少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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075-12

 

 二人が寝静まった深夜、私は談話室で本を読んでいた。

 

 「お母様、夜は盛り上がったみたいね」

 

 私の元にカミラがやって来た。

 

 「そうだな、あれほど集まるとは」

 

 夕食後のカードゲームには、四姉妹を含め二十七人の侍女が集まった。

 

 私と千穂と美琴を入れて合計三十人、予想以上に集まったためババ抜きでのトーナメントが行われた。

 

 「誰が勝ったの?」

 

 「サクラだ」

 

 優勝したのは侍女隊の一人であるサクラという娘だ。

 

 彼女に優勝賞品として何か欲しい物は無いかと聞くと、私の一日専属侍女になりたいと答え、彼女はその権利を得た。

 

 そんな物で良いのかと思ったが、本人が喜んでいる様だったので何も言わなかった。

 

 「ババ抜きは運の要素が強いものね」

 

 カミラは微笑みながらそう言うと、侍女に酒を頼んだ。

 

 実際には多少技術もあるらしいが、それでもほとんど運らしいな。

 

 現在世界に存在するトランプ、オセロ、サイコロなどを始めとしたいくつかの物は、以前に友人が面白い遊戯を作ろうと悩んでいた時に教えた物だ。

 

 最初に考案したのは魔法人類だが、人類でも作製可能な物だったので教えた所、世界中に広がった。

 

 友人達は考案者として私の名を出すべきだと言ったが、元々私が考案した訳では無い事、名を広めたくない事などを説明し、ゲームは友人の名で広めて貰った。

 

 その為、人類の間では考案者はその友人達になっている。

 

 「明日は海よね?」

 

 カミラは用意された酒を一口のみ、私に尋ねる。

 

 「そうだ、クルーザーに乗せて島の周囲を回ろうとも思っている」

 

 「いいわね。運が良ければイルカやクジラにも会えるでしょうし」

 

 「会えるだろうな」

 

 「ふふっ……そうね、お母様がいるものね?」

 

 カミラと共に明け方まで過ごし、私は部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 翌日、私達は海へとやって来た。

 

 「海だー!」

 

 「凄く綺麗……」

 

 千穂は叫んで海に突っ込み、美琴も後に続いて海へと入って行く。

 

 侍女達は私達と共に浜辺に到着すると、素早く準備を始めた。

 

 今日は全員いつもの侍女服では無く、水着を着ている。

 

 「底が見えるわ……テレビでも見たけど、実際に見ると感動するわね」

 

 「しょっぱい!」

 

 美琴は感動しているようだが、千穂は何をしているんだ。

 

 「当たり前だ」

 

 「へへへ……」

 

 私の言葉に恥ずかしそうに笑う千穂。

 

 「千穂、海のしょっぱさや味は場所によって違うらしいわよ?」

 

 「え?ホントに?」

 

 美琴の情報に反応する千穂、確かにカミラも料理に合わせて塩を変えていたな。 

 

 そんな話をしている間に準備を終えた侍女達が海へと入って来た。

 

 常に数人の侍女を残し、交代で遊ぶ様だ。

 

 「主様、共に楽しませていただきます」

 

 「私達が遊んでいるのを、ただ見ていろと言う気は無いからな」

 

 「ありがとうございます」

 

 波打ち際で侍女達と会話を交わす。

 

 「娘達と海で遊ぶのも久しぶりだ……楽しむと良い」

 

 「はい……お母さん」

 

 彼女達は微笑み、思い思いに遊び始めた。

 

 二人を見れば少し離れた所でそれぞれ侍女から浮き輪を受け取っていた、忘れていたのを持って来て貰ったのだろう。

 

 私は手前に居る美琴の元へ向かう。

 

 「美琴、私は少し泳いでくる」

 

 「大丈夫?」

 

  美琴は心配そうだな。

 

 「大丈夫だ、侍女達も居るしここは遠浅だからな。お前も一緒に来るか?」

 

 「そうね、私も行くわ。千穂ー!私クレリアちゃんと泳いでくるねー!」

 

 「待ってー!私も行くー!」

 

 離れた所で浮き輪で浮いていた千穂がこちらへやって来る。

 

 「では行こう」

 

 私達はまとまって沖の方へと進む。

 

 少しずつ緩やかに深くなり、十分な深さになった所で私は潜った。

 

