少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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094-09

 

 開始前のロード画面には、味方と敵の表が表示されている。

 

 このゲームのオンライン対戦人数は最大で20対20の40人だが、人数が少ない場合は最小で8対8にまで減るようだ。

 

 「低ティアは初心者ばかりだけど、私みたいにフレンドに合わせてそれなりに慣れてる人が来る時もあるから気を付けてね」

 

 「分かった」

 

 そんな会話をしているとロードが終了し、開始カウントダウンが始まる。

 

 私達は平原のようなマップの左下に並んで配置された。

 

 東には丘があり、所々隠れられそうな岩や廃墟が点在している。

 

 

 :初期からあるマップの一つだね

 

 :丘の上を取ると有利だけど、ほぼ間違い無く誰か行くから自走砲によく狙われる場所でもある

 

 :丘の取り合いが激しくなる事が多いけど、そこにこだわりすぎて集まると回り込まれて酷い目にあう

 

 

 コメントを見ている内にカウントダウンが終わり「戦闘開始!」という少女の声が響いた。

 

 「まずは好きにやってみてー。ついて行くよー」

 

 「ではマップ西の廃墟まで移動してみよう」

 

 のんびりとしたネムの言葉に私はそう返した。

 

 「おっけー」

 

 周囲を見ながらゆっくりと進む私達の横を、軽戦車が走り抜けて行った。

 

 

 

 

 

 

 戦車の移動速度が遅いのでそこそこ移動時間がかかったが、私達は特に何事もなく廃墟に到達した。

 

 マップの東側に向かった味方は既に戦闘を開始しているが、西側に敵の姿は無い。

 

 

 :誰もいねぇw

 

 :これは全員東行ったか?

 

 :ここまで来ていないなら西の皆で急いで裏取りした方が良いかもな、急がないと東が溶ける

 

 

 「みんな東に行っちゃったのかもねー」

 

 「このまま裏に回ってみるか」

 

 「味方がついて来てくれるか分からないけど、どっちにしても行かないと負ける気がするー」

 

 私達が西にいるぶん、戦力差が出ているはずだからな。

 

 プレイヤーの実力にもよるが、味方側が不利である可能性は高い。

 

 「裏を取るために前進する事を伝えて行ってみよう」

 

 「そうしよっかー」

 

 ネムはそう言うとチャットで裏へ回ると事と、出来ればついて来て欲しい事を伝えた。

 

 それから私達は廃墟から離れ、マップの北から相手の裏を取るように移動する。

 

 

 :ティア1から3くらいまでは初心者とあんまり変わらないからどちらかが一方的に負ける展開も多いね

 

 :野良で初心者ならこんなもんだと思うよ

 

 :まだ耐えてるけど東はきついかもなー

 

 

 ある程度私達が進むと、他の味方が移動を始めた。

 

 「味方も動き始めたな」

 

 「多分、私達が前に出ても攻撃されなかったからだね。このゲームは攻め側が結構不利だから気持ちは分かるけど、お互いに攻めないといつまでも試合が終わらないからねぇ……」

 

 「戦略や戦術、判断の難しさはある程度理解している」

 

 私も僅かではあるが、過去に他者を率いて戦った事があるからな。

 

 「私は苦手だなぁ……」

 

 隠さずに伝えておくべきだろうな。

 

 「私も頭脳戦は苦手だ」

 

 「え?そうなの?」

 

 頭脳戦が苦手である事を伝えると、ネムが驚いたような声を上げた。

 

 

 :え?

 

 :頭いい印象だけど、苦手なの?

 

 :お嬢様は脳筋だったw

 

 

 「私は大抵の事は自身の力で強引に解決出来るからな、戦略や戦術を必要とする機会はほぼ無い」

 

 魔法人類と共に過ごしていた時は多少そういった事もした。

 

 しかし今、力で簡単に解決出来る問題にわざわざ戦略や戦術を使う事は無いと思う。

 

 勿論、そうしたい時はそうするが、私の気分次第だ。

 

 

 :なるほどw

 

 :圧倒的な力の前には小細工など……w

 

 :草

 

 :超越者は策など必要としない!

