少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 現在の人類の文明レベルは決めてないです、○○があるのに××は無いのか?といった疑問はそういう世界だと割り切って頂けると幸いです。

 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。


007

 村を出て数日、向かっているのは大森林だ、移動中の商人に森人の本拠地を聞いたところ睡眠薬入りの飲み物をくれた上に、快く教えてくれた、顔が硬かったが。

 

 私の感知でこの商人が不穏な事は分かっていた、残念だったな、教えてくれた礼に見逃してやろう。

 

 今の私は村を出てから会話が出来るように翻訳魔法を常時使っているので言葉が通じないという事は無かった、これなら言葉が通じずに戦闘になる事は無いだろう。

 

 ンミナが私の言葉を理解したのはこの翻訳魔法のような効果が出たのだと思う、初めての治療だったからな。

 

 巨大な木……あそこか。

 

 遠くからでもわかる目印だなあれは、木までたどり着くと根元に降り立ち巨大な木を見上げた。

 

 果実が生っているな。

 

 木の大きさに見合った大きさの果実が実っている、食べてみようかと思いながら眺めていると、後ろから声が聞こえた。

 

 「貴様!何者だ!どうやってここに入った!」

 

 振り返ると長身の男が一人立っている、周囲にも五人隠れているな。

 

 「私は旅人だ、ここへは魔法を使って空を飛び入った」

 

 魔法と言っても分からないだろうが、正直に答える。

 

 「魔法?なんだそれは!?」

 

 やはり知らないか、それならば私のやる事は理解できないだろう。

 

 「得体のしれないやつだ、拘束し危険ならば処刑する!」

 

 余計な思考にそれていると男が構えていた。

 

 「相手に殺すと伝えないほうが良いな、恐らくかなりの確率で抵抗すると思うぞ」

 

 「やれ!」

 

 私に向かって周囲から矢が飛んでくる、当たっても問題ないが数本の矢を手で掴み取りながら残りを躱した。

 

 「また襲われるのか……」

 

 初めてンミナの村の住人と出会った時を思い出す、今回は翻訳魔法も使ったというのに結果は変わらなかったな。

 

 「何だ!?くっ、火を使え!」

 

 「ファイア!」

 

 複数の声が重なり今度は周囲から五つの火の玉……玉ではあるがとてつもなく小さい炎が飛んでくる、正気かこいつらは、森のど真ん中……更に言動からすると大事にしているだろう巨木の傍で。

 

 「森で火の魔法を使うな!馬鹿者が!」

 

 自分を中心に水の球を打ち出し、すべてのファイアを相殺する、今まで何も問題は無かったのだろうか。

 

 それにこれは魔法だ、拙いが魔力が流れているし間違いないだろう。

 

 誰かが使えるようなる事は分かっていたが、名前は付いていないようだ。

 

 「くそっ!増援を……!」

 

 「止めなさい」

 

 焦り増援を呼ぼうとする男の後ろから声がする。緑色の髪を肩辺りまで伸ばした真面目そうな青年が立っていた。

 

 「長!しかしこいつを野放しにする訳には!」

 

 「彼女は会話を選択した、攻撃したのはワシ達で更に周囲に被害を出さず防御に徹し、こうして話している今もワシらは攻撃されておらぬ、もう一度言う……攻撃を止め里に戻りなさい」

 

 「……奴と二人だけにはできません私は残ります」

 

 男が手を軽く振ると、周囲の気配が離れて行った、里とやらに帰ったのかな。

 

 「里の者が失礼をいたしました、どのような用向きでいらしたのですかな?」

 

 攻撃を支持していた男が後ろに下がり、長と呼ばれた男が話しかけてくる。警戒はしているようだ、当たり前だな。

 

 「突然入り込んで悪かった、攻撃を受けた事は気にしていない、大事な場所にいつの間にか侵入者が居たら当然だろう」

 

 そう言うとわずかに警戒が緩んだ、話が通じる相手だと思ってくれたかな?

