少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 ギルドはファンタジー系の小説でお馴染みです、長く続くかもしれないですね。

 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。



015-02

 

 その後私達は丸一日かけてギルドに戻ったが結局証明する物が無く依頼は失敗になり、スナイププラントの危険性だけ伝えてギルドを出た。

 

 「ふんふんふふゃんにゃににゃあ」

 

 良く分からない鼻歌を歌いながら歩くルフレ。

 

 「ご機嫌だねルフレ」

 

 アリアナが言うが、彼女も嬉しそうだ。

 

 「そりゃそうだよー!クレリアちゃんの家にお世話になれるんだよ、宿代が浮くぞー!」

 

 「ルフレさん……ごめんなさいクレリアさん。でも助かるのは本当なんです……」

 

 嬉しそうにはしゃぐルフレと申し訳なさそうにしながらも嬉しそうなユリアルマ。

 

 「元はと言えば私が魔物を消し飛ばしてしまったせいだしな、部屋も足りてるから構わないよ」

 

 そう言って進む。

 

 途中で部屋用のネームプレートを人数分買って町の郊外に向かう。

 

 人通りは減り、大通りの賑やかさは消え、静かな住宅地に入ると更に防壁の方へ向かう。

 

 「……ねえユリアルマ、こっちって結構高級な住宅街じゃなかったっけ?」

 

 「……そうですね、最低でも五千万以上のお屋敷ばかりだったはずですが……」

 

 後ろでひそひそと話すルフレとユリアルマ、アリアナは周りを見ながら歩いている。

 

 そして庭の入り口にある鉄門に近づく。

 

 「ここだ」

 

 そう言って門を開ける、庭に入って進むと付いてくる気配がしない、後ろを向くと三人がボケっとしている。

 

 「おい、早く来い」

 

 そう言うと、ハッとして皆小走りについてくる。

 

 「すっご……クレリアちゃんって良い所のお嬢様?」

 

 玄関に向かう途中ルフレが話しかけてくる、何と言ってごまかすか。

 

 「まあ、そんな感じだ」

 

 そう言っている間に玄関に到着する、三人共屋敷や庭を見ている、その内庭に池でも作るかな。

 

 「入ってくれ」

 

 「お邪魔しまーす……今日から住むんだしただいまかも?」

 

 「おじゃ……ん?そうね」

 

 「……ただいま、かしら」

 

 ルフレの言葉に言葉を切るアリアナとただいまと言うユリアルマ。

 

 「部屋は二階だ。一つだけ離れている大きな部屋は私の部屋だからな。四部屋固まっているから好きな部屋にこのネームプレートをかけて荷物を置いて来い。屋敷と部屋と敷地の門の鍵も渡しておくから無くすなよ」

 

 そう言うと三人は返事をして二階へ上がって行った、防犯の魔法をかけなおしておこう。

 

 魔法をかけ終わって紅茶の準備をしてリビングで待っていると三人が降りてきた。

 

 「凄い良い部屋だった!下手な宿より遥かに良いよ!」

 

 「あんなに良い部屋に住めるなんて思って無かった!」

 

 「申し訳なくなるわね」

 

 降りてくるなり私に言ってくるルフレ、嬉しそうに笑うアリアナ、困り顔のユリアルマ。

 

 「さて、三人共座って」

 

 紅茶を入れて皆を座らせる。

 

 「この家のルールを教える、とは言ってもそこまで厳しくは無い」

 

 その後、自分の部屋の掃除は自分でやる事。

 

 屋敷全体の掃除、洗濯、食事の用意、風呂の用意などは分担する事。

 

 三人以外の者を連れて来る時は私の許可を得る事などを話した。

 

 「今日は疲れているだろうし食事は外でしてゆっくり休もう。食事はおごるから気にしないで食べていい」

 

 「やった!ありがとうクレリアちゃん!」

 

 飛びついてきそうなルフレ、残る二人もお礼を言ってくる。

 

 「私が食べている店のうちの一つでいいかな?」

 

