と、クッキーを出しながら話を聞く。

 

 「教師達が見せている物では駄目なのか?」

 

 そう尋ねると、首を横に振るミナ。

 

 「あんな教師の低レベルの物では無く、もっと高度な物が見たいの」

 

 身を乗り出して言う彼女、いくら飛び級していてもまだ早いと思うが。

 

 「教師達も今のお前より遥かに上だ、軽視するな……それに人に教えるという分野においては恐らく私より上だぞ」

 

 彼女は私を睨むように見つめる。

 

 「もっと早く上達したいの。森人の寿命は長いわ……だけどそれに頼ってもたもたしていたら貴女やケイン校長を追い越せないわ!」

 

 少しずつ声が大きくなり最後には叫ぶように言う、上達したいという気持ちが強すぎるんだな。

 

 「魔法は好きか?」

 

 「好きに決まっているでしょ!」

 

 そう尋ねるとむっとしたように答える彼女。

 

 「そうか、ならば焦るな、心に余裕を持て……そうだな……夢中になると良い」

 

 「夢中?」

 

 ミナは紅茶もクッキーも口にせず聞いている。 

 

 「簡単な魔法でもより早く、より効果的に……改良する事を楽しみながら夢中になっていたら自然に上達していると思うぞ」

 

 「楽しむ……」

 

 呟く彼女、私も最初は時間を忘れて魔法の練習をしていたな。

 

 「しかし健康には気を付ける事だ」

 

 私は平気だが彼女はそうはいかないだろう。

 

 「健康?」

 

 「簡単な話だ、無理をして体調を崩せば魔法の訓練が出来無い。一週間無理をした結果一月寝込んでしまったら……無理をせず一月訓練するのと果たしてどちらがいいかな?」

 

 「……たしかに」

 

 納得したのか頷きながら彼女は返事をする。

 

 「無理をせず楽しみながら出来るだけ毎日訓練をこなす。これが最適だと私は思う」

 

 私が言うと彼女は多少すっきりとした顔をしていた。

 

 「ありがとうございます……少し焦っていたのかもしれません」

 

 「そうか……では紅茶とクッキーを楽しむと良い」

 

 彼女の言葉に返すと彼女は紅茶を飲みクッキーを口に入れる。

 

 「ふぅ……」

 

 ほっとしたように息をつくミナ。

 

 「これが無理をしないと言う事だ、時には一息つく事も大切だ」

 

 私が言えるかどうかは分からないが。

 

 「うん……」

 

 薄く微笑みながら彼女に言うと、彼女は頬を薄く染めて俯く。

 

 「さて魔法を見せて欲しいのだったな」

 

 「……良いの?」

 

 上目遣いで聞いてくる。

 

 「構わない、見ていろ」

 

 私は彼女の前に大きめな水球を作る。

 

 「遠くから見た事があるわ」

 

 さてここからだ、この水球に冷気を送る。

 

 「!?」

 

 驚く彼女の目の前で、水球の中がゆっくり凍っていき大樹の根元に一人の少女が佇む姿のレリーフを作り上げた。

 

 普段見せているのは水球の水を全てレリーフにする物だが、これはより高度な物だ。

 

 「凄い造形……水の球も全く崩れていない……でもそれ以上に……!水と氷の境目が綺麗に分かれてる!どれだけ精密な魔力操作をすれば……!」

 

 レリーフが浮かぶ水球に顔を近付けてブツブツと呟く彼女。

 

 ミナはこの歳でこの魔法が高度な物であると気が付いたようだ。普通ならただ凄いと言うだけだが……ケインの幼い頃と似たような反応をする。

 

 私は思わず薄く微笑みを浮かべた。

 

 「あっ!?」

 

 しばらくその状態を保った後、私はレリーフをゆっくり水球に戻していく。崩れていくレリーフにミナが声を上げる。

 

 「これでお終いだ、何か役に立ったか?」

 

 「私の目指す場所の高さが分かったわ……今は見る事も出来ない高さだという事が」

 

 ミナは目を伏せて私の質問に答えた。

 

 「……でも私はいずれ先生と同じ所まで辿り着いて見せる」

 

 彼女は私を見る。その目は真っ直ぐに私を見つめ、決意を感じさせた。

 

 「待っているよ」

 

 彼女の将来を楽しみにしながら彼女に答えた。

 

 

 

 

 

 

 ミナが私の元を訪れてから二か月が過ぎた。彼女は相変わらずだったが休憩の時には他の生徒と居る所を見かけた、程よく息抜きをしているようだ。

 

 街では今の所私について変な話は無い、ルシオは黙ってくれているようだ。

 

 今日は朝食後にラムランの錬金術店に行く予定だ、時間を確認して町に向かう。

 

 

 

 

 

 

 ベーコンエッグはソースが美味いな。

 

 今日はベーコンエッグを朝食に食べた。新しく開発されたソースをかけて食べると美味かった。

 

