少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 一度書いたものを間違って消してしまうとやる気が下がる事が分かりました。

 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。


 ※2020年2月18日。主人公の行動に違和感を感じため一部を変更し、以降の描写も多少変更いたしました。

 ご了承ください。




025-02

 現在私はルセリア王城の城門上空にいる。

 

 空から王城前まで向かっている途中、王城の敷地内の一部に人が少ない事に気が付いた。

 

 途中の警備の者から聞き出した情報によると、その一部は特定の者以外立ち入り禁止で様々な研究施設が立ち並んでいる重要区画らしい。

 

 新しい技術と盗んで来た技術の研究、後はすでにある技術の改良などをしているのか?

 

 姿を隠さずに来たから下では私を発見した者達が集まり始めている、しかしいきなり攻撃してくる様子は無い。

 

 私は城門前に集まっている人々の中に降り立つ、周囲の人間は遠巻きに私を見てざわついている。

 

 「止まれ!お前は何者だ!?何をしに来た!?」

 

 閉じた門の前にいる兵士の一人が訪ねて来る。

 

 「ジークとミアリスを知っているか?」

 

 「裏切者が何だというんだ!?」

 

 「私はあの二人の主だよ。私の物である二人を処刑した者達に報復に来た、関係者を知っている者は教えろ、そうすれば余計な怪我人が出なくて済むぞ」

 

 「応援を呼べ!城に入れるな!」

 

 私がそう言うと兵士は叫ぶ、こいつらは何も知らなそうだ。

 

 私は雷魔法を纏って城門に向かう。私を止めようとする兵士達が近寄った瞬間、身を跳ねさせ崩れ落ちて行く。

 

 「しばらく意識を失うだけだ、死にはしない」

 

 私はそう言って歩き続ける。周囲の一般人が逃げ惑う中、私は巨大な城門をこじ開けて中に入る。

 

 城の入り口まではまだ距離があるな。

 

 敷地内に入ると正面の城と周囲の詰め所から兵が既に出て来ていた。

 

 こういった兵では情報は得られないだろう、もう少し身分の高そうな者を探そう。

 

 私が城門をこじ開けたのを目撃したのか腰が引けているようにも見える。

 

 やがて意を決し、進む私に襲い掛かるもなすすべもなく無力化される兵士達。

 

 ある程度進むと兵達も近寄るに近寄れず周囲で歩く私を見ているだけになった。

 

 「邪魔だ!離れろ!」

 

 そんな声と共に地面に影が出来る。上を見ると巨大な岩が落ちて来ていた、それと同時に足が埋まり私の動きを阻害する。

 

 轟音と共に岩が地面にめり込む、私は体に薄く障壁を張って無傷だが。

 

 「手を緩めるな!やれ!」

 

 私の聴覚が轟音に紛れた声を拾う、その直後に炎が殺到した。

 

 近寄れないと見て魔法攻撃か、無差別範囲の炎魔法は確かに有効かもしれない。

 

 大量に撃ち込まれる炎の魔法。

 

 そういえばルセリアの権力者は魔法の才能があり、戦闘力は高いと死んだ二人から聞いた事があったような?

 

 強くなければこの国で地位を維持するのは難しいようだ。

 

 炎に巻かれながらそんな事を考えていると声が聞こえてくる。

 

 「エクスプロージョン!」

 

 岩に石潰されて地面にめり込んでいる私の足元に輝く光の玉が生まれ、その直後ひと際大きい轟音を響かせて大爆発を起こした。

 

 その爆発で岩は砕け散り、私はほぼ真上に吹き飛ばされた。

 

 激しい閃光と熱が巻き起こり、轟音が長く後を引く。

 

 そんな中私は空中に停止して相手を見た。

 

 明らかに特別な装備に身を包んだ男女五人。恐らくもっといるはずだ、流石に少なすぎる。

 

 「隊長がわざわざ手を下さなくともよかったのでは?」

 

 「ここまで入られている時点で我々の失態だ。確実に殺さなくては王に顔向けが出来ない」

 

