少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 「主人公をアイドルにしたい」という考えだけで書いてしまったので、もし次に主人公がアイドルとして活動する時にはしっかりとアイドルらしい所を書けたら良いな、と思っています。





078-04

 

 「それからクレリアちゃんはどうしたの?」

 

 千穂が続きを促す。

 

 その表情はとても楽しそうに見える。

 

 「忘れている事も多いと思う。それを覚えておいてくれ」

 

 四人は無言で頷く。

 

 「一万年の休眠を終えた私は、魔法人類と接触した。最初は言葉が通じなくてな……」

 

 ンミナの事はまだ覚えている。

 

 記憶にある限り、初めて親交を結んだ知的生命体だからな。

 

 それから私は覚えている出来事を話し続けた。

 

 恐らく忘れている事も多いだろうが、記憶に残っている事を話した。

 

 

 

 

 

 

 「今の創作によく出て来るエルフやドワーフの原形が魔法人類だったなんて驚きだな……」

 

 「私はカミラさんがクレリアちゃんに負けない程に長く生きてる事に驚いたわ」

 

 「神と巫女か……今の人類も過去の魔法人類と似たような事をしているんだね」

 

 「聞いてみたら思った以上にファンタジーだった!」

 

 ある程度話を聞いた後、四人は口々に感想を言った。

 

 「そうだ、写影が残っているから見てみるか?」

 

 「写影……?」

 

 良平が呟く。

 

 「今で言う写真だな、魔法人類の技術で作られたものだ」

 

 「見る見る!」

 

 千穂が食いついてきたが、他の三人も期待したような表情をしている。

 

 「これだ」

 

 私はマジックボックスから全員が集合した写影を取り出して見せた。

 

 「……色々と聞きたい事があるんだけど……」

 

 「この怪獣は何なんだ……?」

 

 美琴の困惑した様な言葉の後に、太一が呟く。

 

 「順番に説明しよう。これは当時、私が住んでいた島の家の前で撮った物だ。私とカミラは分かるな?その反対側に居るのが森人であるルーテシアだ。そして私の隣で浮いている球体がヒトハだ」

 

 「ええ!?これがヒトハさん!?」

 

 突然千穂が叫ぶ。

 

 「いやいや!?人間じゃない事は知ってるけどヒトハさんは人型だろ!?」

 

 太一が大声で話し、他の二人も写影を凝視している。

 

 「ヒトハを含めた侍女隊の皆には、私が肉体を用意したからな。本体は全員あの球体だ」

 

 私の言葉で部屋が静寂に包まれる。

 

 大分長い時間黙っていた四人だが今回最初に復帰したのは千穂だった。

 

 珍しいな。

 

 「えっと……侍女隊の皆の本体が写真に……あ、えっと……写影……に写っている球体で?……クレリアちゃんが肉体を用意した?」

 

 多少混乱気味に言う千穂。

 

 「私が彼女達に現在の体を作り、本体はあの体に収納されている。だから彼女達は私にとって娘のような存在だ」

 

 「……はぇ?」

 

 千穂らしい間抜けな声が漏れた。

 

 四人はそれからしばらく唸っていた。

 

 あまり話が進まないな。

 

 「……この怪物は?」

 

 四人は気持ちに折り合いがついたのか復活した。

 

 そして疲れたような、しかしどこか楽しそうな美琴が写影を指さして言う。

 

 「彼女は黒竜クログウェルと言う。高い知性と、当時のカミラと同等の実力を持っていた友人……友竜だ」

 

 「……竜!?ドラゴン!?ふわぁ!本物!?」

 

 千穂の勢いが凄い。

 

 大人になってあまりやる暇が無くなっても、ゲーム好きは変わって無いからな。

 

 「彼女……女なのね……」

 

 表向きは落ち着いている様に見える美琴がそう呟いている。

 

 「本当に昔はドラゴンがいたのか……」

 

