少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 宗教に関して詳しくない上に細かく書く予定も今の所無いので、この世界ではこうなんだな、と思っていただけたら助かります。

 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。








017-01

 

 ルセリア王国が出来て三年が過ぎたが、リンガイルは今も独立を守っていた。

 

 王国もここの魔物資源は欲しいようで特に問題無く取引をしていると運営者の一人が言っていたな。

 

 ウルグラーデもしっかりと独立を守っている。

 

 自治権があれば王国に所属しても良いと思っているらしいが、今の所は不可能なようだ。

 

 王国の内情は詳しく知らないが今の所崩壊もせず国として成り立っている。王に認められた者達が……貴族だったか?そう名乗って各町を治めているらしい。

 

 今では隷属魔法の弱点とも言える使用に時間がかかる事、時間をかければ解呪出来る事が広まっているため、誰彼構わず無抵抗で奴隷化されるような事は無くなった。

 

 私はいまだにリンガイルの町長をしている。

 

 ルセリア王国からの独立を守る為の戦いが上手く行った事で、町の住人達にかなり気に入られている。

 

 戦闘を見た者達には最強の町長と呼ばれた。

 

 とにかく一旦周辺は落ち着きを取り戻した。いずれ国が力を付けた時にこの町もきっと吸収されるだろう、その時も上手くといいが。

 

 「お願いします町長!」

 

 「良いぞ。かかって来い」

 

 私はあの戦闘を見た者達から話が広まりその強さが知られ、稽古をつけてくれと頼まれるようになった……ランクは6で止まっているけどな。

 

 「ふっ!!」

 

 短く息を吐き男が木剣で切りかかる。私はタイミングを合わせ懐に入り彼の攻撃範囲から外れた。

 

 「っ……!?」

 

 懐に入られた男は咄嗟に距離を取ろうとするがもう遅い、私は軽く鳩尾に拳を打ち込む。

 

 「ぐっおっ!」

 

 彼は打ち込まれる瞬間に後ろに飛んだが衝撃を逃がしきれずうずくまった。 

 

 「鎧、……ヘコんでるんだけど……」

 

 「私普通に殴られただけで死にそう……」

 

 「なんで町長やってるんだろ……」

 

 周囲から聞こえる声。かつて私が誘拐事件を解決した事を知っている者は知っているだろうが、ここまで強いとは思って無かったらしく独立戦争時の戦闘で私の実力に驚く者が多かった。

 

 私の事を詳しく知らない者は私が冒険者ではなく町長である事が不思議なようだ。

 

 「距離を取る以外の対応の方が良い事もある、よく考えておけ。後は……悪かったな、もう少し打ち合うべきだった。その鎧は修理してもらえ、話は通しておく」

 

 「ありがとう……ございました!」

 

 失敗したな、もう少し打ち合わないと訓練にならない。ここは生きのよい奴が多くて良い。

 

 「よし、次!」

 

 「よっしゃ!行くぜ!」

 

 こうして時折冒険者達と一日中訓練に明け暮れる。急速に成長している者もたまにいて楽しく感じる。

 

 

 

 

 

 

 「なんで子供が?」

 

 久しぶりにギルドに来たら突然そう言われた。

 

 この扱いは久しぶりだ、今ではこの町に私を子供扱いする奴などいないからな。

 

 「馬鹿!謝れ!早く!」

 

 「え?……どうしたんです先輩?」

 

 先輩と言われた男が謝るように言うが良く分かっていない若い獣人女性。

 

 「構わないよ。新しく町に来たのか?それなら知らないだろう」

 

 「すいませんね。こいつ森の奥の獣人の村から出てきたばっかりらしくて」

 

 まだまだそういった村は残っているんだな。

 

 「自己紹介をしようか、私はリンガイル町長のクレリア・アーティアだ」

 

 「ふぇっ?!」

 

 尻尾がピンと伸びて固まる彼女。

 

 「おい、しっかり返事しろ」

 

 男が促すと我に返る。

 

 「は、初めまして!リムランと言います!」

 

 そう言ってお辞儀する、尻尾が膨らんでるぞ。

 

 「ようこそリンガイルへ、ここがリムランの家になれればいいけどな」

 

 「ありがとうございます」

 

 そう言って頭を上げる。

 

