この作品の注意事項
・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
ある日の夕方、私はウルグラーデのミナの元を訪れていた。
ウルグラーデ自体には時々来ているが、今日はミナが家にいるので会いに来た。
「今飲み物を用意するわね」
部屋のソファに座るとミナは飲み物を用意しにキッチンに向かった。
テーブルの上に資料のような物が置いてある、私は何気なくそれを手に取る。
「魔道飛行船研究」と書かれたその資料には、大勢を乗せて空を移動する乗り物の事が書かれていた。
面白いな。
「お待たせ……あら、それ読んでるの?」
ミナが飲み物を私の前に置き、ソファに座る。
私はミナに問いかけた。
「これを書いたのは誰だ?」
「それは以前ティリア魔法技術学校の魔道具科を卒業した、ネベリオ・カシルズと言う男が持って来た物よ」
「今は何処にいる?」
「ウルグラーデの魔道具店で働いているわよ?研究費を出してくれる出資者を探しているみたいで、私の所にも来たわ」
カミラにも話してみよう、もし失敗したとしてもこの発想が埋もれるのは惜しい。
「この資料貰っていいか?」
「えっ?いいけど……もしかして出資するつもり?」
「カミラに話してからになるが、私は出しても良いと思っている。国の研究として全面的に支援したい」
「貴女がそう言うなら決定したような物じゃない」
「カミラは私が言った事でも駄目なら駄目と言うぞ。私がそう教えた」
「確かに、カミラさんは貴女の事を優先するけど。その辺りはしっかりしていたわね」
私は資料を貰うとミナの家から直接転移でカミラの元へ向かった。
カミラに資料を見せて国の研究として支援したいと相談した所、「面白そうね、海が行けたなら空も行けるかもしれないし」と言って了承した。
側近達も魔道船の研究が落ち着いた事と、興味を引く内容であった事で頷いてくれた。
国の研究として行うので発案者の意見を基に準備をする事に決まり、通話魔道具で連絡をして来て貰う事にした。
その後彼と連絡がつき、魔道飛行船研究をアーティア帝国が国の研究として支援する事、家族と共にアーティア帝国へ移住するのなら全員の生活を保障する事、などの説明をしたようだ。
通話魔道具があるティリア魔法技術学校に呼び出され、説明を受けた彼の反応は混乱の極みであり、見ていてとても面白かったと担当した者が言っていたらしい。
更に魔道飛行船研究を行う研究員の募集をアーティア帝国内の技術者に行い、希望者を集めた。
こうして集まった者達で研究チームを作り、ネベリオを研究主任に任命された。
彼は涙を流して喜び、現在も研究開発に奮闘している。
私が魔道飛行船研究所を覗いてみようと向かっている途中、研究所方向から大きな爆発音が聞こえた。
私は空を飛び研究所へと急ぐ。
「怪我人はこっちに運んで!揺らさないようにそっと運ぶんだ!」
現場では念の為に常駐させていた治療魔法使いが怪我人の治療を行っていた。
だが怪我人の人数が多すぎて手が回っていないようだ。
「動ける者は怪我人を集めろ、私が治す」
「て、帝母様!?」
「さっさと集めろ。重傷者が先だ」
驚く彼らにそう言うと動ける者達が慌てて怪我人を集める。
私は回復魔法で全員を一気に治療した。
「帝母様の魔法……初めてみたけど。高度過ぎて全く理解出来ない……」
治療していた回復魔法使い達の呟きを聞きながら、私は後を任せてその場を後にした。
幸いな事に死者は出なかったが、研究は一時的に中断。
研究員から話を聞き対策をする事になり、最終的に実験などを出来るだけ安全に行えるように改善する事となった。
それから時間をかけて対策を行い、実験を行う時は防御魔法で強化した部屋で操作出来るようにした。
更に防御と回復の出来る魔法使いを増員し、実験時には同席させすぐに対応出来る様に待機させる。
今回起こった事故の原因は、魔動出力機に蓄積した魔力に本体が耐えられなかった事が原因だった。
限界を超えて爆発したそうだ。
開発中の小さな物だったからこれだけの被害で済んだ。
これから研究が進み、より大型でより多くの魔力を使った物が開発された時、同じ事が起これば死人が出るだろう。
建物は建てなおせるが優秀な人材の命は戻らない、訳でもないな。
私がいれば。
それでも研究員の安全には力を入れておくべきだろう。
新たに安全対策が施された研究所で彼らは日々研究をしている。
私はあまり研究所には行かないし関わらない様にしている。
カミラにあまり行きすぎると彼らにとって負担になると言われたからだ。
稀に帝母として訪れる程度で特に深く関わる事は無く、ただ開発の成功を待つ事にしている。
「代表対抗戦を見に行く?」
私がその話をカミラから聞いたのは土砂降りの雨のせいで外に出る気にならず、自室でくつろいでいる時だった。
「ええ、ティリア魔法技術学校の行事らしいわ」
あれか、以前からあるのは知っていたが特に気にしていなかったな。
「あるのは知っている。関係者では無かったから見た事は無いが」
