少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 考えていない部分の設定は適当にごまかしています。

 考えている部分の設定も良く出来ている訳では無いのですが。





 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。


002

 

 私は新しい土地を求めてひたすらに飛び続けた。そして三回目の朝を迎えた時、遠くに何かが飛んでいるのが見えた。

 

 ……私の方へ来ている?

 

 こちらにまっすぐ向かって来ているその生物は思ったより大きく、鋭い牙と爪を持つ大型の鳥のような生物だった。

 

 ああ、なるほど……私を狙ってる訳か。

 

 地上では散々狩りをしてきたが、空中は初めてだ。だが負けるつもりはない、訓練は十分にしている。

 

 「……来い。殺しに来るなら殺されても良いんだろう?」

 

 届く事は無い言葉を呟き、移動を止めて相手に向き直る。

 

 「~~~~!」

 

 遠いが声を上げているようだ。その直後、魔力反応が大きくなりこちらに魔力が飛んでくるのを感じる。

 

 そこそこ早いな。

 

 私はこちらに届く前にその魔力反応を躱す。

 

 恐らく風系統の魔法だろう。やはり獣も魔法を使う者がいる、使える者と使えない者の差はなんだ?

 

 ……考えるのは後にしよう。

 

 今は奴を殺す。奴は一直線に向かってくる、こちらが手を出せないと思っているのだろうか。

 

 私は魔法を発動し風の刃を発射する。色のない刃は魔力が感じられなければ躱すのは難しいが……どうかな。

 

 躱したか。

 

 鳥は飛んでくる不可視の刃を躱し、なおも迫って来る。

 

 魔力を感知する事も出来るんだな。

 

 新たな情報を手に入れた私は次の手を打つ。

 

 私は髪を細く伸ばし私の少し離れた所に垂直に立てた。

 

 「グアッ!?」

 

 私に噛みつこうと真っ直ぐ突っ込んできた鳥は置いておいた髪の刃に自分からぶつかり、左右に両断されて地上に落ちて行った。

 

 目は良くなかったのか。

 

 とはいえかなり細くした髪の刃は肉眼で見るのはかなり難しい、多少目が良くても気が付かなかった可能性は高いか?

 

 そうだ、あの鳥も回収しよう。

 

 私が鳥が落ちて行った辺りに降りて、周囲を感知するとすぐに見つかった。

 

 ……毒は無し、これも後で食べてみよう。

 

 私は死体をマジックボックスに保存する。

 

 初めての空中戦だったが、魔法や髪を使うと空中も地上もあまり差を感じないな。

 

 そう思いながら再び空を舞い先を急ぐ、辺りはだいぶ寒くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 鳥を落とした日の夜に雪が降り、大地が白く染まり始め。さらに二回目の朝には大地が完全に白く染まり吹雪が襲って来た。

 

 初めての吹雪と寒さだが問題はなさそうだ。

 

 まずは落ち着く場所を探そう、川と森が傍にある所が良い。

 

 拠点候補を探して辺りを空から確認していると僅かな範囲だが雪が解けている場所を見つけた。

 

 なぜあの辺りだけ雪が解けているんだ?

 

 気になった私は降りて確認した、その場所は水たまりになっていて湯気が立ち上っている。

 

 温水?いや、ただの温水じゃないな……色々な成分が混じっているようだ。

 

 分析すると色々混ざってはいる様だが、生物にとって危険な物は入っていないようだ。

 

 これは温泉か……?

 

 このような色々な成分が混じった温水の事を温泉と言うらしい。

 

 知識によると有害であったり高温であったりする場合もあるらしいが、これは有毒でも高温でもない……当たりかもしれないな

 

 ふむ、周囲に問題ありそうな生物はいないな。

 

 高温では無い様だが一応確かめてみよう。私は服を脱ぎ、そっと湯気の立つ温泉につま先から入る。

 

 おお、これは中々良い温度なんじゃないか?

