少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 時間が飛びます。

 主人公的には町長も楽しんでやるかもしれませんが、作者が町長の仕事の内容を知らないので主人公はお飾りです。

 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。



016-01

 私がリンガイルの町長になって十年が過ぎた。

 

 町はそれなりに大きくなり私は気まぐれに町の経営に関わりながら町の発展を楽しんでいたが、この十年で変わった事もある。

 

 それは奴隷が生まれた事だ。

 

 魔法が浸透するにしたがって魔法の力がある者が無い者を差別し始めた、それはこの十年で広がり各町に奴隷が生まれた。

 

 待遇は様々で家畜の様に扱う者もいれば通常の雇用者と変わらない扱いをする者も居る。

 

 魔法と言う絶対的な力の差によって奴隷達は押さえつけられ、各町の有力者は奴隷を逃がさない為の防壁や、私兵団を作り脱走を防ぐようになった。

 

 そんな中、私が居るこの町は奴隷と言う身分は存在しない。

 

 町人は奴隷が欲しいかもしれないが冒険者達は奴隷を作ろうとしなかった。

 

 この町の力の中心である彼らが反対だった事が影響して今の所誰も奴隷を所有していない。

 

 まあ恨みから戦闘中に裏切る者も居るからな。奴隷など作っても使い道が無い上に信用出来る訳がない。

 

 そういった事もあり他の町からたまに奴隷が逃げてくる事がある。

 

 町の運営をしてる者達が受け入れたりしているうちに町が大きくなっていった。

 

 以前に現在もギルド長をしているランドレイに奴隷について聞かれたが、見知らぬ誰かに対して思う事は無いと答えた。

 

 彼は私らしいと苦笑いしていたな。

 

 今も奴隷の話題は町の会議で持ち上がる。

 

 やはり奴隷が欲しい者は一定数いるようで、こうして久しぶりに出席した会議でもどうするか話している。

 

 「町長はどうですか?」

 

 運営者の一人の男から聞かれる。

 

 「以前ランドレイに聞かれたが答えは変わらないな。見知らぬ誰かに思う事は無い……大体私の判断基準は私に不利益をもたらすか、もたらさないかが大きい。どうしようと私に不利益が無いのなら良い、後は私の知人が奴隷になっていたら助ける位か」

 

 「つまりどちらでも良いと言う事ですね」 

 

 そう聞いてくる男。

 

 「違うな」

 

 「……どういう事です?」

 

 疑問を浮かべる出席者達。

 

 「お前達は奴隷を作る事と作らない事、私がこのどちらの方針でも良いと思っているようだな」

 

 頷く彼ら。

 

 「私は奴隷制度自体に興味が無い。どう言えばいいか……そうだな……どうでもいい……この言い方が良いかな」

 

 この町に十年いる間に私は少し攻撃的になっているような気もするな。

 

 姿が変わらず長く生きている私も精神……心とでもいう物は様々な影響を受けて変わっているようだ。

 

 「な、なるほど」

 

 私の言いたい事が何となく伝わったのか出席者の面々は再び話し合いを始めた。

 

 彼らが私の事を咎めないのは彼らはこの十年で私がこうである事を色々あって知っているからだ、だから特に何も言って来ない。

 

 冒険者としてはランクが6なままだと言うのに今ではこの町で最強の町長だと陰で呼ばれているようだ。

 

 後は子供町長とかな……聞こえているぞ。

 

 

 

 

 

 

 今日は私の関われそうな話は無さそうだ、会議を抜ける事を伝え自宅へ帰る。

 

 ウルグラーデの家はかなり前に共に住んでいた三人娘に譲った。

 

 無事借金を返済したと手紙が来た時にウルグラーデに行き、所有者の変更をして押し付けた。

 

 今はこの町の町長になった時に貸し出された家に住んでいる。

 

 ウルグラーデの家程では無いが十分に良い家だ。

 

