書き溜めが増えて来たのでもう一話。
細かい描写が無いキャラは読者の皆さんでお好きなように想像してください。
この作品の注意事項
・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
戦争が泥沼化した報告を受けた三日後の十五時頃。
ミナがルーテシアを連れて家にやって来た。
「お姉ちゃん来たよー」
ドアの外から声がした後ノックの音がする、私は鍵を外しドアを開ける。
「お姉ちゃん」
「おっと」
ドアを開けた途端にルーテシアが腰に抱き着いてくる、受け止めた私は彼女を抱き上げてリビングに向かう。
「ミナ、鍵を頼む」
「分かったわ」
微笑みながら私達の姿を見ていたミナは私の頼みに答え鍵をかけてからリビングにやって来る。
私はルーテシアを膝にのせてソファに、ミナは私達の飲み物を用意しにキッチンへ向かった。
「ちょっと重くなったか?」
「んー?わかんない」
ルーテシアと話しているとミナが飲み物を持ってやって来た。
「ミナ、こいつ少し重くなったんじゃないか?」
「そうね、もう少しで初等科に入学だもの……子供の成長は早いわね」
「初等科とはなんだ?」
聞き覚えの無い言葉をミナに聞く。
「私達の学校に新設する幼い子供の教育をする科よ」
「いつの間にかそんな物を作っていたのか」
「貴女興味無くすとまったく気にしないじゃない……以前から計画されてたし新しい学舎も作ってたわよ……」
確かにまったく気にしていなかったし知らなかったな。
「一般教養科も作ったわ。常識も身につけないとね」
「魔法馬鹿が生まれないようにか、以前居た誰かみたいにな」
「誰の事言ってるの?……私じゃないわよね?」
ちょっとむっとしたように言う彼女。
「私からは言えないな」
「ちょっと!?そこまでひどくなかったでしょ!?」
彼女は焦ったように言うが、魔法の訓練しかせずに誰とも交流しないのはどうなんだろうな。
「大丈夫だ。私も昔魔法に夢中になって丸一年研究し続けた事がある」
「……一日何時間くらい研究してたの?」
「文字通りだが?睡眠はしないし食事もとらず丸一年ずっと研究していた。当時一緒に暮らしていた者に叱られたよ」
「……私は普通だったわ、魔法馬鹿って自分の事じゃない!」
呆れたように叫ぶ彼女、間違いなく私の事だな。
「いや、私の事を知っていれば分かるだろう?それでも私には少しだったんだ」
「時間の感覚が違うものね」
「そうだ。それで話を戻すが、そうするとこれまでのように家には来られないな」
「そうね、朝から夕方くらいまでは学校にいる事になるし、今までのようには行かないわね」
「学校が楽しいと思ってくれればいいがな」
そう言ってモー乳を飲む。
「楽しくしてみせるわよ」
彼女は微笑み、やる気を見せる。
「そうか、お前達の学校だからな。お前達次第で変わるのは当然か」
「上手く行くように頑張るわ、娘の学校生活を駄目にする訳にはいかないからね」
「頑張れよ」
そう言えばルーテシアがやけにおとなしい、顔を下に向けると私に寄りかかって寝ていた。
「学校で居眠りしないと良いな」
「慣れればきっと平気……だと良いわね」
私の言葉に苦笑いしながら彼女は紅茶を口にする、私達はルーテシアを起こさないように話を続けた。
戦争が泥沼化して一か月と少し、ここ数日ずっと雨が降っているので私はウルグラーデの自宅に引きこもっていた。
報告によれば戦争はルセリア有利で進んでいるようだ。
他の三国はルセリア以外とも争い始めた事と、内部に工作員がいる事で上手く行っていないようだ。
それでもそれぞれの国の森や山岳地帯は三国に有利に働いていて攻め切れず、森を焼き払う作戦は三国を相手しながらは難しいと白紙になり、現在は消耗戦でじりじりと進攻しているようだ。
最近は町の武防具や魔道具が国に大量に買われ、更に食料も多く買われて町では品薄気味になり、少しずつ値が上がっている。
更に魔法使いを筆頭に戦闘が出来る者が高額の報酬で雇われ、冒険者が減少した事も合わさりウルグラーデにも影響が出始めた。
一般的な食料品店は稼げているだろうが、モー乳やデザートなどの嗜好品は家畜の餌や材料が値上がりしてしまったため値上げをしなくてはいけなくなり、それに従って購入する者が減っているようだ。
値上がりした食料を買うために嗜好品を買わなくなるのは当然だった。
まだやっていけるようだがこの先も戦争が続くとどうなるか分からないと店で聞いた。
食料関係の問題で思い出したが、ルセリアは私の作った農耕魔法を使っていないな。
今更思い出した事をリビングのソファに座って考える。
一人当たりの食料生産力は私の魔法があるか無いかで大きく違うだろう。
ルセリア以外の三国は短い期間と少人数で多くの食料を作れるようになっている。
ルセリアも農業系の魔法は使っていたが効果が違いすぎる、これはもしかするか?……いや、食料が確保出来るだけではそこまで大きく変わらないか?