「ほら、ウルグラーデはもうアーティア帝国の都市だから。見学しに行く事になったのよ」
「なるほど、女帝としてか」
「そういう事。お母様もどうかしら?」
「行こう」
私はティリア魔法技術学校代表対抗戦を見に行く事にした。
カミラと校長のミナが挨拶を終え、私は副校長のルーテシア達と共に専用の観戦場で開始を待っている。
「勝敗はどう決まるんだ?殺す訳には行かないだろう?」
私は隣のルーテシアに聞いた。
「審判が判断します。安全対策はしてありますし、審判として複数の人員も用意していて危険な時には試合を止める事もあります」
「学校で死んでしまったら来ている意味が無いからな」
「今の所死人は出ていませんし、怪我人は出ていますが致命的な物は無いですね。何より、相応の事が出来る者しか出れませんから」
「なるほど」
「参加資格は周囲に伏せて本人にのみ通達されて出場は強制ではありません。出る事を本人が決めてから周囲に通達されるので、逃げたと言われる事もないですね」
「わざわざそうしたと言う事は以前あった訳だな」
「はい、今はもう平気ですが」
会話をしている内に準備が整ったようで、試合が開始される。
対抗戦は近接戦闘だけで戦う近接戦闘技術戦、魔法だけで戦う魔法戦闘技術戦、全てを駆使して戦う総合戦闘技術戦の三種類があるらしい。
勝ち抜き戦、トーナメントとも言うが、その方式で戦うと説明された。
対抗戦は問題無く進んだ。
全員未熟ではあるが真剣に戦う姿は見ていて良い物だった。
その後感想を聞かれそんな事を答えると、「貴女から見たら誰であっても未熟でしょうね」とミナに苦笑いされた。
しかし、見ていて楽しかったのは間違いない。
かつて戦闘を教えていた事を思い出した。
それから各戦闘の上位者に声をかけるようにカミラが指示を出していた。
帝国軍に誘っているのだろう。出場者の中にはそれを期待して出ていた者もいるのかもしれない。
無事に対抗戦は終わったが、ミナとルーテシアに誘われ家に泊まる事にした。
個人的な事なら転移で移動するが、今回は女帝としての訪問だ。
魔車と魔道船を使う時間のかかる移動をわざわざ国の者達としているので、一日だけ滞在出来るように調整した。
「学校の方は平気なのか?」
「アーティア帝国の皇帝様と帝母様の対応をする事になっているので、今日は学校の事は他の人に任せています」
私の疑問にルーテシアが答える、問題が無いならいい。
ウルグラーデの上層部とも顔合わせを終えたので、明日には帰る事になっている。
しかし個人的に転移でよく来ているので、いつもと変わらない気分だ。
「折角来たのです、今日はずっと一緒にいましょうね!」
ルーテシアは張り切っている、そんなに久しぶりでもないだろう。
「普段から私もお母様もそれなりに来ているわよね?」
カミラも同じ事を思ったのか、ルーテシアに言う。
「何を言っているのです!お姉様とお姉ちゃんが一緒に会いに来てくれる事はあまり無いですよ!」
ルーテシアは胸を張って言い切った。
確かに個別にはよく来ているが同時に来る事は少なかったかもしれない。
この後私とカミラに挟まれ楽しそうにするルーテシアとのんびりと過ごし、風呂も三人で入った。
私が小さいから良かったが、少し狭かった。
私達はルーテシアを真ん中にして並んで寝る事になった。
二人が寝た後で外に散歩に行こうと思ったのだが、ルーテシアは私とカミラの腕を両脇に抱えたまま寝てしまった。
私は諦めて一緒に寝ている事にした。
ある日、私は魔道飛行船研究所からの報告書をカミラの執務室で見ていた。
その報告書には船体の材料を加工しやすく、軽く、強度のある魔法合金か魔法金属で作ろうとしている事が書かれていた。
「加工しやすく、軽く、強度のある魔法合金か魔法金属か」
「現在使っている魔法合金は強度は高いけれど重たい上に加工が難しいらしいわ、お母様は条件に合う魔法合金か魔法金属を知ってる?」
カミラは私に聞いてくるが、私もそういった事から離れて大分経っている。
残念だが役に立てそうにないな。
「私の知っているのは昔の物だけだが、そんな物は無かったな。研究者達は現在ある物も調べているようだし、存在しないかまだ見つかっていないのだろう。この報告書には現在確認している金属は全て一長一短で条件に合わない物しかないと書いてある、新しい何かが見つからなければこれ以上は難しいかも知れない」
「お母様も知らないか……そんな都合のいい金属あったらとっくに使われているわよね……」
「そう言う事だな。ただ新しく作る事は出来ると思う、どれだけ費用と時間がかかるかは分からないが」
「え?」
「アーティア帝国の鍛冶師にも魔法合金を作れる者がいるからな、作り方さえ覚えれば後は試行錯誤するだけだ」
「お母様が作るの?」
「無いなら作るしかないだろう?」
「んー……資金は何とかするわ、やりたいならやっていいわよ?」
「ありがとう。ではやってみよう」
こうして私は新しい魔法金属と魔法合金の研究開発を始める事にした。