「ただいまー」
「お帰りなさい」
秋葉原から帰った私は、すぐに自分の部屋へ行く。
今日は色々あって自分の買い物を忘れちゃったよ……。
そのままベッドへ倒れ込み携帯を取り出すと、友達に登録してあるクレリア・アーティアの文字を見る。
見た時は衝撃だったな……。
ゲームの美少女がそのまま現実に出てきたような美しい女の子だった。
周りの人達も完全に緊張で固まってたもんね。
私達が移動すると周りが騒めいていたし……でもあの子全く気にしてなかったな。
……もう慣れちゃってるのかも。
私は彼女に声をかけた自分に驚いてるけどね!
何か悩んでるように見えたから思わず声をかけてしまった。
でもあんな子がゲームを、しかもFPSをやろうとしているとは……嬉しいね!
ホント周りではいないからなぁ……ゲーム自体しないか、ゲームはするけどFPSはやらないって子しかいない。
後は……なんかお金持ちそうだったなぁ。
そんな事を考えていると持っている携帯に着信があった。
クレリアちゃんだ!
「も……もしもし?」
「千穂、今日の夜ゲームをするつもりなんだが、一緒にやるか?」
いきなり向こうからのお誘い!これはやるしかないよ!
「やるやる!時間は何時が良いのかな?」
「千穂の好きな時間で良いぞ、こちらが合わせる」
なんだか申し訳ないなぁ……。
「えっと……じゃあ……」
私は時計を見る、夕ご飯が七時位だから……先にお風呂に入っちゃって……。
「じゃあ八時くらいに一度私から連絡するね?」
「分かった、じゃあな」
彼女がそう言うと電話が切れる、緊張しちゃったよ……。
その後、私は先にお風呂に入り、夕食までの時間で勉強をした。
ゲーム用に部屋を用意した私は、千穂とゲームをする約束をした後、時間までゲーム部屋でのんびり過ごす事にした。
「人間の女の子の友達が出来たらしいわね?」
部屋に入って来たカミラが、私の隣に座りながら言う。
「店で相談に乗ってくれてな」
「こちらで調べたけれど、高校一年生で春には二年生みたいね」
「そうか」
「若いわね。ゲーム仲間として長く過ごせるんじゃない?」
「ゲームが面白ければな。今夜やってみるが、期待外れだったらやめるぞ」
「彼女はどうするの?」
「付き合いは続ける、友人とはそういう物だ」
「そうね」
私はカミラと話しながら約束の時間まで過ごした。
「お母様、そろそろ時間じゃないの?八時よね?」
「大丈夫だ、千穂から連絡が来る事になっている」
私はそう言うとゲーム機を起動した。
そのまま待っていると、私の携帯に着信が来る。
「私だ」
「あ、クレリアちゃん?今日はよろしくね。それで……どこまで準備したのかな?」
電話に出ると、千穂が尋ねて来る。
「もうプレイ出来る状態だ、メイドの中に詳しい者がいたので頼んだ」
「メイド!?……ええと、じゃあゲーム機を起動してくれる?」
「もうしている」
「あ、そうなんだ。じゃあ私がフレンドを送るからIDを教えて?」
私は彼女にIDを教える。そしてしばらくするとフレンド申請が送られて来た。
「今送った申請を選んで、登録するを選んで?」
「分かった……選んだぞ」
登録しましたと表示され一覧に「ちいねこ」と表示されている。
本名はつけない方が良いとメイドに言われたが私は「くれりあ」と付けている。
「クレリアちゃん本名付けたの!?危ないよ!?」
「誰も本名とは思わないだろう。それに、そういった心配は私には必要無い」
千穂が心配するが私はそう答える、本当に何も問題無いからな。
「んー……分かった。何かあったら両親に言うんだよ?」
「分かった」
両親はいないが、こう言っておく方が良いだろう。
「よーし、じゃあゲームからバトルグラウンドを選んで起動してね」
