少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。





040-01

 魔道飛行船が完成してからも世界は少しづつ変わって行く。

 

 町が増え、それぞれの国には魔道飛行船の為の空港も出来た。

 

 各国に配備された魔道飛行船による交通網は既に常識になっている。

 

 そんな中、四国間会議の場で魔道飛行船による新大陸探索案が提出されたようだ。

 

 カミラと同盟各国はその案を採用し、再び四国の共同計画が始まる事になった。

 

 

 

 

 

 

 「魔道飛行船で新大陸を探すのか」

 

 私の部屋にやって来たカミラと魔道飛行船による新大陸探索計画について話す。

 

 あるかどうかは分からないが私自身もまだ世界を全て見て回っていない、新しい大陸が生まれている可能性は十分ある。

 

 「私も世界を知りたいし、各国も余裕が出て来て乗り気だったし……進めておこうと思って」

 

 「世界がまた広がるな。世界中に彼らが住むようになるのも時間の問題か」

 

 オセロをしながら語り合う私達、私は押されている自分の色を見ながら話す。

 

 「そうね……お母様の言う時間の問題と彼らの時間の問題は大分長さが違うとは思うけれど……いずれ世界中に全ての種族が暮らすようになるかも知れないわ。隔離した元ルセリア神王国民の意識改革も終わった今、気になる事も思いつかないし」

 

 そういえばそんな事もあったな。

 

 「忘れていたがそんな者達もいたな、結局今はどうなっているんだ?」

 

 「世代交代時に教育を行って差別意識が付かないようにしたわ。現在は隔離は解除されて普通のアーティア帝国の町になっているわよ」

 

 「洗脳したのか。カミラもやるな」

 

 そこそこ差をつけられて負けたな。

 

 「洗脳って……差別をしないように教育しただけで他は何もしてないわよ」

 

 カミラが笑いながら言い、オセロを片付けて脇に置く。

 

 「放っておく訳にもいかなかったし、あのままよりは良かったと思っているわ」

 

 「不安な材料は無くしておくべきだからな、私でもきっとそうしていた」

 

 「これ以上何かするつもりは無いわ。後はアーティア帝国民として普通に暮らして貰いたいわね」

 

 二人で語り合いながら夜はふけていき、その日カミラは私の部屋で寝た。

 

 

 

 

 

 

 探索に用意する魔道飛行船は各国二隻作る事に決まったようだ。

 

 探索船団は八隻と言う事になるな。

 

 各国がこの計画に期待しながら忙しくしているが、私は特に変わらずいつものように過ごしている。

 

 現在、私はルーテシアに誘われて一緒にアーティア帝国領にある温泉街に来ている。

 

 「ここも開発当初に比べると大きくなったな」

 

 「お姉様、まずお宿に向かいましょう?」 

 

 ルーテシアと手を繋いだまま、私達は温泉街の道を歩き宿へと向かう。

 

 温泉街にいる他の客は私に気が付くと一瞬驚く。だが私が町をうろついているのはよくある事だ。

 

 帝国民達もその事は知っているので、私が過剰な装飾が付いた帝母としての衣装では無い場合は、なるべく普段通りにしてくれる。

 

 宿の対応は全てルーテシアがやってくれた。部屋は帝母だからといって特別な物ではなく、他の客と変わらない。

 

 それなりに広い部屋には一般的な家具が置いてあり、二人用のベッドが一つ置いてある。

 

 部屋に着いた私達は温泉街用のローブ姿に着替える。

 

 ゆったりとした長いローブは中々動きやすい、私は子供用だ。

 

 「お姉様、まずは温泉街を回りませんか?」

 

 「そうだな。温泉に浸かるのは戻ってからにしようか」

 

 温泉街に出て、食べ歩きをしたり土産物を見る。

 

 ルーテシアは温泉成分を抽出した温泉玉という物を買っていた、お湯に入れると簡易的な温泉になるらしい。

 

 それを聞いて昔採取した温泉がまだ残っている事を思い出したりもした。

 

 温泉蒸しはほんのり甘くて美味しかった。この温泉街の食べ物は基本的に小さく、少ない。

 

 訪れた者が色々な物を食べ歩けるようにしているらしい。

 

 一つを二人で半分にして色々な物を食べ歩いたが、私はともかくルーテシアが夕食を食べられなくなるので程々でやめておいた。

 

