何も気にせず自由にさせたいけどそうすると問題がすぐ解決する、だけど主人公は最強が良い……縛りプレイで行くしかない。
この作品の注意事項
・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
宿を一週間借り部屋に入る、不動産に行く前に統一硬貨の確認をしよう。
以前は町や地域によりバラバラだった硬貨だが、ギルドと各商会が手を組み流通を作り上げた後に統一された。
また古い硬貨はもう製造されていないがどこでも使用する事は出来る。
私はケインから受け取った表を見た。
1ウェン 小銅貨
50 中銅貨
100 大銅貨
500 小鉄貨
1000 中鉄貨
5000 大鉄貨
10000 小銀貨
50000 中銀貨
100000 大銀貨
500000 小金貨
1000000 中金貨
5000000 大金貨
10000000 小白金貨
50000000 中白金貨
100000000 大白金貨
統一された硬貨は価値は決まっているが、商品などのすべての金額は各地域の経済状況などに影響されて値段が変わる。
ある町で中銅貨一枚で買えるパンが他の町では大銅貨一枚であったり、また別の町では中銅貨一枚と小銅貨五枚であったり……という事になる訳だ。
統一硬貨もあるが昔給料としてもらっていた古い硬貨がかなりある、どうにか減らしたいな。
確認を終え、すぐに家を買いに不動産店へ向かう。
「いらっしゃいま、せ?」
戸惑う店員の声が迎えた、この姿で家を買うのはおかしいか?
「家を買いに来た、私は成人している問題は無い」
受付に行き店員の女性に声をかけ、容姿の事も伝える。
「かしこまりました、どのような家をお求めですか?」
……スムーズだな。
「怪しいと思わないのか?」
「確かにお客様ほどの年齢で家を買う方は見た事はありませんが、お金さえ払っていただければ問題ありません。売ってはいけないという決まりもございませんので」
微笑みながら答える女性店員、店の関係者というのは強かだな。
「金はある、それなら問題無いな」
「はい、問題ございません」
薄く笑みを浮かべる私と、微笑む女性店員、奇妙な友情が生まれそうだ。
「よし、では要望だがまず第一に風呂が広い事……これは外せない。後はリビング、寝室、キッチン、トイレ、倉庫も欲しい。後は……出来るだけ広い庭と……場所はどこでもいいが静かな所が良い」
私の要望をメモする店員。私が要望を伝え終えると私に待つように言って席を立った。
「お待たせ致しました」
椅子にもたれ待っていると、店員が資料の束らしき物を持って戻ってきた。
「お客様のご要望に合っている物件の資料はこちらになります。後はご予算に合わせて選んでいただき、気になったいくつかを実際に見学して頂く……という形でよろしいでしょうか?」
「その方法で構わない」
「かしこまりました。では資料をご覧ください」
店員の提案を了承し、資料を読む。
上位の物件は流石に金額的に手が出ないな。下過ぎると庭があっても申し訳程度であったり多少騒がしそうな場所であったりと微妙だ。
「取り合えずこれらの物件は無しだな」
「かしこまりました」
高すぎる物と安すぎる物の資料を返し、残ったのは金額的には中程の物だ。
うーむ……。
「物件の静穏性ならば大通りの騒がしい場所でも魔道具や魔法で防音されている物件もございますよ?」
そう薦めてくる。
「その魔道具や魔法は一定以上の大音量を通す様に出来ているか?」
私なら関係ないが出来る事ならこだわりたいものだ。
すると戸惑いながら店員は聞いてくる。
「それは不可能です。全ての音を遮断する物ですので……よろしければそのご要望の意図をお聞かせいただいても?」
「静かなのは良い。だが災害などの問題があった場合、全ての音を遮断してしまうと気づけない可能性が高い……普段は静穏性を保ち、被害が出そうなほどの大音量などは通すようにした方が良い。もしくはそれを知らせる物を用意するべきだな」
驚いた顔をする店員。それだけの魔道具と魔法を用意できるかは分からないがその方が安全だろう……普通の人間には。
「色々言ったが私は人混みが嫌いなんだ、大通りはやめておくよ」
「かしこまりました」
そう言って物件の資料に目を移す。部屋数は……これは多すぎるな、私しか居ないんだ十部屋あっても意味が無い。
こうして私は都市の防護壁近くにある中規模の家……屋敷になるのか?その中の二つに絞った。
どちらも私の要望は満たしていて寝室数は五、一つは風呂が広く、もう一つは庭が広い、正直どちらでもいいが実際に見て最終的に決めよう。
「この二つを実際に見て見たい」
私は資料を渡して言う。
「はい、今からでも可能ですがご覧になりますか?」
資料を受け取り答える店員、すぐ見られるのはいいな。
「今からでもいいのか、では行こう」