 他にも味噌や醤油といった物も開発されているようだ、そのうちそれらも食べる気でいる。

 

 そろそろ魚を食べようか……扱っている店はどこだったかな。

 

 魚は保存と輸送に手間がかかるため値段が上がる。

 

 一般家庭では頻繁に食べるのは難しいらしいがそれでも私は気にしない、金はある。

 

 ……まずは目的を果たそう。魚の事はひとまず忘れて、ラムラン錬金術店に向かう。

 

 この名前は誰かに勧められたのか?彼女が自分から付けるとは思えないんだが……私にはわかりやすいが。

 

 「いらっしゃいませ」

 

 錬金術店に入り周囲を見る。

 

 広い店内に効果が書かれた棚がありラベルが貼られた薬が置いてある、液体もあるが……小さい粒が入っている瓶もある。

 

 「すまない、この小さな粒が入っている物はなんだ?」

 

 通りかかった店員に聞く、店員は営業スマイルを浮かべて説明してくれる。

 

 「こちらの商品は錬金術の祖と言われた初代店主が晩年に作り上げた物で、固形薬といいます。この粒を水に溶かして飲む事で効果を発揮いたします。遠出をする冒険者などに人気の商品でございます」

 

 「ほう……」

 

 なるほど、ラムランも私の思いつかなかった物を作ってくれたな……確かにこれは良い。

 

 現在は飲める水を出す事が以前よりも簡単だ。ケインの開発した詠唱でほとんどの者が可能だろう。

 

 場所を取る一度きりの薬瓶より遥かに効率がいい……ただ緊急時はすぐに飲めないから向いていないだろうな。

 

 固形薬を手に取る、十分な出来栄えだな。

 

 「ありがとう。また何かあれば頼む」

 

 「ごゆっくりどうぞ」

 

 私はいくつかの種類の固形薬を購入した後、店の名前が気になり店員に聞いてみた。

 

 「店の名前ですか?それは……恐らく店主ならわかると思いますよ、初代の子孫ですからね」

 

 子孫か、出来ればあってみたいが。

 

 「会う事は出来るだろうか?」

 

 若い男性店員に聞いてみる。

 

 「忙しくないなら平気だと思いますよ?基本的に誰にでも会いますから」

 

 仕事の手を止めたまま答えてくれる店員。

 

 「では頼めるか?」

 

 「はい、少々お待ちを」

 

 彼は店の裏に入って行った、すぐに一人の女性を連れて来た。

 

 「ありがと。仕事に戻って」

 

 「はい」

 

 彼女は店員に指示を出すと私に向き直った。

 

 「始めまして、あたしはサブリナ・クオリオ、このラムラン錬金術店の店主だよ」

 

 そう言って手を差し出してくる、私は彼女に答えて握手をする。

 

 「私はクレリア・アーティアという」

 

 「神様と同じ名前なのね」

 

 名前に反応するサブリナ、今でも初対面だと反応する者は居る。

 

 「突然ですまない、貴女はラムランの子孫だと聞いたが……」

 

 子孫にしては人間の要素が強い、青いショートカットの髪のボーイッシュな女性だが耳と尻尾以外人間に見える。

 

 「ああ、私は狼獣人と人間の混血なんだ」

 

 そう言って片手で手の爪を、もう片方で牙を見せてくる、牙や爪もやや短い。

 

 「なるほど……それでお話したかったのはこの店名の事なんだが……初代が付けたのか?」

 

 「確か……そうだったはず。理由は確かなんだったかな……」

 

 考え込むサブリナ、彼女がつけたのか……意外だな。

 

 考え込んでいた彼女が急にこちらを見て言った。

 

 「思い出したよ!確か初代がお世話になったとても大事な人にすぐに気づいてもらう為に付けた……そんな感じだったはずだよ」

 

 「……そうか」

 

 恥ずかしかっただろうに、時が経っても分かる様にしてくれたのか。

 

 「まあ、その人が誰だったのか……結局来てくれたのかどうかも分からないままなんだけどね……その人もとっくに死んじゃってるだろうし」

 

 お前の店と子孫は元気なようだぞ、ラムラン。

 

 「そうか。わざわざ答えてくれてありがとう」

 

 「良いよ、気にしないで!」

 

 礼を言うと満面の笑みで答え、店の奥に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 「皆の店に行ったのですか?」

 

 「ああ、受け取る物も受け取った」

 

 店から帰り校長室に行き、皆の店に行った事を話した。

 

 「装備の事ですか」

 

 ケインは懐かしそうに言う。

 

 「お前とラムランも協力していたそうだな」

 

 「ええ、その装備には私とラムランさんも協力しました」

 

 ケインは頷き肯定する。

 

 「そうか」

 

 「本来はロドロフ夫妻との約束だったようですが、教え子の我々が集まっている事もあり、皆で作らないかとラムランさんが言いまして」

 

 なるほど、彼女は言いそうだ。

 

 「所で……装備の名前についてだが」

 

 「名前ですか?」

 