 宿に帰り、ルーテシアに抱えられたままのんびりと過ごし夕食を食べた。

 

 夕食後、私は温泉でルーテシアに丸洗いされ、ゆっくりと温泉に浸かった後は一緒に寝た。

 

 その後、家に帰ったルーテシアはミナに旅行の事を楽しそうに話し、ミナは嬉しそうにその話を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 ある日の夕方、自室の窓から久々にクログウェルがやって来る光景が見えた。

 

 他の三国に初めて見られた時は大騒ぎになったが、カミラがすぐに対応したので大事にはならなかった。

 

 それ所か他三国は取引しないかと持ち掛け、クログウェルはそれを受けた。

 

 各国は彼女の素材の良さを知っていたようだ。

 

 そのため彼女は以前ほどリリティアに来なくなっていたのだが、今日は用事があるようだ。

 

 彼女はそろそろこの辺りから離れると言っていた。

 

 また新しい食材を探すらしい、それでも取引はしっかり続けるらしいが。

 

 

 

 

 

 

 順調に魔道飛行船の製造は進み、その間にも各国は豊かになって行った。

 

 やがて魔道飛行船が完成し、探索隊の人員が選ばれる事になる。

 

 発見した大陸を開拓するための人員や、護衛の空戦部隊と飛行部隊も編成された。

 

 更にマジックボックス持ちの魔法使いと魔法鞄も大量に配備され、物資も十分揃え、準備を整えた。

 

 そして準備が終了すると八隻の魔道飛行船隊は新たな大陸の発見に向けて出発して行った。

 

 各国は探索期間はそう長くかからないという予想をしているようだ。

 

 確かに海を行く訳ではないので楽かもしれない。

 

 どちらしても三か月以内には戻ってくる予定であるらしい。

 

 

 

 

 

 

 魔道飛行船隊が出発してから時が経ち、いつ戻って来てもおかしくないほどの時間が過ぎたある日の明け方。

 

 急に城内が騒がしくなり始めたのを感じた私は様子を見に行った。

 

 「間違いないのね?」

 

 「はい、報告によれば間違いないと」

 

 「救援の部隊をすぐに編制して向かわせて、こちらでも準備をしなさい」

 

 「すぐに行います」

 

 寝起きのままのカミラと側近がカミラの私室の前で会話していた。

 

 私の横を頭を下げて通り過ぎる側近を横目に、私はカミラに声をかける。

 

 「何があった?」

 

 「お母様……魔道飛行船隊がこちらに戻っていると言う連絡があったのだけど……戻ったのは一隻。それもなんとか飛んでいられる程にボロボロらしいわ」

 

 それぞれの魔道飛行船には空戦部隊と飛行部隊が乗っていたはず、それでもほぼ全滅する被害か

 

 「事故か?それとも襲われたのか?」

 

 「クログウェルに似た、白い魔物に強襲されたらしいわ」

 

 「竜族か」

 

 「まだ確実ではないけれど魔道飛行船隊がほぼ壊滅したとなると……そうかもしれないわね」

 

 ただの魔物があの戦力に勝てる訳がないし、壊滅に追いやる事などまず出来ないだろう。

 

 何があったかは聞かなくては分からない。

 

 その後緊急会議が行われ、受け入れ準備をしながら帰還を待つ事になった。

 

 

 

 

 

 

 しばらく後に逃げ延びた魔道飛行船が帰還する。

 

 事前に送っておいた救援で怪我人が手遅れになる者は居なかったが、乗員は三分の二程に減っていた。

 

 休ませてやりたいが、まずは生き残った乗員から詳しく話を聞かなくてはならない。

 

 話を聞き終わった後、再び会議が開かれた。

 

 「新しい大陸を発見して上空に入った時に襲撃を受けたのね」

 

 「そのようです、強力な魔法攻撃を高速で飛行しながら撃ち込んで来たらしく、長くは持ちこたえられなかったようですね」

 

 カミラと側近達が話し合いを行っているのを私は黙って聞いていた。

 

 「陛下。その魔物がクログウェル殿と同種であり、同等の実力を持っているとしたら魔道飛行船隊の戦力では勝ち目はありません……むしろ一隻逃げ延びただけでも運が良かったのではないかと思います……」

 