「ではこちらをご購入という事で間違いありませんか?」
「ああ、間違いは無い。支払いは今すぐ出来る」
結局庭の広い方を購入する事に決めた、実際に見た結果庭が広い方の屋敷の風呂の大きさが十分だったからだ。
「すまない、言い忘れたが統一前の硬貨は使えるか?」
「問題ありません。ただ……ウルグラーデでの換金レートになってしまいますが……」
「構わない。可能なら全て換金してもらえると嬉しいのだが」
この都市でのレートになると言う店員に旧硬貨の換金が出来るか聞いてみる。
「手数料を頂く事になりますが可能ですよ」
「では換金した後に支払うと言う事で良いか?手数料と屋敷の金額を引いて渡してくれ」
「ではこちらの部屋で確認いたします……どうぞ」
別室へ案内される。
ここのレートだと言っていたが足りないと言う事は無いだろうな?かなりレートが悪くても平気な量はあると思うが……。
そんな事を考えて待っていると彼女が袋を二つ持って現れた。
「お待たせ致しました……内訳ですが……お客様から預かりました旧硬貨の換金後の金額が一億ウェンになります」
……そんなにあったのか、大白金貨だぞ。
「当時の価値は一億二千万程ですがこちらのレートだとこの金額になります……問題ございませんか?」
金ならまた稼げばいいからな。
「構わない」
「では続けさせていただきます。屋敷の購入金額として八千万ウェン、換金手数料として一千万ウェンを引かせていただき……お渡しする金額は一千万ウェンとなります、何か問題はございますか?」
問題では無いが、そうだな。
「この都市の物価はどうなんだ?」
「……そうですね、お世辞にも安いとは言えません。換金レートも手数料も屋敷の金額も他の地域に比べてかなり悪い方だと思います」
これより悪い事はあまり無いと言う事か。
「答えてくれてありがとう。それで構わない」
「ありがとうございます。お金の受け渡しですが小白金貨一枚と、ある程度硬貨を分けた物がご用意できますが……どちらがよろしいですか?」
気が利くな、場所によっては小白金貨では釣りの硬貨が払えないかもしれないからな。
「分けた物を頼む」
「ではこちらです、ご確認ください」
そう言うと袋の一つを渡してきた、私は確認しマジックボックスに入れる。
「こちらが屋敷の鍵と証明書になります。この証明書は私どもが販売しお客様が購入したという証になります……この証明書を紛失した場合、屋敷の持ち主であると認められなくなりますのでご注意下さい」
「分かった」
私は鍵と証明書を受け取りマジックボックスに入れた。
「本日は誠にありがとうございました」
受付で深々とお辞儀をする彼女を背に、私は店を出た。
……こんなものかな。
私は購入した屋敷の家具を整え終えて、一息ついた。
家具が無かったので家具店で買い揃えて各部屋に設置し掃除した、これで一先ず家として問題は無くなった。
さて、これからどうしようか。
毎日家で能力開発をして、一日三食の食事を楽しむ生活も良いな。
ソファに身を沈めて両足をぱたつかせながら考える、そして思いついた。
ここに来てからギルドを見ていない。
ギルドも教え子の成果と言える、今どうなっているか見て見たい。
……冒険者か。
思った以上に有った金もほとんど使ってしまったし……やってみようか。
稼ぎは少なくても楽しいかもしれない。
出来るだけ人らしく戦おう。
あまり人間離れした事をすると面倒そうだ。
自警団の皆を育てた当時から、自分の決めた範囲でいかに戦うか考えるのも悪くは無いと思うようになっている。
勿論いざと言う時は手加減しないが。
あくまでも問題が無い時のみだ。
装備はどうしようか。
それなりに装備を着て居なければおかしいだろうな。
私専用の装備である永遠の黒き女神は……目立ちすぎるだろう。
武器だけなら良いかも知れないがあの見た目はな……。
どうにか出来ないだろうか。
永遠の黒き女神を出して眺める、そしてしばらくぼーっと見ていたのだが。
そうだ確か手紙に……。
私はこの装備と共にしまっておいた手紙を取り出す。
細かくパーツが分かれており軽装から重装まで変更出来る……これで行けるかも知れない、軽装にするには……。
早速やり方を調べて魔力を流す。すると装備が分解し一部が私に残りは再び待機状態に戻った。
「これなら良さそうだ」
ワンピースのままカチューシャの様な頭部の防具、首輪、胸当て、肘から手先迄を覆う肘当て、腕当て。
更にグローブを一体化した様な防具に、太腿の中程から膝、脛とふくらはぎ、足迄を覆う同じく一体化した様な防具と言う姿になった、これなら良いだろう。
この装備はこのような構造になっていたのか。
詳しく読むと、この鎧は軽く強度と柔軟性の高い魔法金属が細かく分かれて積層構造になっていて、軽装から重装に向かう程、体を覆う面積と装甲が厚くなっていくようだ……細かいパーツが集合した鎧……で良いのか?