 私は家のソファに身を沈め奴隷の事を考えた。

 

 奴隷が発生した遠い原因であるケインも特に何も思っていないだろう。

 

 こう言った事が起こる可能性をずっと教え込んできた、覚悟の上だっただろうからな。

 

 そう考えていると、家の扉が叩かれた。

 

 「町長ー?おすそ分け持ってきたよー」

 

 「そうか、開いてるから入っておいで」

 

 そう言うと少年と少女が入ってきた、少年は動物の肉の塊をぶら下げている。

 

 「今日獣狩りに行ったんだ……でこれが獲物!」

 

 そう言って肉を持ち上げる、嬉しそうだな。

 

 「そうか、守ってくれた冒険者の言う事はちゃんと聞いたか?」

 

 そう言って獲物を受け取る。

 

 「うん!」

 

 「嘘よ!彼ったらまだ動くなって言われたのに物音を立てて一度逃げられたもん、あたしも狙ってたのに!」

 

 元気に答える少年とばらす少女、少年は気まずそうだ。

 

 「良いか。その獲物が逃げる相手だから良かった……もし向かって来る獲物であったら誰か怪我をしたかもしれない」

 

 「うん……」

 

 俯いて答える少年、この年なら仕方ないが何かあってからでは遅いからな。

 

 「だけど……絶対に譲れない事があるなら迷わず動け。譲れない事の為に強くなれ」

 

 少年の頭を撫でる。

 

 「う、うん……」

 

 隣の少女をちらっと見て答える少年。ほほぅ……頑張る事だ。

 

 「おねえちゃ……町長、私がこの肉でご飯作っても良い?」

 

 少女が話しかけてくる。

 

 「構わない、他の材料も好きに使ってくれ、後呼び方は無理しなくても良いぞ」

 

 「うん……おねえちゃん」

 

 そう言うと少女は恥ずかしそうに答えて笑い、キッチンに向かっていった。

 

 「おい、肉を忘れているぞ。彼女に肉を渡してくれ……ついでに手伝ってやって欲しい」

 

 私が少年に肉を渡しながら言う。

 

 「え?……う、うん」

 

 彼は肉を持ってキッチンに走って行った。

 

 彼はその時、動くのか逃げるのか……。

 

 しばらくキッチンから聞こえる騒がしい二人の声を聴きながら私はモー乳を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 ここでの私は人間と森人のハーフと言う事になっている。

 

 特徴は受け継がなかったが寿命は恐らく同じくらいあると言い、皆は納得した。

 

 こんな簡単な言い訳を今まで気が付かないまま暮らしていたとは……気が付いた時私は自分に呆れていた。

 

 これにより長期間一か所に滞在しても全く違和感がなくなり、気にしなくて良くなった。

 

 少年達が獲物をおすそ分けしてくれた数日後、私はリンガイルのモー乳販売店に向かっていた。

 

 以前ウルグラーデへ少し行った時にリンガイルにも出せないかと交渉し、町長の立場を利用して試験的に店を出した。

 

 それなりの数が売れそのまま正式に出店となり、今ではここで製品が買えるようになった。

 

 「あ、町長。いらっしゃいませ」

 

 女性店員が声をかけてくる、頻繁に来るから店員も慣れた物だ。

 

 そのまま飲むだけではなく紅茶に入れても良いし料理にも使える、私はそのまま飲むのが一番多いが。

 

 「いつものと……今日は何かあるか?」

 

 新しい製品があるか店員に確認する、ここの製品は美味い。

 

 「すいません、まだ開発中なんです」

 

 申し訳なさそうに言う。

 

 「大丈夫だ、急いで出来が悪くなったら困る。じゃあ今日はこのシュークリームを五個貰おうか」

 

 取り合えず今日買う物を注文する、私は待っている間店員と話す。

 

 「経営は問題無いか?」

 

 「はい、特に何も」

 