 隊長と呼ばれた男を見る、銀髪のロングヘアで身長は高く体格がいい男だ、その目つきは鋭い。

 

 隊長と呼んだ青髪セミロングの女が私がいた地面を見ながら構えていた。

 

 他の者は……赤髪短髪の男、茶髪でポニーテールの男、ピンク髪の女は三つ編みロングだ。

 

 周囲にいた兵達は居なくなった。

 

 これだけ魔法が使える者にとっては邪魔にしかならないだろうからな、避難したのだろう。

 

 しかしこれは良い所に来てくれた、彼らなら色々知っていそうだ。

 

 まずは彼らの自由を奪っておこう、私は彼らの手足を拘束する。

 

 「なに!?」

 

 「ちっ……」

 

 口々に驚きの声を上げる五人、隊長と呼ばれた男はあまり動揺していないようだが。

 

 「上に逃げていやがった……」

 

 赤髪の男が呟いた言葉の間違いを正すために私は答える。

 

 「逃げてなどいない、すべて当たっていたが効果が無かっただけだ。最後の爆発で上空に飛ばされてしまってな」

 

 「はったりは見苦しいですよ」

 

 茶髪のポニーテール男が言う。意外と余裕だな、何かありそうだ。

 

 「聞きたい事があるんだが、答えてくれないか?」

 

 「ああ!?答えると思ってんのか!?」

 

 隊長と呼ばれた男に向かって話しかけるが赤髪男が答える。

 

 「お前は少し黙れ」

 

 「んだと!?……っ!?……っ!?」

 

 赤髪男を黙らせる、他の四人も黙って見ている。

 

 「改めて聞こうか。ジークとミアリスの二人の処刑に関わっている者を探している、お前達は知っているか?」

 

 「お前達、知っているか?」

 

 隊長が他の者に聞く……なぜだ?妙に素直だ。

 

 「知りませんね」

 

 「僕も知らないね」

 

 「ふむ、では三国を敵対させた作戦の考案者は知っているか?」

 

 そう言うと四人の意識がピンク髪の女に向くのを感じた、そうか。

 

 「この中の誰かだったりするのか?」

 

 私は薄い微笑みを浮かべながら隊長に聞く、彼は私を見て言う。

 

 「そうかもしれないし違うかもしれんな」

 

 隊長はそんな事を言いつつ私を見つめている。

 

 「そうか……ところで私は相手が誰に意識を向けているか何となく分かる」

 

 突然の私の言葉に訝しむ隊長。

 

 「作戦の事を聞いた時、一人に意識が集まったのを感じたんだが……」

 

 「やれ!」

 

 「アンチマジック!」

 

 私がそう言った途端隊長が叫ぶ、その直後ピンク髪の女が魔法を使った。

 

 「なにっ……!?」

 

 隊長の表情が変わる、これは魔法のタイミングを計っていたのか?

 

 「そんな……全く効かない……そんな……」

 

 ピンク髪の女が呟く、そこまでショックを受ける事は無いだろう。

 

 「馬鹿な……彼女は対抗魔法の熟練者よ……?」

 

 青髪の女がかすれた声で呟く。

 

 「残念だったな。私とお前では実力が違いすぎる」

 

 ピンク髪の女は俯いて動かない、こいつ精神的に脆すぎないか?

 

 そうだ、自殺出来ないようにしておかないとな。

 

 死んでも生き返らせて聞く事は出来るが予防は大事だ。

 

 「さて質問に答えてもらおうか」

 

 「何も語る気はない」

 

 「ジークとミアリスの処刑に関わった者を教えろ」

 

 魔法を使って質問をする。お前ではこの魔法に抵抗出来ないだろうが、頑張ってみるといい。

 

 「……私と一部の上層部だ」

 

 「隊長!?お前っ!?隊長に何をしやがったっ!?」

 

 茶髪ポニーテールの男が叫ぶ。

 

 「詳しく話せ」

 

 そう言うと詳しく話し出す、これで目標が定まったな。

 

 「隊長!目を覚ませ!隊長!!」

 

 「うるさいぞ、黙っていろ」

 

 「……!?っ……!!」

 