今の時点では私でも完全には理解出来ないな……この事をロドロフとミシャが聞いたら喜びそうだ。
私の理解を超えた物を作ってやった!と言いそうだ……デザインも性能も良い逸品だ、愛用させて貰おう。
最後に数多くある女神武器から長剣を選び腰に付ける。さて、ギルドへ向かうか。
中々大きな建物だな。
ギルド……正確にはウルグラーデ冒険者ギルド商会だったか?
早速建物に入る。広間にずらりと並ぶ数字が書いてある掲示板の両面に紙が沢山張られている、それを冒険者と思われる沢山の老若男女が見ている。
奥に並んでいるカウンターの一つに向かい、声をかける。
「ギルドに登録したいのだが」
「はい……ではこちらに必要事項を記入して下さいね」
私は用紙に記入しながら女性ギルド職員に聞く。
「子供でも問題無いのか?」
「問題無いですよ?低ランクの依頼は子供でも可能な物も多くありますし、力不足だと判断すれば私達職員が受けさせる事はありませんから」
なるほど、子供の小遣い稼ぎも出来る訳だ。
用紙を渡すと薄く小さいカードが付いたネックレスともう一枚プレートを持ってくる。
「こちらの二つに魔力をお願いします」
私はそっと魔力を送る、プレートとカードが一瞬光る。
「これで貴女は登録されました。ようこそウルグラーデ冒険者ギルド商会へ」
微笑んで言う彼女。その後ネックレスの付いたカードを私が持ち、プレートはギルドで保管されると聞いた。
「ではギルドの説明を致します」
彼女が紙を渡してくる、そこにはギルドの事が書かれていた。
冒険者はランク1から10とグレード1から10、依頼は様々な要因を加味して難易度1から10に分かれている。
1 子供でもできるお手伝いのような物。
2 自衛手段が無い成人した者が受けられる物など。
3 討伐や狩猟以外の外での活動など。
4 魔物ではない動物の狩猟など。
5 ギルドが定めた非常に低い危険度の魔物の討伐依頼など。
6 ギルドが定めた低危険度の魔物の討伐依頼など。
7 ギルドが定めた中危険度の魔物の討伐依頼など。
8 ギルドが定めた高危険度の魔物の討伐依頼など。
9 ギルドが定めた非常に高危険度の魔物の討伐依頼など。
10 地域などに大きな影響を与えかねない災害クラスの魔物を退ける、討伐する依頼など。
評価されるのは主に戦闘能力である。
ランクで受けられる依頼の難易度が決まりグレードはその冒険者が同じランク内の仕事をどれだけ成功させたかの目安になる。
討伐以外の物はやりたくないな。他の物は気が向けばやってみよう、それにはまずランクを5にしなければ。
彼女の説明を聞いている途中、質問をした。
「討伐が受けられる5までランクを一気に上げる方法はあるか?」
困ったような顔をする彼女、それでもしっかり答えてくれる。
「……ランクは各ギルドのランク認定試験を受け合格する事で上がります、そのランクの認定試験を合格すればなる事は出来ますが……」
「駄目なら諦めるさ、受ける事自体は出来るのだろう?」
そう言うと彼女は困り顔のまま言う。
「いえ、現在のランクの二つ上のランクまでしか受けられない事になっています」
「つまり今のランク1の私だとまず3に合格してから5に合格しなければならないと言う事か?」
「そうなります」
頷き私の言葉に答える彼女。
「ではそれで頼む」
「え?」
彼女は私の言葉に思わずといった感じで声を上げる。
「3の試験を受けた後5を受ける、どうすればいい?」
「……ではまずこちらに記入をお願いします」
すぐに仕事に戻る彼女、ギルド職員は中々できる。
「お前が試験を受けるクレリアか?」
「そうだ、よろしく頼む」
数日後、試験を受けにギルドに訪れ待っていた私に声をかけてくる男。
「俺の事は試験官でいいぜ」
「分かった試験官」
そう言った私の前に座る試験官。