 

 「私はクレリア・アーティアと言う、クレリアでもアーティアでも好きに呼んでくれ、ここにやってきた目的だが、ここに住むという森人に会いに来た、可能ならばここに暫く住み交流をしたいのだが」

 

 後ろに待機している男が僅かに反応したが、割り込むのは問題だと思ったのか、沈黙を保っている

 

 「それは、難しいですな……ワシらは他種族と交流をしないという訳ではありませんが、里に他種族の者を長期間住ませた事はありません」

 

 いきなり言っても難しいか、何か彼らの得になるような事を条件に出してみるかな。

 

 「話は変わるが、先程私が受けた魔法、なぜ森の中なのに火の魔法を使うんだ?」 

 

 いきなり話題を変えられて少し戸惑う長だがすぐに話し始めた。

 

 「魔法?それは火を放つ私達の技の事ですかな?私たちはこれで火をおこし料理をし敵を撃退してきました、確かに森を燃やしてしまう事はありますが、ある程度燃えると自然と鎮火するのです」

 

 火魔法しか知らない……?しかし森に居るのになぜ火魔法が使えるようになった、他の魔法の方が身近に感じるが。

 

 「話したくなければ話さなくても構わないが、過去に何か火に多く関わるような事は無かったか?里に昔から伝わっている話などは?」

 

 「火に関わる事……心当たりはありますが」

 

 「魔法を……火を使えるものがそのあとに出始めなかったか?特にその火に関わった者達に」

 

 そう言うと長は目を見開く、これは何かあるな。

 

 「過去に森に大火事が発生したことがあります。それまでワシらは火打石などを使って火を起こしていたのですが、それが燃え

広がり当時の里はかなりの数の犠牲者を出し、生き残った者たちが火を使えるようになったと記されています」

 

 「火にまかれ無意識に生き残りたいという気持ちが火を操る方向に働いた?」

 

 私の言葉を聞き驚きの表情を浮かべる二人、火の不始末が原因で習得したとは思わないよな。

 

 あくまで予想でしかない、真実は謎のままだな。 

 

 「思わず話し込んでしまったが、結論から言うとその技術は魔法と言う、更に魔法は火だけではない、先程使った水も魔法だぞ」

 

 そう言いながら目の前に拳大の水を作り出す、見せるならこれが一番安全だと思う。

 

 「おお、これが水の、魔法……?」

 

 思わず近づく長だが、男が止める。そして代わりに近づいてくる。

 

 「クレリア……殿、これは安全なのか?」

 

 男が水の前で立ち止まり聞いてくる。

 

 「ああ安全だ、程よく冷やしているし、飲むこともできるぞ」

 

 そう言って私は水をすくい飲む、それを見た男は意を決したように同じようにして水を飲んだ、結構度胸があるなこの男。

 

 「美味い……」

 

 思わず呟く男の後ろから長がやってきて水を飲む。

 

 「……確かにこれは美味い」

 

 「言っておくが技術が無ければこの様にはならないぞ、濁ったり不味かったり酷いと有害だ」

 

 出していた水を消し、説明する。

 

 長は何か考えていたが二人の中から警戒と不審がほとんど消えている事は分かった、やがて長が口を開く。

 

 「クレリア殿、この魔法と言う物を教えて頂きたい、もし引き受けていただけるのなら先程のお話お受けいたします」

 

 私は、僅かに微笑んで話を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 住む家も決まった、後は授業の事を決めないとな。

 

 結果的に私は受け入れられた、あの後森人が集められ私を魔法の教師として紹介した。

 

 反対の声もあったが私が作り出した水を長とあの男……守備隊長だったのだが、その二人が飲んで見せ、皆に飲ませる事で決定した。

 

 私の家は里の外れの小さな家だった必要な物はすべてあるし何の問題もないな。

 

 ボロボロだった家具や建物は魔法で修復した、後に私の家に呼びに来た里人が綺麗になった家と内装に驚き、魔法だと知ると話が里中に広がり、暫く名所のように人が訪れるようになった。

 

 私は不信感をなくせるならと放置する事にした。

 

 何時、どの程度教えるかは事前に人数を決めて決まった順番で教える事になったのだが……。

 

 「里の者すべてが教えて貰いたいと?」

 

 「はい」

 

 里の全員が魔法の授業を望んでいた、里の運営は大丈夫なのか?