 「文句なんてないよ、ごちそうして貰う身なんだし」

 

 アリアナが苦笑いしながら言う。

 

 「じゃあ行こうか」

 

 こうして食事に出かけた。

 

 

 

 

 

 

 私は注文を終え頬杖をつく、皆も好きな物を頼み後は待つのみだ。

 

 「……クレリアさんは本当にお嬢様なのですね」

 

 ユリアルマがしみじみと言う。

 

 「どういう事?」

 

 「この店も結構な高級店なんだけど……?」

 

 私の問いにアリアナが答えた。そうだったのか……味が良いから来ていたんだが。

 

 「まあ、気にしないで食べろ。今日のお詫びの内だ」

 

 話をしながら待っているうちに料理が出され、皆嬉しそうに食べるのを見ながら私は自分の食事に手を付けた。

 

 

 

 

 

 

 「美味しかったねー」

 

 ルフレはお腹をさすりながら帰りの道を歩いていく。

 

 「帰ったら風呂に入って今日は寝よう」

 

 「お風呂か、嬉しいな」

 

 「そうねぇ」

 

 私が提案するとアリアナとユリアルマが答える。

 

 

 

 

 

 

 「風呂でっかい!……ねえ皆で入ろうよ!」

 

 家に着き風呂場を見たルフレが言う。

 

 「私は平気だよ」

 

 「私も平気よ」

 

 アリアナとユリアルマは了承して、私を見る。

 

 「クレリアちゃーん」

 

 ルフレも私を見る。

 

 「分かった、入る」

 

 「イエーイ!」

 

 喜ぶルフレは他の二人とハイタッチしている。

 

 私はすぐに過去の娘達の体を何とか思い出し。人間の様に一部を変化させる、そのたび違ったらおかしいし彼女達と過ごす間はこのままでいるか。

 

 

 

 

 

 

 「あー……気持ちいいー」

 

 完全に脱力しているルフレ、アリアナとユリアルマも隣でリラックスしているようだ。

 

 「んー……」

 

 私もゆっくり浸かっていると、アリアナが私をじっと見て唸っている。

 

 「アリアナ?どうしたの?」

 

 ユリアルマが気付いて声をかける、アリアナは私を見たまま答える。

 

 「いやー若いからこれからだけどさ、クレリアってかなり完璧に近くない?」

 

 「……なるほどね。顔も綺麗だし声も良いし……お肌も綺麗で色々良い色してるものね」

 

 アリアナの言う事に納得顔のユリアルマが答える。

 

 「皆の方が綺麗だと思うが……」

 

 皆の肌を見る、健康的な肌だと思う。

 

 「私達は二十歳を超えているし、何よりクレリアさんは基本的な美しさが違う気がするのよねぇ」

 

 湯舟に浸かったままそう言いながらこちらにスーッと移動してくるユリアルマ、そのまま腕を撫でてくる。

 

 「やっぱりすごくいい肌触りね」

 

 そう言いながら自分の腕と触り比べる彼女。

 

 そんな事をしながら後ろから胸を触ろうとしているルフレを避ける。

 

 「むっ……クレリアちゃんの小さな胸はどんな触り心地かなー?」

 

 「ふむ、触りたいなら触って良いぞ……ほら」

 

 私は胸を張って待つ、魔法を使って。

 

 「えっ?良いの?では遠慮なくー」

 

 そう言って触ってくる彼女だが触ろうとしても胸にギリギリ手が届かない。

 

 「あっあれ?ぬぬぬ……」

 

 頑張っているが一向に近づかない彼女の手。

 

 「ほら、どうしたルフレ?触って良いんだぞ?」 

 

 「ぐぬー……」

 

 どうにかしようとする彼女。

 

 「クレリア相手は無謀じゃないかなぁ……」

 

 「体の表面に沿って防御魔法を使うのはかなり高度なんですが……」

 

 挑発する私、ムキになるルフレ、そんな私達を眺めながら呟くアリアナとユリアルマ。

 