「試験内容はこの指定された場所に向かって錬金素材を手に入れてくることだ。俺はついて行くが危険にならない限り手を出さない、勿論俺の助けを借りれば試験は失格だ……いいな?」
目標のエリアと素材が書かれた紙を渡してくる試験官、これは薬草の一種だな。
「良ければ試験開始だ、頑張れよ」
そう言って笑う試験官、任せておけ。
「無事ギルドに到着したな試験官」
「……合格だ」
あの後、森に向かいさっさと指定されたエリアに向かい目標の薬草を手に入れた、途中魔物に襲われたがすぐ首を落として処理した。
試験官と共にランク認定のカウンターに向かった。
「ランク3認定試験合格だ」
「はい、では目標をこちらに……確かに目標の薬草です。ランク3グレード1おめでとうございます」
手に入れた薬草を職員に渡す、ギルド職員が私に祝いの言葉を言った後奥に行き、試験官が立ち去ると離れた所で他の職員に話しかけられている。
「あの子合格したんですか?本当に?」
「見ていたんだ、間違いなく合格だ……あの娘恐らくランク5も合格するぞ……」
「流石にそれは無理ですよ」
「……どうだろうな」
試験官が疑われてしまったようだ、しかし私がランク5を合格すると言ったのは良い読みだ。
私はそのままカウンターで魔物の代金を受け取りカードの更新をし、ランク5試験の申請をして家に帰った。
数日後前の試験の時と同じようにギルドで待っているとギルド職員の女性がやってきた。
「……ランク5試験を受けるクレリアさんかな?」
「そうだ、よろしく頼む」
「本当に受けるのね?ここからは助けは無いわよ?力が足りなければ死ぬかもしれない」
私を見つめて話す。
「止める気はない」
そう言うと、私の前に座って説明を始める職員。今回は目的の魔物を一人で討伐して持ち帰る事が試験になるらしい。
「倒すのはこの魔物です」
絵だけが描かれた紙を渡される、私程の大きさの直立した目の赤い魔物だ。
「渡すのはそれだけ、名前や習性、居場所は自分で調べるのよ」
そう言ったところも含めて試験なんだな、ギルドに魔物が載っている本は無いかな。
「分かった……聞きたいのだがギルドに書庫はあるかな?」
紙から顔を上げ訪ねる。
「ありますよ。あちらをまっすぐ進んで道なりに進めば書庫の入り口があります……それと、駄目だと思ったら逃げなさい。試験なんてまた受ければいい……生きて戻る事を考えなさい」
彼女は微笑むと教えてくれた、探してみようか。
「ありがとう」
礼を言って書庫に向かった。
書庫の管理者に許可をもらって探し始める、魔物の本がありそうな所は……。
しばらく探すと魔物の欄があった。これのどこかの本に……《ウルグラーデ近郊魔物図鑑》か、これなら載っているか?
この魔物はラビアトか、森の少し深い所に生息している事が多いようだな。
見つけた本に載っていた。脚力を生かした蹴りとタックルが主な攻撃か……絵では大きさが分からなかったが。説明を読むと私の半分ほどしかないな、これなら大人で多少戦えるのなら負けないだろうな。
多少戦える大人が勝てる相手に私が苦戦する事は無く、森の奥に向かい問題無く討伐してギルドへと戻って来た。
カウンターで試験である事を告げて、魔物の受取り場に移動し、ラビアトを取り出す。
「確かにラビアトですね、おめでとうございますランク5試験合格です」
「ありがとう、これで一番下の危険度ではあるが魔物討伐が受けられるのだな?」
他の職員がラビアトを運んでいく、解体されて販売されるのだろう。
「はい。ではギルドカードの更新を致しますので待合広場でお待ちください」
そう言われ、待合広場の椅子に座って待っていると呼び出される。
「お待たせしました、これからはランク5グレード1となります……こちらがカードです」
女性職員に渡された魔物の代金をしまいカードを首にかける、取り合えず今日はもう帰ろうか。
