やらせたいゲームが色々あるのですが、全てやるかは考え中です。
初戦を勝利で終えた坂宮陸軍付属女子高校戦車会。
その後も数回勝利を重ねストーリーを進めていると、重戦車の登場と共に装甲厚、貫通力の説明が入った。
:これ重要
:敵の装甲と砲を覚えないといけないんだよなぁ
:やってればそこそこ覚えると思うよ
:車体を斜めにして跳弾させるんだっけ?
:避弾経始ですね
:この世代の戦車は傾斜装甲じゃないからなー
確か、車体情報に装甲厚があったな。
:薄いところ狙い撃ちされたら意味ないけどw
:砲の貫通力と装甲厚に差があり過ぎると意味が無いね
:車体情報で弱点を見ておいて、壁とかで上手く隠すと良いよ
:ゲーム内通貨か課金すれば貫通力の高い特殊弾が買える
:ストーリーの方に課金は無いだろ
次々と新たな情報がコメントに流れていく。
「なるほどな、意識してみよう」
私がコメントを読んでそう言うと、若干流れが速くなる。
:お嬢様の為ならいくらでも!
:お嬢が遊んでるのを見てるのが楽しい
:悪戦苦闘しているのを見たい人はお嬢の配信は物足りないと思うけど、俺はサクサク進んでストレスなく見れるから好き
さて、試合に行こう。
高校を選んだからなのかチュートリアルだからなのかは分からないが、その後の試合も特に苦戦する事なく順調に進み、思っていたよりも早くクリアする事になった。
猫目ネム:お嬢様もガルタン始めたんだね。ストーリークリアおめでとうー
:!?
:ネムちゃんじゃないか!
:ネムちゃん見てた!
ストーリーをクリアした所で、ネムがコメントをして来た。
私の配信を見ていたのか。
「ありがとう、ネム」
私はそう言ってからこの後の事を考える。
思っていたよりも早く終わったが……今日はここまでにしておくか。
猫目ネム:お嬢様はオンラインマルチはやるの?もしやるならマルチデビューの時に一緒にやりたいなー
:おお
:デートのお誘い
:お嬢どうする?
ふむ……。
予想よりも早く終わったからな、オンラインでもう一度このゲームをやるのも悪くないか。
私はそう考え、口を開く。
「分かった。予定を決めてネムのチャンネルでコラボ配信をしよう」
猫目ネム:やったー!じゃあ後で連絡するね!
:突然コラボが決定したw
:やったぁあぁぁ!
:ネムちゃんはガルタンプレイしてるのかw
:色々教えてあげて
「今日は短いがここまでにしておく。上手く予定が合えば次はネムとのコラボになるかも知れない」
:了解しました!
:はーい
:長時間配信に慣れてると物足りないな……
:コラボ楽しみ!
配信終了から30分程過ぎた時、ナタリアから電話が来た。
「ナタリアか」
「おはようー……こんにちは、かな?」
電話に出ると、少し遅い話し方で話す彼女。
「どちらでもいいな」
「そうだねぇ。それでー……出来ればコラボのお話をしたいんだけど、クレリアは今時間ある?」
「大丈夫だ」
「良かったぁ。じゃあ、いつやろうかー?」
「私は特に予定を決めていないからいつでも構わない。ナタリアの好きな時間にしてくれ」
「いいの?ありがとー。じゃあ……三日後の夜の……19時頃がいいかなぁ」
「分かった」
「じゃあ決まりー。あ、それと……コラボする時に乗員を私達の姿に変えておこうと思うんだけど、どうかなー?」
「構わない」
「じゃあ今の内に変えとこー。私は結構やってるから出来るけど、クレリアは変更のやり方わかる?」
「調べればすぐに分かるだろう」
私がそう言うと、配信後にそのまま残っていた侍女隊の一人が動こうとした。
「このまま私が教えるよー」
が、私はその言葉を聞いて侍女を止める。
「そうか、では頼む」
そう言って侍女に目を向けると、彼女は微笑みを浮かべ頷く。
「任せてー。じゃあまず画像を用意しよう。ブイライブから使っていい画像は貰ってるよね?」
「貰っている」
「じゃあまず……」
こうして、私はナタリアにやり方を教わりながらコラボ配信の準備を進めて行った。
準備を終えた後、私はコラボ配信が行われる日までの時間を娘や友人達との時間に当てた。
そして三日後の夜。
これから私達はコラボ配信を行う。
「お嬢様ー、準備は良いー?」
クロスコードから、いつもののんびりとした声が聞こえて来る。
「大丈夫だ」
「じゃあ始めるよー」
その言葉の後にナタリアが映像を配信に乗せる。
「こんばんはー。猫目ネムだよー」
:ネムちゃんこんばんはー
:猫とお嬢のコラボやー!
