・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
私はルーテシアの初等科卒業を祝うために転移でウルグラーデにやって来た。
すぐに学校に向かい敷地内のミナ達の家に向かう、卒業式はもう終わっている時間だな。
家に到着し、扉をノックするとすぐに扉が開いた。
「はい、どちら様……お姉ちゃん?」
姿を現したルーテシアは薄い緑色の髪をツインテールにしている。
はっきりと覚えてはいないがミナも昔同じ髪型だったかも知れない。
「久しぶりだなルーテシア」
あまりにも私にべったりだったのでしばらく直接会っていなかったのだが、もう私より背が高いな。
「入っていいか?」
「うん」
家に入り彼女と共にリビングに移動する。私はソファに座るが、ルーテシアは私の近くで立ったままだ。
「どうした?」
「お隣座って良い?」
「いいぞ、おいで」
私がそう言うと隣に座る……随分おとなしくなったな。
昔はあった途端に突っ込んで飛びついていたのに。
ああ、もう私の方が背が低いから無理だと思っているのか。
実際はルーテシアが百倍重くても何の問題も無いのだが。
「いらっしゃい、ゆっくりしていってね。私はお昼作るから」
ミナが私に声をかけてそのままキッチンに消えて行く。
私はルーテシアにお祝いの品を渡す事にした、忘れたらまずいからな。
「ルーテシア、初等科卒業おめでとう。これは私とクログウェルからの祝いの品だ」
そう言って私は木箱に入れてあるクログウェルの牙のペンダントを渡した。
「ありがとう……お姉ちゃん」
彼女は嬉しそうな顔で受取り箱を開ける。
このペンダントは魔法金属とクログウェルの牙から作った物だ。
彼女はペンダントを見ると目を輝かせた。
「ありがとうお姉ちゃん!」
そう言って抱きしめて来る、身長差のせいでこれからは私が胸に顔を埋める事になるな。
「クログウェルにも伝えておくよ」
「うん、クロちゃんにも伝えてね」
「クロちゃん?」
初めて聞いたが、クログウェルの事か?あいつルーテシアにそう呼ばれているのか。
「クログウェルだからクロちゃんよ?」
「そうか、伝えておく」
私がそう答えると彼女は微笑んでペンダントを首にかけ、牙に彫られた竜の姿を見ている。
「クロちゃんそっくりね」
彼女はそう言って私を見る、私は彼女の頭を撫でながら答える。
「見たままを私が彫った」
「お姉ちゃん凄いね」
そう言ってペンダントを見る彼女はとても嬉しそうだ、これだけ喜んでくれればクログウェルも嬉しいだろう。
こうして彼女と久しぶりに話をしながら待っているとミナが料理を持ってやって来た。
「ご飯できたわよ。今日はルーテシアの好きな物にしたからね」
「やった!」
こういう所は変わっていないかもな。
食事用のテーブルに移り、飲み物の用意をしてから食事を始める。
「ケインはどうした?」
私はミナに聞く。
「彼は夕方に帰ってくると思うわ、校長だもの」
「役目を放って帰る訳にはいかないか」
「ええ……ん?ルーテシア?その首にかけているペンダントどうしたの?」
「お姉ちゃんがお祝いだってくれたの」
「そうなの?わざわざありがとうねクレリア」
そう言ってミナは私を見る。
「クログウェルも来たがっていたが流石に無理だからな、せめて祝いの品をとペンダントを贈る事にしたんだ」
「これ……何で出来てるの?」
ミナがルーテシアの首にかかっているペンダントを見て言う。
「チェーンの部分は魔法金属製だ。ペンダントトップはクログウェルの牙から切り出した物を使い、私がクログウェルの姿を彫った。更にそこに宝石や魔法金属を埋め込み色を付けた」
最初は彫ってあるだけだったのだが、一週間でもう少し何かしようとしてこうなった。
「ちょっと……魔法金属と宝石とクログウェルさんの牙だけで出来てるのこれ?とんでもない高級品じゃない……」
彼女が私に身を乗り出して耳打ちする。
「私達にとってはそうでもない、気にするな」
「あんなもの持ってたら誰かに奪われるかも知れないわ」
彼女は心配そうに言う、確かに価値のある物を子供が下げていたら奪おうと考える者も居るかもしれない。
私はルーテシア以外が触ったり一定以上の危険な現象が近づいた場合守りの障壁が展開されるようにしようと考えた。
「ミナ、それならばこうしようと思うんだが」
私は考えた事をミナに伝える、彼女は困ったような表情になった。