「一気にランク5になりましたね。これからは魔物討伐ですか?」
席を立とうとした所に女性職員が話しかけてくる。
「一番向いているからな」
そう言うと彼女は少し乗り出して言う。
「聞きましたよ。その歳で連続で試験を受けてランクを上げたんですよね?」
今まで知らないまま成人だと言っていたがどうやら十五歳で成人とされているらしい、私はここでは十五歳という事になっている。
「おかしいのか?」
椅子に背を預けて尋ねる。
「二十前後の方は一気に魔物の討伐が出来るランクに上げる方は居ますね。若い方はランク4で経験を積んでからか、もしくはパーティーを組むのが一般的です。若い方が、それもソロでランク5になるのは珍しいですね」
腕を組んで話す彼女。
「ここからはじっくりやるよ、無理をして怪我をしたり死にたくは無いからな」
「最低ランクでも魔物は魔物です、くれぐれも気を付けてくださいね?若い方が亡くなるのは辛いですから」
そうだ、ランク以上の魔物を仕留めた場合の事を聞いていなかった。
私がその事を思い出したのは食事を終え、自宅のリビングでくつろいでいる時だった。
ギルドが依頼を実力によって分けていても魔物には関係ない。
場合によっては遭遇して殺されたり運良く討伐出来たりする事だってあるだろう。
まあ、それは次行った時に覚えていたら聞こう。
翌日。私はギルドへ向かいカウンターへ向かい、昨日の思い出した質問をしておく。
「おはよう。突然ですまないがランク以上の魔物に遭遇して討伐した場合どうなる?」
ギルドの女性職員が答える。
「討伐した場合安いですがギルドで買い取ります。基本的に依頼にある魔物以外は安いので討伐するメリットはあまりありません。自分で食べたり素材にしないのであれば、逃げるのが一番だと思います」
「なるほど、ありがとう」
その後私は近場の魔物の討伐依頼をこなして自宅へと帰った。
今日はどんな依頼があるかな。
一月後、順調にランク5としてグレードを上げた私はグレード3になっていた。
「ようクレリア今日は何討伐するんだ?」
「まだ見て無い、これから見るんだ」
私は話し方を変えた、以前他の冒険者と依頼を受けた時その話し方だと咄嗟の指示や仲間の反応が遅れると言われた。
冒険者はあまり敬語や周りくどい表現を使わない、分かりやすく簡潔に、戦闘中はそれが全てだと言われた。
よく言えばフレンドリー、悪く言えば礼儀知らず。
しかし冒険者になった者……特に魔物を討伐するランク5以上の冒険者は相手がどんなに年下でもランクが下でも言葉遣いに文句を言う事は殆ど無い、それが命にかかわると知っているからだ。
流石に公式の場では頑張るらしいが、私は冒険者をしている間は多少話し方をかえようと決めている。
「また手伝ってくれよ、お前が居ると仲間が喜ぶ」
冒険者の男が笑いながら言う。
「楽したいだけだろうが、自分で稼げ」
そう言い返す、この話し方も良い物だ。
「いやー……それ以外にも男連中が喜ぶんだよ。お前はほら、可愛げが無いけど顔は良いだろ?」
「ほう、ここで死にたいんだな?」
そう言って男に手を向ける、男は焦ったように言う。
「褒めてるんだって!強いし美人だし声も綺麗だし!悪い意味は無いって!」
私は手を下ろしながら言う。
「可愛げが無いっていうのは悪い意味じゃなかったのか?ん?」
「俺急ぎの用があるんだったわ!またな!」
そう言って男は逃げて行った。
あの男のパーティーと一緒に冒険に出た時に私があっさりと討伐してパーティー内で報酬を分けてから、他のパーティーからも誘いが増えた。
奴ららしいと言えばらしいが、一方的に使われる事は許さない。
ただ冒険者達との会話は悪い気はしない、軽口を言い合うのも悪くは無い。
さて、依頼を探すか……戦闘力的にはどの魔物でも良いんだが……。
ん……?珍しい依頼書があった、スナイププラント?
