この作品の注意事項
・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
それから調べるのは改めて時間が取れた時と言う事になり、部屋に案内された。
現在部屋で女神の重装を脱ぎくつろいでいる。
部屋には忘れずに鍵はかけているので誰かが急に入ってくる事は無いだろう。
かなり豪華な部屋のソファに座り、ミナに念話をする。
『ミナ、今は大丈夫か?』
時間は十四時前だから問題は無いと思うが……どうかな。
『大丈夫よ、なに?』
『戦争の情報を得られたから教えるぞ』
『手に入ったのね?ありがとう』
『戦争は終戦になったようだ』
『……え?……本当に?』
『間違っている事はまず無いと思う』
『そう……終わったのね……よかった……』
『良かったな。それと情報をくれた友人の元にしばらく世話になる事になった』
『そうなの?ルーテシアが寂しがるわね』
『学校が始まれば気にしなくなるさ、上手く言っておいてくれ』
『分かったわ』
『もし何かあったら連絡しろ』
『そうさせてもらうわ。出来たらたまにはルーテシアに会いに戻って来てね?』
『出来たらな』
そう答えて念話を切る。これで後は奴の事を調べるだけだ……どうなっているのか楽しみだな。
三日後、アドルが私の部屋へやって来た。
もちろん私は女神の重装を着ている。
彼がこうしてやって来たのは、出来るだけ城内をうろつきたくない私が部屋に来るように頼み、彼があっさりと了承したからだ。
「そこに座ってくれ」
「分かったよ」
私の指示に従って椅子に座る彼、後は詳しく分析していくだけだが時間がかかるだろうな。
「ただ座っているだけでいいのかい?」
「ああ、お前は座っているだけでいい」
「もっと色々される物だと思っていたよ」
何となくほっとしたように言う彼、意外と不安を感じていたのか?
「色々とは?」
「血を抜かれたり切り刻まれたり?」
「私にはそんな事は必要ない。痛くも無いし体に負荷もかからないはずだ、時間はそれなりにかかるが」
「確かに何か探られているように感じるけど痛くはないね……魔法的な物なのかな?」
「そうだ、私の独自の方法だ。教える気は無いぞ」
「そっかー、残念だな」
そんな話をしている間にも分析は進んでいる、じっくりと詳しく、時間をかけて行う。
しばらく他愛のない話をしながら分析をしていたが突然彼が声を上げる。
「ああ、もう時間がない。悪いけど今回はここまででいいかな?」
「構わないぞ、また平気な時に来てくれ」
「じゃあ行くよ、またね」
そう言って彼は部屋を出て行く。
今回は異常な魔力が体に影響を与えているか調べたが、特に問題は無さそうだった。あくまで今の時点の判断だが。
顔を見られたくないために食事は自分で取ると言って部屋に閉じこもって過ごした。
アベルが来た時だけ鎧を着て彼を調べ、居なくなると結果を確認して次の検査の予定を立てる。
そんな日々を過ごして一か月、検査の回数も五回目だ。
ようやく断定出来そうな事が分かって来た。
「現時点で分かった事を聞くか?」
「もちろん聞くさ、自分がどんな状態なのか分かるのは嬉しいよ」
椅子に座ったアドルは頷いて言う。
「じゃあ教えようか。お前の体は魔力によって強度や能力が大きく上がっている、お前が強い原因の一つだな」
「問題は無いの?」
「体には全く問題は無いな。ただお前の目が見えないのは、お前の目の付近だけ魔力の流れが悪いせいだと思う」
「え?そうなの?」
「ああ、全身の魔力の流れはスムーズだが目の周りだけ流れがかなり悪い。恐らくお前の目が見えないのはそのせいだ」
「……治るの?」
「治る、訓練を行い目の周りの魔力の流れを意識して良く出来ればな。相応の制御能力が要るから、才能や呑み込みの早さにもよるが時間がかかるかもしれない」
「治るのか……もう一生このままだと思っていたから変な気分だね」
そう言う彼の言葉の中には喜びが混じっている気がする。
「魔力の流れをよく見る事が出来る者が居たなら気が付いたかもしれないが、お前も生まれつき目が見えない事でどうにもならない事だと思い込んで気にしていなかっただろう?」
「確かにね。治る物だなんて思っていなかったよ……どんな薬も魔法も効かなかったと聞いていたし」
「調べないと分からないが、お前の魔力が強すぎて効果が無かったんだと思う。後は薬の効果の適用外だったかだな。市販品では無く、どこが悪いかが分かっていてその部分にのみ効果が出るように作ってある薬であったなら、あるいは効いたかもしれない」
「そんな事は無理だったと思うよ?クレリアがこうして調べるまで誰も分かっていなかった訳だしね」
調べ始めて二か月後、今日も彼の体を調べる。
「来たよ、検査して」
「そこに座れ」
いつもの様に彼の体を調べ始める。
「そういえばお前二十三だと言ったな」
「ん?そうだけど?」
「前王はどうなったんだ?その若さで王になったと言う事は病気で死んだのか?」
そう言うと彼は黙って私を見ていた、なんだ?何かあったのか?