「それだと私達も触れないじゃない……でも貴女の守りは心強いわね」
「お前の言う事も分かるからやるんだ。出来るだけそんな事にならないように気を付けろ。それとも今更あの子にペンダントを返せと言うか?」
ミナは嬉しそうにペンダントを見ているルーテシアに目を向けると諦めたように言う。
「……そうね。聞かれたら安物だと言う事にしておけばいいし、いざと言う時に守ってくれるなら悪くは無いわね」
「よし、では魔法をかけよう」
私は隣に座っているルーテシアのペンダントに魔法をかける。これでルーテシアだけしか触れず彼女を守る魔法のペンダントになった。
「いつ見ても貴女の魔法は見事な物よね、あれだけの効果がある魔法を手も触れずに一瞬だもの」
頬杖をついて言う彼女、私は既に魔法を自然と使っているから何とも言えない。
「料理が冷める、早く食べよう」
少し話し過ぎた、せっかくの料理の味が落ちてしまう。
「そうね、ルーテシアも食べましょ」
「うん」
そして改めて食事を始める。
食事を終えて三人でソファでくつろぎながら会話をしているが、何かやるか。
「二人とも、カードで遊ばないか?」
私は以前ルセリアで買ったカードを思い出した、多人数で室内で遊ぶにはいいと思う。
「カード?賭博に使われるあれよね?」
「賭けなければただの遊びだ」
ミナの言葉に私は答える、得点制などにして勝敗だけ決めればいい。
「お姉ちゃんどんな遊びなの?」
ルーテシアは興味を持ったようで私に聞いてくる。
「このカードだけで複数の遊びが出来るんだ、ポーカーかババ抜き辺りが手ごろだな」
私は二人にポーカーとババ抜きの説明をしてどちらをやるか決めて貰った。
最初と言う事もあり、より簡単なルールのババ抜きをやる事になった。
「むむむ……」
私のカードを前にルーテシアが唸っている。
こういったゲームは面白いが、知ろうとすれは手札なども全て分かる。
それでは勝負にならないし面白くも無い。
ただ知ろうとしなければ分からないまま行えるので問題無く勝負は出来る。
「ルーテシア、早く決めてくれないか?」
「分かってるよお姉ちゃん……これにする……やった!揃った!」
彼女は私のカードから一枚抜き取り確認して喜ぶ。
次に私はミナからカードを引く……揃わんな。ミナはルーテシアから引き、揃ったカードを捨てている。
そして時間は進み、結果は私が最下位、二位がルーテシア、勝者はミナだった。
「貴女が何かで負けるのって新鮮よね」
「分からない様にすれば普通に負ける事も出来る。勝ち負けの分からない勝負も私は好きだぞ」
私はミナの言葉に答える。負けられない勝負に負ける気は無いが、それ以外なら負けても楽しいものだ。
「もう一回!もう一回やろ!?」
一位になれなかったルーテシアが再戦を要求する。
「今日は好きなだけ付き合うぞ」
私はそう言ってカードを配る、彼女が初めて勝者になるのは数戦後の事だった。
あれからケインが帰宅するまでカードで遊び続け、その後四人での勝負となった。
最終的に一番勝率が高かったのはミナで次にケイン、ルーテシア、私の順だ。
ルーテシアはトランプが気に入ったらしくミナにねだっていた、きっと購入する事になるだろう。
現在は二十二時過ぎ、ルーテシアはすでに眠っている。
一人で眠れるようになったんだな。
「私が正式に校長に就任するのはルーテシアが十五を超えてからにするつもりよ」
私達は三人でリビングに集まりミナの学校校長就任の話をしていた。
ルーテシアは現在十二歳だったか?後三年ほどで就任か。
「ケインは退任した後はどうするんだ?」
「私は妻の補佐をするつもりです」
ケインに退任後の事を聞くとミナの補佐をするらしい、死ぬまで学校に関わり続けるつもりなのか。
「他にやりたい事は無いのか?」
「妻の補佐として学校にいる事がやりたい事ですから……それに新しい科が出来るかも知れませんからね」
彼がそれでいいならそれでいい、そして新しい科か。
「新しい科が増えるのか?」
「まだ正式に決まっていませんが、戦闘技術科設立の話が持ち上がっていますね」
「戦い方を教えると言う事か」
「はい、魔法はもちろん各種武器の戦い方の基本を教えます」
「魔物はどこにでもいるから覚えておいて損は無いな」
人の相手も出来るようになるしな。
「もし本当に設立する場合は、引退した冒険者の方などを教師として雇う事を考えています」
