この作品の注意事項
・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
深夜にミナから念話が来て朝に迎えに来ると言ったが、迎えに来るならしっかり寝てから来いと伝えた。
午前九時少し前、寝ていたルーテシアが目を覚ました。
「おはようルーテシア」
「んぁ……おはようお姉ちゃん……」
私が言うと彼女はのそのそと私の体の上に乗りうつ伏せになる、私は彼女を乗せたまま起き上がった。
「着替えて朝ご飯にしよう」
「ふぁーい……」
眠そうにパジャマを脱ぐ彼女を見守りながらミナから預かった普段着をマジックボックスから取り出し着替えさせる。
「お姉ちゃんはまた同じような服だね?」
「私はこれが良いんだ」
寝る時に着ていたワンピースをマジックボックスに入れてまた取り出す。
別の服と言う事にしているが入れて出しているだけだ。
パジャマと普段着を子供達に理解させるために子供と居る時はわざわざやっている、着替えるように言っても私がやっていないと子供も納得しないだろうからな。
「トイレは大丈夫か?」
「いくー」
朝食はハムエッグとパン、サラダに果物、モー乳を用意する。
私だけなら気にしないがルーテシアは普通の生物だ、しっかり食べなければ育たないし病気にもなるだろう。
「準備出来たぞ、食べようか」
「はーい」
私の隣で子供用の椅子に座って食べ始める彼女を気にしながら私も食事を始める。
「あまり急いで食べるな……ほらソースが付いてる」
「うん」
ナイフとフォークをそれなりに上手く使って食べる彼女の口元を拭く、好き嫌いがあまり無いのは良い事だ。
昼はミナが迎えに来たついでに作ってくれるらしいから昼まで遊んでやるか。
食事を終えてリビングで何をしようか考えているとルーテシアが本を持って来た。
「ご本読んでー」
「いいぞ」
私がそう言うと彼女は私の膝の上に乗り、私は彼女の後ろから腕を伸ばし本を持って見えるようにする。
この本は自由神が登場する本だな、今なお自由神の創作本は数が増えている。
自由神の本は大抵主人公が自由神本人であり、世界に紛れ込んでいる時の出来事を創作して描いている物が多い。
他には主人公に手を貸す神として登場したり、世界を滅ぼす存在として敵対したり謎の協力者として暗躍したりと、自由の名のもとに好きなように使われている。
その内容は様々で子供向けの穏やかな話や大人向けの殺伐とした物、中には本当に自由神を信仰しているのか怪しい内容の物もある。
今読んでいる本は子供向けの本の一つで貧乏だが親切な女が困っていた少女を助けた所、その少女が自由神で女が幸せになる、と言う物だ。
血を引き継ぐのが女性だけである事から自由神は女性を大事にするとも言われていて、物語の登場人物は女性である事が多い。
たまたまそうなっただけだが、知らない者からすると女を優遇しているように見えるか。
しかし私の見た目が女であり、みんなが言う美人であるせいか男からは不穏な気配を感じる事が多い。
そのせいか女性をそばに置く事が多くなっているのは間違いないだろう、たまに女からも似たような気配を感じる事があるが。
ケインを始めとした一部の男は全くそんな物は感じないが、本当にごく僅かしか居ない。
今ではそういう物だと理解しているが、私を目にする大抵の相手は大なり小なり私に思う所があるようだ。
私が男より女に甘いのはその辺りの差が関係していると思う。
ルーテシアに読み聞かせながら長々と考え込んでいるとあっという間に読み終わった。
「面白かったか?」
「うん!」
満足したように私に寄りかかりながら答える彼女、私は本を閉じてテーブルに置く。
「昼にはミナ、お母さんが迎えに来るからな。昼飯はお母さんが作ってくれるぞ」
「お母さん来る?」
「もう少ししたらな」
ルーテシアを膝に乗せたまま会話する、後は絵でも書いていて貰うか。