「……前王は僕の父親だったんだけどね……酷い奴だった。母さんにずっときつく当たっていた、僕が生まれてからさらに酷くなったと聞いたよ」
「なるほど。お前が生まれてから酷くなったとは?」
「目が見えない出来損ないを生んでしまったからさ、王として後を継ぐのに目が見えないのは致命的だよね?」
「なるほどな、しかしまた作ればよかったんじゃないか?」
「母さんは僕という異常な子を産んだ事で二度と子を産めない体になった。だけど僕の事を嫌わず愛してくれたよ」
「他の女では駄目だったのか?」
「もちろん作ったよ。僕が王になる前はその中から次の王が選ばれるはずだったからね」
「まあそうだろうな」
「詳しくは省くけど、僕と母さんは殺されはしなかったけど隔離された場所で暮らしていたんだ……やがて成長して自分の力に気が付いた僕は父親である王と他の子供とその母親を密かに殺した。そして後継ぎが僕だけになった時力を示して王になった」
「なるほどな、お前の母親はお前がした事を知らないのか?」
「気が付いていると思う……王と他の王候補達、そしてその母親全員が死んだんだよ?……当時の事を知っている者は僕の仕業だと気が付いているはずさ」
「それもそうか、そんな都合よく全滅したら誰だってそう考える」
「そしてそれが僕の地位を確実なものにした。全員を公にせずに殺した実力とその残酷さが僕を王に押し上げたんだよ」
「母親は今も生きているのか?」
そう言うと彼は表情を暗くする。
「生きてはいるよ……」
「含みのある言い方だな」
「僕を産んでからゆっくりと……でも確実に弱ってきているんだ、もう手の打ちようがない状態だ……」
「それは気の毒にな」
私の知った事では無いが一応気を使ってみる、私も成長している。
アドルは辛そうにしているな、自分が生まれたせいだと考えているのか?
「……そうだ、クレリア。母さんを見てくれないか?君ならきっとどうにか出来るかも知れない」
「興味がない」
正直に言う私に彼はさらに言葉を続ける。
「私の出来る範囲なら出来るだけの事はする……どうだい?」
「「何でも」とは言わないんだな?」
「出来ない事を大事な交渉に使う事は出来ないでしょ?」
出来る範囲で……か。
「では、ウルグラーデに手を出さない事と扱いを改善する事。この二つを守れるなら見てやろう」
「ウルグラーデに何かあるのかい?」
「私の知り合いが住んでいる……ああ、手を出したらこの国ごとお前を消し飛ばすから余計な事は考えるなよ?」
そう言うと彼は微笑んで答える。
「そんな事はしないよ……それで、その二つを守れば見てくれるんだね?」
「ああ、ただし治せるかは別だ。無理な物は無理だ、その時でも約束は守ってもらう」
「……分かった……ルセリア神王国国王アドル・リィ・ルセリアの名において約束しよう」
「分かった交渉成立だ、いつ見る?すぐでも構わないぞ?」
「すぐお願いしたい……いつ死んでしまうか分からない状態なんだ」
「よし、案内しろ」
そう言うと検査を中断して彼の母親の部屋に向かった。
王の部屋のさらに奥の部屋に彼女は居た。
不規則な寝息をした女性がベッドに横たわっている。
その顔はやつれており年齢もはっきり分からない、確かにいつ死んでもおかしくない見た目だな。
「早速見てみるか」
「頼むよ」
私は彼女のベッドの横にある椅子に座って彼女の状態を確かめる……衰弱が激しいな、まずは一時的に回復させるか。
私は彼女に回復魔法をかける、すると彼女の寝息が規則的になり顔色が良くなる。
「まさかもう治ったのか……!?」
「このままでは危険だから応急処置をしただけだ、原因を治さなければ元に戻る」
彼女の変化を見たアドルが驚いたように言った言葉に私は返す。
「黙って見て居ろ」
そう言ってから彼女をしっかりと調べて行く……なるほど……原因は意外と分かりやすかったな、人間に治せるかは別だが。
「原因が分かった」
「そうか……それでどんな原因なの?」
「異常な魔力のお前が生まれるまで腹にずっといたために魔力受容体……これは私が勝手につけた名前だが、それが傷ついて魔力を上手く使えなくなっている。命に係わる程にな」
