どんどん時間を進めます。
この作品の注意事項
・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
私はアーティア帝国の港に建造された魔道船を見ていた。飛行部隊と地上部隊に警備された魔道船はもう一つの大陸へと渡るための準備をしている所だ。
大陸を統一し領土を広げたアーティア帝国は急速に発展し、私はこの国に留まりその発展を見続けた。
帝国の輝かしい未来を帝国民達は期待し、それに答えるように帝国は豊かになり大きくなって行った。
技術も目覚ましい進歩を遂げ、海を渡るための魔道船を生み出すに至った。
私は以前の休眠から目覚めた後、世界全てを見ていない。
だからまだ別の大陸がある可能性も残っている。
しかし、まずは位置がはっきりしている私が居た大陸からが無難だろうとこの計画が行われた。
この大陸もまだ全てを開発してはいない、大きく帝国の領土が増えたと言っても依然としてその大半は魔物の勢力圏だ。
ラフィーは結婚し子を産んだ。その後は専業主夫の夫に家庭を任せ、現在も近衛兵の筆頭として私達の傍にいる。
カミラは彼女に家族との時間をしっかりと取り、大事に出来るように配慮した。
シシーは第一空戦部隊の隊長から現在は帝国空戦部隊総長になって忙しい日々を送っている。
軍の規模も拡大し、少なかった飛行兵も十分な人数となり再編成が行われた。
細かい事を言えば語り切れない程の出来事があった。
魔道船の準備と並行し大陸へ渡る人員の選抜が行われた。
そしてラフィーが皇帝の代理として全権を委任され、相手の国と交渉を行う予定になっている。
「ラフィー、ルセリア神王国と言う国は人間以外を恐らく認めない。関係を持つのなら森林国家ユグラド、魔工国ガンドウ、獣王国カルガ、この三国のどれかにした方が良い」
私は出発を控えたラフィーへ話しかける。
「かしこまりました帝母様、ご忠告ありがとうございます」
「お母様、そのルセリア神王国はそんなに酷いの?」
カミラが私に尋ねる。
「以前の姿しか知らないから今もそうとは限らないが私が居た頃はそんな物だった。人間以外を劣等種と呼び「劣等種は存在が罪」などと言い殺したり、奴隷にする者が普通に居た。当時の王はそのような思想は持っていなかったがその状況を変えようとはしていなかった、だから恐らく現在も変わっていないだろう」
私がそう言うとカミラとラフィーは顔をしかめる。
「何それ……ラフィー、念のため言っておくわ……手を出されたら遠慮無く反撃しなさい。戦争になっても構わない……私が許すわ」
「はい、陛下。他の者にも通達致します……それでは」
ラフィーは一礼すると魔道船に向かって行く。
その数日後、私とカミラは彼女達の出発を見送った。
ラフィー達の乗った魔道船を見送った日の夜、カミラと共に風呂に入っていると彼女が呟く。
「私達は転移で簡単に行けるのに変な感じだわ……」
「転移は簡単な魔法では無いし、用がある度に私達が全員を送る訳にもいかない。魔人達は他の大陸に行くための手段を欲し、魔道船を作り上げた。自力で移動出来るようになったのだからそれで十分だろう」
カミラの呟きに答えると、それを聞いたカミラは目を瞑る。
「そうね……魔車のように沢山普及すればきっと大勢の種族が大陸間を行き来するようになるはず、これから先が楽しみだわ」
「これから先か……やはりアーティア帝国が続いて欲しいと思うか?」
「長く過ごして来た私の国だしね。より良い未来を願う気持ちはあるわよ?お母様の名の付いた国が無くなるのも面白くないし……」
「そうか、出来るだけ長く繁栄するといいな」
「うん……」
そんな事を話しながらゆったりとしている時に私は呟く。
「溶岩風呂もいいがやはりこちらが一番かな」
「……お母様、普通あれをお風呂とは言わないわ……他の者を誘っては駄目よ?」
「分かっている、私には似たような物であるというだけだ」
以前誘ったのだが、クログウェルにはそんな趣味は無いと断られ、カミラにも無理では無いと思うが行きたくは無いと断られた。
まあ無理強いするつもりは無い。
それから約半年後。別大陸へと渡っていた魔道船が首都リリティアへと帰還し、すぐにラフィーによる報告会議が開かれた。
報告によると森林国家ユグラド、魔工国ガンドウ、獣王国カルガの三国と友好関係を結ぶ事に成功したようだ。
