今回の話に出て来る兵器などは、作中では実在しているという設定です。
作者に戦車知識はありません。
ライフ・グロウをクリアした後、私は5日ほど配信をせず、娘達や友人達と共に過ごした。
そして今日、私は再びゲームの配信を行う。
「おはよう人類達、お嬢様だ」
:おはー
:待ってました!
:数日ぶりですなお嬢
:今日は何やるの?
「今日の配信は『ガールズ&タンクス』というPCゲームをする」
そう言うと、すぐにゲームに対するコメントが多く流れ始めた。
:ガルタン!
:イイネ!
:美少女ゲーの皮を被ったガチ戦車ゲーじゃないか!
:リアル戦車ゲームに何故美少女を混ぜたのか……
「知っている者が多いようだが、まずはこのゲームの説明をする。このゲームは過去に実在した戦車を世界中の少女が操り、世界一を目指す……という物で、紹介者達の説明によると中身はかなり作り込まれた出来の良い戦車対戦ゲームのようだ」
:戦車好きも納得の出来だけど、突っ込み所もあるゲーム
:飽きなければ長く遊べるゲームだよね
:完成前に「出来は良いけど、あまりにも男臭いと売れないんじゃないか?」という話が出て「じゃあ流行の美少女も混ぜよう!」と方向が変わったらしいぞ
:流行の美少女w
:美少女はいつでも流行ってる
:結果的に人気になった訳だから正解だったんだろうな
:男臭いままでも行けたような気はする
:ちなみに、流行の美少女で検索するとアニメや漫画の美少女に混じって「世界最高の歌姫」が出て来ます
:知ってる
:知ってる
:知ってる
「この配信は自由にコメントして欲しい。もし使えそうな情報があった場合は使わせて貰う」
:はい!
:色々と教えますね
:まかせろー
「ストーリー、ランダム戦、ランク戦があるが、まずはストーリーをやってみよう」
私はそう言いながらストーリーを選んだ。
ふむ……高校生か大学生のどちらでプレイするかを選択し、所属する学校を選ぶのか。
:個人的なお勧めはやっぱり日本だね、高校なら坂宮陸軍付属女子高校、大学ならシキ重工女学院大学辺りがいい感じ
:海外だとミス・アリエラ・ハイスクールとかフローリア・ユニヴァーシティ辺りかなぁ
:最終的には何処でも関係無くなるから最初は好きな所でいいと思うけど、まずは高校で
:坂宮女子はいいね、初期戦車とキャラのバランスが良い
:最初は高校がいいかもね
なるほど。
私はコメントを参考にし、高校を選択する事にした。
「今回は薦める者が多い高校にしよう」
:お嬢が俺達の意見を聞いてくれた!
:いや、結構聞いてくれるよ。特に前回はかなり俺達のヒントを見てくれてた
:お嬢は聞かない時は全く聞かないけど、聞く時は素直に聞くからな
必要な時は使い、必要の無い時は使わない。
これは人類も同じだと思う。
流れるコメントを確認しながら高校を選ぶと、入学する学校を選ぶ画面に移る。
さて、何処を選ぼう。
私は一通り学校を見た後に考える。
坂宮陸軍付属女子高校とミス・アリエラ・ハイスクールは良さそうだった。
薦める者が多いのも頷ける。
よし、日本の坂宮陸軍付属女子高校にしよう、一番長く滞在している国でもあるしな。
:おお、坂宮陸軍付属女子高校だ
:やったぜ
:薦めたかいがあった
薦められなくとも恐らく同じ結果だったと思うが、わざわざ言う必要は無いだろう。
次はキャラクター選択か。
:ストーリーでは固定されているされてるけど一度クリアした学校のキャラは他の学校でも自由に選べるようになるよ
:留学!