「そうか……僕がいたからか……」
彼の表情は変わらない、何を思っているのやら。
「魔力受容体とは?」
彼が聞いてくる。
「魔法を使う生物にある器官の事だ、簡単に言うとこれが周囲の魔力を吸い蓄積しているから魔法が使えるんだ」
「そんな物が……?」
「極稀にいる魔法を全く使えない者も技術的な問題で使えないだけでこの器官は存在している。誰でも体内を魔力が循環しているはずだ」
まあ私もアドルの体を調べて分かったんだが……今までは魔力を作り出す器官だと思っていた。
「それが傷ついていると?」
「ああ、かなりボロボロだ……よく今まで生きていたな」
「治せるのか……?」
「治せるな」
「……そうか……治せるのか……良かった……母さん……」
俯いて呟くアドル、王だと言ってもまだ若いし、母親にも思う事があるのだろう。
「治せたら治すのも約束の内だ、すぐ治すぞ」
「すぐに治せる物なのか?」
「私ならな。この状態を治せる薬を作れる錬金術師や魔法の使い手は存在しないとは言わないが、かなり少ないと思うぞ?」
そう言って魔法を彼女にかける、傷ついた魔力受容体を修復させるように調整した物だ。
僅かな時間で彼女の魔力受容体は完全に回復した。
後は魔力受容体が正常に働いて彼女が目を覚ませば治療完了だ。
「終わったぞ」
「治った……のか?」
「魔力受容体は完全に回復させた。後は目が覚めるのを待って食事を取らせろ……食べる物はバランスよく色々な物を少しづつ用意しろ、それと起きた後体調が悪化したらすぐにこの薬を飲ませろ。悪化していないのに飲ませるなよ?」
そう言って彼に薬を渡す。
「ありがとうクレリア……」
「落ち着いたら体の検査にまた来い」
震える声で礼を言う彼にそういって私は自分の部屋に戻った。
アドルの母親……フィーア・リィ・ルセリアという名だが、彼女を治療してから一か月が過ぎた。
治療して程なく彼女は目を覚まし、現在は元気になってアドルの補佐をしている。
以前彼女を救ったと言う事で顔を合わせたが、私が鎧姿である事に困惑していた。
顔を見せて欲しいと言われたが鎧を脱ぐ気は無いと言うと諦めてくれた。
それでも何が気に入ったのか知らないが時々私の部屋に訪れる、追い返す気も無いので私が暇な時は彼女の会話に付き合っている。
「最近はよく来られるようになったようだが何かあったのか?」
椅子に座ったアドルを調べながら聞く。
「母さんが色々手伝ってくれるおかげで多少時間が出来てね」
「なるほどな、目の方はどうだ?訓練はしているのか?」
「どうにかしようとはしてるけど……何をどうすればいいかいまいちわからなくてね。物心ついた時には自然と色々出来ていたけど、意識してやろうとすると上手く行かないよ」
「少しコツを教えてやろう。どうしても無理なら体の事が終わった後で訓練を手伝ってもいいぞ」
「本当かい?助かるよ」
調べるのを中断して魔力操作のコツを教える、結局その日はそれだけで終わってしまった。
ある日私はアドルの母親であるフィーアと部屋で話していた。
すっかり元気になった彼女は水色の長い髪をした清楚な雰囲気の美しい女性となった、寝て居た頃の姿とは比べ物にならないな。
「それでね?そこの紅茶がとても美味しくてね?持って来たのよ」
「ほう、では頂こうかな」
私がそう言うと彼女はいそいそと紅茶を入れ始める。
王の母親なんだから身分は高いはずなんだが……どこかのんびりとした地位を感じさせない雰囲気がある。
「どうぞ、飲んでみて」
私はその紅茶を飲んでみる……ふむ、確かに香りがかなりいい。
「他の物より香りがかなりいいな、苦みも程よく有りいいバランスだ」
「でしょう?いい紅茶見つけたちゃったわ。この紅茶に変えて貰いましょう」
ニコニコしながら紅茶を飲む彼女。彼女は仕事が出来るらしいが普段はそんな姿が想像出来ないほどふわふわしている。
「あの子の体の事……何か分かったかしら?」
そう思って見ていると、彼女が真剣な声で聞いてくる。
「そうだな、大体の事は分かっていると思う」
「あの子は何処か私に遠慮しているみたい。もっと色々頼って欲しいのだけど……あまり体の事を教えてくれないし」