 

 温度は丁度良く感じる……ここを拠点にする事に決定だな。

 

 しっかり風呂場を作ってからじっくりと入ろうと決めた。

 

 どうせなら浴槽は大きく作ろう……そう思いながら建築を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 完成だ。

 

 森の中だったので場所を作ってからリビング、キッチン、寝室、倉庫と……以前の家と全く同じでは無いが似たような構成で家を作り上げた。

 

 そして風呂場だ。大きな木製の浴槽を作り、周りの床も木材で整え家と繋ぎそのまま行き来出来るようにした。

 

 温泉は常に湧き出ているので浴槽はいつも満たされている。簡単な手順とは言っても何もせずに入りたい時にすぐ入れるのは実に良い。

 

 これが露天風呂と言うやつだな。

 

 この家に目印を付け、完成したばかりの温泉に浸かりながら景色を見る。雪によって白く染まった森の木々が良い感じだ。

 

 ……もう少し楽しんだら素材を集めて錬金術に取り掛かろう。

 

 それにしてもこの地域は雪が多いな。この辺りに来てからずっと降っている、悪くはないが。

 

 

 

 

 

 

 寒く雪に閉ざされても生き物や素材はある物なんだな。

 

 温泉を楽しんだ後、私は森へと素材探しに向く事にした。

 

 雪でほとんど見分けがつかないが、感知のおかげで問題は無かった。近場を歩き回って獣や魔法を使ってくる獣……私は魔物と名付ける事にしたのだが、魔物を狩り、素材を集めて回った。

 

 ある程度集めた後、錬金を始める為に戻って来た……のだが。

 

 家の上に雪が山程乗っている。

 

 ……家がつぶれる事は無いだろうが何とかしたい、家自体を熱くすれば溶けるか。

 

 しかしずっと熱いままなのもな……体や体調に影響はないが風呂に入るようになって分かったことがある。平気ではあるが好ましい訳ではない……と言う事だ。

 

 何とか手をかけずに家を暖める方法はないものか。

 

 やりたい事が増えていく……後回しにして今は錬金に集中するか。

 

 いずれどうにかしたいが錬金術を後回しにするほどではないからな、まずは練習に入ろう。

 

 

 

 

 

 

 錬金術を甘く見ていた……。

 

 私は内心でそう呟いた。

 

 練習を開始してそれなりに時間が経つ。

 

 今までで一番集中していたのではないだろうか?

 

 錬金はかなり複雑な分野だった、素材の状態や処理のタイミング、温度、魔力の使用の有無、使用量……様々な条件で成功率や効果が変わったりとかなり複雑で大変だ。

 

 幸い紙は作れた。書き留めながら練習しないと覚えきれないぞ……。

 

 効果は少ない様だが数種類の薬と、紙と書き込む染料は作れた。これで記録しながら練習を進め、備忘録として本にしておく。

 

 念のため維持魔法もしっかりかける。後はひたすら実験するだけだ。

 

 ついでに魔法知識なども別に書き残して保存しておこうか。

 

 私は再び錬金術の練習に集中し始めた。

 

 

 

 

 

 

 再び練習を始めて無心に実験を繰り返す中ふと我に返る。

 

 温泉にでも入るか。

 

 「……ん?」

 

 温泉につながるドアを開けようとしたが開かない。仕方なく取り外すと雪の壁があった、私は魔法で雪を溶かして外に出る。

 

 ……だいぶ熱中していたようだ。

 

 外に出て見ると家が分厚い雪に完全に埋もれていた。

 

 少なくとも家が雪に埋もれ、自然の一部になるほどの時間が経っていたようだ……温泉周りは平気だったがそれ以外は雪の塊だな。

 

 まず温泉に入ろう。

 

 その後温泉から上がった私は家を雪から解放し、リビングに戻る。

 

 ……そろそろいいか、これ以上は少しづつ進めて行こう。

 

 備忘録の本も随分厚くなった、これはマジックボックスに保存する。

 

 そして練習中に作った薬もしまう。接着剤も作り、それぞれに紙を貼り付け、効果とその効果の強弱を私の感覚で書いてある。

 

 そういえばしばらく食事もしていない……今日は色々食べよう。

 

 温泉のそばで料理をして入りながら食べる。

 