「……起動したぞ」
私はゲームを起動する、オープニングらしきものが始まりその後タイトルへと変わった。
「オンラインモードは分かる?説明書に書いてあるはずだけど」
「大丈夫だ」
「じゃあ今回は私が誘うけど、一応誘い方は教えておくね?オンラインプレイを選んだ後、セレクトを押すと招待を送ると招待を受けるの二つが出るの。招待を送るを選ぶとリストが出るから、その中から招待したい人を選んで招待するを選ぶと、相手に招待が送られて、相手がそれを受けると分隊に合流するからね」
「分かった」
「じゃあ送るよー。通知が届いたらセレクトで招待を受けるを選んで、私の送った招待を選んで受けるを選ぶと合流だよ」
送られて来た招待を受けると私が分隊に参加した、私と千穂だけのようだ。
「おー、来た来た。分隊は五人まで入れるけど、今日は練習だし他の人は入れないで二人でやろうね」
「分かった、この画面で兵科を選ぶんだな?」
「そうだよ。あ、その前に携帯じゃなくてボイスチャットに切り替えよう。設定でボイスチャットをオンにして?」
「設定だな……どうだ?」
「あーあー……どう?聞こえる?」
スピーカーから彼女の声が聞こえる、上手く行ったようだ。
「聞こえるぞ、私の声はどうだ?」
「ばっちり聞こえるよ!じゃあ兵科を選ぼうか」
「それぞれの兵科は大体予想が付くな」
「まあ名前がそれっぽいからね。突撃兵が敵を倒すのがメインの兵科で、偵察兵が索敵と狙撃、援護兵が弾薬の補給と援護射撃、衛生兵が回復と蘇生だよ」
「順番にやっていくか、まずは突撃兵だな」
「うん、全部試して自分にあった兵科を探すといいよ」
「武器は少ないな」
「それぞれの兵科で戦って、昇進すると少しずつ銃とカスタムパーツが増えて行くよ。でも、後から使える物が絶対に強い訳じゃないから……これも自分に合った銃とカスタマイズを探す感じだね」
「なるほど、なかなか奥が深いな」
「遊んでいるうちに何となくこれが良い、って言うのを感じるかも」
「そうか、まずはやってみよう」
「そうだね、まずはやってみようか。これからやるのはコンクエストって言うモードで、敵陣地を奪って相手の兵数をゼロにした方が勝ちっていうルールだよ」
「分かった」
ロードが入り配置選択画面へ切り替わる、どうやらすでに戦いが始まっているようだ。
「まずは一番敵陣に近い拠点からスポーンしよう」
「了解だ」
スポーンすると周囲から銃声が聞こえる。
「じゃあCを攻めてみよう」
「よし、行こう」
千穂の後ろを歩きながら照準の反応を確かめる。
「クレリアちゃん!敵!」
建物の陰から出て来た敵の胴に照準を合わせて撃つ、撃つたびに照準が上に跳ねたが倒せた。
「ナイスキル!」
千穂が言う、何故か照準が上に上がるな。
「千穂、撃つと照準が上に上がっていくのだが」
「それはリコイルって言って、撃った時の反動で銃がブレるんだよ。同じ所を撃ち続けるならそれを抑えながら撃つ必要があるんだ」
「何だと?」
私達が試しに撃った時はそんな事は無かったが、それは私達だからだな。
「どうしたの?」
「何でもない。やはり狙うのは頭が良いのか?」
「うん、胴体より頭がいいね。慣れないうちは難しいかも知れないけど」
「やってみる。千穂、そろそろ移動した方がいいんじゃないか?」
説明をしている間、私達は全く動いていない。他の場所が奪われそうだぞ。
「あ!?不味い!負けちゃう!」
私達は目的地へと向かう。
途中に敵はいなかった。攻められている分、こちらは手薄なようだ。
「占領だけど、一定の範囲内に相手より多く人数がいれば占拠ゲージが増えて行くからね」
「了解だ、ゲージが動かない時は人数を増やすか殺して減らせばいい訳だな?」