 製品を用意しながら答える。

 

 これは町長として聞いておくべき事だ……多少はこの店が無くなると困るので潰れそうなら助けようと考えているが、あくまでも町の責任者として聞いている。

 

 「いつものモー乳の大瓶五本とシュークリーム五個です、どうぞ」

 

 「ありがとう」

 

 金を払って製品を受け取り、ボックスに入れて店を出る。

 

 家への道を歩いていると後ろから忍び寄る気配がある、そして私に手を伸ばした時その手をつかむ。

 

 「あっ……」

 

 その手は私のワンピースのスカートに伸びていた。

 

 「懲りないなお前は」

 

 そう言いながら少し握る力を籠める。

 

 「あだだだっ!!」

 

 痛みに苦しむスカートめくり青年。

 

 私の隙を狙ってやって来る……こいつは子供の頃から知っている。

 

 成長したら言わなくなったが昔は私を嫁にするとか言ってたな。

 

 「もう諦めろ」

 

 「絶対めくる……俺の夢だ」

 

 そう言って胸を張る青年、駄目だこいつ。

 

 「私が言う所に言えば普通に犯罪者だぞ」

 

 「だって町長良い年なんでしょ?」

 

 そう言って私に返す青年。

 

 「馬鹿者、いくつであろうと犯罪だ」

 

 そう言いながら手を放す。

 

 「くそー……いつかめくってやるからな!」

 

 掴まれた場所をさすりながら負け惜しみを言って逃げていく、私にかまって欲しいだけなんじゃないのかあいつ。 

 

 

 

 

 

 

 そんな暮らしをしていた時、恐らく人類の歴史に残る魔法が生まれた事を耳にした。

 

 それは隷属魔法だ。

 

 対象にかける事で命令を拒絶出来なくなり、主と設定された者に危害を加える事も出来なくなる。

 

 もちろん魔力抵抗で破る事は出来る。しかしそれほどの差がある事など通常はまず無い。

 

 これによって元々魔法が使えない者は次々魔法がかけられ、遂には奴隷を使う側だった者にも使われるようになった。

 

 まだ実際に見てはいないが隷属魔法は簡単にかけられるものでは無い筈だ、恐らく相手を捕らえ拘束していなければかけるのは難しいと考えている。

 

 そして……その魔法を開発した者が町の者をひそかに奴隷として縛っていき町を支配し、他の町へ略奪を行ったようだ。

 

 奴隷達に落とされた町の住人は奴隷にされ、主とやらの支配下になった。

 

 かけられなかった冒険者の一部も流石に町を……更に言えば知り合いを多く含む奴隷達を相手にする事など出来なかったらしく、従うしかなかったようだ。

 

 それだけなら事は簡単だった、他の町と力を合わせ攻め落としてしまえばいい。

 

 だがその主とやらは隷属魔法の習得の仕方を各町の有力者にばらまいた。

 

 そしてそれを手にした有力者達は何を思ったかその主の様に町を支配し、同じように他の町へ略奪を行ったのだ。

 

 こうなればもう止まらなかった。町同士で争い合い奴隷とされた者達が死ぬようになり各町の間で戦争が始まった。

 

 隷属魔法が開発されてからここまであっという間だった。私の元にその話が来た時には既に戦争が始まっていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 「投降するべきだ!大人しく従えばきっと平気だ!」

 

 「あいつらを信用するのか!?誰彼構わず奴隷にして他の町を略奪するような奴らだぞ!?」

 

 「ここは冒険者の町よ。負ける事は無いはずだわ……戦いましょう」

 

 それからすぐに流通が停止した。

 

 今はこれからどうするべきかの会議なのだが……会議は荒れていた、何処かの町に投降しようと言う者、反対する者、徹底抗戦を選ぶ者。

 

 「クレリア、どう思う……?」

 

 ギルド長のランドレイが私に聞いてくる。

 

 ふむ……。

 