:待ってたぞ
「今日はお嬢様とのガルタンオンラインマルチプレイするよ。じゃあ、お嬢様どうぞー」
ネムに促され、私も挨拶を始める。
「こんばんは人類達、お嬢様だ。今日はネムのチャンネルでコラボを行う、コメントは自由にしてくれ」
:オンラインは地獄だぞ
:上手い人が沢山いるからお嬢でもきつそう
:お嬢様の性能が生かせないゲームなんだよなー
:どんなにお嬢の反応が早くても戦車の移動と砲塔の旋回速度が遅いから……
コメントにある通り、このゲームは他のFPSゲームなどと比べるとシステムの枷が大きいと思う。
このゲームに登場する戦車の移動速度や砲塔の旋回速度は、実際の速度を出来るだけ再現しているという話だが……それが私には大きな枷となる。
このゲームの戦車は私がどれだけ速く反応しようと、移動速度や砲塔の旋回速度が変わらない。
この設定がある為、私は人類とほぼ同じ条件で戦う事になる。
そして……私は戦略、戦術を考える事が苦手だ。
恐らく、このゲームでは本気で戦っても負ける可能性が高いと思う。
最初に操作した時点で分かっていた事だが、これはこれで悪くない。
「じゃあ私とお嬢様でチーム組むよー」
「分かった」
ネムからの誘いを受け、私がネムのチームに組み込まれる。
:おお!二人共乗員画像が変わってる!
:画像変更したのか
:良いね
「これで私とお嬢様は必ず味方としてマッチングされるからね」
「敵にならない為に組んだ訳か」
「そういう事ー。後、私が使う戦車はお嬢様のティアに合わせるからね」
これは事前に聞いているな。
このゲームにはティアという戦力のランク分けのような物がある。
これが高ければ高いほど強力な戦車となり、戦闘も激しくなっていくのだが……チームを組みマッチングする際、自動的にチーム内で一番高いティアに合わせてマッチングしてしまうらしい。
そうするとティアが低い者が全く戦力にならず、問題が起きる訳だ。
現在は「野良でチームを組んだ場合、そのチーム内で最もティアが低い者に周囲が合わせる」というルールがユーザー間で生まれているとネムから聞いた。
始めから設定で希望のティア限定にしておけば問題は無いらしいが。
:お嬢に合わせるという事は今日の配信はティア1の戦場だなw
:今日マルチデビューだから仕方ないねw
「今日の為にティア1の戦車買っといたんだー」
「わざわざ買ったのか?」
「うん。下のティアの戦車で上のティア行ったらお嬢様でも勝てないからねぇ」
:それはそうw
:ティア差があり過ぎたら勝負にならん
:どこに撃っても効かないし、撃たれたら即死だから……
相手が自滅でもしない限り勝つ事は不可能、という事か。
「最初は何も出来ないから、まずは試合をしてお金を稼ごー」
彼女がそう声をかけてくる。
確かに私のガレージで出来る事は無いようだ。
ストーリーの初期と同じだな。
「分かった」
私は返事をして、対戦を開始した。