:オンライン対戦だと自分で用意した画像を使えるからお嬢様もやって欲しい
:乗員に表示されるだけで声は用意されている物から選ぶ事になるけどね
なるほど、アバターを用意して対戦出来る訳だな。
アバターは後で考えておくとして、今は適当にキャラを選んで先へ進もう。
《今日から私はここ……坂宮陸軍付属女子高校に通う。ここで私は頂点を目指すんだ!》
キャラを選ぶと、オープニング流れ……私が選んだキャラクターが意気込みを語る。
:ギャルゲみたいw
:一応、ストーリーなんで……
:俺は結構好きだよ。長くは無いけど話の流れは分かるし
入学式の後、坂宮陸軍付属女子高校の戦車会に入会。
すぐに実力テストが行われるようだ。
「チュートリアルのような物か?」
私はそう言いながら実力テストを行う。
:ストーリークリアまでがチュートリアルだぞ
:オンライン対戦に向けて慣れるためのチュートリアルストーリーモード
ストーリーがチュートリアルなのか。
私はそう思いながらもゲームを進める。
「ふむ、操作は簡単だな」
移動はギアの変更と前後移動、車体の旋回のみで、砲塔の旋回はマウスに追従するようになっているようだ。
:いくら作り込んでるといってもそこはゲームですから
:その辺りをリアルにしちゃうと難易度が……
:運転の完全再現は無理です……
私は戦車を動かし、チュートリアルにしたがって動く戦車を破壊する。
しかし……。
「動いているのだからあの戦車にも誰かが乗っているはずだが……あれだけ盛大に爆発して乗員は平気なのか?」
このゲームの戦車は、攻撃を受け限界を超えると大爆発を起こすらしい。
更に、条件によっては砲弾が乗員に直撃している事だろう。
私達ならともかく、現在の人類がモデルなら耐えられるとは思えないのだが……。
:そこは突っ込み所w
:謎パワーで砲弾が直撃しても車体が爆発四散しても乗員は無傷なんですよw
:部位破壊で行動不能になったりはするけど怪我はしないね
:この戦車戦は「安全」なスポーツですw
どうやら皆も同様の疑問を抱いたらしく、次々とコメントが流れて行く。
「ふむ、このゲーム内の人類はあの程度ならば全く問題無いように進化している……という事か」
:進化w
:あれに耐えられるなら生身で戦った方が強そうだよね
:最初見た時あれが安全ならこの世界の兵器はどれだけ強いんだよって突っ込んだわw
:きっと科学の力だよ
:いずれ俺達も平気になるんだぞw
:無理だろw
問題無くテスト終えた後は再び会話シーンが入る。
《えっ!?私がレギュラーに!?……はい!やって見せます!!》
どうやら主人公はチュートリアルをこなしただけで実力を認められ、レギュラーとして試合に参加する事になったようだ。
:レギュラーはもう少し様子を見てから決めた方が……
:話の展開上必要だから仕方ないねw
:流れは分かるから……
その後、画面はガレージに切り替わる。
ここで使用戦車、装備、乗員などを管理、選択し、次の試合へと進むようだ。
どうやら、装備などを購入するための金は試合などを行わなければ貰えないらしい。
初期戦車は「阿雲(あぐも)三式」という名の中型戦車のようだ。
人類の兵器で記憶しているのは核兵器程度で、他はほとんど覚えていないな。
「所持金は0か」
私は目に入った現在の資金を口にする。
:ゲームなのでw
:本来はある程度使えるお金はあるはずですよねーw
:部活だって部費があるのになぁ……
:ほら、通常弾薬とか燃料とかは無料だから……
:そういや、このゲームロシアのゲームなのに公式の主人公が日本人なんだよな
:確か「美少女ゲームと言えば日本」みたいな感じで色々と日本の美少女ゲーの製作会社に協力を得たからこうなったんだっけ?
:向こうが「日本が良い」って言ったらしい
コメントを横目に見ながら色々と確認したが、資金が無くては何も出来ないようだ。
私はゲーム設定を再確認し、話を進める。
すると、下位高校との試合が始まった。
《行くよみんな!》
キャラクターの声が響き、戦闘が始まる。
:地形の把握も出来るだけしておくといいよ
:負けても少しはお金が手に入るから気軽にやってね
マップは建物が点在する森だ。
自チームの位置は青い点で確認出来るが、敵の位置は表示されていない。
:最初に軽戦車に指示して索敵をして貰うと良いかも
:先に敵を見つけた方が有利だね
:戦車性能と改造、乗員の能力で見つかったり見つけられたりする距離が変わるから慎重に
:停止してると相手から見つかりにくいから、先に有効な地点をとって待機すると良いかも
確かに索敵は大事だな
「情報をありがとう」
私は建物の陰に隠れながら敵が居そうな所へ軽戦車を送り、待機させる。
すると、すぐに敵軽戦車が発見された。
まっすぐこちらへ進んでいる。
:第一敵戦車だ!
:狙えるよ
初戦なので動きが単純なのだろうな。
私はすぐに射線を確保し、車体の全面中央に照準定め……砲撃する。
発射された弾丸は狙いよりやや左下に着弾し、軽戦車の動きが止まった。
:履帯に行ったな
:初期砲は仕方ない
車体には当たらなかったが、足を止めたので次は当たるだろう。
私は次弾の装填を待っていたが、その間に味方の攻撃が2発着弾し軽戦車は爆散。
残骸となりその場に転がった。
:とられたw
:初撃破ならずw
コメントは撃破について話してるが、このゲームはチーム戦だ、誰が撃破したかはあまり関係無いだろう。
チームに貢献し、チームが勝てればそれで良いはず。
その後は私も敵を破壊し、最終的に私達は勝利した。