 「これは私の個人的な考えだが良いか?」

 

 そう言うと彼は頷く。

 

 「私としてはまず全力で抵抗し攻めてくる相手に徹底的に打撃を与える。その後にこちらの要求を呑んでくれれば敵対しないと相手に伝える」

 

 「それで?」

 

 「何度でも繰り返し続ける、幸いこの町は魔物の生息域に近く何とか自給自足が行える場所にある。こちらが守りを固め一方的に犠牲が増えれば、その内悪戯に犠牲を出すよりも要求を呑んで中立にした方が良いと考え始めるだろう」

 

 彼は黙って聞いている。

 

 「最終的に他の町が全て誰かにまとめられてしまえば勝ち目はないが、下手に手を出すと予想以上の被害が出ると分からせる事が出来れば侵略ではなく取り込もうとするかもしれない」

 

 続きを促す彼。

 

 「この方法はこの町だから出来る方法だ。冒険者の数と質が一定以上無いと耐えきれずに終わる……それに今なら私もいるしな」

 

 「戦力的に問題は無いんだな?」

 

 彼は私に問う。

 

 「今はどの町も敵対し合っている。二つ以上の町の戦力が攻めて来る事はまず無いはずだ、一つの町同士の戦力なら冒険者の多いこちらが有利だ……その上奴らはお互いが邪魔で私達に全力が出せない」

 

 「それは?……そうか!」

 

 私はランドレイに答える。

 

「全戦力を私達に向ければ他の町がその隙を突き攻めて来るかもしれないだろう?奴らは町に守るだけの戦力を残すしかない」

 

 彼は頷く。

 

 「そして出来るだけ討伐も行い食料を蓄え、薬品も作っておく、これからの為に」

 

 そう言って椅子にもたれかかり続ける。

 

 「どうなるかは分からない。相手がどういった考えをしているか分からないからな……私の考える通りかもしれないし、手を組んで来てしまうかも知れない。また別の何かが起こるかも知れない」

 

 考え込む彼、私はもう少し続ける。

 

 「……私も初めての事でこれからどう変化していくかは分からない」

 

 どうなるか楽しみではあるが。

 

 ここまで語ったが、私が話し始めてから周りが静かになっていた。

 

 「町長」

 

 誰かが私に言い会議に出ている者達が私を見ている……これは私の言った事が採用されそうな気配がする。

 

 「それでいきましょう」

 

 「あくまでもお前達次第だと言う事を忘れるなよ?」

 

 その後、敵が隷属魔法で縛られているだけの人間かも知れないと知っても方針が変更される事は無かった。

 

 こうしてリンガイルの方針が正式に決まった。

 

 

 

 

 

 

 方針が決まった後、私は席を立ち家に帰るとケインに念話をつないだ。

 

 『聞こえるかケイン』

 

 するとすぐに反応があった。

 

 『はい、私も連絡しようと思っていました』

 

 『そちらはどうだ?』

 

 『ウルグラーデはまだ無事です。私が居る事と貴女の弟子達が居た事、更に学校もあるためかこの町には全く手を伸ばそうとしていません、それどころかどの町も気を使っているようです』

 

 流石にケインとその学校には手を出さないか。

 

 『そうか、お前達の名と学校は有名だしな』

 

 『リンガイルはどうですか?』

 

 ケインは私がリンガイルの町長だと知っている。

 

 『徹底抗戦だな、リンガイルに手を出すと痛い思いをすると獣達に教えなければな』

 

 そう言うと笑い声が聞こえる。

 

 『師の事ですから心配はしていませんがお気をつけて』

 

 『ああ、お前はウルグラーデと生徒達を気にしていろ』

 

 そう言って念話を解いた。

 

 後日決定した方針を町に伝達したが反対は殆ど無く、実行が決定した。

 

 

 




 これから人の世界がどうなるのか実は結構楽しみな主人公。





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