「私の就任と近いと色々慌ただしくなるから……その前に設立するか、私が就任して落ち着くのを待ってからにするか、それとも設立しないか。私達も迷っているのよね」
飲み物を用意していたミナが話に混ざる。
「私の意見が聞きたいのか?」
そう言うと二人は頷いた、そうだな……。
「万全を期したいのなら五年後以降がいいだろう。早く設立しなければならない切迫した理由が無いのなら余裕を持った方がいいと思う。設立しないなら何も言う事は無いな」
二人は私の話を聞いて考えているようだ。
「私は学校運営をした事が無い。責任を取らないとは言わないが素人の意見だという事は覚えておいてくれ」
「はい、あくまでも意見の一つとして受け取っていますのでご安心ください」
ケインが私にそう言って笑う、敷地は広いこの学校だがどこまで大きくなるのだろうか。
「ん?帰ったか」
翌日私は転移でクログウェルの住処に戻って来た、彼女は獲物を解体している。
「クログウェル、ルーテシアがお前に感謝していたぞ?ペンダントはかなり気にいったようだ」
家に向かいながら伝える。
「そうか!我の姿が描かれているのだ!当然だな!」
そう言いながら尻尾を地面に叩きつけている、喜んでいるのがよく分かるな。
「ルーテシア達は元気だったか?」
「みんな元気だった。それとあのペンダントの価値を分かっていないとミナが呆れていたぞ」
「我にとっては無価値だからな!当然だ!」
微妙な返しをするクログウェル、私はそのまま家に帰って風呂に入る準備をした。
風呂から出てくつろぎながら魔法球を作っているとクログウェルの声が聞こえて来た。
「クレリア、聞こえるか?話がある」
私は立ち上がり外の椅子に移動して話を聞く態勢になる。
「なんだ?」
「うむ、我は住処を変えようと思う」
「何故だ?特に悪く無い場所だと思うが」
「それはな、この辺りの魔物に飽きたからだ」
飽きた?……ああ。
「他の場所で美味い獲物を探すつもりか?」
「そうだ、新たな味を求めて場所を変える」
言いたい事は分かるが……。
「調味料の取引はどうするんだ?」
「多少離れていても念話と我の飛行速度があれば問題あるまい」
「それもそうか。新しい住処からウルグラーデ付近まで行くのに必要な時間を確認しておけよ?ミナを数日待たせたりしないようにな」
「……分かっているとも」
「何だその間は、忘れるなよ?ミナも暇ではないのに対応してくれているんだ」
クログウェルの素材の売り値のいくらかはミナの手数料になるから損をしている訳では無いが、わざわざ都市から離れた所まで来てくれているからな。
「分かっている!ミナがいなければまともに買う事など出来んからな」
「人類から見ればお前は強大な魔物だから当然だ」
「ふんっ!あのような連中と一緒にするな!」
声を荒らげるクログウェル。知性の高い彼女が一般的な魔物と一緒にされたら怒るのも当然か。
「例え会話出来ても強大な力がある者は恐れられる物だと思うぞ」
「クレリアの方がよほど危険なのに町に入っているではないか……」
私を羨ましそうに見るクログウェル、彼女の表情もかなり分かるようになったな。
「私は見た目だけなら小さな人間の少女だからな」
「やはり見た目と大きさが問題か……魔法で人間の姿になれないものかな?」
「姿を変える魔法……変身魔法か、出来るとは思うが私は作らんぞ?」
「クレリアは姿を普通に変えられるから要らんだろうな」
「気が向いたら作ってみるかな」
「我もその気になったら考えてみよう。それよりもどこに向かうかだが……クレリアは一緒に来るのか?」
私達は魔法の事は後回しにして移動の事を話し始める。
「行くぞ、私は転移があるからな。どれだけ移動しようと関係無い」
「くそ……我にも使えれば!」
「私が使って一緒に転移出来たのだから不可能では無いはずだが……魔法の技術が足りないのか?」
クログウェルは何故か転移が使えなかった、教えたのだが発動しなかったのだ。
「やり方は教わったのだ!絶対に使えるようになってやる!」
「また話が脱線してしまった。ついて行くが、どこに行くんだ?」
「そうだな……別の大陸に行ってみようかと思っている」
「それはかなり遠いだろう」
「我なら問題は無い」
「いや、あまり遠いと念話がつながらなくなるぞ?お前なら平気だろうがミナの方からつなげられなくなる可能性がある」
そもそも念話は限られた者にしか教えていない。
学校でも教えていないので現在使えるのは私、ケイン、ミナ、カミラ、クログウェルだけか?
