掲示板などはある程度の回数を書くつもりでいます。
主人公の活動に対するファンや世間の反応、現在の主人公が大体どう思われているのか書けたら良いなと思っていますので。
【現在人気急上昇中の新人アイドル!クレリアさんへのインタビュー!】
――いきなりで申し訳ありません。これは聞いておきたいのですが……本当に26歳なのでしょうか?
本当だ。国にも登録されているし、免許証も持っている。
――アイドルデビューされたきっかけは?
友人と街を歩いていた時に現在のプロデューサーにスカウトされた、彼も最初は私を子供だと思っていた。
――実際にアイドルになってみて驚いた事はありますか?
皆が私の事をこれほど受け入れてくれるとは思っていなかったから少々驚いたな。
――アイドルになって大変だと感じた事は何ですか?
今の所、大変だと感じた事は一度も無い。
――好きな食べ物と飲み物は?
私が美味いと感じる物と牛乳。
――嫌いな食べ物は?
私が不味いと感じる物。
――得意な事は?
運動。
――苦手な事は?
恋愛関係。
――好きな異性のタイプは?
恋愛感情が無いので答えられないが、友人としてなら何があっても変わらず友人で居てくれる者だな。
――クレリアさんの歌やダンスは素晴らしいですが、以前からトレーニングをしていたのですか?
いや、フラワープロダクションに所属してから初めて歌い、ダンスをした。
――2013年7月に所属してから初めて歌い、ダンスをしたという訳ですか?
その通りだ。今までそのような事はした事が無かったが、やってみれば簡単だった。
――これから更に人気が上がると思いますが、これから先やってみたい事はありますか?
他のアイドル達がやっている事は勿論、今まで誰もやっていないような事も一度くらいはやってみたいと思っている。
――これからの目標などはありますか?
目標は特に無いな。ただ、行ける所までは行こうと思っている。
――最後にこれを読んでいる読者の方に何か一言
特に無い。
【クレリアさんについて語るスレ】
10:名無しのアイドル好き
クレリアのインタビューわろたw
11:名無しのアイドル好き
特に無いw
12:名無しのアイドル好き
大変だと思う事も無く、やったら簡単だったとか……何だこの圧倒的強者感……
13:名無しのアイドル好き
大雑把な好き嫌いと恋愛苦手アピール、徹底したキャラ作り好き
14:名無しのアイドル好き
全くブレないな……だがそれが良い。
15:名無しのアイドル好き
プロデューサーも最初は子供だと思ってたんだな
16:名無しのアイドル好き
あの姿見て26だと思う方がおかしいだろ
17:名無しのアイドル好き
だよなぁ……
18:名無しのアイドル好き
俺も牛乳好きだよ
19:名無しのアイドル好き
そうか(無関心)
20:名無しのアイドル好き
自分を受け入れてもらえると思って無かったとか、悲しい過去の匂いがする
21:名無しのアイドル好き
悲しい過去(という設定)
22:名無しのアイドル好き
恋愛関係全般が苦手とか、恋愛感情が無いっていうのはやっぱり配慮してるんやろな
23:名無しのアイドル好き
恋愛はアイドルにはやっぱり難しいよな。好きなアイドルに彼氏がいたらちょっと……ってなるし
24:名無しのアイドル好き
本当のファンとは……
25:名無しのアイドル好き
それはもういい
26:名無しのアイドル好き
性格はともかく、やっぱりかわいいんだよなぁ。あの姿だけで全部許しそう……というか許す。
27:名無しのアイドル好き
きっと裏では彼氏とかいるんだろうな、下手すると既婚者である可能性もあるぞ
28:名無しのアイドル好き
うーん……プロダクション側が許すかなぁ……?そんな危ない橋渡らせないと思うけど
29:名無しのアイドル好き
もし居たらそいつはロリコン
2013年の11月に入っても、私の人気は上がり続けている。
現在、私は歌番組で歌う準備をしている。
サイン会や雑誌の取材などをこなしつつ、こうしてテレビにも出るようになっていた。
今回は同じフラワープロダクションに所属しているアイドル三人で結成された「シーレーン」と言うアイドルグループも出演している。