 空戦部隊と飛行部隊の隊員も実力者ではあるが、いまだにクログウェルとの模擬戦では大きな差がある。

 

 実戦になればこうなるだろう。

 

 速やかに情報をまとめ、これからの方針や行う事を整理し会議は終了した。

 

 

 

 

 

 

 私はその日の夜、カミラの私室にやって来た。

 

 部屋をノックすると元気のない声で返事があり私は部屋に入る。

 

 「お母様……」

 

 彼女はベッドに座り俯いていた。会議での毅然とした姿は消え失せ覇気は無く、幼い頃の彼女を感じた。

 

 私が隣に座ると静かに話し始める。

 

 「私は強力な何かが居る可能性があったのに、あの戦力ならば問題無いと判断したわ」

 

 「実際にあの戦力ならば大抵の魔物は問題無かっただろう。私も同じ判断をした。相手がクログウェル級だった事が問題だったな、奴と同等の存在はこの世界にそう多くないだろう。発見した大陸は奴の縄張りだったのかもしれない」

 

 「多くの犠牲を出してしまったわ、もっと準備をするべきだった」

 

 「竜族相手では数を増やせば増やしただけ犠牲になっていただろう」

 

 彼女は私の胸に顔をうずめて体を震わせている。

 

 「私も問題無いと思って口を挟まず送り出した、カミラだけの責任ではない。後悔してもいいが引きずるなよ」

 

 私は魔道飛行船隊が壊滅しても何も思う事は無いが、彼女は違う。

 

 例え私に近い考えをしていたとしても、私では無いのだ。

 

 彼女は顔を埋めたまま小さく頷いた。

 

 さて、これからどうなるか。

 

 諦めるのか、討伐するために手を尽くすのか。

 

 

 

 

 

 

 数日後カミラは正式に今回の魔道飛行船隊による探索計画の報告をした。

 

 起きた出来事の説明と、犠牲になった者達の家族への補償、そして自分の考えが甘かった事の謝罪を行った。

 

 他国ではカミラを責める声も起きたがすぐに収まり、代わりに別の声が各国で上がり始める。

 

 それは魔道飛行船隊を襲った魔物を許すな、各国で今までの技術を使って討伐のための武器を研究開発するべきだ、と言う声だった。

 

 カミラを始めとした各国の王達はそれを認め、魔道兵器と名付けられた武器の開発が始まった。

 

 

 

 

 

 

 魔道兵器の開発が始まって少し時が過ぎたある日。

 

 私は魔道飛行船隊に襲い掛かった竜族に会いに行こうと思い立ち、教えて貰った大陸の方向へ飛んでいた。

 

 やがて遠目に大きな大陸が見えて来た、ここが発見した大陸だろう。

 

 大陸の上空に侵入してしばらく待機していたが、目的の相手が現れる気配は無い。

 

 空を飛んでいるのなら相手の行動範囲はかなり広いはず、魔道飛行船隊が襲われたのは遠くからでも目立った事と、たまたまこの辺りに相手がいた事が原因か?

 

 もしそうなら運が悪かったと言うしかないだろう。

 

 しばらくうろついて来なければ帰ろう。

 

 私は少しの間辺りを飛び回る。

 

 わざわざ探してまで会いたい訳でもない、いずれ人類が報復に向かうだろう。

 

 その後しばらくいたのだが目的の相手は現れなかった、私は何もする事無く帰った。

 

 

 

 

 

 

 魔道兵器の開発は報告を見る限り魔道飛行船に搭載出来る大型の物を開発しているようだ。

 

 現在は魔工国ガンドウの魔道武器を元に研究開発する方向に進んでいるらしい。

 

 研究所の規模は年々拡大され、研究者の数は今も増えている。

 

 兵器の試作のための兵器工場も数を増やしていた。

 

 その途中にも新たな魔道具や娯楽などが開発、考案され各国は豊かになる。

 

 アーティア帝国首都であるリリティアでも新しい建物が作られ始めた。

 

 増える国民に対して土地が足りなくなる事を見こして、住宅を縦に伸ばす事で同じ面積に多くの人数が住めるように設計したらしい。

 

 食料生産の事もあり全ての土地を開発する訳には行かない。

 

 その問題を以前からどうにかしようと考えていたようで、少数だけ建築して経過を見るそうだ。

 

 

 


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