 「町長。こいつあの錬金術の祖と言われるラムランが若いころ住んでた村の出身なんだと」

 

 ……ほう、あの村は今もあるのか。

 

 「そうなのか……名前が近いのもその為か?」

 

 「はい、いつの間にか近い名前を付ける様になったみたいです。村の場所は彼女が当時居た場所ではなく何度も移動しているみたいですけど……」

 

 「そうか、活躍出来ると良いな……こいつを頼んだぞ」

 

 「頑張ります!」

 

 「任せて下さいよ」

 

 頷いて言う二人の言葉を聞いて外に出た。

 

 各地に点在している村もいつかは一つになるのかもな。

 

 

 

 

 

 

 「町長ー。魔法教えてー」

 

 街中を歩いていると子供達がまとわりついてくる。

 

 周囲の大人や親達は微笑ましく見ているが……私も子供達の一部だと思われて居る気がする、私がいい歳だと知っているはずだが。

 

 「ウルグラーデの魔法学校に行くと良い。何も分からないまま行ってもしっかりと一から教えてくれるいい学校だぞ」

 

 「町長も行ってたの?」

 

 そう聞いてくる子供達。

 

 「そうだな、少しの間行っていた」

 

 そう言うと、歓声を上げる子供達。

 

 「行ったら町長みたいになれるー?」

 

 「ふむ……行ってみないと分からないな」

 

 「えー……」

 

 納得いかなそうな顔をしている。

 

 「そう膨れるな、こんな事も出来るようになるかもしれないぞ」

 

 「うわぁー!!」

 

 「おお!」

 

 私は細かい凍らせた水を空に発生させる。キラキラと光を反射する光景を見て大喜びする子供達と周りの大人達。

 

 「すいません町長」

 

 「構わない」

 

 親達の一人が話しかけてくる。

 

 「実際、魔法学校はどうなんです?」

 

 「そうだな……魔法や技術の学校として現時点で最高ランクに近いと言える。学びたいのなら間違いは無いだろう」

 

 頷きながら聞く親達。

 

 「ウルグラーデも独立しているんですよね。戦争に巻き込まれたりしないかしら……」

 

 そう呟く母親、確かにな。

 

 「ケインも居るしそれぞれの技術の祖と言われる者達が居た町だ。早々そんな事は無いと思うが……絶対とは言えないな」

 

 「……町長は校長とお知り合い?」

 

 別の母親が聞いてくる。

 

 「なんでそう思った?」

 

 「え、だって呼び捨てだし……それに何と言うか、呼び方が慣れているというか……」

 

 なるほど、他の者が居る時は校長と付ける様に言われた気がするな。 

 

 「まあちょっとな」

 

 「あー、町長って森人のハーフでしたよね?その関係で?」

 

 答えると、思った事を聞いてくる彼女。

 

 「そんなところだ」

 

 適当に答えると頷く彼女……そして私に近づき小声で聞いてくる。

 

 「……もしかして町長ってケイン校長の娘さん?」

 

 ……私がケインの娘だと?

 

 「期待に沿えなくて悪いが娘ではない。完全に他人だ」

 

 そう答えると、周りの皆も何となく思っていたのか残念そうな顔をする。

 

 期待されていたのか?

 

 「ただの知り合いだ。あまり間違った噂を流さないでくれよ?相手にも迷惑だからな」

 

 そう言ってその場を後にした……そう言えばケインの奴、結婚と子作りはどうするのだろう。

 

 

 

 

 

 

 家でゆっくりとモー乳を飲んでいたある日、以前気になった事を聞く為にケインに念話をした。

 

 『ケイン、今大丈夫か?』

 

 しばらくすると返事が返ってきた。

 

 『はい、問題ありません……どうしました?』

 

 『聞いておきたい事があってな……お前、結婚と子作りはしないのか?』

 

 そう言うとしばらく反応が無かったが、やがて声が聞こえてくる。

 

 『……確かに私も二百歳後半に入っていると思いますし考えた事はありますが……』

 

 やはり寿命が長いと歳を覚えない物だよな、それよりも一応考えていたのか。

 

 『で?』

 

 『で、とは?』

 

 『言いたくないのなら無理には聞かないが、相手はいるのか?』

 

 『今の所は居ませんね』

 

 ふむ、森人や他の種族の女性も普通に居るはずだが。

 

