少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。





041

 新しい大陸を発見し、土地と資源を獲得した同盟各国は開発を進め、豊かな生活をしていた。

 

 技術は進み食と娯楽が増え、魔道兵器の登場により魔物による被害は少しづつ減って行き、どの国も種族が交じりあい多種族国家となっていった。

 

 ミナは人生を謳歌し逝った。彼女は死の間際に柔らかな微笑みを浮かべながら人生に満足していると語り、ルーテシアの幸せを祈りながら安らかに旅立った。

 

 このまま繁栄して行くかと思われたアーティア帝国だったが、その思想にいつからか不穏な物が混じり始める。

 

 側近達から他の同盟国を支配し統一するべきだと進言する者達が現れ始めた。

 

 国の拡大に合わせて側近達の数も増え、何世代も代変わりしている。

 

 カミラは帝国民の思想の変化に驚いていた。

 

 私は豊かな生活に慣れ、それが当然になった世代が増長しているのでは無いかと考えていた。

 

 もちろんカミラは却下したのだが、事はそれだけで終わらなかった。

 

 一部の者が暴走して他国と問題を起こし、側近達はその責任が女帝カミラにあると発表、明らかに無関係であったが今の帝国民にそれを知る術はない。

 

 そしてカミラ自身が退位を表明した。

 

 私はそこまでする必要は無いのではないかと言ったが、カミラはあまりにも長い間帝位にいすぎたと考えていたようだった。

 

 現在の国民は私とカミラの実力を話でしか知らない。

 

 私達が戦うような出来事は同盟成立以後は無かった、何が原因かは分からないが私達が邪魔になったのかもしれない。

 

 カミラに何の相談もなく次期皇帝も既に決められていた。いつものカミラであれば一喝し、改めて力を示して正していただろうが、カミラはそれを抵抗せず受け入れた。

 

 そろそろ帝位を譲って私とルーテシアの三人でのんびりしたいと思っていたから丁度いいと思ったらしい。

 

 内心ルーテシアが羨ましかったようだ。

 

 カミラは国民に望まれて皇帝になった、望まれなくなったのなら後は任せようとすんなり引いた訳だ。

 

 退位する前にカミラは森林国家ユグラドのエルフィ王女にアーティア帝国に不穏な思想が目覚めている事と皇帝が変わる事を伝え、各国に注意するように伝えてくおくように頼んだ。

 

 カミラの退位は受け入れられ、退位後、私とカミラとルーテシアは事前に見つけておいた大陸から離れた大きめの島に移り住んだ。

 

 移住した事はエルフィにだけ伝えておいた。

 

 後に私達が突然姿を消した事で騒ぎになったと聞いたが、殺そうとしていたのだろうか。

 

 こうして私達はエルフィを除いた人類全てとの関係が無くなり、三人で静かにのんびりと暮らす事になった。

 

 

 

 

 

 

 島にやって来て数か月。

 

 私達は快適な生活をしていた、ルーテシアは城に居た頃よりますます幸せそうに私とカミラの傍にいる。

 

 私とカミラの立場は無くなり、ルーテシアもメイドではなくなったが、彼女は変わらず私の世話をしてくれる。

 

 もうそんな事をする必要は無いと言うと、今まで通りやらせて欲しいと頼まれたので好きにさせている。

 

 この島は暖かくルーテシアにも過ごしやすい気候だ、私とカミラはどんな気候でも問題無いが、ルーテシアの事を考えてこの島にした。

 

 この判断は間違っていなかったようだ。

 

 私とカミラとルーテシアは島の砂浜に水着姿で横たわっている。

 

 カミラとルーテシアに頼まれて泳ぎやすい服を全員分作り、三人で海で泳いだ後に皆でくつろいでいる。

 

 寝ている所には日よけをつけている、ルーテシアの為だ。

 

 私達と同じようにしていると彼女が危険な事になる場合がある。

 

 「はあ……海で泳ぐ事がこんなに楽しいなんて知りませんでした……」

 

 ルーテシアは私の寝ている日陰に入り、横になって呟いた。元気を取りもどしたようで良かった。

 

