少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。





029-02

 

 私を首都バウムに送るに当たってザメニアと他の数名と共に向かう事になり、魔車でいくつかの町に立ち寄りながら移動する事になった。

 

 道中は特に問題無く進み、やがて首都バウムに到着した。

 

 数日滞在した後に送ってくれた皆は帰って行った。なるほど、私が帰る事は無いようだ。

 

 そして現在、私はバウムルスト王城の王国会議場だったか?その控室にいる。

 

 部屋の出入り口には王国兵らしき者が二名、扉を塞ぐように立っている。

 

 私はローブを着て姿を隠している状態だ。兵士は詳しく聞いていないのかローブ姿の私に戸惑いを覚えているようだが、それでも忠実に職務を全うするべく直立している。

 

 それなりの時間を待っていると部屋の扉が開き、身なりのよい男が現れた。

 

 男は私を見て言う。

 

 「準備が整った、ついてこい」

 

 「わかった」

 

 「わかっただと……?かしこまりましたと言え。会議では態度と言葉使いに気を付けろ」

 

 男は鼻を鳴らし注意してくる。

 

 「早くつれて行け」

 

 「貴様……平民の分際で舐めた態度を……」

 

 そう言って怒りを表す男だが私は気にしない、そんな事より今こいつは平民と言ったな。

 

 「今私を平民と言ったが、そういった差があるのか?」

 

 魔道具や魔法、通貨まで似ているのなら、貴族の制度が同じように作られていても驚きはしないな。

 

 「そうであった……貴様は蛮族だったな……さっさとついてこい!時間を取らせおって!」

 

 そう言って部屋を出て行く男、私はそれについて行く。

 

 「ローブはここで脱いで行け」

 

 ザメニアに姿を隠すように頼み込まれて隠していたが、もう必要は無いか。

 

 私はローブを脱いでついて行く、部屋の兵士が動揺するのが分かる。

 

 そのままついて行き、大きな扉に着くと扉が開いていく。

 

 中は中央が空いており左右に国の要人らしき魔人達が座り、並んでいる。

 

 正面奥は数段高くなっていて王座らしき場所に男が座っているな。

 

 その男は頭の横から前に突き出す太い角を生やした大きな体格の男だ。

 

 見た目の感想としては……傲慢そうだな。

 

 「角が無いぞ……」

 

 「……恐ろしいほどに白い肌だな」

 

 「角と肌はともかく……凄まじい美しさだな」

 

 様々な声が混じる中を進む。中央に着くと迎えに来た男が私の後ろに少し下がり、場内に響く声で私に言う。

 

 「跪け!」

 

 「断る」

 

 場内が騒めき始める。

 

 「私はお前達に頼まれて来てやったんだ、まずは貴様達が跪け」

 

 「無礼者が!ここで処刑してもよいのだぞ!」

 

 誰かの声がする。こういった立場の者とは仲良くなるのは難しい、私が基本的に無礼で跪いたり敬語を使ったりしないから反感を買う。

 

 「私に言う事を聞かせたいのなら力ずくで聞かせてみろ」

 

 「衛兵!こやつを捕らえよ!」

 

 すぐに衛兵に囲まれたが、そこで声がした。

 

 「……静まれお前達」

 

 王座と思われる場所にいる男がそう言うと全員が黙る。

 

 なかなか躾が行き届いている。

 

 「何のために呼んだと思ってる……話を聞く前に殺してどうすんだ?」

 

 周囲の者を見渡して言う。

 

 「……申し訳ございません、王よ」

 

 誰かの返事が聞こえる、王と呼ばれた男は私に目を移した。

 

 すると衛兵達が引いて行く。

 

 「本当に角も無く肌も白いな……しかし……」

 

 席を立ち近づいてくる王と呼ばれた男……私の顔に手を伸ばして来たのを障壁ではじく。

 

 「っ!?いいな……俺はリベザルク・ルテリッジだ。お前気に入ったぞ、俺の物になれ」

 

 何を言ってるんだこいつ。

 

 「お前に興味など無い。話を聞くと言って呼びつけておいていきなり自分の物になれとは、これが王でこの国は大丈夫なのか?」

 

 そう言うと周囲から怒りの声が上がった。王……リザベルクだったか?こいつも多少怒りを感じているかな?