これにしようと手に取った時、もう一つの手が紙をつかんでいた。
「あっ……」
後ろを振り返ると、暗い赤色のセミロングの女性が立っていた、手を伸ばしたままの格好で固まっていたが諦めたように手を離した。
「良いのか?」
彼女に問いかける。
「……どちらかが引かなければ終わらないでしょ?」
確かにそうだが……最近私で楽しようという者が多かったがこの子は何というか雰囲気が違うな。
「良ければ一緒にやるか?報酬は皆で山分けでどうだ?」
「えっ?……えっと嬉しいんだけど。私達のパーティーはランク5になったばかりなの、今回が初めての魔物討伐なのよ……それでも良いの?」
ああ、この感じは初討伐だからか、緊張してるんだな。
「構わない。一緒にやろうか、私はそこそこ討伐をこなしてるから手伝おう」
そう言うと彼女は少しホッとしたように言った。
「ありがと。じゃあ皆に紹介しなきゃ、依頼を受けるのは私がやっておくから待合広場のあそこにいる……明るい茶色と水色のショートカットの二人。あの二人がパーティーの仲間だから先に行ってて」
彼女は広場を指さして言う、見るとそれらしい二人が会話している。
「分かった」
そう言ってパーティーメンバーの所に向かった。
「そこの二人ちょっといいか?」
私は言われた二人の元に行って声をかける。
「なーに?」
明るい茶髪の女性が言う。
「間違ってたら悪いがそちらのパーティーの暗い赤色のセミロングの女性と依頼を取り合う事になってね。彼女が引いてくれたがどちらが早かったと言う訳でもないし、一緒にやる事になった」
「暗い赤色のセミロングの女性……ユリアルマの事だよね?」
「そうっぽいね」
水色髪の女性が言い、茶髪の女性が続く。
「座って良いか?」
「あ、いいよ」
そう言うと席を進めてくる、私は彼女達の反対側に座る。
「自己紹介しておく、私はクレリア・アーティアと言う、役割は……大体何でも出来るな」
「私はアリアナ・ガット、軽戦士だ」
明るい茶色のショートカットの女性が言う。
「あたしはー、ルフレ・カプラータ!盗賊だよ!よろしくねー!」
水色のショートカットの女性が続く。
「大体何でもってすごいねクレリアちゃん!」
ルフレが話しかけてくる。
「ソロで活動するにはそれぐらい出来ないと危険だ」
「確かにそうだよね」
答える私にアリアナが納得したように言う。
「武器も魔法も使えるって事でしょ?凄いねぇ」
感心したように言うルフレ、そこに先程の女性が戻ってくる。
「随分仲良くなってるわね」
「あ、ユリアルマおかえりー」
言いながら座る彼女を迎えるルフレ。
「彼女に自己紹介してなかった。私はクレリア・アーティア、役割は大体何でも出来る」
「私はユリアルマ・ルンブルク。魔法使いよ、お世話になるわね」
「これで揃ったね」
自己紹介が終わるとアリアナが言う、これから準備をして明日には出発する事になるか?
「今日は準備にして明日朝一で出発しましょう。野宿になるから準備を忘れないようにね」
ユリアルマが言う、彼女がリーダーか。
「今のうちに聞いておきたい事があったら言ってね」
ユリアルマが私に言ってくる、そうだな……。
「皆、武器は何を使う?」
「私は剣と盾だね」
と、アリアナ。
「あたしはナイフと弓だよー」
腰のナイフと足元に置いてある弓を見せるルフレ。
「私は杖よ」
60センチ程の長さの杖を見せてくる。
「バランスは悪くないかな、そうすると私はどうしようか」
私がそう言うとアリアナが言う。
「状況を見ながら遊撃でいいと思う、クレリアなら平気だろう」
それを聞いてルフレが聞く。
「そうなの?」
「うん、彼女ちょっと前に噂になってた人だよ」
「ああ……」
アリアナの言葉に反応するユリアルマ。
「二人とも知ってるの?」
ルフレが言う。
「十五歳で冒険者になって一週間程でランク5になった人だよ」
「うぇっ!?」
アリアナの言葉に変な声を上げるルフレ、三人は私を見る。
「ユリアルマも知ってたの?」
「彼女だとは知らなかったけどその話は聞いたことがあるわ」
そう聞くルフレに答えるユリアルマ。
「あたしだけ知らなかったの!?」
納得いかなそうなルフレ、そんな姿に思わず薄い微笑みを浮かべる私だった。
その後、彼女達としばらく話をした所、仕事で失敗し連帯責任で分割した弁償の借金があり皆で魔物討伐をする事を決めたようだ。
不幸中の幸いだったのはランク5になれる実力があった事か。
翌朝、私は町の出口のそばにいた。しばらく待っていると、三人がやって来る。
「やっほ!クレリアちゃん!」
「おはよ」
「おはようございます」
ルフレ、アリアナ、ユリアルマの順に挨拶してくる。
「おはよう、準備は?」
「ばっちり!」
私の問いに元気に答える、ルフレ。
私は彼女達の姿を見る。
アリアナは剣と盾、皮の金属補強軽装備。
ルフレはナイフと弓、皮の軽装備。
ユリアルマは杖と軽盾、布の皮補強軽装備。
「ん?ユリアルマ軽盾を買ったのか?」
私が言うとユリアルマは盾を見せながら言う。
「昨日の準備の時にね、やっぱりあった方が良いと思って」
「金は大丈夫だったのか?」
連帯責任の借金があるのに平気だったのか?