最初の一国と接触した後、三国間で僅かだがつながりがあったようで、他の二国とも話し合う事になったらしい。
その後三国間での話し合いが進み、無事に三国との同盟締結に至ったという。
報告会議が無事に終了した後、私はラフィーと共にカミラの部屋に居た。
そこでカミラがしみじみと呟いた。
「最初はどこか一国と同盟が結べれば良いと思っていたけれど……ラフィーに任せて正解だったわね」
「三国がつながっていた事と、各国の王が私達の事を頭から否定せず話し合う決断をしてくれた事が良い結果を生んでくれました」
ラフィーはそう言うが、それだけでは無いだろう。
「何よりもラフィーを始めとした皆のおかげよ。あなた達は私が期待した以上の結果を出してくれた……ありがとう、今回の事に対するお礼は正式にさせて貰うわ、全員にね」
「感謝いたします、皆も喜ぶでしょう」
カミラがそう言うとラフィーは嬉しそうに返事をした。
「帝母様、お尋ねしたい事があるのですが……」
「何だ?」
しばらく皆で他愛のない話をしていると不意にラフィーが私に尋ねる。
「帝母様は向こうの国の一つと深い関係を持っていたのですか?」
「なにかあったのか?」
私がそう答えると彼女は話し始める。
「三国との対話時に、私が陛下より全権を任されている事を話したのですが……森林国家ユグラドの女王が何故か動揺したように見えたのです」
「それで?」
「その数日後、ユグラドのエルフィ・マルマロウ女王に帝母様の事を知っているか聞かれたのです」
ああ、エルフィか。
「私は陛下のお母様である帝母様である事をお伝えしたのですが、その後色々と質問されまして」
「なるほどな、エルフィは森人だからまだまだ現役だろう」
「何かご関係が?」
「彼女が建国した時、国が安定するまで手を貸した事がある。他の二国も同様に助けたが、他の二人はもう現役を退いているのだろう。忘れられている可能性もあるが」
「なるほど、女王のあの勢いはそういった理由でしたか」
「全て話したのか?」
「はい。問題無いと判断したので陛下が魔人では無い事や、帝母様が陛下の義理の母である事などをお伝えしました」
「また会う事になるかも知れないな」
視線をエルフィからカミラに移して問うとカミラが答える。
「そうね……立場上会う可能性は高いと思うわよ?」
「何も言わずに離れた事を責められそうだ」
「お母様が原因なのですから素直に受けるべきだと思うわ」
「そうだな」
私はそう答えて他愛のない話に戻るのだった。
それから時間をかけてアーティア帝国と三国は関係を続けた。
仲を深め、技術の交換をして、やがて三国も魔道船を開発した。
それぞれの国もアーティア帝国との接触を機会に陸路での積極的な交易を開始した。
更に港を作り上げてアーティア帝国と交易も開始され、四国は大いに繁栄する事になった。
一方で人間の国は関係を拒否して閉鎖的な国となる、アドルなら交易を受けると思ったが。
もしかしたら王が交代しているのかもしれない。
その後、ウルグラーデだけは私とつながりがある者がいた為に、人間の国で唯一四国と交易している都市となった。
ウルグラーデが四国との交易関係を結んだ後、ケインが倒れたと連絡があり、私はウルグラーデに転移した。
「病気ではない、種としての寿命だ」
私はケインの寝室でケイン本人とミナ、ルーテシアに説明した。
ミナとルーテシアはいつか来る事だと覚悟していたのかそれほど取り乱す事は無かった。
「痛みを抑えて、動けるようにはしてやる」
そう言うと二人はお願いしますと言って部屋を出た。
「さて、ケイン」
「はい、師よ」
寝ているケインの横に座って魔法をかけながら話しかける。
「以前も言ったかもしれないが、私は寿命も伸ばせる。ケイン、お前はどうしたい?」
そう言うとケインは私をじっと見つめてやがて話し出す。
「……私はこのまま逝こうと思います」
「そうか、お前もその選択をするのだな」
私がそう言うとケインは上半身を起こして私を見る。
魔法による調整は終わった、動くだけなら問題は無いはずだ。
「師よ、これは私の仮説なのですが……短命な者が後天的に長命になると恐らく……精神、心……言い方は様々ですが、それが持たないのでは無いかと考えています」
私は黙って彼の仮説を聞いていた。ただ長い時間を過ごすだけでそのような影響を与えるだろうか?