 彼女はのぼせるまで諦めなかった、その頑張りは認めよう。

 

 

 

 

 

 

 「クレリアちゃんギルドに行こ!」

 

 当番の者が朝食を作り食べ終えた後、ルフレが近寄ってくる。

 

 「そうだな、お前達は早く稼がないといけないしな」

 

 「そうなんです!」

 

 彼女はやる気があるようだ。

 

 「他の二人は?」

 

 「私達も勿論行くよ」

 

 「お金、稼がないとね」

 

 私の問いに答えるアリアナとユリアルマ。

 

 私達はギルドに向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 「ねえクレリアちゃんどの討伐依頼やる?」

 

 依頼表を見ているとルフレが話しかけてくる。

 

 「まだ決めてないがお前達は決めたのか?」

 

 彼女達は稼がなくてはいけないから早く決めないとまずいんじゃないか?

 

 「クレリアちゃんが決めてよー」

 

 ん?何かおかしいぞ。

 

 「なんで私が選ぶんだ?」

 

 「皆でやるんだし良く知ってるクレリアちゃんが決めたほうが良いでしょ?」

 

 一緒に依頼をやるつもりなのか。

 

 「言っておくが……一緒に依頼はやらないからな?」

 

 「えっ!?なんで!?」

 

 驚く彼女。

 

 「元々パーティーじゃないし、たまたま一緒に仕事をやっただけだ。私のミスで家を提供したが一緒に戦う訳じゃない」

 

 「ええー……」

 

 声を上げるルフレ、そんなやり取りをしているとユリアルマとアリアナがやって来る。

 

 「ルフレさん無理を言っては駄目ですよ」

 

 「元々あの時だけだったんだから迷惑かけちゃだめだよ」

 

 そう言ってルフレを止める、彼女はしぶしぶ諦めた。

 

 「たまには一緒に行こうね?」 

 

 笑って言うルフレ。

 

 「気が向いたらな」

 

 そう言うと彼女達は依頼書を見に行った。

 

 私は再び依頼書に目を向け選び始める。

 

 

 

 

 

 

 前日は近場で魔物狩りをして早めに帰った。共に過ごしている三人は特に問題なく私と暮らしている。

 

 今日は朝から商店を見に行く、彼女達はまだ寝ているようだし起こさないようにそっと家を出る。

 

 朝から大通りは人で賑わっている。

 

 店を眺めなら歩いていると酒屋が目に留まる、そういえば今まで酒を飲んだ事が無い。

 

 「いらっしゃい」

 

 酒屋に入ると辺りを見回す、様々な種類が置いてあるが見ただけではあまり分からない。

 

 「少し良いか?初めて飲む酒でお勧めはあるか?」

 

 店員か店主かは分からないが質問する。

 

 「初めてか……待ってろ」

 

 そう言って席を立ち店の一角からボトルを二本持ってきた。

 

 「この二本はアルコール度数が一番低くて果実を材料にしてる、試してみるならこの辺りが良いだろう」

 

 赤のラベルと白のラベルのボトルを見比べる……ま、買ってみるか。

 

 「この二本を買うよ」

 

 「毎度あり」

 

 酒屋を出てまたぶらぶらと道を歩く。すると動物の絵が描かれた店があった、見覚えが無い……最近出来たのか?

 

 「いらっしゃいませ!」

 

 店に入ると、瓶に入った白い液体が冷やされて並んでいる。

 

 「見覚えが無かったから入ったんだが……食品店なのか?」

 

 店員に疑問をぶつける。

 

 「はい、ここはモーと言う動物のお乳を売っています。いずれこの乳を原料にした他の製品も扱う予定です。この場で飲む事もできますから是非飲んでみてください」

 

 なるほど、まずは飲んでみないと何とも言えないな。

 

 「じゃあ一杯貰おうか」

 

 「かしこまりました。少々お待ち下さい……どうぞモー乳になります」

 

 グラスに入った真っ白な液体、私はそれを一口飲む。

 