本番前に少し話す機会があったが、表面上は人当たりの良いアイドルとして私と話していた。
本心では私の事をあまり良く思っていないようだが。
「本番お願いしまーす!」
準備が終わった事を知らせる声がする。
私がステージへと上がると、合図が行われ伴奏が始まり……私は歌い始めた。
「いや、ほんと凄いねクレリアさんの歌は!普通は生で歌うと質が下がる物なんだけど……君は本当に変わらないね!」
番組が終わった後、私は歌番組のプロデューサーに称賛の声をかけられていた。
このプロデューサーの言っている事に間違いは無い、私は意識して行わない限り何度歌っても質がブレる事が無いからだ。
「ありがとうございます」
私の代わりに綾子が礼を言う。
「これからまだまだ新曲を出すんだよね?その時はぜひ来て貰いたい」
プロダクション側が手をまわした成果は確実に現れていた。
最初は問題視されたが、プロダクション側の方針だという事が周知され浸透すると、そういうキャラなのだと判断された。
勿論、今でも「収録外では礼儀正しくしろ」という者は多いが「そういった事はプロダクション側へお願いします」と綾子に言いくるめられていたな。
私はシーレーンから向けられる憧れと嫉妬が混ざった感情を感じながら、綾子と番組プロデューサーの会話を聞いていた。
それからも私は順調に仕事をこなし、12月12日にセカンドシングルとなる「ポーカーフェイス」が発売された。
無表情な少女が、心の中で家族や友人との日々を楽しんでいる姿を表現した曲らしい。
友人達は私の現在をよく表している曲だ、と言っていたな。
幸いな事にこのセカンドシングルも大いに売れ、ファーストシングルに続きランキングの一位を独走した。
その後もテレビ番組などの仕事をこなし続け、知名度と人気は上がって行く。
そして、この頃から業界内での私の扱いが大きく変わり始める。
プロダクションの方針という隠れ蓑と想定以上に世間に受け入れた事でほぼ問題は無くなっていたのだが、更に効果があったのは急激な人気の上昇だった。
急激な人気の上昇に伴うファンの増加と、ファンの増加に伴う売り上げの増加。
そこから想像出来る今後の更なる活躍への期待が、業界関係者の口を塞いだ。
その結果、私に口出しして来る者が居なくなってしまった。
人類の趣味が多種多様な物である事は知っているが、私の受け答えが多くの人類に気に入られるとは。
今もファンは増え続けていて、シングルの売り上げも伸び続けている。
カミラを始めとした娘達は、私の外見が人類にとって非常に好ましい物であるという事と、並ぶ者が居ない実力がある事。
この二つが人気に大きく影響しているのではないか、と言っていた。
現在テレビ出演に押されて雑誌などの仕事は減っているのだが、私は水着を着る仕事が一回も無かった事に気が付いた。
綾子に理由を尋ねた所「やりたい訳では無いでしょ?」と言われ理由を説明される事は無かった。
私は特に追及する事無く引いた。
やりたいと思っていなかった事は確かだし、何より綾子が追及されたくない様だからな。
2013年の年末が近くなって来たある日、私は京介に呼ばれてフラワープロダクションへやって来た。
人気の上昇に伴い、フラワープロダクション内の私の立ち位置は以前と大きく変わっている。
簡単に言うと、周囲が新人扱いをしなくなった。
更に言えば、プロダクション内でも善意や悪意を向けられる事が増えた。
私は向けられている感情を感じながら、京介と綾子が待っている会議室へと向かう。
「いらっしゃい。さて、早速だけどクレリアさんのこれからの新曲のリリースについて話をするよ」
会議室の椅子に座ると京介が口を開いた。
「年末年始は約束通り仕事は入れていないけど、年明けからは一か月に一曲、場合によっては二曲リリースしていく」
「分かった」
「クレリア、大丈夫?」
綾子が心配するが、全く問題無い。
「ファーストシングルもセカンドシングルもすぐに納得の行く完成度に出来ただろう?時間も大してかからないから問題は無い」
私がそう答えると、京介が微笑んだ。
「心強い言葉だね。……実際、この方針に決まったのはクレリアさんが新しい歌やダンスを短時間で高い完成度でこなせる事が理由なんだ」