 『そうなのか』

 

 『元々森人は寿命が長いせいなのか結婚に対する意識が薄いのですよ、それに子供も出来にくいですからね』

 

 長命種が他の種族と同じ速さで増えたら確かに何か問題が起きそうだ。

 

 『余計な事だったか。話はこれだけだ』

 

 『いえ。お心遣いありがとうございます、師よ』

 

 どうなるんだろうな。そう思いながら念話を切った。

 

 

 

 

 

 

 こうして日々を過ごしていた私だが、再び世界が荒れそうな事が起きた。

 

 ルセリア王国の国王がクレリア神教から名を無くし自由神教とする事、各町の神殿、巫女達を王国の管理下に置く事を決めて動き始めた。

 

 私はそれを聞いた時「良くやった」と思ったが……自由の神を信仰する信徒達には到底許せる事では無かったらしい。

 

 王国で現状を受け入れていた信徒も反発し、奴隷化した信徒を匿い解呪しているようだ。

 

 冒険者の中にもかなりの信徒が居た為に奴隷になっていた信徒が次々と解放され町の家屋をひそかに拠点として活動し始め、町の王国派と争いが起きているらしい。

 

 これには私も驚いた。リンガイルの信徒達はそこまでクレリア神教の話などしなかったし、熱心に信仰している様子も見られなかった。

 

 信徒達がそんな事をする程に信じているとは思っていなかったのだ。

 

 町の信徒達に聞いた所、実際に地上に現れた記録がある唯一の神である事と、自由と言う冒険者にある意味関係する神である事から冒険者の中ではかなり深く浸透しているらしい。

 

 あまり話をしないのは、地上のどこかで過ごしている神が何も気にする事無く過ごせるように……と言う暗黙の了解があったらしい。

 

 全く知らなかった。微妙に私に効果があったのもまた何とも言えなかったが……皆が事あるごとに私の話をしていたら私は嫌になって人間を滅ぼす……まではしなくとも人の世界から長く離れていたかも知れない。

 

 そんな訳でリンガイルとウルグラーデを除いた王国所属の町は静かに内戦が起き始めている、宗教自体はどうなっても良いが巫女達に手を出す事は私が許さない。

 

 時間が経てば彼女達が逃げにくくなる。

 

 この町にもクレリア神教の神殿はある、私は数える程しか神殿には行っていないが……自分を祭る神殿に行く気になれないし、行っても問題が無いか聞く位だった。

 

 私が普通に会いに行って今の巫女達が私に気が付く事は無いだろう。実際数回行った時は名前と姿に触れられたがそれだけだ。

 

 以前に巫女が私だと判断したンミナとの話がいまだに伝わっていれば信じるかも知れないが……神殿の絵になっているあの時の姿を見せればいいか?

 

 基本的に巫女は神殿に寝泊まりしているので、神殿が存在する町さえ分かれば問題無い。

 

 いざとなったらすべての町を回るか……。

 

 いや……いっその事王とやらを殺してしまおうか。

 

 他の者がまた王になるだけか?神として脅せば収まるかもしれないがそこまではやる気にならないしな。

 

 国が出来て人の世界が変わり始めているのを壊してしまいたくは無い。

 

 色々と考えていると焦げ臭い臭いがし始めた……料理の途中だった。

 

 国は壊さず巫女達が望めば助け、この町で受け入れよう。まずはこの町の巫女に正体を話さないとな。

 

 考えをまとめ後始末をし始めた。

 

 

 

 

 

 

 その後私はリンガイルの神殿の巫女達に話があると言い、夜に無人の神殿の大広間に全員集まって貰った。

 

 私は防音と人払い、外部から見えないように視覚遮断をかけた。

 

 「町長。この様な時間にお話とは何かあったのですか?」

 

 集まった十人の中の一人が聞いてくる、さてどうしようか。

 

 「今王国で何が起きているか知っているな?」

 

 彼女達は暗い顔になり答えた。

 

 「はい。クレリア神教から神の御名を消し去り神に仕える私達を国の……王の管理下に置くと……」

 

 「そうだ。そこでお前達に聞きたい、お前達は各地の巫女達を救いたいか?巫女達は……救って欲しいと思っているだろうか?」

 

 そう言うと、彼女達は顔を見合わせこちらを見ると頷き、言った。

 