 「……ほう」

 

 特に強い匂いは無い、しかし濃厚な味がするし仄かに甘みの様な物も感じる……。

 

 「美味いな」

 

 「ありがとうございます」

 

 これは買っていこう。

 

 「大瓶を十本くれ」

 

 「ありがとうございます、すぐご用意します」

 

 残りのモー乳を飲んでいる間に大瓶が揃えられたので飲み切ってグラスを返し、金を払って店を出た。これは普段から愛飲出来そうだ。

 

 モー乳をマジックボックスにしまい込んで大通りに戻る、今日はもう帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 家に帰り買った酒を取り出しグラスを用意する、まずは赤の酒、赤ワインを飲んでみる。

 

 「……うーん」

 

 思ったより甘くないし、苦くて変な臭いがする。

 

 飲めない訳では無いが……。

 

 「私はモー乳が良い」

 

 白い方も駄目だった。

 

 私はモー乳を取り出すと魔法でもう少し冷やして飲む……美味い。

 

 酒は我が家の三人組に譲ろう、誰か飲むだろう。

 

 三人は居なかったので昔買った本を読む。今度は新しい本を買おうと思いながらのんびりと過ごした。

 

 帰って来た三人に酒を譲りルフレに「まだまだお酒が分かってない」と言われた。

 

 今は分からんな、今後も分かるかどうかと言われれば……分からんな。

 

 

 

 

 

 

 翌日。いつもの様にギルドに来た私は、妙に偉そうにしている男達が居る事に気が付いた。

 

 男達は何を倒したとか他の冒険者は大した事無い等と話している。

 

 見覚えは無い、他の町から来たのか。

 

 話からするとランク7辺りなのだろう。

 

 私は興味を失い依頼書を見る、そうすると頭の上から声がする。

 

 「ん?なんでガキがランク5の依頼書の前に居るんだ?」

 

 先程の男達の一人だったような……?

 

 「私はランク5だぞ」

 

 そう言ってギルドカードを見せる、男は驚いたように言った。

 

 「マジかよ!ここのギルドはこんなガキをランク5にするのか?」

 

 驚き声を上げる男の声に反応し、仲間らしき者達が集まってくる。

 

 「どしたん?」

 

 「いや、このガキランク5らしいんだよ」

 

 「マジで!?このギルド大丈夫なのか?」

 

 口々に色々言う男達。

 

 そう言えば今まで見た目でこんな風に絡んでくる奴は居なかったな、ここのギルドの冒険者は良い方なんだな。

 

 「お前達は何故ランク5の所に来た?お前達の話が耳に入ったが、お前達はランク7辺りだろう?」

 

 「口の利き方がなってねぇガキだな……まあ教えてやる。俺達はランク7の実力があるがわざとランク5で止めてるんだよ」

 

 何かそうするだけのメリットでもあるのか?

 

 「実力ギリギリの魔物を倒すより余裕がある方が安全だろうが」 

 

 まあ、そうだな。

 

 「安全に稼ぐためにわざと上げて無いと言う事か」

 

 「そうだ、お前も賢く稼げよ」

 

 そう言って男達はギルドから出て行った、依頼は良いのか?

 

 私は依頼を取り、カウンターに向かう。

 

 

 

 

 

 

 私はカウンターで先程の男達の話を聞いてみた。

 

 「恐らく嘘だと思います」

 

 ギルド職員の男性はそう言った。

 

 「クレリアさんが聞いた魔物を本当に討伐しているなら強制的にランクを上げられるはずですよ」

 

 「そうなのか?」

 

 訪ねる私に説明してくれる。

 

 「上位のランクの魔物を討伐できる者を低いランクのままにする事は基本的にありません。冒険者の登場によって魔物は討伐されるようになりましたがそれでもその数は減っているといえませんから。そこまで実力がある者を下のランクに置いておく事は無駄でしかなく、更に下のランクの冒険者の仕事も減ってしまいますからね」

 

 「そうか。ありがとう、では討伐に行ってくる」

 