 茶髪を黙らせて話を続ける。

 

 「三国を争わせた作戦の考案者は?」

 

 「シータが考えた」

 

 「そいつは何処にいる?」

 

 そう言うと隊長はピンク髪の女を見て言う。

 

 「彼女がそうだ」

 

 彼女がそうか、意識が集まったのは間違いなかったな。

 

 「後は、そうだな……王の見た目を教えろ」

 

 「水色の髪のショートヘアの男性、見た目は十七歳前後、常に目を閉じている」

 

 常に目を閉じている?それだけ分かればいいか、作戦の考案者も見られた事だしな。

 

 「莫大な……人が敵う相手じゃ……ない……」

 

 シータというピンク髪の女は俯いてブツブツと呟いている、どうしたんだ。

 

 こんなものか、私は隊長にかけた魔法を解いて元に戻す。

 

 「くそ……何かされたか……」

 

 正気に戻った隊長は自分の異常に気が付いて顔をゆがめて吐き捨てる。

 

 「ありがとう、さようなら隊長」

 

 私は彼を焼き払う、その後には装備だけが残った。

 

 彼は最後まで私を睨んでいたな。

 

 「お前達は私が帰れば解放してやる、大人しく待っていろ」

 

 三人は物凄い形相で私を睨みつけている、シータは俯いたままだ。

 

 これで後は残りの関係者と王の顔を見に行くだけだな。

 

 

 

 

 

 

 その後、私は王城の兵を無力化しながら私の奴隷を処刑した関係者達を処分した。

 

 全員「私はルセリアの~」などと色々言っていたが。

 

 大騒ぎなっている筈だが急に人を見なくなった。

 

 それはともかく王はどこだ、もう感知を使おうか……。

 

 そう思い始めて城の大広間に入ると全ての入り口から兵が現れ、二階にも弓兵が並んでいた。

 

 今更この戦力で勝てると思っているのか?

 

 「ようこそ、侵入者さん」

 

 私に話しかけてくる目を瞑った男……この姿は恐らく。

 

 「お前がルセリア王か?」

 

 「貴様!王に向かって!」

 

 取り巻きの一人が声を上げる。

 

 「構わない、彼女の好きにさせてくれ」

 

 「はっ!」

 

 返事をすると成り行きを見守るようにこちらを見る。

 

 あの装備はさっきの五人と同じだな。

 

 「親衛隊長と四人の隊員が君を殺しに行ったんだけど……ここに君がいると言う事は死んだのかな……?」

 

 ルセリア王が私に話しかけてくる、何故目を瞑ったままなんだ?

 

 「隊長というのは銀髪のロングヘアで身長の高い目つきの鋭い男か?」

 

 「……そうだよ、彼が負けるとなるとかなり不味い相手だね君は」

 

 「と言う事はあれが親衛隊長だったのか」

 

 「名乗らなかったのかい?」

 

 「ああ、いきなり攻撃して来てそのまま戦闘になった。装備は良かったが隊長としか呼ばれていなかった、だから小隊長かと思っていた」

 

 「あはは、彼がその程度に感じるか。予想以上にヤバいね君は」

 

 楽しそうに笑うルセリア王、彼からは特に敵意を感じないな。

 

 「所で……僕の部下にならないか?」

 

 「断る」

 

 「そっか……残念だよ……みんな、彼女を捕らえてくれ」

 

 そう言って兵をけしかけるルセリア王だが、どうにかなるとは思っていないように見える。

 

 私は襲い来る兵を無効化しながらこちらをじっと見るルセリア王の視線を感じていた。

 

 いや、視線では無い。

 

 濃密な魔力で私を見ているように感じる。目が見えないのか?