ルーテシアに教える事は許可しているのでその内ケインかミナが教えるだろう。
「何とかならんのか?」
「お前私に頼りすぎだぞ、自分で何とかしろ」
何でもしてやる気は無い。
私はすぐに会いに行けるからな……いや、私も念話が来なければ長い間連絡をしない可能性があるな。
「何とかしよう」
「……何だ急に?何故やる気になった?」
悩んでいたクログウェルがいきなりの意見が変わった私に驚き、聞いてくる。
「私は相手から念話が来ないと連絡を忘れる」
「ほう?我は運がいい、では頼んだぞ……ふふふ」
まあ自分のためでもあるからな、何とかするか。
ミナ達の使う念話の魔力を補強して届かせればいい訳だ、しばらく色々考えよう。
「クログウェル、しばらく考えるから完成するまで出発は延期だ」
「うむ、分かった。我も向こうから連絡が出来なくなるのは困るからな」
彼女の返事を聞き、私は考え始めた。
一か月後。私はクログウェルの住処がある山脈で一番高い山頂に、魔法金属であるミスリルを使って三角円錐の塔を建てた、高さは約百三十メートルある。
「……何だこれは?」
クログウェルが塔を見て私に問いかける、これが何なのか分からず困惑しているようだ。
「これは念話用の魔力増幅中継塔だ」
「……聞いても分からないぞ?」
私は指輪を一つ見せながら言う。
「細かい事は省くが、この指輪を使って念話する事でこの塔につながる。そしてこの塔が周囲の魔力を利用し増幅して、遠距離にいる私達とつながるようにする」
「ほう……細かい事はどうでもいいがこれで念話の問題は解決したのだな?」
「この指輪を渡して実際に成功すればな」
「なるほど、確認か」
「私達が次の住処を決めた後に指輪を使って念話してもらう、それが上手く行けば終了だ」
「では早速やるぞ!クレリア!早く渡してきてくれ!」
「慌てるな、すぐに行く」
私はそう言ってウルグラーデに転移した。
ミナ達に説明して指輪を渡し、私達は次の住処を探した。
最終的に海を越え新しい大陸の北方、それもかなり高い山脈の山の頂上付近にある洞窟に住み着く事になった。
外は常に雪景色で吹雪く事も多いが、私達には何の影響も無い。
そして次の住処が決まったため、私はミナに念話を頼んだ。
「まだか……?」
「もう少しだな、十二時に連絡するように頼んである」
クログウェルがそわそわしている。これで駄目ならまた考え直しだ、私としても上手く行って欲しい。
『クレリア?聞こえる?……大丈夫かしら……間違えてないわよね?』
来た、聞こえた……乱れも無くはっきりと聞こえる。
『聞こえるぞ、どうやら上手く行ったようだ』
『今あなた達何処にいるの?』
『別大陸の北方の山脈だ』
『別大陸!?よく届いたわね……』
『これで連絡が出来るだろう?私としても時間を忘れてしまうのは避けたいからな』
『私達が連絡しないと大抵時間を忘れてそのままよね』
『助かっている。さて、クログウェルが待ちきれずにそわそわしているんだ、彼女にも連絡してやってくれ』
『わかったわ』
そして念話が切れ、隣のクログウェルを見ていると……ぴくっと震え尻尾が暴れ始める、連絡が来たんだな。
こうして私達の新しい住処が決まり、親しい者達との連絡手段が確立された。
魔力中継の塔のイメージは針尾送信所で調べていただくとイメージしやすいかも知れません。