・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
私は久しぶりに会議に出席した。軍の拡大も進み、飛行部隊と空戦部隊も今の所は順調に数を増やしている。
「隣国の二国はまだこちらに攻めて来るような動きは見せておりません」
側近の一人が報告する。カミラに情報の大切さを教えていたので、情報収集を以前からしている事は聞いている。
「帝国とバウムルスト王国の軍備の増強に反応したヴァイル王国も軍備の増強を開始しております」
「どちらか一方と争っている時に手を出されるのは避けたい、今まで同様に動きに注意して……」
カミラと側近が話している時に会議室の扉が開く。
「緊急のご報告です!」
「細かい作法はいい、すぐに話せ」
駆け込んで来た兵が跪いて言うが、すぐにカミラは先を促した。
「南に生息していた竜と思しき魔物が、我々の国の上空に侵入したと報告がありました」
「そんな……今までこちらに来た事など無かったのになぜ……?」
接近達の中からそんな呟きが聞こえる。
「襲われた場所はあるのですか?」
側近の一人が兵に尋ねる。
「今の所その様な報告はありません」
「分かりました。新たな情報を手に入れたらすぐに知らせてください、夜中でも関係なくすぐに」
「かしこまりました!」
側近との会話を終え、兵は一礼し去っていった。
「相手にクログウェルのような知性があるか確認したいところよね」
考えるているような様子のカミラが言う。
「そうですな。もしクログウェル殿のような知性があれば、事を大きくせずとも何とかなるかもしれません」
「確認なら私が行こう」
私がそう言うとカミラは私を見る。
「お母様、いいの?」
「ああ、もしもの事を考えるなら私が一番いいだろう」
何より私が見に行きたい。
側近達は私の力を知っている事もあり、特に口を挟まなかった。
私が譲歩するように見えなかったのだろう、こうして私が南の魔物に会いに行く事になった。
……いた、あれだな。
あれからすぐに私は目的の魔物に会うために気配を探りつつ飛び回った。
そして私は遠くにその姿を捕らえる。
一気に速度を上げて魔物に近づくと、相手は滞空して私に威嚇するように唸り声を上げた。
その姿は確かに竜のようであったが大型の鳥の魔物のようにも見える。
「戦う気はない、私はお前と話をしに来た」
そう話しかけるが返事は返ってこない、相変わらず唸りを上げて警戒しているように見える。
知性は無いのか?
「話せるのなら話して欲しい、話せないのか?」
そう話しかけても反応は変わらなかった、しばらくそのまま対峙していると魔物は雄たけびを上げ飛び去って行った。
「ただの魔物だったか」
私はそう呟くとすぐにリリティアに転移した。
転移して戻った私はカミラにただの魔物であった事を話す。
「ただの魔物だったのね」
「間近で見ると竜と言うより巨大な鳥の魔物の亜種、といった感じだったぞ」
「知性が無いのなら討伐するしかないわね……何かあってからでは遅いもの」
知性が無いのなら欲望に任せて何をするか分からないからな。
カミラ達にとっては害獣でしかない。
「せっかくの機会だもの、飛行部隊と空戦部隊の初戦の相手をしてもらいましょう」
「油断はしないようにな」
「ええ、出すのは空戦部隊と飛行部隊の実力者だけに限定するわ」
すぐに討伐隊は編成された。
飛行部隊の隊員はいくつかの部隊に分かれ、目標の魔物の捜索。空戦部隊はその報告を受けて迎撃に出る、という事になった。
魔道具を使用して連絡を取り合いながら探し出して討伐する。
隊員達にとって初めての空での実戦だがどうなるだろうか。
「指揮はシシー・エッフェルに一任する。飛行部隊と連絡を取り合い必要であれば指示を出し、魔物を討伐するように伝えて」
「はい、その様に致します」
側近はそう答えると一礼して執務室を去っていく。
「私は様子を見に行ってくる」
執務室でモー乳とラキ乳を飲み比べていた私はカミラにそう言うと両方を飲みほした。
「お母様も行くの?」
「姿を消して見ているだけだ、姿を見せる事も手伝う事もしない」
「お母様はどうでもいい相手と気に入っている相手とで扱いの差が激しいわよね。シシーが殺されそうになったら助ける気でしょ?」
「知らない所で死ぬ事を防ぐのは対策をしなければいけないから余程気に入った相手以外にはしないが、目の前で親しい友人が危機に陥れば助ける位はする」