「どこまで聞いているんだ?」
「特に体に問題は無いとしか聞いてないわ……」
あいつ何故教えていないんだ?……まあ私が気にする問題では無いか。
「間違っていないぞ?あいつは健康体だ。特に寿命が縮むとか何かある事も無い」
「そう……それだけでも分かれば嬉しいからいいけれど、目の事もあるし……」
「目に関してはあいつの努力次第だが見えるようになるぞ?」
そう言うと彼女は私に詰め寄って来る。
「本当に!?何とかなるの!?」
「努力次第だと言っただろう。魔力制御が上手く出来れば見えるようになるのは間違いないが、本人が出来なければどうにもならない」
彼女を押し戻して答える。実際に出来るだけの力を身に付けなければこの先も見えないままなのは間違いない。
「体の事は調べるだけ調べたら話すつもりだから待っていろ」
「分かったわ、ごめんなさい」
「気になるのは母親としては当然なのだろう?気にしていない」
この後は二人で紅茶を飲みながら彼女が帰るまでゆっくりと過ごした。
そして更に二か月程が経ち、出来る限りの検査を終えて新たな事も分かった。
そろそろアドルとフィーアに教えよう。
事前に二人で来るように伝えて来るのを待つ、数日後の夜私の部屋に二人が訪れた。
「来たよクレリア」
「こんばんわクレリアさん」
「よく来たな二人とも、検査はもう無いからソファに座ってくれ」
二人はソファに座る。私は紅茶を用意して二人の前に置き、私はモー乳を部屋にある冷蔵庫から取り出して用意した。
「では分かった事を教えようか、あくまで調べた結果から分かる事だが」
二人は緊張しているような楽しみなような何とも言えない顔をしている。
アドルがそんな顔をするのは珍しい。
「彼は生まれつき魔力受容体が多くその一つ一つが一般的な物より強力だった、これがアドルの力の源だな」
「病気では無いのかい?」
アドルが疑問を口にする。
「違う、病気でそうなった場合体がその魔力に耐えられずに死んでいたはずだ。お前の体はその魔力が当然であるかのように対応していた……つまり病気や異常ではなくこれが普通の状態であると私は考えている」
「そうだったのか……」
アドルが自分の手をかざしながら呟く。
「目が見えない原因はアドルにはすでに話しているが、目の周りだけ魔力の流れが悪く目が魔力欠乏を起こしているだけだ」
「魔力だけが足りない状態なの?」
今度はフィーアが質問してくる。
「そうだ、お前達を始め魔法を使う種族は魔力受容体が吸収した魔力が全身を流れている。血液が流れているから目が死ぬ事は無いが魔力が流れていないと完全に力を発揮する事が出来ない」
「じゃあ魔法の力が違うのはそれが関係しているのかい?」
また疑問をぶつけてくる。
「そうだな、生まれつきの魔力受容体の性能は間違いなく影響している……ただ訓練をする事で魔力受容体の魔力の吸収速度、吸収量、蓄積量、魔力濃度などを上昇させる事が出来るから努力次第でひっくり返す事は出来るだろう」
「……蓄積量と言う事は無くなる事もあるのかしら?」
フィーアが呟いた言葉に私は答える。
「もちろん魔法を使いすぎて蓄積した魔力が尽きた場合……これは予想だが激痛や身体能力の低下が起こるだろうな。更に意識を失ったり酷いと死ぬ事もあると私は考えている」
「でも今までそんな事になった話は聞いた事が無いけど?」
アドルの疑問ももっともだ。
「こればかりは私もはっきりと言えない……そうなるだけの魔力を使用する魔法がいまだに無く、そこまで魔法を連発する機会が無い事……後は原因が魔力の枯渇だと誰も知らないために、原因不明の病気として扱われている可能性もある」
「なるほどね」
アドルは口元に手をやって言う。
「あくまで今の時点で分かった事だ。私自身は十分に調べたと思っているが……更に詳しく調べる事で違う何かが見つかる可能性もある……実際に魔力受容体は以前から知っていたが魔力を作り出す器官だと私は思っていた……が、アドルを調べている途中で違う事が判明したんだ」
「クレリアさんも間違える事があるんですね」