私の隣で絵を描くルーテシアを見ながら過ごしていると、家の扉をノックする音が聞こえた、時間は十二時少し前なのでミナだろう。
「おかーさん!」
「ルーテシア、いい子にしてた?」
やって来たミナを家に入れるとすぐにリビングのルーテシアの元に向かう、気が付いて走り寄った娘を膝立ちで抱きしめるミナ。
「いい子にしていたよ」
「そう、お母さん嬉しいわ」
私がリビングに入りながら伝えると、ミナはルーテシアの頭を撫でる。
「お腹空いてる?」
「食べたい!」
「そう、じゃあ座って待っててね?キッチン借りるわよ」
「ああ、ある物は好きに使っていいぞ」
ルーテシアの答えを聞いたミナは立ち上がって私に声をかけキッチンへ向かう、私はルーテシアを椅子に座らせキッチンに向かう。
キッチンでミナは料理をしている、私はグラスを二つ取りモー乳を注ぐ。
「今日は何を作ってるんだ?」
「今日は鶏肉と野菜のスープパスタよ」
「美味そうだな」
「美味そうじゃないわ、美味いのよ」
彼女は笑って言う。
ミナの料理は確かに美味い、子供に食べさせたいと一生懸命練習していたのを私は知っている。
「そうだったな、期待している」
「任せて!」
そう言って料理を続ける彼女を背にリビングの食事用のテーブルに居るルーテシアの元に戻る。
「ほら、モー乳だぞ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
モー乳をテーブルに置いて私も反対側の椅子に座る、ルーテシアは母親が帰って来て嬉しそうだな。
「お待たせー」
しばらくしてミナが料理を持ってやって来た。
ルーテシアの物は少なめ、無限に食べられる私のは多め、ミナの物は標準的な量だ。
「さあ、食べましょ」
ミナはそう言ってルーテシアの隣に座り面倒を見ながら食べ始める、私もフォークとスプーンでパスタを食べ始めた。
薄味だが美味いな。濃い味も良いが薄いのも悪くない、私達は三人で語り合いながら食事を楽しんだ。
戦争開始からそろそろ一年になる頃、長らく来ていなかった報告書が来た。
動きがあったか。
開封して内容を確認する。二枚あった報告書の一枚に記された内容は私の予想を超えた物だった。
三国がそれぞれ敵対した?
そこにはルセリアとしか戦っていなかった森林国家ユグラド、魔工国ガンドウ、獣王国カルガの三国がそれぞれと戦争状態になったという報告があった……何故そうなった?
二枚目も見てみよう。
一枚目だけ見て考え始めてしまった、しっかり確認しよう。
二枚目には知る事が出来た範囲での作戦が書かれていた。
まず各国に特別に訓練した奴隷化した工作員を侵入させ相手の国に協力させる、そして信用を得た上で少しずつ慎重に他者を奴隷化させる。
そしてある程度増やした奴隷化した者を使って他国に攻撃を仕掛け反撃をわざと受けて撤退。
そして報告には向こうから先に攻撃して来たと報告……十分に信用を得た工作員達の言葉は疑われる事無く受け入れられる。
各国間でそういった事が行われ、それぞれの国は争い始めた。
一度勢いがついてしまえば誰も疑問に思う事は無く、お互い相手が先に手を出したと考え戦争になったと。
情報源である彼らも限界らしく、これ以上は分からなかったと書いてある。
更に各国の新しい技術も盗み出し研究を開始したと書いてあった。
人間の強さと言えるかも知れない。
隷属魔法を使った信用を得て相手を陥れる作戦……手段選ばない非道さと相手を陥れる知恵、相手の全てを奪い自らの物にする強欲さ。
勿論全員がそうでは無いだろう。
だが人間には誰でもそうなる可能性があるのかもしれない、そしてそういった人間達が今のルセリアを作ったのかも知れないな。
戦況は泥沼化した、そしてこれでルセリアには余裕が出来た。
面白い。こうなるとは思っていなかった……自分が何かをするのも良いがやはり他者が私の予想しない事をする事が一番かも知れない。
「くくっ」
ミナ。お前は私が悪では無いと言ったが、こうして喜んでいる姿を見た時もそう言えるかな?