少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 主人公達が行うゲームや企画は、実際のバーチャルユーチューバーさん達の活動を参考にしようと考えていますが、最終的にどうするかは分かりません。





091-05

 準備を整え、時は過ぎ……2037年12月12日がやって来た。

 

 現在の時刻は12時50分。

 

 13時から一番手である猫目ネムの配信が始まる。

 

 私は見ておこうと考え、待機中と表示されている画面を見ている。

 

 これは待機所というらしく、予約配信をすると配信が始まる前にこうして待てる様になるという。

 

 そして10分後。

 

 ……配信開始時間は過ぎているのだが始まらないな。

 

 

 :開始時間過ぎてるよな?

 

 :トラブルか?

 

 :デビューからトラブルとは大物の予感……

 

 

 待機している視聴者達のコメントが流れる中、突然画面が切り替わる。

 

 「ごめんなさい……寝坊しましたー!」

 

 声は大きいが、何処か眠そうな、ゆったりとした声が聞こえて来る。

 

 「えっと……音量とか大丈夫かな?」

 

 

 :お、来た

 

 :寝坊かよw

 

 :音量おkー

 

 

 「えっと……皆さん初めまして。猫目ネムです!猫の獣人です!これから皆さんと色々なゲームや企画をやって行こうと思います!」

 

 やる気はあるようだが、少し間延びした会話速度と眠そうな声でいまいち緊張感が出ない。

 

 「実はマネージャーにも『多分寝坊する』と話していたんですよぉ……」

 

 

 :草

 

 :公認なのか?w

 

 

 「それで……マネージャーに電話で起こされまして……配信後にお話だそうです……」

 

 

 :マネちゃんw

 

 :いきなり説教w

 

 :駄目じゃねぇかw

 

 

 四期生には女性のマネージャーが一人ついている。

 

 話を聞いた際に一人で四人を管理して問題は無いのかと聞いたのだが、大丈夫だと答えていた。

 

 

 

 

 

 

 「では、そろそろお時間なのでこれで配信は終わりにしますー。今日はありがとうございました、近い内にゲーム配信をしようと思うので是非見に来てくださーい」

 

 

 :お疲れ様

 

 :中々良かった

 

 

 寝坊で配信開始時間を過ぎたがそれ以外に特に問題は起きず、彼女の配信はほぼ予定通りに終了した。

 

 デビュー配信は一人一時間程で、次回から自由に行う事になっている。

 

 配信時間に遅れたが、特に悪い印象を持たれる事は無く、視聴者からの反応も悪くはなかったな。

 

 

 

 

 

 

 猫目ネムの配信後、10分程経ってから二人目の配信が始まった。

 

 「こんにちは皆さん。私は白亜テラノ、恐竜人よ」

 

 何となくカミラの様な雰囲気を感じるな。

 

 「音量とか問題があったらコメントで教えてね」

 

 

 :竜じゃなくて恐竜なのか

 

 :攻めた服装……イイネ!

 

 :色っぽい

 

 :音量問題無いよ

 

 

 「私の姿で少し興奮気味のようね。少し刺激が強かったかしら?」

 

 

 :エロい

 

 :センシティブなお姿

 

 

 彼女は一時間を危なげなくこなし、視聴者の反応も上々だった。

 

 

 

 

 

 

 それから10分後、三人目の配信が開始された。

 

 「こんにちは。私は神鳥フジミと言います、幻獣人です」

 

 明るく、大人しそうな声だ。

 

 「音量とかコメントして頂けると嬉しいです」

 

 

 :幻獣ってなんの?

 

 :見た目からすると鳳凰?

 

 :少し小さいかも、音量

 

 

 「鳳凰では無く不死鳥ですね。フェニックスでも良いのでお好きな方でどうぞ……あ、音量調整しますね」

 

 

 :ああ、だから名前がフジミなのね

 

 :なるほど、不死身か

 

 :音量良い感じになった

 

 

 彼女も特に問題無く配信を終えた、落ち着いた柔らかい彼女の言動に好感を持った視聴者は多そうだ。

 

 最後は私の時間だな。

 

 

 

 

 

 

 私の配信が始まる前の10分の間に再確認を終え、時間丁度に配信を開始する。

 

 「こんにちは人類達、お嬢様だ」

 

 

 :はい人類です

 

 :見に来たぜお嬢!

 

 :ブイライブ所属おめでとう!

 

 :ん?どういう事?