 「お気をつけて」

 

 職員に見送られギルドを出る。私も上のランクを討伐していたら半ば強制的に上に上げられていた訳だ、いずれは上げるつもりだが今はまだこのままで良い。

 

 

 

 

 

 

 それから一月程がすぎたある日、私はいつもの様に依頼をこなし家に帰り三人と共に食事をしていた、他愛のない話をしていたが、話が途切れた時ルフレが話しだした。

 

 「クレリアちゃんは知ってる?」

 

 「それで答えられるか、分かりやすく言え」

 

 そう言うと苦笑いしながらアリアナが話す。

 

 「少し前に討伐中のパーティーに魔物が乱入してきて、そのパーティーは一人を除いて全滅したみたいなのよ」

 

 「誰がやられた?」

 

 冒険者は命を懸ける、こんな事はそれなりにある。

 

 「えっと一月くらい前によそから来た男のパーティーがあったんだけど、知ってる?」

 

 そう聞いてくるアリアナ。

 

 「分からん」

 

 分からない物は仕方ない。

 

 「そっか……それで生き残った人の証言でその魔物が危険度7だってわかったらしいの」

 

 食事を止め真面目な顔で言うアリアナ。

 

 「この辺りにやって来たと言う事?」 

 

 そう言うとユリアルマが話し始める。

 

 「このギルドに危険度7の魔物を討伐できる冒険者は居ないわ……今別のギルドに討伐できるパーティーを要請しているみたい」

 

 この町は人類の勢力圏の中の方にある、辺境に行くほど凶暴で危険な魔物が増えるみたいだしな。

 

 「クレリアちゃんなら勝てそうなんだけどー?」

 

 ルフレが私を見ながら言ってくる。

 

 「どうだろうな。もうギルドで対策してるなら任せればいいと思うが」

 

 適当にごまかす。

 

 「とにかく、ギルドでも通達しているけど討伐されるまでは依頼は今まで以上に注意してやってね?」

 

 ユリアルマに言われて、私は頷いた。 

 

 

 

 

 

 

 それから一週間後、私は本を見に出かけていた。

 

 店には魔法を始めとした各技術書、戦闘指南書、創作なのか事実なのか分からない冒険記、料理などの本、歌や音楽の本、クレリア神教の本もあった。

 

 色々な種類ごとに良さそうな物を買って店を出る。

 

 早々に目的を終えた私はその足でギルドに向かった。

 

 危険度7の魔物の話を聞いたその日に魔物の情報が張り出され、見かけたらすぐに逃げる事、すでに応援を要請しており討伐の為のパーティーが向かっている事が連絡がされた。

 

 それでも相変わらず冒険者達は居座っている、犠牲者が出て危険度が高い魔物が付近に居ても冒険者達の暮らしは変わらないようだ。

 

 「クレリア、ちょっといいか?」

 

 そうして何か近場で討伐に行こうかと思って居ると冒険者の男に声をかけられた。

 

 彼はここのギルドの冒険者のはず……名前は知らない。

 

 「なんだ?」

 

 男の方を見る。

 

 「俺と付き合ってくれ」

 

 「断る」

 

 男の告白断ると肩を落として戻り仲間らしき数人に慰められている。

 

 最近私は告白を受けるようになった。今頃なぜ……と思ったが我が家の三人曰く、今までは様子を見ていた……らしい。

 

 「見事に切り捨てましたなぁ」

 

 ルフレが近寄ってきて言う。

 

 「なんでみんないきなり言ってくるんだ?」

 

 私はルフレに問う。

 

 「クレリアちゃんの性格から考えて直球が良いと思ったんじゃない?」

 

 ルフレは私を見ながら言う。

 

 「何をしても無駄だけどな」

 

 ルフレがその言葉を聞いてにやつきながら言う。

 

 「おっと?クレリアちゃんは女の子の方ふぁっ……」

 

 ふざけた事を言い始めたルフレの顔を掌で押さえる。

 