「……もしかして私のこの服も何かあったりする?」
カミラはドレスのスカートを摘まみながら言う。
「今まで話していなかったが、そのドレスには色々としてある。お前は私の娘だ、気に入らないなら育てたりしないし今もこうしていない」
「……ありがとうお母様」
カミラは執務机から私の前までやって来て抱き着いて来た。
頼る事が無いように今まで言っていなかったがもういいだろう。
今はもう立派な一国の主だしな。
私は姿と気配を消して、討伐対象である魔物の遥か上空から観察している。
始めは空戦部隊について行こうと考えたのだが、魔物の方について行く事にした。
相変わらず魔物はアーティア帝国の上空をうろついている。私にはこいつは何かを探しているように感じる。
飛び回る魔物について回っていると遠くから魔人達がやって来るのが見えた、帝国の飛行部隊だ。
魔物に気が付いた彼らは高度を相手より高く取り、魔物の背後に回り込んだ上で距離を保ち追跡しながら連絡している。
悪くない、訓練の成果か。
それからそれほど経たないうちにもう一部隊飛行部隊が到着し、最初の部隊よりかなり離れて追跡し始めた。
そしてしばらくその状態が続いた後、シシーが率いる空戦部隊が現れた。
高い高度を維持したまま魔物の背後から現れた彼女達は、シシーを先頭に左右に広がり魔物の上空から一斉に魔法を放った後、即座に魔物に向かって加速しながら第二射を放った、空戦部隊の初の実戦が始まる。
「やっぱりお風呂はいいわねお母様」
私の隣で湯舟に浸かりながら気持ちよさそうにカミラが言う。
空戦部隊初の実戦はあっさりと終わってしまった。
飛来する魔法に反応して回避をした魔物は予測して撃たれた第二射を避けきれず被弾し、本格的な空戦になる前に飛行不能になり墜落死した。
多少問題なども起きるかと思って見ていたのだが、あまりにも簡単に事が運んでしまったため初の実戦としては問題の結果となった。
恐らくあまり経験にはならなかっただろう。
上手く行った事は良い、だが経験が足りなくなるのは問題だ。
そこでクログウェルに模擬戦を頼んでみた。
急な頼みにもかかわらず彼女は引き受けてくれた。
正直に言うと受けてくれるとは思って無かったのだが、クログウェルに感謝だな。
クログウェルと戦闘を行った彼女達はまた一つ強くなっただろう。
空戦部隊との戦闘訓練はクログウェルも思ったよりも楽しかったらしく、たまにならまた戦っても良いと言ってくれた。
「思った以上に空戦部隊は強かったわね」
「そうだな。予定ではあの魔物でそれなりの経験を積ませる予定だったんだが、あっさりと討伐してしまった」
相手が弱すぎたという訳では無い筈だ。
「その代わりにクログウェルと模擬戦は相手が違いすぎないかしら……」
「どうせやるなら相手は強い方がいい、断られていたら私が模擬戦をするつもりだった」
「……それは酷いと思うわよ」
二人で湯舟に浸かりながらのんびりと会話をする。
「お母様、最近新しいデザートが出来たらしいから明日食べに行きましょうよ」
「私達二人が揃って普通に外に出て平気なのか?」
「……そうね、持ってきて貰いましょうか」
「いいのか、そんな事をさせて」
「大丈夫よ?向こうから気に入った物があればいつでも届けると言って来たから」
そう言いながら私を持ち上げ、膝にのせる。
「なんだ?」
「久しぶりにお願い、昔一緒に暮らしていた時もしていたじゃない」
「仕方ないな」
そう言って背中を預けカミラの胸に頭を乗せる、乗せ心地がいい。
「で?明日持って来て貰うのか?」
「ええ、こっちで手配しておくから。お母様は十五時位に私の部屋に来て」
「分かった、楽しみにしておこう」
それからカミラとデザートの感想を言いあったり、ラフィーと風呂に入ったり、メイドが私と入りたいと言い出したり。
時々ウルグラーデに行ったり、色々としながら時は過ぎて行く。
そんな中、他の二国との軍の規模の差が本格的に問題になり始めた。
飛行部隊と空戦部隊があっても、あまりも兵数の差があると勝てなくなる。
兵の質はこちらが上だろうが数では圧倒的に他国が多い。カミラ一人いればどうにでもなってしまうが、カミラは全てを自分だけで済ませる気は無い。
共に戦うという感じか。私とカミラを頼り、ただ助けてくれと言うようになればカミラはどうするかは分からないが私は見捨てる。
さて、このままではこちらから攻めなくては勝機が無くなる。
カミラの判断次第だな。