フィーアが柔らかい口調で言う。
「当然だ、何もかも分かる訳ないだろう。今言っている説明も調べたから分かった事で、それでも絶対に合っているとは言えないんだ」
二人は頷いている、いくら私でも無理な物は無理だ……ただその無理な事がいつまでも無理な事のままであるかは分からないが。
「その辺りを理解した上で覚えておいてくれ」
「分かったよ」
「分かったわ」
二人とも分かってくれて何よりだ。
「最後に……これこそ完全に私独自の考えなんだが聞きたいか?」
「是非聞きたいね」
アドルはそう答え、フィーアも頷く。
「本気にするなよ?……彼は自然界でもまれにある突然変異、種の進化の過程で現れるきっかけの一人であると考えている」
黙ってしまう二人、本気にするなと言っただろう。
「だから多く子をなして世界に広めろ……という物だな……もう一度言うが本気にするなよ?」
「大丈夫、理解してるよ」
そう返事をするアドル。
「それならいい。さて、これでアドルの体の検査も終わりだ」
「そうだ……クレリアは魔力制御の訓練を手伝ってくれると言っていたよね?」
「そういえばそんな事も言ったな」
「言ったよ、今日は帰るけど今度から教えて欲しい」
「まあいいか。また平気な時に来い、今度は訓練だ」
「ありがとう」
「クレリアさんいいかしら?」
フィーアが顔を近付けて話しかけて来た。
「なんだ?」
「その、そろそろその鎧を脱いで欲しいのだけど……」
「以前脱ぐ気は無いと言ったはずだが?」
「そうだけどここまでしてくれた恩人の顔も知らないというのは寂しいわ」
「確かにね、何がそんなに嫌なのかは知らない。だけどせめて僕達の恩人の顔くらいは知っておきたいんだけど」
まあいいか、脱いだり着たりするのは簡単だが細かく何回も繰り返すのは面倒だし。
「二人以外の前では鎧を着る。それでもいいのならお前達には見せてやる」
「本当にいいのかしら?」
フィーアが言う。
「お前が見せてくれと言ったんだろう」
「見せて欲しいのは本当だけれど、貴女がまた断るのならもう二度と言わないようにしようと思っていたのよ」
申し訳なさそうに言うフィーア。
「本当に嫌なら断っている、出来るだけ見られたくなかっただけだ。だからお前達二人だけなら構わない」
そう言って私が頭部装備を脱ぐと、私の素顔を見た二人が固まる。
「黒い髪に瞳……クレリアさん貴女、正統な神の巫女だったのね……」
咄嗟に違うと言いそうになったが、違うと言えばでは何だと言われるよな。
「色々あってな。巫女はしていない……察してくれ」
それっぽく言っておけば勝手に何か考えて納得するだろう。
「良く分からないけれど私は気にしないわ、貴女がどんな人でも恩人である事は変わらないもの」
フィーアはそう言って微笑む、彼女は問題なさそうだ。
「それに……今までに見た事が無い美人さんね、見とれてしまうわ」
「よく言われる」
「アドル、凄い美人さんよね?……アドル?」
フィーアに声をかけられたアドルは私を無表情でじっと見たまま固まっている。
「……うん、クレリアは巫女だったのか……この国の巫女としてずっと居てくれないか?」
「断る」
「そうだよね……うん、今日は君の顔も見られたし僕は帰って仕事しようと思うよ、また来るね」
そう言って部屋を出て行く、なんか違和感があるぞ?
「あら……?うふふ……」
フィーアが微笑みながら私を見ている。
「フィーア、まだ何か用があるのか?」
「いいえ、何もないわよ。そろそろ私も戻らなきゃいけないわ……私もまた来るけど息子の魔法の訓練、お願いね?」
「任せろ」
私が返事をすると彼女も微笑みを浮かべたまま部屋を出て行った。
例えばゲーム的に言うと。
吸収速度……自然回復の間隔の速度、高いほど時間当たりの自然回復回数が上がる。
吸収量……一度に自然回復するMPの量、高いほど一度の自然回復で回復する量が増える。
蓄積量……最大MP、高いほど最大MPが上がる。
魔力濃度……高いほど同じ魔法を使った時の威力や効果が上がる、濃くするほどMP消費が増える、調節可能。
大体このようなイメージ。
勢いで余計な設定を増やしてしまいました。