 「はあ……楽しいけど精神衛生上よろしくないな、こりゃ……」

 

 良平と太一は写影を見て脱力している。

 

 「でも……今いないという事は、亡くなったの……?」

 

 美琴が私を気遣う様な口調で聞いてきた。

 

 「いや、クログウェルはだいぶ昔に別な世界へ行きたがったので、知的生命体が居ない世界に送った」

 

 私がそう言うと、突然四人が無表情になる。

 

 「……今、別な世界って言った?」

 

 騒いていた千穂が、静かに聞いて来る。

 

 「ここ以外にも色々と世界は存在しているぞ?私もまだ行った事は無いが、神の様な何かが居たり、独特な法則が存在していたりする。まだ地球での楽しみは尽きないが、いつかは行ってみるつもりだ」

 

 私がそう話すと、四人はソファに身を預けた。

 

 「もう駄目……頭痛い……」

 

 美琴がそう言って頭を抑えた。

 

 他の三人も同様だ。

 

 まだ話が終わっていないのだが……。

 

 「今日はもう許してぇ……」

 

 話を聞かないのかと尋ねると、千穂が呻いた。

 

 この日はこれで話は終わりになり、翌日四人は帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 年が明け、2014年1月10日に三番目の新曲である「雪月花」が発売された。

 

 この曲は男性の幼馴染からの愛が理解出来ない女性の姿を歌ったラブソングだ。

 

 作成時に私の恋愛に対する反応が参考にされたらしい。

 

 この曲も一位を取る事になり、三曲連続初登場一位となった。

 

 そしてその頃には、私は次の曲の練習へと入っている。

 

 各局の音楽関係の番組に出演し、その他には初めてトーク番組にも出演した。

 

 マネージャーから話してはいけない事などを聞き、他は好きなように話して良いと言われたので思った様に話した。

 

 司会や周囲のメンバーが上手く私を誘導してくれたので収録は問題無く終わった。

 

 共演者達も私に敵意は無かったし、話しやすいように気を遣ってくれていたようだ。

 

 全員多少疲れていたようなので、私の差し入れを渡す様に指示しておいた。

 

 どうやら私に悪意を持つ者はやんわりと共演拒否しているらしいが、その辺りは好きにすると良い。

 

 

 

 

 

 

 現在、私は番組の収録でスポーツテストに挑む直前だ。

 

 番組の趣旨としては「いつも素晴らしいダンスを見せてくれるクレリアさんの実力を確かめたい」という事らしい。

 

 他には複数のお笑い芸人と俳優、後は引退した陸上選手が出演している。

 

 私以外は全員男だが、それに対してどこまで私が迫れるか、という事らしいな。

 

 今回、私は明らかに人では無いような記録を出す気は無い。

 

 上手く調整しよう。

 

 「さて!芸能人スポーツテストが始まりました!皆さん自信のほどは?」

 

 並んだ私達に順番にアナウンサーがコメントを求める。

 

 「お笑いも体力勝負なとこがあるんで!行けると思います!」

 

 「僕は役作りなんかで体も鍛えていますので……勝ちます」

 

 「元選手としては負けたくないですね、頑張ります」

 

 全員が順番に意気込みを語り、最後にアナウンサーが私のもとへとやって来る。

 

 「最後は現在人気急上昇中の売れっ子アイドル、クレリアさんです!さて……クレリアさんは運動が得意と聞いております。音楽番組などで毎回素晴らしいダンスを見せていますが、今回の自信のほどはいかがでしょうか?」

 

 「世界記録は抜かない様に気を付けたいと思う。少なくともアレ等に負ける気は無い」

 

 私は共演者のお笑い芸人達をあえて「アレ」と呼んだ。

 

 お笑い芸人である彼等に対する扱いはこれで良いだろう。

 

 彼等もそれを望んでいる。

 

 「アレ呼ばわり!?絶対に負けないですよ!」

 