このまま時間をかければルセリアの食糧問題が大きくなる?
魔物を狩っていた冒険者達を戦争に雇った事で国全体の魔物資源の供給は間違いなく減った。
実際にウルグラーデに影響が出始めている事を考えると他の町も同じかもしれない、このままひどくなれば戦争している場合では無くなるかもしれないな。
一人で色々と考えていると雨音に紛れて扉がノックされる音が聞こえる。
「鍵は開いてる、入って良いぞ」
ソファに座ったまま魔法で鍵を開けて中に入るように言う。
「雨は本当に面倒ね」
雨除けの皮のローブを脱ぎ、入り口のローブ掛けにかけてリビングにやって来たミナはうんざりとした顔で言った。
「わざわざ雨の日に来なければいいだろうに」
「ずっと雨でいつまでもやまないんだもの」
そう言いながらミナはキッチンに行き飲み物を用意する、ミナには勝手にしていいと言ってあるので私は気にせずに待っている。
しばらく待っていると彼女はいつもの紅茶を持ってソファに座った。
「それで?なんで雨の中訪ねて来たんだ?」
「……ここの所戦争の影響らしき物が見え始めているわ。貴女の情報源から何か聞いてない?」
「ふむ……」
戦争の泥沼化を教えてなかったような気がする。
「……なによ?どうかしたの?」
「一月前に報告があってな、戦争が新しい展開を見せていたんだ。教えるつもりで忘れていたな」
「忘れないでよ……まあ教えてくれるだけでも助かるけどね。貴女が居なかったらほとんど何も分からなかった訳だし」
僅かに呆れたような雰囲気を出したがそれでも情報が分かるのは助かるようだ。
「遅れたが教えるよ」
こうして詳しい事は省いて、ルセリアの作戦で三国がそれぞれ敵対してしまっている事を話した。
「はあ……」
話を聞き終わったミナはため息をついた。
「戦争が終結するどころかもっと面倒な事になっているなんて……」
「私もこうなるとは思っていなかった……くくく」
「貴女は嬉しそうね……私達は色々大変なのよ」
俯いて疲れた声で言う彼女。
「勝敗がつけばすぐに終わるが、ルセリアも優勢とは言え圧倒している訳でも無さそうだ、余計に時間がかかるだろうな」
「個人的にどうにか出来る事は無いかも知れないわね……ウルグラーデ全体でどうにかしないと」
ウルグラーデが独立した国だったら農耕魔法を教えても良かったんだが。
いや、魔道武器やゴレムと思われる技術を盗んでいるなら私が教えた農耕魔法も既にルセリアに知られている可能性はあるな。
「戦争が出来ない程に酷くなればどこかが勝者になって終わるだろう」
「この状況だと思ったよりも早くそうなりそうよね……ウルグラーデがうまく立ち回れる事を願うわ」
「思い切って独立国になってしまったらどうだ?」
「流石にそれは無理よ。今の自治権だって貴女がいたから手に入ったのよ?それだっていつ相手が無効にするか分からないのに……出来るだけ力はつけているけどね」
「あの戦いが忘れられない限りそうそう手は出してこないんじゃないか?また全滅させられるのは嫌だろうからな。何より私はこの先もまだ存在し続けるだろうし、私が意図的に見捨てない限り何度でも相手は全滅するぞ」
「……貴女がこの町に来てくれたのは幸運としか言えないわね」
微笑みながらしみじみと彼女は言う。
お前の夫であるケインがここに学校を作った事が私を呼び込む原因になったのだが。
「まあ敵は私が薙ぎ払っても良いが、経済的な問題は住んでいる者達で何とかして欲しい」
「ウルグラーデの自治体のみんなが頑張っているけど……どうなるかは分からないわね」
「私が何もかもやれば問題なくなるだろうが甘やかす気はない、限界までは頑張って、貰おう」
「そこは大丈夫だと思うわ、貴女が助けている事はみんな知らないから必死よ。あの戦いも神の気まぐれ扱いだし」
「助けられて当然だと思い始めたら見捨てるぞ?まあ、お前達くらいは助けるが」
そう言うと彼女は照れ臭そうに笑い、私を見て言う。
「そう思ってくれるなら私の分までルーテシアを気にしてあげて欲しいわね。あの子には幸せになって欲しいもの」
「大抵の親はそう思う物なのだろう?あの子が私に敵対しなければ悪いようにはしないよ」
「敵には容赦しないものね貴女」
彼女は苦笑いして言う。
「私に言わせれば敵に情をかける方がおかしいぞ、もしお前の娘が拷問されて殺されたとして……相手を許すのか?」
「……許す訳ないでしょ」
想像でもしたのか低い声で答える彼女。
「情をかけ、助けた敵がお前の大事な物を奪う可能性だってある。そんな事にならないように油断しないようにな、お前の立場も十分娘が狙われる物である事を忘れるな」
「肝に銘じておくわ」
四国がお互いに敵対してから約二か月、報告は一か月ほど前が最後で今の所は大きな動きはないようだ。
ミナに現在の戦争状況を教えた時、戦争が泥沼化した事をウルグラーデの自治体に伝えると言っていたので何かしらの対策を考えているか、すでに実行しているかも知れない。
都市内は治安維持隊の見回りが増えた。裏では色々やっているのかもしれないが外出時に感じた事はそれ位しか無かった。
曇り空の下、自宅の庭でのんびりしていると庭の入り口の鉄門が開きローブの女性が入って来た。
その女性は私を見つけると無言で近づき手紙を差し出し、去って行った。
さてどうなったのかな?