 ミナが死んでからルーテシアは表面上は元気だったが、寝ながらミナの、母の名を呼んで泣いている事があった。

 

 「気候が暖かいと気持ちいいだろう?ウルグラーデは気候は安定していたが海で泳げるほど暖かくなかったし、海自体が無かったからな」

 

 「はい、疲れましたけど……」

 

 横になりながら私を見て話す彼女は、疲れているが楽しそうに笑っている。

 

 「二人とも、何か飲み物飲む?」

 

 「あ、お姉ちゃん。私が用意しますよ」

 

 反対側にいるカミラがそう言うとルーテシアが起き上がる、カミラはそれを手で制す。

 

 「いつも色々してくれてるし、泳ぎつかれているのだから今は私に任せなさい」

 

 「……うん。お姉ちゃん、ありがとう……じゃあモー乳お願い」

 

 「私はモー乳入りの紅茶を、モー乳はいつもの量で頼む」

 

 「了解、ちょっと待ってね」

 

 鼻歌を歌いながらテーブルの上に置いてある魔法鞄から飲み物を出すカミラ。

 

 ルーテシアは基本的に私とカミラのために色々してくれるが、ここに来てからしっかりと甘えてくれるようになった。

 

 「はい、モー乳よ」

 

 「ありがとうお姉ちゃん」

 

 「お母様にはこれね」

 

 「ありがとう」

 

 飲み物を体を起こして受け取り、海を見ながら三人で飲み物を飲む。

 

 「これを飲み終わったらお魚を取りませんか?夕食に使いたくて……」

 

 ルーテシアが私達に提案する。

 

 「私は行くぞ、カミラはどうする?」

 

 「もちろん行くわよ」

 

 「決まりだな」

 

 

 

 

 

 

 私達は空を飛び海へ出た。カミラとルーテシアはこの島に来るまで魚を取った経験が無かったが今では慣れたものだ。

 

 「また魔物が取れるといいわね」

 

 以前カミラは海の魔物を捕らえた事がある、美味いので出来たら取りたいとは思う。

 

 「確かにお姉ちゃんが捕まえた魔物は美味しかったですね」

 

 「ルーテシアは無理をするなよ。どうしても魔物が欲しいなら私が取ってくるからな」

 

 私はそのまま、カミラとルーテシアは魔法を使って海へと突入した。

 

 水中ではカミラとルーテシアは会話出来ないので念話で会話をする。

 

 『魔物を狙うのもいいが普通の魚も捕らえておけよ?』

 

 私は二人に同時に念話を飛ばす、複数で会話出来るように改良したので陸上で三人で話すのと変わらない。

 

 『解ってるわ、最低限捕まえてから狙いに行くわよ』

 

 『私は普通のお魚を捕まえます』

 

 『もしもの時は私が何とかする』

 

 この海は水がかなり透明なので光はそれなりに深く届く。それぞれ自由に動き回りルーテシアは普通の魚を取り、カミラは早々に魚を取らえて魔物を探している。

 

 私は何かあった時の為にカミラとルーテシアの位置を把握したまま魔物を探す。

 

 普通の魚は多く泳いでいるが、魔物は見たらない。本気で見つけようと思えば簡単に見つけられるが、それではつまらないからな。

 

 カミラは大分深い所にいるな、深ければ魔物がいる訳でも無さそうだが。

 

 しばらく探し回っているとようやく魔物を見つけた、そこまで深くは無い所を泳いでいる。

 

 口に長い蟹の足のような物が生えている細めで長い体をした魔物だ。

 

 『魔物を見つけた、今から捕まえる』

 

 『分かりましたお姉様』

 

 『お母様に先を越されてしまったわね、また捕まえようと思っていたのに』

 

 『カミラ、こいつを捕まえたら戻るぞ』

 

 『わかったわ、今から戻るわね』

 

 捕まえる事は簡単に済んだ、私はその辺りの魔物に手こずる気は無い。

 

 その日は捕まえた魔物を問題無いか確認してから、浜辺で調理して食べた。

 

 

 

 

 

 