 

 程なく彼らは意識を失い全員無力化された、王だけが残り私の方を見ている。

 

 「ルセリア王、お前もしかして目が見えないのか?」

 

 「ん?そうだよ?」

 

 「それにしては迷いも無く私の位置を把握していたようだが……魔力を使って周囲を見ているのではないか?」

 

 「……良く分かったね……僕は生まれつき目が見えなくてね。物心ついた時には普通にやっていたよ」

 

 「年齢は?」

 

 「君が教えてくれたら答えるよ」

 

 「私は数百歳と言った所だな」 

 

 実際は一万以上だが。

 

 「人間じゃないのかい?」

 

 「森人と人間のハーフだよ、特徴が出なかっただけだ」

 

 「なるほど。見た目は人間でも寿命は長いわけだ、道理で強いと思ったよ」

 

 納得したように頷くルセリア王。

 

 「約束通り教えよう、僕は二十三歳だよ」

 

 年齢に嘘が無いならその歳でこの魔力は異常だな。恐らく種族など関係なく突き抜けて強いぞこの男。

 

 「それで君はなんでこんな事を?」

 

 私の行動の理由を聞いてくる彼。

 

 「お前達が処刑した二人は私の物でな。私は自分の物を壊した者に報復に来たんだ」

 

 「そう。彼らは若く強い、良い人材だったけど……許す訳にはいかなかった。それならもう目的は達成したのかな?」

 

 「ん?そうだな……もうやる事はやったし帰ってもいい」

 

 「良かった。いくら僕でも君には勝てそうにないからね、内心どうしようかと焦っていたんだ」

 

 そう言うがとてもそうは見えないな、いざとなればどうにか出来ると思っているような気がする。

 

 しかし彼は興味深い、彼を調べる事を条件に力を貸すのもいいな。

 

 どうするか。

 

 「……ん?なに?悩んでるの?」

 

 「お前の部下にはならないが、私の提案を受け入れるならしばらく滞在しても良い」

 

 「本当かい?じゃあ、その提案を聞かせてよ」

 

 「お前の体を調べたい」

 

 「僕の体を?」

 

 「そうだ。お前は異常だ……その年齢でその魔力は種族関係なく今まで見た事が無い」

 

 いや、カミラがいたな。まあわざわざ言い直さなくてもいいか。

 

 「ああ、やっぱり僕はおかしいんだね?」

 

 「何とも言えない、調べてみなければな」

 

 彼は何かを考えているのか何も言わない。

 

 「どうだ?お前が調べさせてくれるならここに滞在し、場合によっては力を貸しても良い」

 

 更に声をかけると彼は瞑った目をこちらに向け嬉しそうに微笑んで言う。

 

 「いいよ、交渉成立だね」

 

 手を出してくる彼、私は彼の手を握った。

 

 「この王家の紋章が入った短剣をあげる、来た時はこれを見せて」

 

 「分かった、その内調べるためにこっちに来るから待っていろ」

 

 私は短剣を受け取ってマジックボックスにしまいながら言う。

 

 「ああ、それと私は報復は忘れない限りする。お前、私を捕らえようとしたな?」

 

 「……何か嫌な予感がするんだけど?」

 

 私は飛行して王城を飛び出す、そして研究所に岩を撃ち込んで破壊した。

 

 「交渉成立後に、これは酷くない?」

 

 追いかけて外に飛んできた彼が苦笑いしながら言うのが聞こえる。

 

 私は彼に手を振ってウルグラーデに帰った。

 

 

 

 

 

 

 私がルセリア王城に行ってから約一週間が過ぎ、今まで戦況を報告していた者を無くした私はあれから戦争がどうなったか分からなくなっていた。

 

 あの後一度ウルグラーデに戻ったが、早く奴を調べたくてすぐにルセリアに戻った。

 

 しかし奴が忙しくてゆっくりと調べる時間が無く、落ち着くまで一か月ほど待って欲しいと言われた。

 

 ゆっくりと待とうか、戦争の事はルセリア王に会いに行った時に聞けばいい。

 

 さて、現在は十六時。中途半端な時間だが、たまにはミナの家に行くか。

 

 『ミナ?聞こえるか?』

 

 『なーに?貴女から念話なんて珍しいわね……何かあったの?』

 

 ミナに念話を送るとすぐに返事が返ってくる。

 

 『久しぶりに家に行っていいか?』

 

 『いいわよ?……ルーテシアも喜んでるわ、待ってるわね』

 