 

 「俺が優しくしている間に言う事を聞いた方がいいぞ……?なあ、クレリア・アーティア?」

 

 私の名を聞いた途端部屋が大きく騒めいた。

 

 「アーティアですと!?」

 

 「アーティア帝国の縁者か!?」

 

 「あの国のトップの女も確か角が無く白かった!見た事がある!」

 

 「これはいいですな……捕らえればあの国に有利に立てるかもしれませんぞ」

 

 「話など捕らえてから無理やり聞けばよい!」

 

 「あの女の身内なら捕らえるべきですのぅ」

 

 突然騒がしくなる魔人達。こいつ等はアーティア帝国との関係を考えているのか。

 

 これは完全に敵対したか?私は笑みを浮かべるリザベルクを見て言う。

 

 「関係しているかはまだ確認していない。それと、一応とは言え王なら配下の躾はしておけ、お前でもそれ位は出来るだろう?……リザベルク」

 

 そう言うと彼は魔力をまとい殴りつけて来る。

 

 「俺はリベザルクだ!!」

 

 「そうだったな」

 

 私はそう言いながら彼の拳を手で受け止める。

 

 まさかいきなり殴りかかって来るとは、名前を間違えたのは悪いと思っているが。

 

 「……!?」

 

 「すまなかった。名前を間違えてしまうとは、もう大丈夫だ。リザ、リベザルク」

 

 しっかり謝ってから腹を優しく殴ると彼は吹き飛んで行った。

 

 王に手を上げたらもう話し合いは難しいだろうな。

 

 「王!?」

 

 「兵を集めろ!!逃がすな!!」

 

 「殺すな!!生かして捕まえろ!!」

 

 周囲の者が叫んでいるが、手は出してこないようだ。

 

 「はっ!やるじゃねぇか!ますます気に入ったぜ!!」

 

 途中で体勢を立て直して、笑いながら突っ込んでくるリベザルク。

 

 叩きつけをギリギリでかわすと床を叩き割り、周囲の者を巻き込み階下へ落下する。

 

 落下中に私に攻撃を仕掛けて来る彼は楽しそうだ。好戦的な者が多いと言うのは間違いないようだな。

 

 「向こうの奴らもこれ位やれんのか!?」

 

 「これ位ならやれる奴はいるだろうな」

 

 王の攻撃を受け流しながら階下に到着する。私は彼の攻撃をかわしながら会話を続けていた。

 

 周囲の者は遠巻きに私達の戦いを見ているが、驚いているようだな。

 

 私が弱いと思っていたのか?

 

 「死ぬんじゃねえぞ!」

 

 彼は炎を掌に発生させ叩きつける。私が後ろに飛ぶと地面から大爆発が起きた。

 

 私は爆風と熱を障壁で遮断する、場所を気にしないと城が吹き飛ぶぞ。

 

 そう思っていると爆風が消える前に彼が飛び込んで来る。

 

 「おいおい。無傷とは……俺が甘く見てたみたいだな!」

 

 「そろそろ帰りたいのだが」

 

 彼が手をすくい上げると炎が押し寄せて来る、私はそれをかき消す。

 

 「帰りたいのなら俺を倒してからにしな!」

 

 「分かった」

 

 「!?」

 

 私はそう答えると彼が反応出来ない速さで近づき、手刀で腹を貫いた。

 

 「ぐっ!?まだだ!」

 

 そしてその直後彼の体に雷を通す。

 

 「があああぁあああぁぁぁぁ!?」

 

 彼は絶叫を上げて白目を剥く。

 

 私は腕を引き抜いて距離を取り、脱出しようとした……だが。

 

 ……驚いたな。

 

 「どこ行く気だ……?まだ終わってねえぞ……」

 

 「その状態で動けるのか、少し甘く見ていたか」

 

 振り向くと彼は腹に穴を開け、全身から薄く煙を吹きながらも立っているリベザルクがいた。

 

 「俺はこの国の王だ……負ける訳には行かねぇんだよ!」

 

 最初は悪印象しかなかったが、ふむ。

 

 「そうか、ならばもっと強くなれ。もしも次に会う事があれば、また戦おう」

 

 彼は私を睨みつけながらよろめく体を必死に維持しているように見えた。

 

 「その言葉忘れんなよ?……ごほっ!お前がこんなにやる奴だったなんてな……さっさと行きやがれ……」

 

 「すぐに治療しろよ」

 

 私はそう言ってローブを纏い、戦闘で開いた穴から外へ飛び立った。

 

 王城での戦闘は知れ渡っているようで、地上では大騒ぎになっている。

 

 この国は来るのは控えよう。次は気になっていたアーティア帝国に行こう。

 

 

 


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