「その通り。それと占拠し始めると敵にもその情報は表示されるから、阻止しに来ると思ってね?」
「分かった」
私は二階に、千穂は一階に潜みゲージを上げているとゲージが停止した。
誰か来たか。
「敵は探してると思うから隙を見て倒そう」
「了解」
二階への階段が見える位置に伏せていると敵がチラチラと頭を出して警戒しながら上がって来た。
私は頭を出した瞬間に頭を打ち抜く。
「凄い!クレリアちゃん!ヘッドショットだね!」
そう言われた直後、私も死亡した。
「やられたか」
「ありゃー……後ろから来てたのか。私の所には来なかったから二人とも二階へ行ったんだね」
「なるほどな」
これがカミラが言っていた事か。
面白いじゃないか。
目視と仲間からの情報を見て、予測して動く必要がある訳だ。
最終的にその試合は勝つ事が出来た、私の成績は15キル8デスだった。
正面からの打ち合いでは殆ど負けないな。
「……クレリアちゃん初めてだよね?」
「そうだぞ?」
「えーとね。大抵の人は、特に初心者の人はキルデス比が1……つまりキルとデスが同じ位になるかデスの方が多い事が殆どなんだけど……」
「そうなのか」
人間と私とでは反射の速度が全く違う。照準の移動速度は早く感じないしリコイルも分かれば問題無い。
ただ、不満な点もある。
「千穂。照準の速度が遅すぎる、もっと早く動かせないのか?」
これだ。
どんなにコントローラのスティックを倒しても一定以上の速度が出ない事が不満だった。
「えっと……オプションの感度を上げると早くなるけど、操作が大変になるよ?」
「問題無い、今の速度では遅すぎる」
私はオプションを開いて感度を最大にした。
「そうなんだ……もしかしてとんでもない子を引き込んじゃったかなぁ?」
「よし。これでもう一戦やってみるか、他の兵科も試したいしな」
「オッケー、じゃあこのままもう一戦行ってみよう。兵科が合わないなと思ったら死んだ後、リスポーンする前に変えられるからね」
「分かった」
それから何戦かプレイしたが、中々面白かった。
設定を変えても照準の速度は遅かったが、これ以上は上がらないから仕方がない。
恐らくどれだけ早くしても私には遅いままだろう。
私の最高戦績は35キル4デス程になった。
正面からの打ち合いでは相手が多すぎなければ撃ち勝つ事が出来た。
背後を取られた場合は流石に負ける事もあるな。
「クレリアちゃん凄いね!?」
「他の者達の援護があるから出来る事だ、私だけの力ではない」
これは本当だ。
弾薬が尽きれば遠距離からの攻撃が出来なくなり、回復が無ければいつか撃ち負ける事になる。
偵察が無ければ敵の動きを把握出来ず、後ろを取られる事になるだろう。
「思っていたよりも面白いな」
「本当!?これからもやってくれる!?」
「やるつもりだ、これからも一緒に遊んでくれると嬉しい。新作が出たら次も買うだろうな」
「やった!FPS女子仲間ゲットー!」
大喜びの千穂だがそろそろ夜も遅い、騒ぐのも限界だろう。
「所で、時間は平気なのか?お前は学校があるのだろう?」
「あっ……不味い怒られる!今日はこれで終わるね!?また遊ぶ時はゲーム機のメールか電話……電話の方が確実かな?電話するから!今日はありがとう、また明日ね!」
「お休み千穂」
「おやすみー!」
そう最後に言葉を交わしボイスチャットが切れ、千穂が退室した。
私は部屋の内線を使い女執事につなぐ。
「ゲーム用の部屋の設備を更に整える。念の為、もう一人分の機材を揃えておいてくれ……ああ、同じ物で良い」
その後、詳しいメイドに同じ部屋でオンラインプレイをするなら音が混ざらない様に人数分のヘッドセットがあった方がいいと言われ、揃える事にした。