 連絡を終え、学校内のミナの自宅に向かう途中でモー乳販売店でデザートを買っていく。

 

 値段はそこそこ上がってしまっている。

 

 

 

 

 

 

 ミナの家の玄関をノックする、すると家の奥から走ってくる音が聞こえる。

 

 「お姉ちゃん!」

 

 扉が思い切り開いてルーテシアが飛び出してくる、私は彼女を受け止める。

 

 「ルーテシア。しっかり相手を確認してからにしろ……私じゃなかったらどうするんだ」

 

 「……謝る!」

 

 微笑んでそう答えるルーテシア、そういう事ではないのだが今はいいか。

 

 「ミナ、お前がしっかり教えろよ?」

 

 「分かってるわよ」

 

 受け止めたルーテシアを抱いたままリビングに移動しつつミナに言う。

 

 事前に連絡していたからか飲み物がすぐに用意された。

 

 そうだ、忘れないうちに渡そう。

 

 「ミナ。ここに来る時にデザートを買って来た、食べてくれ」

 

 マジックボックスから買って来たデザートを出す。

 

 「デザート!?」

 

 「あら?ありがとう……夕食食べて行く?デザートも夕食後に出すから食べて行けば?」

 

 「そうだな、じゃあそうしようか」

 

 「お姉ちゃんご飯一緒?」

 

 「ああ、一緒に食べよう」

 

 「やった!」

 

 ミナは喜ぶルーテシアを微笑みを浮かべながら見た後、デザートを冷蔵庫に持って行った。

 

 「ねえねえ、お姉ちゃん」

 

 私の膝の上に乗ったルーテシアが顔を上げて話しかけて来る。

 

 「なんだ?」

 

 「学校って楽しい?」

 

 「そうだな、私は中々楽しかったぞ?」

 

 参加の仕方は違ったが。

 

 「ふーん」

 

 「行きたくないのか?」

 

 そう聞くとルーテシアは首を横に振る。

 

 「違う……でもお姉ちゃんとあんまり会えなくなるって……」

 

 「少し会える時間は減るが楽しい事もきっと増える」

 

 ルーテシアの頭を優しく撫でる、学校が嫌だと言わなくてよかった。

 

 「この子学校は楽しみだけど貴女に会えないのも嫌だって悩んでるのよ」

 

 デザートを置いて戻って来たミナがソファに座る。

 

 「これからたくさん一緒にいる時間はあるから焦る事は無い、むしろ学校に行ける時間の方がずっと短いんだ」

 

 「そうなの?」

 

 「ミナ、森人は数百年生きるよな?」

 

  私はミナの方を向いて聞く。

 

 「そうね……大体五百年前後かしらね」

 

 「学校に行ける時間は?」

 

 「十五年ね」

 

 私はルーテシアを見て言う。

 

 「分かるか?五百年の内の十五年しか行けない。楽しまないともったいないぞ?」

 

 「……うん、私いっぱい遊ぶ!」

 

 「遊びではないかもしれないが、まあ初等科では似たような物か」

 

 「学校にいく気持ちが固まってよかったわ、貴女と学校で迷っていたもの」

 

 「そうか」

 

 こうして話をして過ごし、途中で帰った来たケインを加えて夕食が近くなるまで語り合った。

 

 

 

 

 

 

 食事も終わり風呂にも入った後、私はまだ彼女達の家にいた。

 

 「ルーテシアは寝ましたか?」

 

 「良く寝ているわ、あなた」

 

 夜も更けルーテシアはすでに夢の中、リビングには私とケインとミナの三人がいた。

 

 「……ルーテシアが迷う事なく学校に行ってくれるようで良かったですよ」

 

 「クレリアさんが上手くやってくれたのよ」

 

 「ありがとうございます、師よ」

 

 「やろうとした訳じゃない。思った事を言ったら納得しただけだ……出来ない事を出来ると思われるのはごめんだぞ」

 

 「ルーテシアは師に懐いていますからね。本人から一緒にいられると言って貰えたのが良かったのではないでしょうか」

 

 「偶然だろうといい方向に向かったのならいいだろう」

 