「今までクレリアは疲れを見せた事は無いし、とてもスケジュール調整が楽だけど……やってみてきつかったら言ってね、急なスケジュール調整でも何とかして見せるわ」
綾子が念を押す様に言って来る。
「ありがとう、その時は頼んだ」
「任せて」
私の言葉に、綾子は力強く答えた。
私自身は本当に全く問題無いが、今の彼女達にそんな事が分かる訳も無い。
彼女は私が無理をしているのではないかと事あるごとに私を気遣い、問題が無いかを聞いてくる。
そこまで気にかけてくれる事は感謝しているが。
今はこうだが、もっと付き合いが続けば本当に問題が無いのだと分かってくれるだろう。
千穂と美琴も似たような物だったからな。
「続きを話そうか。持ち歌を増やした後は、単独ライブの開催とファーストアルバムの発売を予定しているよ」
ライブとアルバムか、体力的に限界が無い私ならどれだけ長くてもライブは可能だな。
「ライブは日本武道館や東京ドームも視野に入れているよ」
「その辺りは任せる、何人いようと私がやる事は変わらないのだろう?」
私がそう言うと二人は笑った。
「いやぁ……本当にクレリアさんは度胸が凄いなぁ……僕の方が緊張する事になりそうだ」
「私もクレリアと色々な現場に行っていますけど、彼女が緊張しているのを見た事ありませんからね……いつも私の方がハラハラして見ていますよ」
緊張か……相手から感じる事はあるが、私自身はした事が無いな。
「京介、何かあったか?」
ある日、打ち合わせの為にフラワープロダクションにやって来た私は、京介の様子を見て問いかけた。
「……なんでそう思う?」
「お前、意外と顔に出るんだな」
読み取るまでも無く分かるぞ。
「例の件ですか?」
隣にいる綾子も思い当たる事があるのかやや暗い表情で言う。
「何か問題があるのか?」
「まあ……だけど、これはクレリアさんに関係する問題では無いから」
京介は軽い口調でそう言うが、表情は暗い。
「そうか」
その話はそこで終わり、私のこれからの今後についての話を始めた。
その後、一通り話し終えた京介は部屋を出て行った。
「はあ……」
残された綾子が溜息を吐く。
「何があった?」
「いえ……クレリアに言う事では……」
「関係が無いと言うのなら他の者の前では隠し通せ。京介は表情に出ていて意味が無かったが、溜息は吐かなかったぞ」
「……ごめんなさい」
綾子は申し訳なさそうな顔をして目をそらした。
「私のマネージャーとしての仕事に影響が出ないのなら構わないが、その様子では微妙な所だな。……取り敢えず話してみろ、私は立場上どの様な話でも気にしないし、誰かに話したりもしない」
「立場上……って、クレリアってアイドルになる前は何してたの?」
そらしていた目をこちらに戻す綾子。
京介からは相手を選んで話す様に言われているが、彼女にならもう話しても構わないだろう。
「私は月下グループの人間だからな、場合によっては手を貸しても良いぞ」
「ええっ!?」
私の言葉で綾子は珍しく大声を上げた。
「あの月下グループ!?……本当に?」
「本当だ、京介は知っている」
「何でアイドルに?」
「やってみる気になったからだ」
「……なるほど。やる気は大事よね」
綾子は一応納得したようだ。
「きっかけは以前友人から薦められた事だ、その時から機会があればやってみても良いと思っていた。それから時が経ち、京介に声をかけられた」
「そのお友達は見る目があったのね。今の人気を見ればそれは明らかでしょう、今のクレリアを見て喜んでいるんじゃない?」
「今でも時々会うが、偉そうに胸を張って『当然だ』と言っていたよ」
「あはは!……いいお友達ですね」
「そうだな。彼女達は私の正体を知っても友人で居てくれた」
「……ああ、月下グループの人間だと分かればすり寄ってくる人もいるわよね」
私が言っているのは人では無いと言う事だが、綾子は月下グループの事だと思っている様だ。
問題は無いし、そのまま勘違いしていて貰おう。
「それで、何があった?」
綾子はどうするべきか悩む様子を見せたが、心を決めたのか話し始めた。
「実は……シーレーンの事なのよ」
ふむ……彼女達に何かあったのか。