・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
ある日、朝食時にヒトハから報告があった。
『主様、アーティア帝国について緊急のご報告です』
帝国の事なら皆に聞かせておくか。
『ヒトハ、カミラとルーテシアにもつなげ』
『よろしいのですか?』
『構わない』
『かしこまりました』
「二人とも、ヒトハから緊急の報告だ。お前達も聞け」
二人は食事の手を止め聞く体勢となる。
『アーティア帝国が同盟を一方的に破棄、各国に宣戦布告いたしました』
動いたか、面白くなりそうだ。
二人は報告を聞き真剣な表情をしている。
『各国の動きは?』
『森林国家ユグラド、魔工国ガンドウ、獣王国カルガの三国は以前から国境に魔道兵器を置き防衛態勢を整えていたようですが、現在の動きは確認しておりません』
『そうか、宣戦布告後のアーティア帝国の動きは分かるか?』
『現在多くの軍が国境近辺に集まっています、恐らくこれから各国へと向かうと思われます』
宣戦布告の事実を伝えるためにすぐに連絡してきたのだろう、今はまだそれ位しか分からないか。
『そうか、ありがとう。ヒトハは各国間の戦況の把握を第一に動いてくれ。気を付けろよ、私はお前を失いたくは無いからな』
『……かしこまりました』
その言葉を聞いた私は念話を切る。
「戦争が始まったな」
「……予想していたからか、思っていたより驚きはしませんでした」
私の言葉の後にルーテシアが自分の心境を語る。
「私は基本的には戦争には関わらない。念のため情報は集めるが、それだけにするつもりだ」
「そうね、私もお母様と同じ意見よ」
「関わる必要がありませんからね、お姉様の意見に賛成です」
二人は私の意見に賛成する、これからものんびりと過ごそう。
クログウェルにも伝えておこう、私は彼女に念話で人類の戦争が起きた事を伝えた。
どうやら彼女も興味は無い様だ。
人類の間で戦争が起こっている中、縁の深い者がどの国にも居ない私達は変わらぬ生活を続けた。
ただ、昔とは違い今はヒトハがいる。彼女からの報告で戦況がどうなっているかはある程度は分かるようになっていた。
今の所は国境付近での戦闘が行われているが、人が主力であった頃と違い、現在は魔道兵器が使われている。
広範囲にわたり大規模な戦闘が行われ、人も物も次々と消費される。
だが今までの繁栄で人も物も溢れている各国は止まる気配を見せていない。
まだ開戦してそれほど時間が経っていないから当然かもしれないが、簡単に収まるなら最初から戦争など起こしてはいないだろう。
彼らの内、ほとんどの者は初めての戦争だろう。しかしずっと人類を見ている私からすると特に目新しい事は無い。
以前の戦争はいつだったか覚えていないが、森人の中には以前の戦争を経験している者がいるだろうか?
いや、彼らの寿命より昔だったかな?
以前の戦争について考えていると、ソファに座っている私の隣にルーテシアが座る。
「何か考え事ですか?」
「以前の戦争はいつ頃だったかなと思ってな」
「どんな戦争だったのですか?」
「ルセリア神王国、森林国家ユグラド、魔工国ガンドウ、獣王国カルガの四国が互いに争った戦争だったはずだが……いや、他にもあったような気がするな」
私は記憶力があまり良くない、うっかり何か忘れているかも知れない。
「それは……亜人種族独立戦争の事でしょうか?」
ルーテシアが聞き覚えの無い事を言う。
「何だその名前は」
「確か、当時の日記のような物が複数発見されていて、ある程度過去の出来事が明らかになっているんです。その四国が争った戦争は現在そう呼ばれている戦争に間違いないと思います」
「なるほど、どれくらい前の事か分かるか?」
「正確には分かっていませんが、約四百年から四百五十年程前の事のようです。私が生まれた頃にもかぶっているので、もしかしたら私が幼い頃の事だったかもしれませんね」
ルーテシアが幼い頃。
「ルーテシア、お前は自分の年齢を正確に覚えているか?」
「年齢ですか……ごめんなさいお姉様……あまり正確には……」
「大体でもいいぞ?」
「恐らく四百二十歳前後だと思います」
「と言う事は、戦争は四百二十年前辺りの出来事のはずだ」
「そうなのですか?」
「思い出した。お前が幼い頃、ミナと戦争の事を話していた覚えがある」
「なるほど、お姉様が思い出した事が正しければ戦争の時期が絞れますね」
「そうすると森人の中には以前の戦争を経験した者がいる可能性もあるな」
「確かにそうですけど……お姉様には何か考えがあるんですか?」
「なぜそう思う?」
「詳しく聞いて来たので何か考えがあるのかと……」
誤解させてしまったか。
「悪かった、ただいつ頃だったのか知りたかっただけだ」
「謝らないでくださいお姉様!……勝手に深読みしたのは私なのですから」
私が謝ると慌てて言うルーテシア。
「答えてくれてありがとうルーテシア」
そう言って頭を撫でる、彼女にも寿命が迫っている。
「はい……」
彼女はそう言うと暫く私に撫でられ続けた。
朝に私が砂浜に向かおうと家を出ると、家の畑のすぐ傍にクログウェルが寝ていた。
「クログウェル、起きろ」
私が彼女の体を叩くと彼女は目を覚ましたようだ。
「あたしの眠りを妨げるのは誰よ……」
寝ぼけて素が出ているな。
「私だ」
「……なんだクレリアか……我に何か用か?」
「畑に近すぎる、お前が寝ぼけて動いたら潰れるぞ」
「何……?」
彼女は頭を起こして確認するとそっと畑から離れ、横になる。
「寝ぼけたまま動くからだ、また説教をされる所だったな」
「……我にあんな事をするのはあの二人位だぞ……」
「お前、私達以外に親しい者はいるのか?」
「いない、出会う者の殆どは我の姿に怯えて逃げるか殺そうと襲い掛かってくるかのどちらかだ」
「そうだろうな」
本性はその辺りの小娘みたいな奴なのだが、分からないだろうしな。
「姿を気にしない者は貴様とあの二人位だ」
「あの二人は色々と特殊だからな。カミラは幼い頃から私を知っていた上に今では私に次ぐ実力者、ルーテシアは小さい頃からお前と関わって慣れていた」
「言っておくが幼い子供であろうと我には怯えるぞ?……だがあの子は全く動じずに懐いてきた挙句、我をクロちゃんなどと呼びおった」
「そうなのか?」
「あの子が我に対して何故恐怖を抱かなかったのは理由があってな。この理由があったからこそ、この関係になれたのだと思う」
「何だ?」
「幼い頃、我に懐くルーテシアに聞いたのだ。我が恐ろしくは無いのか……と」
「それで?」
「あの子は微笑んで「クレリアお姉ちゃんのお友達なら怖くない」と言ったんだ」
「そうか」
まあ悪い気分では無いな。