 

 「里の方は平気なんだろうな?」

 

 「クレリア殿の魔法を見て皆が習得したいと思ってるのです、ワシもその一人ですからな……しかし里の運営が疎かになるのは困りますな……」

 

 長の家の広間で一度の授業で受ける人数を聞きに来たのだが、結果はこうなったわけだ。

 

 私が意図しなかったとはいえ、魔法の万能性を見せてしまったのも原因だな。

 

 「全員に教えるのは構わないがやる事はやるように徹底する、するべき事をしない者には教える事は無い、これは里の事だけではない、魔法を使う為の知識や心構えを疎かにする者には教えない、その事を一度説明する」

 

 「うーむ……確かに知識や心構えは大事ですな、ワシ等も何度となく森を燃やしていますからな……一度説明して納得してもらうしかないですな、どちらにしろこのままでは駄目だという事は皆分かっておるでしょう」

 

 大人気のようで何よりだが、里の事を後回しにするのは駄目だろう。

 

 その後説明をして、全員がまんべんなく授業を受けられるように調整をし、この問題は解決した。

 

 

 

 

 

 

 森人達に魔法の授業をして一月ほどが経った、森人達は魔法の資質がかなり高かった理解してしまえば上達は皆早かった。

 

 魔法を使う者の知識と心構えをしっかり教え込んでから魔法の実践をしているが今の所、誰一人教えられないような者は居なかった。

 

 教えを受けた後の魔法の威力で考え無しに使ったら、危険極まりないからな……変な奴には教えたくない。

 

 それはともかく今私は里にある巨木、里に来た時最初に見た目印になる大きさの木の下に居る、この木は里の皆から神木扱いされているので無理かと思ったのだが、長に頼んでみると果実は食料として大切に扱われていて採っては駄目と言う訳でも無いらしく、一つだけならと取る許可をもらった、どんな味か楽しみだ。

 

 浮かび上がり果実の高さまで移動する、大きい果実が生っているそれをもぎ取り眺める……。

 

 「なんか見覚えがあるな」

 

 似た果実を見た気がする、私はマジックボックスを確認してみる……あった、昔枯れかけていた木から採った果実だ、大きさは違うがよく似ている。

 

 私の中である考えが浮かぶ、かつてあの木は私の回復魔法を受けて大きく太くなったが……あのまま成長を続けたら、これ位になっていてもおかしくは無いんじゃないか?

 

 考えすぎか。

 

 たとえそうであっても特に何かある訳ではないしな……ただ、もしそうであったなら。

 

 「間違っていたらすまないが……、元気なようで何よりだ」

 

 木の幹に手を当てて呟く……気のせいかもしれないがこの木が喜んでいるような気がした、もぎ取った果実は実に美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 神木の果実を味わってから半年ほどたったある日、授業が無い日であった私は里の近場の森でのんびりとくつろいでいた。

 

 「話したい事があるのなら出てきて話してみろ、聞くだけ聞いてやるぞ?」

 

 私がそう言うと離れた所にある木の陰から一人の青年が姿を現した。

 

 「確か、ケイン・イヌスだったか?」

 

 現れた青年はケイン・イヌスだった、彼は教え子の中で一番若いが魔法の知識、危険性に対する知識の必要性や心構えの問題などに高い理解を示し既に里の中でもトップに近い、魔法への適性が高い森人の中でも頭一つ抜き出ている男だ。

 

 「申し訳ありません師よ、どうしてもご相談したい事があったのです」

 

 「師と呼ぶのは……まあいい相談とはなんだ?」

 

 彼は私を師と呼ぶ、出来れば先生と呼んで欲しいのだが変える事は無かった、ンミナといい彼といい強情な奴に好かれるのかな私は。

 

 「はい、師よ私には夢があるのです魔法学校を町に作り世界に魔法の基礎を広めたいのです」

 

 「お前は魔法の危険性をよく理解しているはずだが、そのあたりはどう考えている?」

 

 「……師の教えを受ける前に拙いとはいえ私たちは魔法を使っていました、このまま時が経てばやがて何もしなくとも魔法技術は世界に広がるでしょう」

 

 「そうだな、私もそう考えている」

 

 「やがて広まるのなら、何の準備もなく待つよりもこちらから正しい知識と技術、心構えを教える環境を作りたいのです」

 

 なるほど、先に環境を整えて魔法の才能を開花した者たちを受け入れ必要な事を教える、と。

 

 「悪くないかもな、だがどうやって実現する?お前一人が力を尽くしても町にそれだけの施設と人員をどうやってそろえる?」

 

 「町で少数に魔法を教え魔法の良さを教えます、地道ですが始めが肝心です、そして数を増やし小さな学校を始めるのです、他のものであったならこの方法は確実では無いと思いますが、魔法ならば知ってしまえば確実に誰もが欲するでしょう」

 

 「悪くは無い、穴だらけだったとしてもやりたいようにやるのが一番だ……しかし」

 

 これは伝えておかなければいけない私はそんなことはしたくないからな、いや教師の一人として目立たないように出来ればそのうちやるのも良いかな?