 私は三人の時間を大事にしながらも、自分の力を高める事や、新たな力を得るための訓練や研究に以前より力を入れるようになった。

 

 カミラも訓練を今でも欠かさずに行っている。

 

 私は日中はルーテシアと共に過ごし、彼女が寝た後にベッドを抜けて訓練や研究をするようにしている。

 

 それなりに広いこの島には野生動物や弱い魔物も居る。

 

 狩りをしたり畑を作ったりしながら、島の中と周囲の海だけで生活が出来ていた。

 

 そんなある日の夜、私は隣で寝ているルーテシアに訪ねた。

 

 「ルーテシアはここでの生活に飽きていないか?」

 

 「飽きる……ですか?」

 

 私やカミラは訓練や研究に飽きる事無く時間をかける事が出来るが、ルーテシアはそうでは無いだろう。

 

 「毎日あまり変わり映えのしない生活だからな、ここでの生活がつまらなくないか?」

 

 「……水遊びや森の散歩、狩りやお魚取り、畑のお世話……お姉様、お姉ちゃんと過ごす毎日はとても穏やかで幸せな時間です。飽きたりつまらないと思う事は無いと思いますよ?」

 

 「そうか、それなら良い。どちらにしてもここで手に入らない物を町に買いに行く事はある、その時には向こうで何かしよう」

 

 「それはいいですね、何をするんです?」

 

 「町に何があるかによるが、食事をして服を買いに行ったり、闘技場や競技場を見に行くのもいい。劇場に劇を見に行ったり、新しい何かがあればそれを体験するのもいいだろう」

 

 「楽しみです……」

 

 「たまには買い物に行く以外にも遊びにいこう」

 

 「……はい……」

 

 しばらく話していると彼女の反応が鈍くなってきた。無理をせず寝るように告げ、頭を撫でると彼女は眠りに落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 「お母様、今日は外へは行かないの?」

 

 「今日は家にいるつもりだ」

 

 外は雨が降っている。

 

 カミラはソファに座る私の膝の上に頭を乗せて寝ころんでいて、キッチンではルーテシアが鼻歌を歌いながら朝食を作っている。

 

 「お母様って溶岩をお風呂にしたりする割に雨は駄目なの?」

 

 下から私の顔を見ながらカミラが言った。

 

 「駄目ではない。用があれば雨でも外にでるし無ければ出ないだけだ」

 

 「雨が嫌いな訳では無いって事?」

 

 「嫌いではない。わざわざ雨の日を選ぶ理由が私には無いだけだ」

 

 以前は嫌いだったような気もする。

 

 「そうね、確かに私もわざわざ雨の日は選ばないし……」

 

 「対策をしないと足元が汚れるのが嫌だ」

 

 「ああ……確かにそれは嫌よね、泥が跳ねるし」

 

 二人で話しているとルーテシアから声がかかる。

 

 「お姉ちゃん、運ぶの手伝って」

 

 「はいはい、今行くわよ」

 

 カミラが起き上がり、キッチンに歩いて行く。ずっと一緒に暮らすようになり、お互いに少しずつ遠慮が無くなって来たように感じる。

 

 それは言葉遣いや行動にも表れ始め、カミラはルーテシアの前でも娘として私に甘えるようになり、ルーテシアはカミラに妹として色々言うようになった。

 

 共に住む前から悪い関係では無かったが、ますます仲が良くなった気がする。

 

 キッチンから二人の話す声が聞こえるが、とても穏やかで楽しそうだ。

 

 やがて料理を周囲に浮かべてカミラがやって来る。

 

 「出来たわよ、お母様」

 

 料理がテーブルにゆっくりと着地した。

 

 ルーテシアの料理は美味いので、基本的に食事はルーテシアが作る。

 

 私とカミラが手伝う事もあるがあくまでも手伝いだ。

 

 「お姉様、コップをお願いしますね」

 

 私はルーテシアに頼まれコップを用意する。それぞれ好きな飲み物を入れて準備を整える。

 

 「では食べようか」

 

 私の言葉で食べ始める。

 

 いつの間にか決まりのようになっている風景、今日も私達は三人で時を過ごす。

 

 

 


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