「ええ、この仕事が成功すれば大丈夫よ。駄目だったら駄目だけど」
「おい……」
呆れる私、上手く行かないという事は無いだろうが、駄目だったらどうするんだ。
「そろそろ馬車が来るよ」
アリアナが言う、私は馬車乗り場へ移動した。
「このまま近場まで馬車で移動して、途中から森に入って探すわよ」
馬車の中でこれからの事を話し合う。
目的の魔物が居る場所は森の丘や崖の麓などが多い……らしい。
結構珍しい魔物で、もし討伐出来ればかなりの値で売れるだろう。
「いくらになるかなー」
「まずは見つける事を考えないとね?」
ルフレがそわそわしながら言うとユリアルマが答えた。
「値が良ければ借金も全部返せるかも」
アリアナが目を輝かせる、確かに珍しいと値が上がる、場合によっては驚くほどに。
「浮かれすぎると危ないぞ?」
「はーい」
私の言葉に二人同時に返事をするルフレとアリアナ、私がユリアルマの方を向くと彼女は穏やかに笑っていた。
「ルフ!弓で気をそらせ!ユリは私の攻撃の合間に魔法を挟め!」
「了解!」
指示を出すアリアナに同時に答えて動き出すルフレとユリアルマ。
森に深く入って行くにつれて魔物が増えて行く、一匹一匹はそこまで強くないが多くなってくると彼女達には辛いだろう。
今私は気配を消している、小さな熊系統の魔物だが今は彼女達に気がそれて私に気が付いていない。
アリアナは私が潜んでいる草むらが魔物の背後に来るように動いてくれる……そろそろだな。
私は女神装備から弓を出し、魔物の足を打ち抜いた、突然動かなくなった足と激痛に混乱した瞬間、アリアナの剣が魔物の首を突き刺した。
「ふうっ」
アリアナが息を吐く、真正面から盾になるのはやっぱりまだ辛いか。
「お疲れー」
「上手く行きましたね」
ルフレとユリアルマが声をかけながら近寄ってくる。
「アリアナ、私が正面に立とうか?」
私がそう言うと彼女は首を横に振る。
「大丈夫、クレリアは色々出来るけど私はこの役目しか出来ないからね。私がやるよ」
にこりと笑うアリアナ。だけどここに来るまでかなり戦った、他の二人も疲れが見え始めている、そろそろ野営の準備をした方が良さそうだ。
「今日はここで野営しよう、皆疲れが出始めてる。このまま進むのは危ない」
「ん、そうしよっか」
「そうね、魔力も持つか分からないし」
「疲れたー。ゆっくりしたいー」
やっぱり疲れていたようだ、すぐに三人は賛成した。
野営の準備をして夕食を作るため、私はマジックボックスから買っておいた材料を出す。
今まで狩った小型の魔物の死体は私が保存して彼女達に譲る事になっている、ユリアルマもマジックボックスは使えるが、私のマジックボックスの容量に驚いていた。
「ありがとうねクレリアさん。魔物を保存して貰っちゃって」
料理中のユリアルマが言ってくる。
「特に大変でも無いぞ?」
本当に特に何ともない、入れるだけだ。
「それに道中の小型は譲ってくれるっていうし」
それを悪いと思っているのか。
「私が良いと言ったんだ、気にする必要はない」
「うん。ありがとうね」
そろそろ出来上がる、周囲を警戒している二人を呼ぼうか。
「二人を呼んで来る」
彼女が頷くと私は二人を呼びに行った。
食事をした後に見張りの担当を決めたのだが、私以外の三人の見張り時間を短くして最後に私が朝まで見張る様に持ち込んだ。
「じゃあ朝までお願いね、おやすみなさい」
「任せろ、お休み」
ユリアルマと交代して後は朝まで私が見張りだ。目の前には焚火があり、周囲は森のせいで月明りも届きにくくかなり暗い。
彼女達の寝息が聞こえる中、近づいてくる気配がする……大型の魔物だ。
私は無言でその魔物に意識を向ける。その気配は戸惑ったような動きをした後怯える様に遠ざかって行った。
焚火の炎に当たり、木の焼ける音と彼女達の寝息を聞きながら、私は朝を待った。
朝になり私は三人を起こした。
「ユリアルマ、食事を作ってくれ。何が必要だ?」
私はユリアルマにそう言うとマジックボックスを開く。
「あらあら、ではお砂糖と……」
必要な物を出していく、そうしてるとルフレが話しかけてきた。
「クレリアちゃんほんとにだいじょーぶ?」