 「頑張ると良い」

 

 騒ぐ彼らに一言告げる。

 

 「クレリアさんはいつもの様に外見にそぐわぬ圧倒的強者感が出ておりますね。さて!最初に行うのはこちら!」

 

 一通り芸人が騒ぎ、アナウンサーが番組を進行する。

 

 最初に行うのは50m走か。

 

 今回、私は全競技最後に行うと聞いている、メインは私の結果らしいからな。

 

 「嘘ぉ!?」

 

 最初に走ったお笑い芸人は10秒台と言う酷い結果を出し、リアクションをして笑いを誘っていた。

 

 私は人類の「お笑い」という物は全く理解出来ないが、彼らの努力はある程度分かっている。

 

 恐らく彼はもう少し速く走れる筈だ。

 

 私に気を遣ったか、そうするように言われていたのだろう。

 

 その気遣いはには感謝するが、恐らく意味は無いと思う。

 

 「これはかなりいい記録だ!」

 

 次の俳優は7秒前半だった。

 

 「これは早い!」

 

 私の前の元陸上選手は6秒前半だった、私は何秒にしようか。

 

 「クレリアさん」

 

 もうすぐ私の番という所で、綾子が話しかけて来た。

 

 「何だ綾子?」

 

 現場ではさん付けで呼ぶ綾子に、私は返事を返す。

 

 「怪我だけは注意してくださいね?」

 

 「分かった」

 

 「本当にお願いしますよ?」

 

 彼女は念を押す様に言う。

 

 「大丈夫だ」

 

 確か世界記録は5秒50前後だったはずだ。

 

 一秒以上は遅くしておこう。

 

 「では、クレリアさんお願いします」

 

 私は用意を整え、合図とともに走る。

 

 記録は……6秒55。

 

 上手く行ったな。

 

 「早い!これは早い!クレリアさんまさかの大記録!6秒55です!」

 

 「驚いた……女性としてはかなり早いですよ」

 

 アナウンサーが騒ぎ、元陸上選手が話している。

 

 スタッフも綾子も驚いているようだが、違和感は感じていない様だ。

 

 それから共演者やスタッフから称賛され、次の種目へと移る事になった。

 

 「次は握力測定です、先程と同じ順番で行います。男性の平均は50kgw、女性の平均は30kgwとなっていますね」

 

 計測器を握るだけなのでこれは早かった。

 

 芸人が37kgw、俳優が42kgw、元陸上選手が63kgwだった。

 

 握り潰す気は無い、上手く調整しよう。

 

 「さて、先程の50m走で驚きのタイムを出したクレリアさんの握力は果たしてどうなのか……それではどうぞ!」

 

 私は数値を見ながらそっと力を入れ、30辺りになった所で止める。

 

 「結果は……30kgw!クレリアさんは普通の女性でした!」

 

 「どういう意味ですかそれ!失礼ですよ!」

 

 アナウンサーと芸人の掛け合いもあったが、特に問題無く終わった。

 

 「続いては反復横跳びです、20秒間に1mの幅の3本の線を踏んだ回数を点数としてカウントする事になります。そして評価の目安がこちらです」

 

 図を見せながらアナウンサーが話をしている。

 

 芸人の評価は「劣っている」、俳優は「普通」、元陸上選手は「やや優れている」だった。

 

 私は表を見て年齢に合わせた「優れている」回数を行い、称賛されて終わる。

 

 次はハンドボール投げだ。

 

 3人の記録は17m、22m、29mだった。

 

 私はこれ以降の種目の全てを平均辺りの記録で統一し収録を終えた。

 

 何でもやってみようと決めた時点で分かっていた事だが……実際にやってみると面白い事もあれば、最初のイメージのまま終わる事もある。

 

 次の仕事はどうだろうな。

 

 

 





 何でもやって見れば面白いという事は無く、ハズレもあります。


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