 

 :どっかで活動してた?

 

 

 風香の配信で私を知っている視聴者達のコメントに、初めての視聴者達が困惑している。

 

 「知らない者達もいるから説明しておこう。私はブイライブに所属する前、天津凪というバーチャルニュウチューバーと共に配信していた」

 

 

 :そうそう!

 

 :スーパープレイ期待してるよお嬢!

 

 :音量大丈夫っすお嬢!

 

 

 「気になった者は天津凪のアーカイブを見てくれ。それで大体分かるだろう」

 

 私はコメントを確認しながら話を進める。

 

 

 :新人って訳じゃないのね

 

 :コンビからソロになったのか

 

 

 「凪はブイライブ所属を断ったが配信は続けているし、私が向こうに出る事もあるだろう」

 

 

 :まさかの掛け持ちw

 

 :この配信終わったら見てみる

 

 :二窓で見てみるわ

 

 

 「まず私の設定を話しておこうか」

 

 

 :設定言うなw

 

 :確かに設定だけどw

 

 :なんか淡々としてるけど、こんな感じの子も悪くないな

 

 

 「私は人類が生まれる前から地球に存在し、この星を見続けて来た超越者だ」

 

 

 :いきなり濃いw

 

 :お嬢は中二病だったのか……

 

 :こういう設定好きだよ俺

 

 :挨拶が人類呼びなのは一歩引いて見てるからか

 

 

 「人類とそれなりの時間を過ごして居たので感覚はある程度人類に近いが、時々自分を判断基準にしてしまうので人類には理解出来ない事を言うかも知れない、その辺りは理解してくれ」

 

 

 :把握した

 

 :他の同期が獣人やら幻獣やらで設定もふんわりしてる所にこの設定の濃厚さw

 

 :でも凄い可愛いし、声もめっちゃ良い

 

 :同意

 

 :確かに可愛い、惚れる

 

 :可愛いよお嬢様ー!

 

 :いい声だよな

 

 :これ、親は誰だろ?

 

 

 アバターの容姿は好評だ。

 

 優希がデザインしたキャラクターは人気があると聞いていたが、間違いではなかったらしい。

 

 「このアバターのキャラクターデザインは、ペンだ子というイラストレーターが担当した」

 

 

 :やっぱりそうか

 

 :かなり気合入ってるな

 

 :んー?なんかクレリアに似てる気がする?

 

 :あー!なんか見覚えあると思ってた、そうだよクレリアに似てるんだ

 

 :未だに人気あるからなあの人

 

 :声も似てるような気がする

 

 :だよな、俺も感じてたわ

 

 :でも本人の方が上だという……

 

 :この子をもってしても美しさで敵わないって……彼女は一体何だったんだ……

 

 :アニオタとかも彼女の方が上だって認めたからな、大事件だぞ

 

 :アニメとか漫画業界じゃ「二次元のキャラが三次元の人物に負けた最初で最後の出来事」とか言われてるし、宇宙にはまだまだ謎があるんだよ

 

 :宇宙かよwいきなり壮大になったなw

 

 

 私はコメントには反応せず、次へと話を進める。

 

 「では、この配信のタグを決めようと思う。ブイライブからこれだけは決めて欲しいと頼まれているからな」

 

 タグはツニッターに使用する為に必要らしい。

 

 

 :指示じゃなくて頼まれたのかw

 

 :流石超越者っすね

 

 :お嬢チャンネル

 

 :そのままお嬢様チャンネルでいいんじゃ?

 

 :超越者の戯れ、とか?

 

 :お嬢様の生放送

 

 :お嬢チャンネルかなぁ

 

 

 色々な案がコメント欄を埋めて行く。

 

 出来るだけ分かりやすく、言いやすい名前が良いだろうな。

 

 「タグは『お嬢チャンネル』にしよう」

 

 

 :決めるのはやっ!

 

 :迷いが無いw

 

 :即断即決お嬢様

 

 :うおぉ!?採用された!

 

 

 「では事前に募集していたマンジュウの質問に答えるか」

 

 この「マンジュウ」は、ツニッターの匿名メッセージサービスだ。

 

 マネージャーが事前に募集し、問題の無い物を選んで用意してくれている。

 

 

 :マンジュウもぐもぐ

 

 :マンジュウを食べて行きましょう

 

 :俺の採用されてるかな

 

 

 私は最初の質問を表示する。

 

 

 【初めまして。

 

 お嬢様はどのようなゲームや企画をやりたいと考えていますか?