 「おお……海が透明だからクレリアちゃんが泳いでるのが良く見える……」

 

 「泳ぐの上手なのね……長い黒髪がなびいて人魚みたい……」

 

 泳いでいるが、私には二人の声が聞こえる。

 

 人間の泳ぎ方もたまには良いな。

 

 二人も浮き輪を使いながら海上を泳いでくる、私は一旦浮上して彼女達を待った。

 

 

 

 

 

 

 途中で侍女達も合流し、しばらく皆で海の生物を見たりしながら泳いでいると、呼んでおいたウミガメがやって来た。

 

 私が意識を向け再び呼ぶと、ウミガメは私の方へ近づいてくる。

 

 「皆、こっちにウミガメが来る。きっと一緒に泳げるぞ」

 

 「ほんと!?どこどこ!?」

 

 「千穂、こっちに来てるわ!」

 

 ウミガメはそのまま私達の間に入ってくる。

 

 「うわー!一緒に泳いでるよ私!」

 

 「凄いわ!最高!」

 

 ウミガメに掴まって泳ぐ事が出来た二人は嬉しそうだ。

 

 しばらく楽しんだ後、私は二人にそろそろ開放するように言う。

 

 私が二人から解放されたウミガメの頭を感謝を込めて撫でると、ゆっくりと離れて行った。

 

 「主様、一度戻って休憩しませんか?」

 

 侍女の一人がそう言って来る、二人の事を考えて提案してくれたのだろうな。

 

 

 

 

 

 

 私達は海から上がり、ビーチチェアに座りながら飲み物を飲んでいる。

 

 「運がよかったね!ウミガメと泳げるとは思って無かったよー!」

 

 「そうね、私も興奮しちゃったわ。クレリアちゃん、この辺りにウミガメはよく来るの?」

 

 「それなりに珍しい事だ、運が良かったな」

 

 質問に答え、私はスポーツドリンクを飲んだ。

 

 実際には呼んだ訳だが、そんな事はどうでも良い事だろう。

 

 その後、ビーチバレーで侍女達が激闘を繰り広げ二人が驚いたり、砂浜に砂の山を大量に作って砂遊びをしながら過ごし、一日が過ぎて行った。

 

 

 

 

 

 

 家に戻るとすぐに風呂に入り夕食を終え、談話室に私達は集まった。

 

 「二人共、体調は大丈夫か?」

 

 「うん、平気だよ」

 

 「私も大丈夫」

 

 二人の体を調べたが問題は無い様だな。

 

 「明日は二人が良ければクルーザーで少し沖へ行こうと思う」

 

 「行きたい!」

 

 「船酔いしないか心配だわ……」

 

 千穂はいつも通り興奮気味に答え、美琴は船酔いの心配をしている。

 

 感じ取った事があるので船酔いが辛い状態である事は何となく分かっている。

 

 辛いという感覚も私は直接感じた事は無いため、「何となく」という表現にしかならない訳だが。

 

 「美琴さん、当日酔い止めの薬をお渡します」

 

 そばに控えていたヒトハが美琴に声をかける、いつの間にか名前呼びになっているな。

 

 「ありがとうヒトハさん」

 

 『用意しているのか?』

 

 私は念話でヒトハに問う。

 

 『いえ、偽物です。これを飲んで頂いて魔法で船酔いを起こさない様にすれば、薬の効果だと思うでしょう』

 

 そういう事か。

 

 「美琴、どうする?駄目なら無理に行かなくても構わないぞ?」

 

 「薬も用意してくれるみたいだし。それに……滅多に出来ない事だから、行かなかったら後悔しそう」

 

 私の確認に美琴が答える。

 

 少ない機会を活かすのは悪い判断では無いと思う。

 

 「運が良ければイルカやクジラも間近で見られるぞ」

 

 「うわー!美琴!イルカとクジラだって!」

 

 「……やっぱり行かなかったら後悔するわね。絶対行くわ……」

 

 私の言葉に千穂は大喜びし、美琴は心を決めた様だ。

 

 「千穂、今日は明日の為に少し早めに寝ましょ。体調を崩したら悔やみきれないわよ?」

 

 「そうしよっか……寝れるかなぁー?」 

 

 「あんたは寝れるでしょ」

 

 「へへ……凄い?」

 

 「……凄いと思うわ」

 

 しばらく私達は会話をしていたが、明日に備えていつもよりも早く二人は眠りについた。

 

 

 

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