 「変な事を広めたらお仕置きするぞ」

 

 「クレリアちゃんのお仕置きって酷い事になる予感しかしない」

 

 ルフレを大人しくさせて再び依頼書に目を移し物色するのだった。

 

 

 

 

 

 

 あれからまた一週間が過ぎた。

 

 時々例の魔物……ハンドスネイクを見かけて逃げてくる者が居たが犠牲者は出なかった、そして今日リンガイルから討伐しに来た冒険者が到着する予定らしい。

 

 私はいつも通り朝から依頼書を見ていた、すると入り口が少しざわついて五人の男女が入ってきた。

 

 私は目を向け確認する。

 

 男三人の女二人、装備からすると男三人が前衛女二人が後衛だな、ハンドスネイク程度なら倒せそうだ。

 

 名前を知らなかったが姿絵を見て気が付いた事がある。

 

 この魔物はカミラと居た時に大量に襲い掛かってきた雑魚だ。

 

 そこそこ美味しかったので覚えている、大きい上に数が居たのでいまだにマジックボックスにかなりの数が入っている。

 

 これで今回の事は何とかなると考えた私は、今日の依頼を選ぶ作業に戻った。

 

 「では、頼んだぞ」

 

 「ええ……なるべく早く討伐しますよ」

 

 ふむ……そろそろランクを上げるか……?しかしここにはランク5までの魔物しか居ないからな……。

 

 「……っ!あの、そこの子……ちょっといいかな?」

 

 これ以上ランクを上げるには上位の魔物が生息している付近の町や村に移動しないといけない。

 

 「そこの考え込んでいる黒髪の君だよ」

 

 まだ三か月もたっていないのに移動するのはな……と思っていると私の肩に手を置こうとしているのを感じてかわす。

 

 「あっ……」

 

 手を伸ばしたまま固まっているのは黄色い髪の男だった。

 

 「なんだ?何か用か?」

 

 「偉そうな子供ねぇ」

 

 彼の仲間の女性から声が聞こえる。

 

 「……ここのギルドの子だよね?危険度7の魔物が出たから討伐しに来た冒険者なんだけど、この辺りを案内してくれないかな?目撃された場所とかさ」

 

 そう言ってくる男。

 

 「生き残りの男や目撃した者達が居る、そいつらに頼め」

 

 そう言うと困ったような顔になる。

 

 「えーと、何と言えばいいかな……君に頼みたいんだけど」

 

 「私は目撃した事も無いしここに来て三か月も経っていない。他にもっと詳しい者が沢山いるからそいつらに頼んでくれ」

 

 「……分かったよ」

 

 説明すると彼は引き下がり、ギルドを出て行った。

 

 

 

 

 

 

 討伐の為のパーティーがやってきて五日程が経った。

 

 「クレリアちゃんまたあいつ来てるの?」

 

 ルフレが心配そうに話しかけてくる。

 

 「ああ」

 

 よく頑張るものだ。

 

 「五日間ずっとだろ?魔物を探す合間に何度も来るよね」

 

 アリアナが言う、彼女も心配してくれているようだ。

 

 「まとわりつかれているってギルドに言ってみたらどうかしら」

 

 ユリアルマが提案する。

 

 「大丈夫だ。無理な事は言われないし断ればすぐに引く、その内討伐を終えて帰るだろう」 

 

 討伐できなければ稼ぎも無いんだ、あまり長い間討伐出来なけれは別のパーティーが来るんじゃないか?

 

 「そうだと良いけど……」

 

 ユリアルマは呟く、私はいつもの防具と剣を身に着け家を出る。

 

 

 

 

 

 

 「おはよう、クレリアちゃん」

 

 家を出てすぐの場所に例の男が立っていた。

 

 「頑張るなお前も」

 

 名前は聞いたはずだが、ロメオだったか……?