「人生に満足しています……ただ、こうして自分が寿命を迎える事になった時感じたのです、これ以上の時を生き続ければきっと自分を保てなくなる……と」
自分に死が迫って初めて気が付いたという事だろうか。
「数百年生きる種族の私でさえもこうなのです。百年程しか生きる事が出来ない者達がどう感じたか予想出来ます……長く生きるには相応の精神が必要なのだと……そう、思います」
「私はそれを備えていると?」
「はい。師にとってはそれが当然の事であり、その精神も相応の物なのでしょう。……短命種を長命種にするには寿命を延ばすだけでは恐らく不可能です……やがて心を壊し、ただ生きているだけの何かになるでしょう。今まで師の提案が断られていたのは、幸せであったと同時にこれを感じたのではないかと」
寿命を迎える時にしか分からない感覚か。
私が分かる事は無さそうだ。
「精神にも手を加えるかもしくは……耐えられるだけの精神を持つ者ならば可能かも知れませんね……そのような者が存在するかどうかは分かりませんが」
この会話をした約一か月後、彼は逝った。
盛大な別れの儀式が行われたが、私とカミラ、クログウェルは出席しなかった。
別れは先に済ませていたからな。
学校はすでにケインが居なくても問題無くなっていた、彼はやるべき事を全てやってから逝ったようだ。
ミナとルーテシアはしばらくは元気が無かったが、やがて元気を取り戻した。
ケインの死を境にルーテシアは教師から副校長になり、校長であり母親であるミナを補佐するようになった。
恐らくこのままルーテシアが次の校長になるのだろう。
ウルグラーデとも交易が開始された後、平穏で楽しいと言える日々が続いた。
友人達と関わりながら帝母としての役目を果たす日々。
エルフィとも再会した。
彼女は怒りながらも私の無事を喜んでくれた。
他の二国とは距離が開いてしまったが、私は再び彼女達の国へ訪れるようになった。
技術はますます向上し、念話ではないが遠距離と通信する方法が開発され、魔道船の性能も向上した。
それらの技術の向上の原因の一つになったのが魔法合金だ。
四種族の技術開発者が共同で開発したこの金属は、魔法金属を組み合わせる事で様々な特性を持った金属を作る事が出来る物だった。
この魔法合金の登場によって技術は再び急速に発達した。
大陸間の移動は早く簡単になり、誰でも料金さえ払えば自由に行き来が出来るようになった。
ラフィーが逝き、シシーは結婚して主婦となり、やがて孫を持った。
初期の中核メンバーは全員逝ったが、跡を継いだ者達は優秀で、彼らがいる間は帝国は安泰だと思えた。
そんな日々の中、ウルグラーデがアーティア帝国所属になりたいと言っているという報告をルーテシアから念話でされた。
『何故私に言う?帝国のトップはカミラだぞ』
『カミラお姉ちゃんがクレリアお姉様に言うようにと。関係が深いクレリアお姉様に任せるそうです。カミラお姉ちゃんとしては受け入れる事に賛成だそうですよ?』
カミラは最終的な決断を私に任せた様だ、迷う事は無いな。
『アーティア帝国は正式にウルグラーデをアーティア帝国領として認める』
『ありがとうお姉様。事を起こして駄目だったら問題ですもの、事前に二人に話しておきたかったの』
『基本的には関わらないが、どうにもならなければ連絡しろ。悪いようにはしない』
『そうならないように気を付けるわ、それじゃまたねお姉様』
ルセリア神王国は今に至るまでウルグラーデに今まで散々手を出していた。
それが原因でウルグラーデはルセリア神王国からの離脱とアーティア帝国への所属を宣言したようだ。
その宣言を聞いたルセリア神王国はウルグラーデに兵を出したが、アーティア帝国と同盟の三国もウルグラーデを守るために兵を出した。
四国間での交易と技術交流によって発展した国力の差は明らかで、同盟軍はルセリア神王国の軍を一蹴した。
その後正式にウルグラーデはアーティア帝国の領地になった。
後で聞いた話だがウルグラーデは報告されていた事以外にも細かくルセリア神王国からちょっかいを出され続けていたようで、我慢の限界だったらしい。
ウルグラーデを不当に扱わないという約束はアドルが王である間のみだったはず、やはり王が変わっていたようだ。
これで事が収まると思っていたがそうはいかなかった。
アーティア帝国領となった後もルセリア神王国は手を出し続け、とうとうカミラは「これ以上ウルグラーデに干渉すればルセリア神王国を攻め滅ぼす」とまで言い警告した。
ルセリア神王国がそれを無視して再び手を出したため、カミラは宣戦布告した。
以前の戦争で他国の技術を奪っていたルセリア神王国だったが、それをはるかに超えるアーティア帝国と同盟三国の軍の前にあっという間に敗北した。
カミラに徹底的に攻められたルセリア神王国は消滅し、その領土は四国間で分配された。
ルセリア神王国民の中には差別意識が無い事を隠して生活していた者もそれなりに存在し、彼らはウルグラーデに移住を希望し受け入れられた。
心の底から差別に染まった者は差別をやめ共に暮らすか、考えを変えず隔離された町で生きるかを選ばせた。
すると多くが隔離生活を選んだ、どうしても他の種族を認められなかったようだ。
人間と言う種族は戦争による徹底的な殲滅の影響もあり、その数を大きく減らす事になった。
そして各国はしばらくの間は戦争の後始末を行い、それが終わると魔人、森人、大地人、獣人、人間の五種族は共存する道を歩み始める。