 

 「私が手伝うのはお前に教える事だけだ、後はお前が教え育てろ」

 

 「はい、もちろんです、師よ」

 

 「あと一つ、私の事は誰にも言うな」

 

 ケインは驚いた顔をする、有名にでもなったら動きにくくて仕方ない。

 

 「なぜです、師よ、貴女こそが魔法の祖だというのに……」

 

 最初からあった知識であって私が編み出したものではないのだが、彼にそこまで話す気にはならなかった。

 

 「私はそのような者ではない、名声も地位も興味は無い、名や顔が売れ動きにくくなるだけだ」

 

 「しかし……」

 

 なおも食い下がるケインにはっきりと宣言する

 

 「私の名を口外しない事、これを守れないのならお前には今後一切教える事は無い……なに、今の段階でも夢は叶えられるだろう、好きにすると良い」

 

 「っく、師よ私はまだ……分かりました貴女がそこまで言うのなら」

 

 彼は諦めたように息を吐くと私の名を出さないことを了承した。

 

 「お前の気持ちは嬉しく思う、だが私には必要ないんだ、少なくとも今はな……しっかりと教えてやる、後はお前次第だぞ」

 

 「はい、これからもよろしくお願いします」

 

 彼は跪き首を垂れる、彼の夢は叶うのか夢のまま終わるのか。

 

 

 

 

 

 

 ケインの夢のために魔法をより深く教える事を決めて、しばらく経った。

 

 彼は私が休みの日にも訪れ個人的に教えている、私の家で教えているとき、ふと気になり彼に質問を飛ばす。

 

 「ケイン、魔法学校を作ることに対して長や、里の人間、お前の家族はどう思っているんだ?」

 

 ケインは私の教えた魔法の教えを書いている本から顔を上げ、私に向き直る。

 

 「全員師の教えを受けてある程度理解しているので、以前師に話した内容と同じことを伝えた所おおむね賛成してくれました、反対する者も居ましたが魔法の祖である師が許可したことを伝えると納得しました」

 

 「お前そのために私に最初に話したな?」

 

 「はい、皆貴女から教えを受けたのです、この技術は元々師の物です、貴女が良いと言えば他の者は反対できないと思っていました」

 

 あれほど魔法を我先に教わろうとしていた里人がケインの事を野放しにしているのはおかしいと思ったがそれが原因か。

 

 「そこまでしているなら夢は叶えなければな」

 

 「必ず」

 

 こうして再び授業に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 ケインに魔法を教え始めて十年が過ぎた、そろそろ彼に私の知識や何者なのかを話そう、それだけの信頼は出来た。

 

 以前これだけの知識と技術を持つ私は何者なのかと聞いてきた事があったが、まだ教えられないと断った。

 

 それからその事に触れなくなったが、知りたくない訳では無いだろう。

 

 「ケイン、以前私が何者かと聞いた事があったな」

 

 「はい、我が師よ」

 

 「これからそれを話そうと思う」

 

 彼の驚く顔、しかしすぐ真剣な表情に変わり姿勢を正した。

 

 そして私はこれまでの事を語った、突然気が付いたこと、知識があったこと、世界を回り力をつけ、永い眠りにつき、人間と暮らし、ここに来たことを。

 

 彼は黙って聞いていたが特に驚いていないようだ、かなり驚かれると思っていたのだが。

 

 「まあ、こんなところだ私は魔法の祖では無いといった意味が分かったか?」

 

 「確かに師がそう思ってしまうのも無理はありませんが……しかし別の可能性もあるのでは?」

 

 「別の可能性だと?」

 

 「気が付く以前の記憶が無いとおっしゃいましたが、その知識はすべて貴女が編み出した物で過去を忘れているために知らない知識だと勘違いしていたのでは?貴女程の方の事です記憶と知識や技術を分割していたという可能性もあります……それに理由がどうであれ貴女の中にある物はあなたの物です、私はそう思いますが……」

 

 無いとは言えないが、どうしても実際に記憶がないから、ハッキリしないな。

 