 

 「美しい君のためだ頑張りもするよ」

 

 私に近づいて来る彼。

 

 「討伐はどうだ?」

 

 私が問うと彼はにこりと笑い言った。

 

 「君が案内してくれたら上手く行きそうなんだけど」

 

 「何故私にそこまで頼む?」

 

 私が言うと彼は笑ったまま言う。

 

 「君が今まで見た事が無いほど美しいからさ」

 

 何の関係があるんだ。これが普通の男のアプローチ?というやつなのか?

 

 「このまま君が来てくれないといつまでも魔物が見つからないかもしれない、そうしたらいずれ誰かが犠牲になるかもしれないよ?」

 

 「何となく私が来なければ討伐しないと言っているようにも聞こえるが?」

 

 そう言うと彼は笑みを深くして言う。

 

 「いやいやそんな事一言も言っていないよ?ただ……君と住んでいる彼女達が危なくなる事もあるかもしれない」

 

 「言っている意味が良く分からないが」

 

 彼は急に真顔になり私を見て呟く。

 

 「案内をしてくれないなら彼女達を魔物の仕業に見せかけて殺す」

 

 「ほう……分かった」

 

 「良かった……では善は急げです今から行きましょうか」

 

 私の言葉を聞くと彼は微笑み、私を案内する……お前は選択を誤った。 

 

 

 

 

 

 

 彼について行き、ある程度森の奥に進むと彼の仲間がそろっていた。

 

 「ようやく連れて来たのかよロミオ」

 

 仲間の男が言う、ロミオ……そう言えばそんな名前だったな。

 

 「ようやく説得に応じてくれました」

 

 「脅迫の間違いでしょ」

 

 そう言うと女の一人が言って笑う。

 

 一応どういう事なのか聞きたいな、軽く自白誘導魔法を使っておくかな。

 

 「おい、お前達は何が目的なんだ?」

 

 そう言うと男の一人が言う。

 

 「簡単な事だ、お前で俺達が楽しむ、その後は金持ちに売る、お前が消えたのは魔物に食われたから……ほらな?」

 

 女がそれに続く。

 

 「快く案内を受けてくれたまだランクが低いアンタは私達からはぐれ、私達が必死に探すも間に合わず……悔いるような演技をすればそこまで問題にはならないわ」

 

 また男が話し始める。

 

 「討伐自体はするけどな、要請がある時は立候補して救援に行くぜ」

 

 最後に女が言う。  

 

 「稼げるものね」

 

 なるほどな……やるのは構わんが私の周りに手を出したのは失敗だったな。 

 

 もう一つ聞いておこう。

 

 「売買専用の場所などがあるのか?」

 

 そう聞くとロミオが微笑みながら答える。

 

 「あるよ。リンガイルのホレス・コルマノンと言う男の商会の敷地内に一部の者しか入れない場所がある、そこで売買が行われているよ」

 

 こんな所かな、私は魔法を解除する。

 

 「さて、では捕まえよう……出来るだけ傷つけるなよ、値が落ちる」

 

 ロミオがそう言うと、男が一人近づいてくる。

 

 「こんなガキ軽く気絶させればいいだろ……よく見れば装備も高そうだぜ」

 

 完全に油断して近寄ってくる男、前衛三人は剣、後衛二人は杖とナイフ、弓か。

 

 「私はこれでもランク5だ」 

 

 そう言って私の方から距離を詰め首を剣で一閃した。

 

 「っが?!ひゅ……」

 

 首から吹き出る血を手で必死に押さえながら倒れこむ男。

 

 「なっ!?」

 

 「くそっ!囲め!」

 

 慌てて武器を抜き構える雑魚達、ロミオと男が私を挟み、後衛の女達は男の後方で構えている。

 

 「たかがランク5だ!数もランクもこっちが上だぞ!」

 

 ロミオは武器を構えながら、冷静に言う。

 

 私は男に向かって身を低くして疾走する。

 

 「?!はやっ……」

 

 すり抜けざまに首を切り落とし後衛に駆ける、女達は驚愕の表情で固まっていたがすぐに動き出す……だが。

 

 遅い。

 