 ケインが何か知っていればいいが。 

 

 「何か聞いているか?」

 

 紅茶を用意しだすケイン、こちらに背を向けたまま話す。

 

 「名前はロドロフさんとミシャさんが決めました、良い名前でしょう?」

 

 ケインはそう言うと振り向く。

 

 「念の為聞いておくが……私の事なのか?」

 

 「明言はしませんでしたが恐らく……間違っては居ないと思いますが」

 

 二人分の紅茶を持って戻ってくる、ケインはさらに続ける。

 

 「一万年を超える寿命……黒い服を身に纏い……黒い瞳と黒く長い髪……そして現在神として崇められているでしょう?」

 

 何か間違っているのかと言うように語る。 

 

 「私に性別は無いようだぞ?」

 

 紅茶を飲みながら言う。

 

 「見た目は美しい少女でしょう?」

 

 確かに間違っていないように聞こえるが。

 

 「装備の名前と名前の由来を知っているのは私とお前だけだな?」

 

 「はい。ですから気にする事は無いと思います」

 

 紅茶を飲むケイン、この事が広まる事は無いか。

 

 「それにしてもお前……」

 

 「何です?」

 

 私は紅茶を置きケインに思った事を言う。

 

 「私を美しいと思っていたのか」

 

 「思っていましたよ?言わなかっただけです」

 

 二人で紅茶を楽しみながら他愛のない話をして時を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 ラムラン錬金術店に行ってからもうすぐ三か月。

 

 生徒達は入学から半年程が過ぎ、すっかり学校生活に慣れたようだ。

 

 「クレリア先生!」

 

 私が廊下を歩いていると声がかけられた、振り向くとミナが私に向かって手を振っている、隣にはヘレンが居る。

 

 ミナとヘレンの元に向かい、正面に座り飲み物をマジックボックスから取り出す。

 

 「先生は自然にマジックボックスから飲み物を出しますね」

 

 ヘレンが言う、たとえ簡単な魔法でもスムーズに使うのは難しい。 

 

 「年季が違うからな」

 

 そう言った私とヘレンを見てミナが聞いてくる。

 

 「二人共なんか先生と生徒というより……知り合い?」

 

 「入学前にちょっとね」

 

 「何かあったの?」

 

 ヘレンが答える。するとミナがさらに聞いてくる、ヘレンは私をチラチラと見ている。

 

 「言っても良いぞ」

 

 「そう、あのね……」

 

 その後、私が見学を間違えた事を話すヘレン、ミナはその話を聞いていた。

 

 「あれだけの魔法技術を持つ魔法使いが入学っ……見学……ブホッ!」

 

 堪え切れずに笑うミナ、確かに間抜けな話だが……。

 

 「あー……笑ったー。その時に知り合ったのね?」

 

 ミナはひとしきり笑った後に言う。

 

 「そう言う事ね」

 

 ヘレンはメガネの位置を直しながら答える。

 

 「この見た目なら違和感なく入学前の見学にも行けるわよね」

 

 「たまに大人も居るわよ?私達の時も他のグループにいたもの」

 

 私を見ながら納得するミナに付け加えるヘレン、確かにいるが他の者の若さに思う所があるのか入学者は今まであまり居ないらしい。

 

 「それに凄く簡単な物なら魔法書として詠唱がのっている本が町で売っているし、殆どの人はそれで済ますと思うわよ?」

 

 本として売られているのか。

 

 これから更に大勢が簡単な魔法を使えるようになり更に争いも増えるだろうな。

 

 私の周りでは起きていないが、魔法による犯罪などもある。

 

 邪魔な物を排除するのにも魔法は便利だ。

 

 一部の者にしか使えなかった頃に比べれば対抗出来る者も多くなった、その影響で争い合うようになって被害が広がっているが。

 

 

 

 

 

 

 私がこの学校に出入りし始めて約二年。

 

 私は学校の相談役を降りた。ケインには二年居た事に感謝を受け、生徒には私が相談役を止めて学校から出たとだけ伝えて貰った。

 

 ミナは既に応用に進み、ヘレンも応用に進むようだ。

 

 まだ私はこの町に居る気だから町で会うかもしれないな。

 

 相談役を降りたと同時に私は学校の客用宿舎を出たので、泊る所を探さなければならないが……。

 

 家を買うか。

 

 いつまで居るかは分からないがずっと宿ではゆっくり出来ない、見られたら困るような事もあるかもしれないしな。

 

 一度宿を借りて家を買いに行こう。

 

 私はそう考えながら宿へ向かった。

 

 

 





 魔法の設定を碌に考えていないのに学校の話を書く。

 鍛冶、魔道具、錬金術の出番はありませんでした、このお話が続けば出てくる可能性があるかもしれないです。

 詠唱、主人公の専用装備とまた設定が必要そうな物ですが、出来るだけ設定が要らないように書きたい。

 今回出た教え子の子孫達は今後使えそうな場面が思いつけば出てくるかもしれません。



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