 

 また、バーチャルニュウチューバーとして挑戦してみたい事などはありますか?】

 

 

 「私は普段FPSをよくやるのだが、この機会にしばらく手を出していなかった他のゲームにも手を出してみようと思う」

 

 他のブイチューバー達は質問を読んでから答える事が多いらしいが、私は黙って読んで答えを返す。

 

 

 :FPSゲーマーなのか

 

 :それ以外にも面白いゲームは一杯あるから色々やろう

 

 :企画は配信に慣れてからかな?

 

 

 「企画は私の気が向けば行う。ブイライブ側が何を言おうとやる気にならなければ行う事は無い」

 

 

 :めっちゃ強気w

 

 :これは強い……

 

 :超越者だからな!

 

 :まあ実際は普通にやるんだろうけどw

 

 

 早くも設定が生きているな。

 

 何を語っても設定だと捉えられて問題になる気配が無い。

 

 「では次に行こう」

 

 

 【初めまして、こんにちは。

 

 お嬢様は色々と能力が高そうですが、具体的にはどのような事が出来るのでしょうか?

 

 差し支えなければ教えて頂けたら嬉しいです】

 

 

 何が出来るか……か。

 

 「人類に身近な物だと魂や肉体に関する事……分かりやすく言うと死者蘇生や不老不死などを与える事が出来るな」

 

 

 :そういう事では無いのでは……

 

 :死者蘇生や不老不死は現実では身近じゃないんだよなぁ……

 

 :人間の範囲での事を聞いたらぶっ飛んだ答えが帰って来て、この質問した本人は困惑してるんだろうな

 

 :ありがちな超越者能力だけど基礎は大事

 

 :漫画やアニメ、ライトノベルに山ほど居そうw

 

 :まあ基本よな

 

 :創作では身近だけど現実では……

 

 :無理だw

 

 

 「他には……魔法は勿論、単純な物理攻撃でも地球程度ならば簡単に破壊出来るし、時間の操作や別世界への移動も可能だ」

 

 

 :中学生が考えた主人公みたいw

 

 :全部盛り最強お嬢様!

 

 :いいぞwもっとやれw

 

 :何でこの設定にしたんだw

 

 :淡々と語ってるのに言ってる事はめっちゃ中二で笑うw

 

 :無表情とか冷静なキャラは二次元では定着してるけど、現実では難しいよな

 

 :あの伝説のアイドルは上り詰めてるんだよなぁ

 

 

 「現在の人類が同じ事をするのは難しいだろう。しかし、人類の今後の進化次第で可能になるかも知れないな」

 

 

 :超越者ムーブw

 

 :凄い演技力だな、本気で言ってるみたいに聞こえる

 

 :無表情だから感情がよく分からんけど……可愛いから良いか

 

 

 「次だ」

 

 私はそう言って次の質問を表示する。

 

 

 【お嬢様の年齢はおいくつでしょうか?】

 

 

 「年齢は数えていないし、気にもしていないので覚えていないが……人類が調べた地球の歴史が正しければ、数十億年は経過している事になるな」

 

 

 :桁が違って草

 

 :他の作品だと長くても万なのに億に行っちゃったかーw

 

 :ここまでやったならそれ位やっちまおうぜ!

 

 

 「マンジュウは次で最後にする」

 

 

 :終わりか

 

 :もうちょっと見ていたかったw

 

 :初配信だしこんなもんでしょ

 

 

 「また読む機会はあるだろう、その時まで待て」

 

 私はそう言いながら最後のマンジュウを表示した。

 

 

 【お嬢様は男ですか?女ですか?男の娘ですか?】

 

 

 :お嬢様だって言ってるだろぉ!?

 

 :お嬢様(性別不詳)

 

 :草

 

 :何故この質問を選んだw

 

 

 「私に性別は存在しない」

 

 やろうと思えば男性、女性は勿論、両性にもなれると思うが……やる気にはならないな。

 

 

 :無いのか……

 

 :超越者が性別に縛られる訳が無いw

 

 :本当に性別不明だったw

 

 :不明というか、無いw

 

 :これは何ともキャラの濃いブイチューバーが現れたな……

 

 

 その後、問題無く配信は終わり、バーチャルニュウチューバー「お嬢様」は他の三人と同様にそこそこの評価を得た。

 

 

 

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