 わたしは内心で呟き、弓の女の首を切り裂くと流れる様に魔法で拳ほどの石を杖の女に打ち出す。

 

 「っ……」

 

 悲鳴を上げる暇もなく石が杖の女の頭を吹き飛ばした。

 

 私がロミオを見ると、彼は震えながら剣を構えていた。

 

 「あっ?えっ?」

 

 言葉にならない彼に私は微笑みながら優しく言ってやる。

 

 「大丈夫だよロミオ。君の仲間が言っていただろう?お前が消えたのは魔物に食われたからだと」

 

 ますます震えて座り込む彼に私は続ける。

 

 「私は君達と魔物を探す……不意打ちを受け私とロミオ以外が死んでしまうがロミオが私を救うために魔物と相打ちになる……そうだろう?」

 

 彼に近づきながら話を続ける。

 

 「ただまとわりつくだけならばここまでする気は無かった……しかし彼女達の命に手を出そうとするだけでなく私に手を出して来たのなら……生かしてはおけない」

 

 「ば、ばけもっ……」

 

 言い終わる前にロミオの頭が地面に転がる、その顔には恐怖が張り付いている。

 

 彼が最後に見た光景は、全身が黒い霧に覆われた人型が髪をなびかせる姿だった筈だ。

 

 「そこまで怖いだろうか?」

 

 私はそう呟いて処理を始めた。

 

 その後私は魔物を見つけ彼らの死体の場所で戦いそれらしくした後、殺した魔物をしまって帰った。

 

 

 

 

 

 

 その後は大体私の考えた通りに事が進んだ。

 

 ギルドに戻り奇襲されピンチになり、ロメオ達と共に戦い、最終的に彼らが命を捨てて助けてくれた事を出来るだけ矛盾が無いように語った。

 

 討伐したハンドスネイクを見せた事で討伐の成功と私の証言が信用され、戦闘を行った場所に調査メンバーが送られる事になり、ぐちゃぐちゃになったパーティーメンバー五人の死体が発見された。

 

 これによってリンガイルに魔物の討伐の完了とロミオ達五人の名誉の戦死が報告される事になりこの件は終息を迎えた。

 

 そして私はその戦いを守られたとは言え生き残った事でギルドからランク6への試験を受けに他の町へ行く事を勧められた。

 

 「リンガイルに行こうと思う」

 

 「リンガイルですか」

 

 私は現在ギルドのカウンターで男性職員と話している。

 

 ランク試験をどうするかと職員に聞かれ、受けると答えるとこの町の周囲で受けられる町を教えてくれた、その中に奴が話した町があった。

 

 「危険度相応の腕を持つ者達が居るのは当然ですが、あまり治安は良くありません。荒い者達も多いらしいですよ?」

 

 「大丈夫だ。力で分からせれば大人しくなる」

 

 そう言うと苦笑いする職員。紹介状を受取りくれぐれも気を付ける様に言われてギルドを出た。

 

 

 

 

 

 

 家に帰ると、我が家の三人娘がリビング待っていた。

 

 「行くの?」

 

 アリアナが聞いてくる。

 

 「ああ、行ってくる」

 

 「そっかー、クレリアちゃんが上に行くのは嬉しいけどさみしいなぁ」

 

 ルフレが頭の後ろに腕を組んで椅子にもたれる。

 

 「貴女なら平気だとは思うけど……気を付けてね?」

 

 ユリアルマは心配そうに微笑みながら私の手を握る。

 

 「私がどうにかなる事はまず無いと思うよ」

 

 そう言うと三人は、そんな感じの事を言うと思ってた、と笑った。

 

 それから半月ほどゆっくりし、出発の少し前に彼女達に家を好きに使っていい事、他の誰かを連れて来る時の決まりの取り消しを伝えてウルグラーデを旅立った。

 

 目指すはリンガイル、あんな奴等を送ってきた町を見に行こう。

 

 

 





 出来るだけ矛盾が無いように、おかしくないようにしたい。

 出来るかは別です。





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