 温泉、食べ物、雪景色だ。

 

 しばらく塩焼きを頬張りながら景色を見ていた私だが、浴槽のふちに顎をのせる。

 

 ……新しい素材が見つかったらまた複雑になっていくんだろうな。

 

 楽しくはあるが、また家が雪に埋まるだろうな。

 

 顎を乗せたまま湯舟に浮かび、パチャパチャと足を動かす。

 

 素材が増えれば増えるほど組み合わせはどんどん増える、いい事ではあるが……。

 

 他に目的が無い時に進めるようにしようか……。

 

 今回もかなり時間が過ぎているようだしある程度には達したと思いたい。

 

 何より今は道具作りをしてみたい。

 

 道具を作るには素材が足りないと思う、特に金属が全く無い。

 

 石や土は大抵どこにでもあるし魔法で作る事もできる。金属も恐らく作れるが、本物を見ておきたい。

 

 感知でひたすら探し回れば見つかるかもしれないが……。

 

 せっかくだから探すのは暑い土地を見つけてからが良いな。素材や食材も探せて一石二鳥だ、もう移動してもいいのだが。

 

 錬金に熱中してしまって、あまりこの土地を楽しんでいない気がする。

 

 特に温泉はもっと楽しみたい、もうしばらくここでのんびりするのも……。

 

 ……そうだ。持って行けば良いのか。

 

 マジックボックスがある。入り口を流入口に開けてしばらく放置すれば大量に温泉を保存出来るだろう。

 

 私は残りの塩焼きを食べて温泉から上がる、少しマジックボックスを改良しよう。

 

 

 

 

 

 

 あれからマジックボックスに使用者の許可がない物は入れないように改良を施し、現在温泉の採取をしている。

 

 改良をしたのは放置している間に余計な物が入り込まないようにするためだ。

 

 中では時間停止してしまうからな、事故は避けたい。

 

 待っている間何をしようか……魔道具作りの真似事でもしてみるか?部屋を暖めるような何かをちょっと作ってみよう。

 

 私はある程度の丸石を作って、火の魔法を込めてみた。

 

 「む……」

 

 突然石が真っ赤になり溶けだし、流れ落ちる。

 

 耐えられないか……熱に強い金属なら問題無いのかも知れないな。

 

 私は新しく丸石を作り、慎重に火の魔法を込めてみる。

 

 温かくなって来たな。

 

 少しづつ石が温かくなっていく。更にゆっくり魔法を込め続けると石がほんのり赤くなり始める……そろそろ限界かもしれない。

 

 「部屋を暖めるのには十分かな?」

 

 石を持ったまま家に帰り台座を作って熱した丸石を置く。どれくらいの時間持続出来て、部屋は暖まるのかを確かめたい。

 

 しばらく待っていると部屋の温度が少しだけ上がったのが分かった、これだけでも僅かだが効果があるようだ。

 

 だがこの土地だとこれでは熱が足りないか?

 

 この土地は寒い。素材を変えるか大きさを大きくするか……込める魔法の強さか、どうにかしてもう少し熱くしないと役には立たないかも知れない。

 

 こんなに上手く行くとは思わなかった。

 

 僅かとはいえこれでも効果はあった。

 

 普通に火を出すより魔力効率がかなり悪いが、その辺りは金属素材が見つかれば良くなると思いたい。これはこのままにしておこう。

 

 そろそろそれなりに時間が経って居るかな、温泉も大分集まっただろう。

 

 私は温泉に開いているマジックボックスの入り口を閉じる。

 

 これで温泉にも入れる。もう一度素材などを集めたら今度は暑い土地を目指して移動しよう。

 

 

 

 

 

 

 数日後の明け方。素材などを集めなおし、食料や薬を倉庫にある程度おいてから出発の準備を整えた。

 

 色々と知識を使い考えた結果、高高度から砂漠探しをしようと思う。

 

 私は空へ舞い上がると、明け方の薄暗い世界に一面の雪化粧が白く浮かび上がっている。

 

 舞い散る雪を吹き散らし、私は新たな土地を目指して飛び始めた。

 

 

 


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