 

 

 「と言う訳で、作戦の立案などは私よりも能力のある者に任せた方が良いと思う」

 

 「そうかなぁ……私から見るとお嬢様も頭良いと思うんだけどー」

 

 ネムは納得していないようだが、私は知覚出来る情報が人類より遥かに多く、その範囲も広い。

 

 その情報で上手く動けるだけだ。

 

 「力は私に遠く及ばなかったが、そういった部分で私を超えていた者達は確かに存在していた。現代にもきっと居るだろう」

 

 

 :色々と規格外だけど頭脳は人類並みなのかw

 

 :適当にぶっぱするだけで障害が全部消えるなら頭は使わんわな……

 

 :半端な力は知恵に負けるが、突き抜ければ関係無いんだよ!

 

 :力こそが全てだ!

 

 

 コメントを見ながら移動していると、東側の味方が残り僅かになっている。

 

 「あー、東が駄目かもー」

 

 ネムも気が付いたのか、残念そうな声を上げた。

 

 「間に合わなかったな」

 

 「東の味方は突っ込みすぎたかもねー」

 

 「そうか」

 

 東側が足止めに力を入れていれば上手く行った……のかも知れない。

 

 私も含めてほぼ全員が初心者のはずだ、そう上手く動く事は出来ないか。

 

 その後、私達は東を殲滅した相手に立ち向かったが、数で囲まれ敗北した。

 

 

 

 

 

 

 「負けちゃったねー」

 

 「このゲームは問題無く負ける事が出来るな」

 

 

 :ドンマイ!

 

 :初心者の試合によくある現象だね

 

 :「問題無く負ける事が出来る」ってw

 

 :負けても全く平気そうw

 

 :お嬢はあんまり手を抜かないけど、絶対勝てるゲームも好きじゃないからなw

 

 

 「お嬢様は負けても悔しくないのー?」

 

 ネムはそう問いかけて来る。

 

 「そういった感情は特に無いな」

 

 「凄いなぁ、私は少しモヤモヤするけど……」

 

 ネムは私が我慢強く温厚、といった印象を受けているのかも知れないが……言葉通り「無い」と思う。

 

 

 :対戦系のゲームの勝敗で怒ると疲れるだけよ?

 

 :出来るだけ相手をたたえようとは思うけど、やっぱり負けるとちょっとイラっとするよね?

 

 :負けるより勝つ方が良いのは普通だよなぁ?

 

 

 「もう何試合かやろうよー」

 

 「いいぞ」

 

 「次のマップは私が行くところ決めていい?」

 

 「任せた」

 

 「任せろー」

 

 話している間に試合開始前のロードに入る。

 

 次の試合は砂漠のようだ。

 

 中央に大きな砂漠が広がり、北に町、南に岩場がある。

 

 「マップを覚えなければまともに戦えないかも知れないな」

 

 「そうだね、出来るだけ覚えた方が有利だよ」

 

 

 :砂漠マップは丘陵を越えないようにするといいね

 

 :丘陵の頂上付近を取って戦うと戦いやすい

 

 :北と南も要注意

 

 

 開始カウントダウンが始まった。

 

 「みんなも言ってる通り、砂漠は丘陵を境に対する事が多いね。後は北の町と南の岩場も戦場になりやすいかなぁ」

 

 「なるほど」

 

 「それで今回私達の動きだけど、最初は様子見をして手薄な所に行こうと思うんだ」

 

 「戦力の偏りを出来るだけ無くすためか?」

 

 「そういう事ー」

 

 

 :まあいいんじゃないかな

 

 :他に同じ事考えてる奴がいると味方の大半がしばらく動かなかったりするけどなw

 

 :まあ野良はしゃあないw

 

 

 《戦闘開始!》

 

 カウントダウンが終わり試合が開始された。

 

 私達は動かずに味方の動きを待つ。

 

 ……中央の砂漠と岩場に味方が多く移動しているな。

 

 「お嬢様ー、北の町に行こー」

 

 「分かった、移動しよう」

 

 

 :今回は北の町か

 

 :数が少なくてもやりようはあるけど出来る事ならバランスよく分散したいよな

 

 

 北の町に向かって私達は移動を開始した。

 

 

 

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