 私はそう言ってソファに寄りかかる、しばらく沈黙が続いた後ミナが呟いた。

 

 「初等科が始まる前に戦争が終わってくれればいいけれど……」

 

 「以前から多少情報を得ていたが今は完全に分からないからな」

 

 「連絡が無いの?」

 

 「ああ、例のルセリアにいる情報源ですか、師のおかげで大分助かっていますよ」

 

 ミナとケインがそれぞれ話す、私はソファから身を起こし告げる。

 

 「いや、今は情報を手に入れる事は出来なくなった。情報源は私に情報を渡していた事がルセリアにばれて処刑された」

 

 沈黙する二人、何と言えばいいのか分からないと言った感じか?

 

 「こうなる可能性は知っていたし、元々は私を奴隷にしようとした敵だ。気にしなくてもいい」

 

 ケインが思い出したように言う。

 

 「以前、ルセリアで奴隷にされそうになったと言っていましたよね?」

 

 「あっ……そういえば……その時の?」

 

 ミナも思い出したのか私を見る。

 

 「そうだ、その時の関係者だ。もう死んでしまっているから教えるが王国戦士団と王国魔法士団の団長の二人が私の情報源だった」

 

 「なっ……」

 

 ルーテシアが寝ているせいか大声は出さなかったが目を見開いて驚く二人、何に対して驚いているのか分からないんだが。

 

 「かなり上位の地位にいる者では無いですか……なぜそんな事に……」

 

 ケインが呟くが私も知らない、聞いていないからな。

 

 「私を狙って来たのがその二人だっただけだ。それなりの地位だったのならそれだけ正統な巫女が欲しかったのだろう」

 

 「情報が詳しい上に正確だったのでそのあたりの民間人では無いとは思っていました……思っていましたがまさか団長だったとは……」

 

 「まあ、後一か月もすれば新しい情報が入るはずだ」

 

 「え?でもさっき手に入れる事は出来なくなったって……」

 

 そう言って困惑するミナ。

 

 「ルセリアで新しい情報源が出来てな。一か月後にまた会うからその時に聞いてみるつもりだ。かなり信用出来る相手だから期待していいぞ」

 

 「師の事ですから親衛隊員でしょうか?」

 

 面白そうだから黙っていよう。

 

 「今は教える訳にはいかない」

 

 「そうですか、残念です」

 

 「友人から情報を貰う事が出来たら教えるよ」

 

 「お願いね?……忘れないでね?」

 

 ミナから念を押された……きっと大丈夫だと思う。

 

 

 

 

 

 

 それから約一か月が過ぎ、私はルセリア王城の城門前にやって来た。

 

 女神重装を着ているが、このままでは異常に目立つので体を覆う質の良いローブを上に着ている。

 

 いつでも見せられるように短剣は腰につけておく。

 

 「止まれ、関係者以外は城には入れない」

 

 城門前には以前にはなかった建物が出来て人数が増えていた。

 

 門の上にも人員が配置されていつでも攻撃できるようになっているように見える。

 

 ここに来る前も警備らしき兵がかなりいた、私のせいか?

 

 「ルセリア王に呼ばれて来た、これを見せるように言われている」

 

 呼ばれた訳では無く勝手に来たのだがこう言っておけば問題無いだろう、私は腰に付けた短剣の紋章を見せる。

 

 「っ!?申し訳ありませんでした!!開門!開門だ!急げ!!」

 

 短剣の紋章を見た瞬間に態度が変わり開門される、この短剣は効果が高いな。

 

 巨大な門がゆっくりと開いて行きやがて完全に開いた。

 

 「どうぞお通り下さい!」

 

 「ありがとう」

 

 頭を下げて言う兵士に一言告げて通る。広い道を歩き城の入り口に詰めている兵士達が見えて来た。

 

 「本日はどのような御用でしょうか?」

 

 妙に対応が丁寧だ、ここまで来れているという時点で相応の人物なのは間違いないからか?