徹夜の事か、そもそも寝ないからな。
「大丈夫、ソロの時は寝ない事もある」
「……ソロの冒険者はすごいね」
その会話を聞いて驚いたような声を上げるアリアナ。
「居た……あいつだ……」
いつもはうるさいルフレが声を殺して呟く。
目的の魔物は三方を高い山肌に囲まれた奥まった場所に生えていた、見た目は大きな果実を実らせた木だがよく見ると不自然に動いている。
「よし……慎重に行くぞ。奴の動きから目を離すなよ」
私がそう言うと頷く三人。
アリアナが盾を構え細い谷底の様な道の入り口へ進む。ルフレが弓で、ユリアルマが魔法でそれぞれ援護できるように構え距離を開けてついて行く。
念の為私は周囲を感知する……これは。
「下がれ!罠だ!」
私はアリアナが入り口に入る前に叫ぶ。
「!?」
私の言葉を聞いたアリアナはすぐに入り口から離れた。
十分な距離を取ると私に近づいてくる、他の二人もやってきた。
「罠ってどういう事?」
ルフレが聞いてくる。
「谷底の様に狭く細い入り口、その地面の下に魔物の魔力が通ってる」
「そんなこと分かるの?」
アリアナが聞く。
「信じられないかもしれないが信じてくれ」
「……信じるわ。方法を考えましょう」
ユリアルマが言う。良かった、彼女達を死なせるのは気分が悪いからな。
罠なのは間違いないだろうが出来れば確かめておきたい。
「上手く行くか分からないが確かめてみよう」
私はそう言ってマジックボックスから果物を取り出した。
「なんで果物?……あっ」
急に果物を取り出した私に疑問を口にするルフレだが思いついたように声を上げる。
「念の為気を付けておけ」
頷く皆を見てから果物を道の方へ投げる、果物が道の上に差し掛かると地面から根のようなものが飛び出し果物は砕け散った。
沈黙する彼女達。まあ踏み込んでたらアリアナがああなっていた訳だし当然か。
「なんでこいつがランク5に居るんだ……?」
アリアナが思わずと言った感じで呟く。
「恐らく平地だと一方から囮を投げて別方面から攻撃すれば片が付くんじゃないか?」
「場所が悪かったと言う事ね……」
私の説明に返すユリアルマ。
「どうするのー?」
ルフレが聞いてくる。
「ユリアルマが燃やしてしまえばいいと思うよ」
アリアナが答える。
「やってみましょう」
ユリアルマが頷き言った。
「駄目だわ……」
ユリアルマが使うファイアボルトも届く前に無数の根に阻まれて届かない、当然弓も駄目だ。
「折角見つけたのにー」
ルフレが悔しそうに言う。
「うーん……」
唸るアリアナ。
全部焼き切れればいいんだな。
「私に任せてもらえないか?」
皆の視線が集まる、期待した顔だな。
「何か方法があるの?」
アリアナが聞いてくる。
「ああ、邪魔されるならそれごと焼き払えばいいだろう」
「そんな事出来る……のよね貴女なら」
魔法使いであるユリアルマが言ってくる、彼女は言っている事の大変さが分かるからな。
「お願いします。どちらにしてもこのままじゃ帰るしかないもの……二人もそれでいい?」
ユリアルマの言葉にうなずくアリアナとルフレ。
「分かった。離れていてくれ」
私は入り口付近まで行くと本体の木に向かって手をかざし炎を放射した、見る者が見れば炎のレーザーだと言うだろう。
それは突き出してくる根をものともせず焼き払い、命中した木の魔物は一瞬で燃え尽きた。
魔物が燃え尽きたのを確認すると、すぐに止めた。
威力は大分抑えたから裏に貫通はしていないだろう。
「……良し。皆終わったぞ」
そう言って振り返ると皆は間抜けな顔で魔物のいた場所を見ていた。
「クレリアちゃんの魔法が凄すぎるとかどうしてそんな力がとかいろいろあるけど……」
ルフレが魔物の居た方を見たまま言う。
「全部消し飛ばして、討伐したと認めてもらえるのかしら……」
ユリアルマが困った顔で言う。
「……あっ」
声を上げる私。
……やってしまった……。
「もう駄目だ……すぐに今の宿も追い出されてしまう」
うなだれるアリアナ。
気まずい沈黙の中、私が言った言葉は……。
「皆私の家で暮らすと良い」
だった。
主人公の言葉遣いを変えようとこんな感じに、あまり変わって無いかも知れません。