開封し中の報告書を見る、今も状況は大きく変わっていないと書いてあるがそれとは別にもう一枚ある。
来て欲しいだと?
いつもは何かある時に報告が来ていたが今回はこういう事か、どうしても直接見て確かめて欲しい物があるようだ。
ルセリア内では見せられない物らしく、都市から離れた草原に来て欲しいと日付と地図が書いてあった。
約三週間後か、一体何を見つけたんだ?
手紙に指定してあった日、十二時少し前に私は地図を見て草原に来たのだが、そこには大勢のルセリア兵がいてあっという間に取り囲まれた。
「こいつがそうか?」
「はい、間違いありません」
私の正面には髭面の男と紫の短髪の女性がいた、彼女は間違いないと言った後連れていかれてしまった。
「お前が奴らの主か?大分情報を得ていたようだが……やりすぎたな」
正面に残った髭面が言う、情報を貰っていたのがばれたのか。
「ジークとミアリス……聞き覚えが無いとは言わさんぞ?」
「知らんな」
「嘘を言うな!あの二人には解呪不可能な隷属魔法がかかっていた!その二人が頻繁に連絡していた人物……!こんな子供だとは思わなかったがお前があの二人に隷属魔法をかけたんだろう!?」
しれっと嘘をついた私に怒鳴る髭面、誤魔化せないか。
「私がお前達が探している人物であったとして、何の用なんだ?」
「色々と吐いて貰う……その後は処刑する!子供でも機密漏洩は重罪だ、見逃す事は出来ん!」
「あの二人はどうなった?」
「すでに処刑された」
そうか、成り行きで奴隷化したとは言えあの二人は私の奴隷、それに手を出したわけだな?
「あの二人の処刑に関係した者を教えろ、そうすればお前達は助けよう」
そう言うと、髭面は顔をしかめる。
「馬鹿な事を……おい!捕らえろ!」
聞く耳を持たずに指示を出す髭面、数人の兵が私を捕らえようとするが魔法で吹き飛ばす。
「なっ!?」
「無理やり吐かされたいのか?関係者を教えろ……答えれば助ける。答えないなら吐かせて殺す」
驚く髭面に歩み寄りながら再び問いかける、余計な手間を取らせるな。
「捕らえろ!痛めつけても構わん!」
「残念だよ」
叫ぶ髭面にそう言って襲い来る兵士を魔法で切り刻む、歩いているだけの私に近づいただけでいきなりバラバラになって散らばる兵士達を見て残っていた者が動きを止めた。
「何をしている!?さっさと止めろ!!」
動きを止めた兵を次々と殺していく私を見ながら叫ぶ髭面、殺されまいと兵士たちは動き出したが僅かな時間で全員私に殺された。
「さて、吐いて貰おうか」
「知らない!私は詳しく知らないんだ!」
立ち向かおうともせずに知らないと叫び始める髭面、それで良いのかお前。
「確かめてみないとな」
自白させた結果王城の誰かとしか分からなかった。ルセリアに行って探すしかないな……髭面を処分して死体を全て焼き、ルセリアに向かう。
また姿を消して……いや、こそこそするのはもういいか。女神装備の重装ならば全身鎧で顔がばれる事は無い訳だし、これを着て正面から行こう。
最近戦って無いからな、たまにはいいだろう。
鎧を着て……武器は……女神のショートソードで良いか。
私の場合武器を使うより生身の方が強い。丁度いい手加減になるだろう、髪一本で魔法金属も切断出来るし、強く握れば握り潰せる。
普段の私の力加減がどれだけ絶妙だか分かるな。
どうせ王城にいくのなら三国を敵対させた作戦を考えた者の顔と王の顔も見てみたいな。