 「思っていると思います。神に仕える我々が神以外の元に行くなど考えられません」

 

 「もし助かるとするならば……どうしたい?」

 

 彼女達の一人が言った。

 

 「あの国は神を捨てました。もし出来る事なら……どこかで静かに祈りを捧げて暮らしたいです」

 

 彼女達を見ると反対は無い様だ……嬉しいが一歩間違えれば狂信になりそうだ。

 

 「この町で受け入れると言うのはどうだ?」

 

 そう言うと首を横に振る。

 

 「それはいけません。この町に巫女が集まれば国が狙うでしょう……それこそ国の力を集めて来るはずです。王はきっと神の巫女を従える事で自らを神の子だと示したいのだと思います」

 

 なるほどな、王としての権力を神の子であるとしてさらに高めたいのか。良く考える物だ、感心する。

 

 「国を滅ぼせるとしたら?」

 

 「いえ、そんな事をすれば大勢の犠牲者が出ます……その中には神の信徒も居るのです……そのような事は望みません」

 

 「そうか」

 

 だがやる事は決まった、巫女達を助け人の手が届かない場所で過ごさせよう。

 

 「分かった。私はお前達を助けよう」

 

 そう言うと彼女達は不思議な顔をする。

 

 「いくら町長でもそれは……」

 

 私は彼女の声を遮り話す。

 

 「お前達が混乱を望まないのなら国を滅ぼす事はしない」

 

 「町長?」

 

 困惑する彼女達。

 

 「巫女達は全て救い……助けよう」

 

 彼女達に分かってもらう為髪をふわりと広げる。

 

 「町……長?」

 

 「私の巫女達は渡さん」

 

 巫女達は呆然と私の変化を見ている、手っ取り早く信じて貰う為に神っぽくしないとな。

 

 宙に浮かび、黒い霧を纏う。

 

 そして彼女達が何度となく見たであろうあの絵を再現した。

 

 「あ、貴女……様……は」

 

 巫女達は既に座り込んで私を見上げている。

 

 「久しいな我が子達よ」

 

 そう言うと彼女達は戸惑う。

 

 「く、クレリア・アーティア様……?」

 

 「町長……が?そんなまさか……」

 

 「同じ名ですが……本当に……?」

 

 「しかしあのお姿は……間違いなく……」

 

 彼女達から声が上がる。

 

 「ご無礼を承知で申し上げます……初代様の事は覚えていらっしゃいますか?」

 

 ……まだ伝えられているんだな。

 

 「ンミナの事か……彼女は私が初めて心を許した人間だ」

 

 そう言うと彼女達は一斉に首を垂れ声を揃え言った。

 

 「おかえりなさいませ、クレリア様」

 

 彼女達は未だに仕えてくれるんだな。

 

 「まさか町長が……っ申し訳ありません!」

 

 呟きひれ伏す巫女。彼女達は随分神である私に偏ったイメージを持っているな、巫女達の娘に膝の上で小便をされた事もあるんだぞ、今更そんな事で怒るか。

 

 「町長でいい、今の私はこの町の町長だ」

 

 いつもの姿に戻りながら言う。

 

 「し、しかし……」

 

 困り顔の巫女達。

 

 「こんな事が無ければこのまま人の世界で暮らすつもりだった……それにお前達は私の巫女だ、お前達が私に仕える限り余程の事が無い限り咎める事は無い」

 

 まだ戸惑う彼女達、ここはあれだな。

 

 私は両腕を開いて待機した。

 

 「何年前だったかな……百年以上前だったと思うが……その時会った巫女にも同じ事をした、順番に来い」

 

 「あ……あの?」

 

 私は近くに居た巫女を自分から抱きしめ頭を撫でながら言った。

 

 「私が助ける。お前達は私の子の様な物だ」

 

 「う……ぐすっ……」

 

 泣き出す巫女。

 

 「昔もそうだったがお前達は私が抱きしめるとすぐ泣くな?」

 

 こうして皆を抱きしめて、彼女達が落ち着くのを待った。

 

 

 

 

 

 

 皆が落ち着くと彼女達の一人が言った。

 

 「同じ名前の町長さんだと思っていたら、本物のクレリア様だったなんて……」

 

 「ん?私が人の世界に紛れ込んでいる事は知っていたんだろう?」

 

