少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。





039

 

 魔道飛行船の発案者ネベリオ・カシルズが逝き、魔道飛行船の父と呼ばれるようになってから時は流れ、魔道飛行船の研究開発は停滞し始めていた。

 

 研究開発の停滞について考え込むカミラと側近達。

 

 そんな時、同盟三国からほぼ同時期に共同研究の申し出があった。

 

 実用可能な魔道飛行船の開発成功は他国にも伝わっていた、彼らはその技術を得たかったようだ。

 

 アーティア帝国の魔道飛行船技術を他国に渡していいのか?などと言った話し合いが連日行われたが、最終的に帝国は三国からの共同研究の申し出を受け、四国で研究開発を行う事になる。

 

 新たな人員と資金、資材などの提供を受ける事で、より多く、同時に様々な研究を行えるようになった、そしてその状況に対応するため研究施設の拡大が行われた。

 

 共同研究が決まってから実際に研究が開始するまでに多少の時間がかかり、その後もしばらく目立った成果が上がらなかったのだが、ある日魔道飛行船だけでなく様々な事に影響を与えそうな技術が開発された。

 

 その技術は魔法陣と名付けられた。

 

 魔道具に使われる魔道文字を参考にして生まれたこの技術は、魔法を使う際に詠唱と特定の魔法文字を用いて物や空中に魔法陣を描き、より高度な魔法を行使する技術だった。

 

 魔道飛行船の部品などに魔法陣を組み込む事で、今までは不可能だった効率と効果を生み出す事が出来るという。

 

 この技術を開発した者達はより良い物が出来るならと、この技術を秘匿する事無く広めた、これにより様々な物の精度や効果、効率が飛躍的に向上する事になった。

 

 

 

 

 

 

 それからは今までの停滞が嘘のように研究開発が進み始める。

 

 やがて各国の長い研究の末、四国の共同開発による最初の大型の魔道飛行船が完成する。

 

 これは現在の人類の最高の技術を集めて作られた最大五十人程が乗れる魔道飛行船で、基礎を作った研究者の名前を使用しネベリオ式魔道飛行船と名付けられた。

 

 この魔道飛行船が完成するまでの間に魔法陣も人々の目を引き、個人による魔法陣を使った魔法の行使技術が普及した。

 

 更に大規模で複雑な魔法陣を用意し複数人で行う儀式魔法や、大魔法といった物も編み出され定着する事になった。

 

 魔道飛行船の完成は大々的に発表され、初の飛行はアーティア帝国首都リリティアからウルグラーデへの飛行に決まる事となる。

 

 飛行は厳重な警備の下に行われ、各国の王などの関係者達が初めての空の旅を体験し、私はエルフィと語り合った。

 

 

 

 

 

 

 魔道飛行船は共同開発を申し出てくれた順に、それぞれの国に配備される事になっているらしいが、全ての国に配備されるのはまだ先の話になるだろう。

 

 魔道飛行船関係の事が大きな節目を迎えて落ち着きを見せたある日の夜、私は自室で魔法陣を試していた。

 

 空中に平面の魔法陣を描き魔法を発動する、確かに制御しやすいが魔法陣を作る時間があるから咄嗟の事には対応が難しそうだ。

 

 逆にしっかりと準備を整え、人数を揃えれば今まで私やカミラ、クログウェルしか扱えなかったような魔法も発動するだろう。

 

 更に技術が上がれば人体の欠損の修復なども出来るかも知れない。

 

 足元の床や地面に描いてみたり、手元に小さく描いてみたりしたが、高い効果を得るには魔法陣を大型にしなければならないようだった。

 

 ……平面ではなく立体にして発動させればもっと小さい範囲で高い効果を得られるのではないだろうか?

 

 私が簡単な立体魔法陣を組んでいると部屋がノックされる、入って良い事を伝えると、カミラがやって来た。

 

 「お母様、紅茶でも飲まない?」

 

 「飲む。入れてくれ」

 

 カミラは私の正面にある簡単な立体魔法陣を気にするそぶりを見せながら紅茶を入れてくれた。

 

 「いつものモー乳入りでいい?」

 

 「頼む」

 

 私が効果的な立体魔法陣を模索していると、カミラが紅茶を持ってきてくれた。

 

 「はいどうぞ……お母様?それは……」

 

 カミラは私の隣に座りじっくりと魔法陣を見ている。

 

 「魔道飛行船完成の過程で魔法陣の技術も普及したが、今まで使った事が無かったから使っていた」 

 

 「小さいけれど……これ、立体魔法陣よね?」

 

 「この方が効果的だと思ってやってみた」

 

 「やってみたって……いつの間に訓練していたの?」

 

 「今作った」

 

 「えっ!?」

 

 私を見ているカミラにそう言うと驚いた表情で声を上げる。

 

 「ついさっき立体にしようと思い立ってな」

 

 「そう……お母様?立体魔法陣は現時点では可能ではあるはずだけど、難易度が高すぎて不可能と言われているから……あまり外でやらないでね?」

 

 カミラは紅茶を飲みながら私に忠告する。そこまで難しくは無いが、カミラが言うのなら控えておこう。

 

 「分かった、外では控える」

 

 「それで……立体魔法陣の効果はどう?」

 

 「効果はかなり高い。このままこの技術が進化すれば、いずれ私でなくても限定的だが人体の欠損の修復なども可能になるだろう。いや、もしかするとそれ以上も可能になるかもしれない」

 

 「……そんなに?」

 

 「ああ。魔法陣は魔法を使う際に魔力で描くか、あらかじめ書いてある文字に魔力を通す事で効果を発揮する。つまり事前に書いておく事でも効果を発揮出来る訳だ。前者は本人の技量が必要だが、後者は殆ど必要無い。つまり巨大な魔法陣を書く知識と、時間、必要な魔力があれば、本人の技量に関係なく発動出来る可能性があるという事だ」

 

 「……ちょっと不味いんじゃないかしら……」

 

 「私は高度な魔法をその方法で行うには立体魔法陣である必要があると考えている。立体魔法陣は事前に書いておく事は出来ないだろうし、地面に書くにしてもそれだけの魔法を発動させるには広大な面積が必要になるはずだ。実現出来ないとは言わないが、かなり難しいだろう。それに、今更危険だからと無かった事にも出来ないだろう?私は止める気は無いぞ」

 

 「そう……そうね。流石に今更止められないわ」

 

 「複雑な儀式用の立体魔法陣を展開する魔道具などが生まれるかもしれないな」

 

 私がそう言うとカミラは黙ってしまった。

 

 だが思いついてしまったのだから仕方ない、きっと誰かが同じ事を思いつく。

 

 その時どうなるかは私にも分からない。

 

 魔道飛行船の開発成功は世界に大きな影響を与えたが、私個人としては魔法陣の与えた影響の方が大きかったように感じた。

 

 魔法陣の登場によって様々な物が改良され性能などを向上させた、それは現在でも続いている。

 

 これからどうなっていくのか楽しみにしながら、私はカミラと共に紅茶を飲んだ。

 

 

 


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