 それでも私の中に在るのだから私の物か、いい考えだな。

 

 「しかしお前は特に驚いて居ないようだがどういうことだ?」

 

 「師よ簡単な事です、人間よりかなり長い寿命を持つ森人があの程度の魔法しか使えていなかったのです、比べ物にならない知識と技術を持った師が普通な訳がないでしょう?更に言えば師は森人でない事は確実、にもかかわらず十年以上経った今も変わらず少女のままです、そして私が知る限りそこまで寿命が長い種族は森人以外居ません、つまり師は現在知られている種族以外の存在であると言う事です……これは気が付かない方が難しいですよ?」

 

 「確かにそれは気が付くしかないな」

 

 「ええ、知っていたのですから驚くのは不可能です」

 

 微笑みながら言うケイン。

 

 「話していただいたこと、嬉しく思います……貴女が何者でも貴女は私の師です」

 

 そう言って跪く、良い弟子にあたったものだ。

 

 「良し、授業を始めるぞ」

 

 そう言うとケインは立ち上がり椅子に座る。

 

 「師よこの部分なのですが……」

 

 「その部分はここが関係しているつまり……」

 

 「なるほど……確かにこれなら……」

 

 再び魔法の授業に没頭してゆく。

 

 

 

 

 

 

 更に五年後彼が里を出る時がやってきた、彼が可能な魔法はすべて教えた、高度な魔法は魔力が足りないのか技術が足りないのか発動しなかった、彼はかなりがっかりしていたが自らの力不足だと割り切った、諦める気は無い様だが。

 

 彼はこれから大きな町に移り魔法学校を作るために活動を開始する、彼は今里の出口で里人達と別れの挨拶をしている。

 

 そしてそれを終えると私の前にやってくる。

 

 「師よ今までのご指導感謝してもしきれません」

 

 「私はやりたくないことはしない、なかなか楽しかったぞ」

 

 「必ず成功させて見せます」

 

 彼もそれなりの歳なっている、森人の特徴で青年にしか見えないが。

 

 「お前でもどうにもならない問題が起きたら念話で知らせろ、内容によっては助けてやる」

 

 知らないうちに町がケインごと消えていたりしたら流石に寝覚めが悪いからな、それだけ言って家に帰る。

 

 「師よ!」

 

 後ろから声がかかり足を止める。

 

 「行ってまいります……我が師よ」

 

 「行ってこい……我が弟子よ」

 

 私は振り返らずその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 ケインを送り出し魔法の授業は続くそんな日々の中、私は長に聞きたい事があり家を訪れた。

 

 「クレリア殿、本日はどのような御用ですかな?」

 

 長はにこやかに迎えてくれた、私は出された飲み物を一口飲み話を切り出した。

 

 「種族の事を聞きたい、大地人や獣人などの本拠を知りたいんだ」

 

 「なるほど、少々お待ち下され」

 

 彼は部屋の隅にある本を手に取りページをめくる、数ページめくるとこちらに本を渡してきた。

 

 「ここに載っております、移動していなければ間違いないかと思いますが」

 

 どれどれ……大地人は森と隣接した鉱石が取れる洞窟、山岳地帯、獣人は各地を移動するのか範囲は決まっているのか。

 

 

 

 

 

 

 獣人は位置がはっきりしないな、大地人に会いに行ってみるかな。

 

 「長、そろそろ私は他の種族に会いに行こうと思う」

 

 「そうですか、寂しくなりますの……」

 

 「予想はしていたか?」

 

 「そうですな元々交流のためと言っていましたのでな、ケインが里を出て一つの区切りとなりました、ですので恐らく、と」

 

 「数日後には出発しようと思う」

 

 「分かりました皆にも伝えましょう」

 

 その後私が里を出ると知った里人が別れを惜しみ宴になった……随分馴染んだものだ。

 

 

 

 

 

 

 数日後私が旅立つ日が来た、皆と別れを交わした、誰もが教わった事を伝えていくと言ってくれた。

 

 「教え子達よ機会があればまた会おう」

 

 彼らは長寿だ機会があれば会う事もあるかもしれない。そう思いながら空に舞う、今はもうだれも驚くことは無い。

 

 皆が手を振る中、私は大地人に会う為本に載っていた土地を目指し出発した。

 

 

 





 下手に言葉が通じない設定にしたせいで翻訳魔法を使いっぱなしにする事になりました。



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