 

 「ルセリア王に会いに来た」

 

 「失礼ですが……約束はしておられますか?」

 

 「正確な日時は決めていないが来る事は知っているはずだ」

 

 「王もお忙しい身ですので……正確な日時を決めて頂きたいのですが……」

 

 困ったように言う兵士、今日は会えないのかな?

 

 「今日は会えないと言う事か?」

 

 「申し訳ありませんが……」

 

 駄目なのか、一応短剣でも見せてみよう。

 

 「ルセリア王からこれを貰っているのだが」

 

 「……ただいまルセリア王にお伝え致します、こちらでお待ちください」

 

 私が短剣を見せると兵が突然跪き前言を撤回する、便利だな。

 

 しばらく用意された部屋で待っていると、以前見た親衛隊員装備の人間が迎えに来て城内に案内される。

 

 応接室に案内されて紅茶を飲んで待っているとルセリア王がやって来た。

 

 「やあやあ、いらっしゃい」

 

 軽い挨拶をしてくるルセリア王。

 

 「そろそろ平気だと思って来たんだが、大丈夫そうだな」

 

 ソファに座り微笑むルセリア王に言う。

 

 「そうだね、ようやくって所かな?君が優秀な人員と施設を壊してくれたおかげで大変だったけどね」

 

 「私に関わったのが間違いだったな」

 

 「いやいや、むしろラッキーだったよ。君みたいな存在に会えたんだからね」

 

 「そうか」

 

 「それで?僕の体を調べるんだよね?」

 

 「その前に聞きたい事がある」

 

 「何?教えられる事なら教えるよ?」

 

 「現在戦争はどうなっているか知りたい」

 

 「あー、戦争ね……戦争ならもう終わったよ」

 

 「終わった?」

 

 詳しく聞こうとした時に部屋がノックされる、ルセリア王が返事をすると手押し台を押してメイドが入って来た。

 

 「お客様、お飲み物はどうなさいますか?」

 

 「モー乳を頼む」

 

 「……かしこまりました、少々お待ちください」

 

 メイドは一礼して部屋を退出した、用意していないようだ。

 

 紅茶にしておけばよかったか。

 

 「モー乳好きなの?」

 

 メイドとの会話を聞いていたルセリア王が言ってくる。

 

 「ああ、愛飲している」

 

 「ふーん、じゃあ今度から用意しとくよ」

 

 「それは嬉しいな」

 

 やがてメイドが戻りルセリア王に紅茶を、私にモー乳を出して退室していった。

 

 「話を続けようか、戦争が終わったとはどういう事だ?」

 

 「どういう事って……そのままだよ?各国間の戦争は終わった、僕が終戦を呼び掛けたんだ」

 

 「なぜだ?勝てた戦いだったのではないのか?」

 

 彼は私へと顔を向け溜息を吐いて言う。

 

 「誰かが色々と殺したり壊したりしたせいで厳しくなってね。終わらせる事にしたんだ」

 

 「良く他の三国が受け入れたな?」

 

 私を責めるような視線を無視して話を続ける、彼は苦笑いして答える。

 

 「四国を争わせようと仕組んだ者がいた事が分かってね」

 

 「私の得た情報ではルセリアの作戦だと記憶しているが」

 

 「僕達を争わせるために暗躍していた何者かが悪いんだ、僕達は踊らされていただけなんだよ」

 

 「ああ、そういう事にしたんだな」

 

 そう言うと彼は何も言わずに微笑んだ。

 

 「王城内に君の部屋を用意したから、滞在する時はそこで過ごすといいよ」

 

 戦争に関してはそれ以上何も言わずに話を変える彼、知りたい事は分かったからそれでいいか。

 

 「王城内に私を置いていいのか?」

 

 「君がその気になったら場所なんて意味ないでしょ?」

 

 「確かにそうだな」

 

 「そうだ、いい加減名前を教え合わないかい?」

 

 「それもそうだな、私はクレリア・アーティアだ。森人と人間のハーフだ、よろしくな」

 

 「僕はアドル・リィ・ルセリア。ルセリア神王国の国王だよ、こちらこそよろしくね?」

 

 こうして私はルセリア神王国王城に住み、アドルの体を調べる生活を始めた。

 

 

 

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