 そう言うと恥ずかしそうにしながら答える彼女。

 

 「知っていましたけど……本当に出会えるとは思っていませんでした……以前お姿を現したのは百五十年以上前なんですから」

 

 そんなに……ああ、カミラとそれぐらい過ごしていたな。

 

 「私は自分のやりたい事がある時しか動かない。お前達を見捨てたくないし国も滅ぼしたくなかったからお前達に正体を明かした」

 

 そう言うと私が質問をした巫女が聞いてくる。

 

 「ではもし……もし私達が国の滅びを望んでいたら……貴女様はどうしましたか?」

 

 「滅ぼしていたな」

 

 彼女は驚いた表情をする。

 

 「しかし、先程滅ぼしたくなかったと……」

 

 「国などまた出来る」

 

 そう、国はまた待っていれば出来るだろう。

 

 私の今の優先順位は彼女達の方が上だ。

 

 「お前達の望みを叶える方が優先順位が上だった。それだけだ……逆に言えばいくらお前達の頼みでも私がその気にならなければ行う事は無い」

 

 「クレリア様は自由な方ですね」

 

 彼女は目を瞑り言う。

 

 「自分勝手なだけだ。期待外れだったか?信じていた、仕えていた存在がこんなでもので」

 

 「いいえ……自由の神らしいと思いました」 

 

 彼女はそう言って目を開ける。その瞳には絶対の信仰心が宿っているように見えた……この子達は私が何を言っても肯定するんじゃないか。

 

 やっぱり王と町の貴族だけでも殺そうと言うと「やめて下さい」と止められた……否定も出来て安心したよ。

 

 彼女達は他の神殿と良く連絡を取り合っていたらしくルセリア王国内で神殿がある町を教えてもらった、地図と合わせれば救出は簡単だな。

 

 彼女達に会う度に説明するのは面倒だからまずはマジックボックスで全員誘拐しよう。

 

 

 

 

 

 

 転移出来る街には転移し、行った事のない町は速めに飛んで回った。

 

 こうして巫女達を誘拐して回った後、私の正体と証拠、動いた理由を説明した。

 

 「お帰りなさいませ、クレリア様」

 

 巫女達の合唱。結構人数が居たな……。

 

 現在居るのは既に人類の勢力圏外だ。彼女達をマジックボックスに入れたまま良さそうな場所を探し、切り開いて広場にした。

 

 海も川も森も近くにあるので悪くない。

 

 「お前達。本当に人の世界に戻らなくていいのか?」 

 

 望むならどうにかするが。

 

 「はい。ここで余生を送ろうと思います……しかし若い者達は巫女の血を絶やさない為にウルグラーデの神殿に預けたいのです」

 

 彼女達の代表であるエレジアが言う。彼女はリンガイルの神殿の巫女で水色髪を背中まで伸ばした細身の女性だ。

 

 王国の上の方だけでも殺そうと言った私を止めた子で、神と言う事になっている私に意見が言える貴重な人材だ。私と一番話していると言う事で代表になった。

 

 「そうか。では若い者達はウルグラーデの神殿へ移動させ、残りの者はここに住めるようにする」

 

 私は魔法を使い周囲に村を作り上げた。

 

 「これが神の御業……」

 

 巫女達は呟き、呆然と出来上がる村を見ていた……実際はただの魔法だが。

 

 「お前達は狩りや解体、畑などの技術や知識はあるのか?」

 

 「魔法とある程度の戦闘、料理などの家事は一通り可能ですが……それ以外は……」

 

 困り顔のエレジア。最悪私が町で買った食料でしばらくは平気だがずっとそういう訳にもいかない。

 

 「そうか。しばらくは私が食料を用意する、その間に覚えるしかないな」

 

 「はい……感謝いたしますクレリア様」 

 

 そう言って微笑むエレジア。

 

 「農耕は私もやった事が無いな……私も此処で過ごしてやってみよう」

 

 「私達と共に暮らして頂けるのですか!?」

 

 驚きと嬉しさが混ざったような彼女と巫女達。

 

 「久々にのんびりお前達と暮らすのも良い」

 

 そう言って、本格的に準備を始める。

 

 

 




 見返しを怠ったら誤字脱字が酷い、よるべく読み返して減らしたいですね。







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