少女(仮)の生活   作:YUKIもと

72 / 260
 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。





044-01

 

 世界は戦争で騒がしい。

 

 そんな世界をよそに、雨が静かに降る島で私達は過ごしている。

 

 夕方、ソファでくつろぐカミラに、私は聞いた。

 

 「カミラ。お前が血を飲んでいる所を長く見ていない気がするが、大丈夫なのか?」

 

 「あれ?お母様には……ああ、お母様の元を離れてからだから言ってないわね」

 

 「何かあったのか?」

 

 「私は魔人の国で皇帝になった後、流石に血を飲んでいる所は見せる訳に行かないと思って飲む回数を減らしてたんだけど……」

 

 見つかったらいい反応は期待出来ないか。

 

 「それで?」

 

 「生きるのには血が絶対必要な訳じゃないと分かったのよね」

 

 「そうなのか?幼い頃はだいぶ飲んでいたが」

 

 「幼い頃は一番好みだから、美味しいから飲んでいただけだと思うわ」

 

 「つまり血は嗜好品のような物で、生きるのに必ずしも必要では無いと?」

 

 「そういう事になるわね。でも、飲んだ後しばらくは気分はいいわよ?」

 

 「酔ってるんじゃないだろうな?」

 

 「……ああ!言われてみればそうかもしれないわね」

 

 ハッとして私の言葉に答えるカミラ。

 

 「血に酔うか、化け物らしいじゃないか」

 

 「ふふ、そうね」

 

 私の言葉に笑って答えるカミラ。その表情は自らが化け物である事を誇りに思っているような表情だった。

 

 「そうだ、お母様。話は変わるけど森林国家ユグラドのゴレム兵が魔道兵器搭載になったわよね?」

 

 「ヒトハからの報告ではそうらしいな」

 

 魔力の供給が必要なくなった個人携帯用魔道兵器は、ゴレムに持たせるのにうってつけだった。

 

 現在ではユグラドの兵は基本的にゴレム魔道歩兵のようだ。

 

 「歩兵戦ではかなり有利よね」

 

 「だが森人は数が少ない。ゴレムがなければとっくに森人が滅んでいた可能性はある」

 

 そう考えるとあの時、エルフィのゴレムを作るという判断が、結果的に未来の森人という種全体を救ったんだな。

 

 「増やせばいいのにね、子供が出来にくいとはいっても出来ない訳じゃないんだし」

 

 「国が子作りを推奨している様だがそう簡単に考えは変わらないらしい」

 

 「寿命が長いから世代をまたいで意識を変えるのも一苦労……って事ね」

 

 「そんな所だ」

 

 「ゴレムの話題に戻るが、あくまでも歩兵だ。魔道飛行戦艦に搭載されている大型の魔道兵器や魔道戦闘車の前にはどうしようもない」

 

 「以前はかなり強力だったんだけど……今では無理なのね」

 

 「個人で戦況を左右出来る事はこれからはないだろうな。兵器の質と量、これがこれからの戦いの中心になると私は考えている。個人でどうにかするならば、それこそ私やカミラ、クログウェルような突き抜けた実力者でなければ不可能だろう」

 

 「この世界に私達以外にそれほどの者がいるのかしら……」

 

 「それは分からない。ここまで人が勢力を伸ばしても出て来ないのなら居ないかもしれないし、私のように力を隠しどこかに紛れているかもしれない」

 

 「これから更に世界に人が広がり、彼らの目が世界の隅々まで届いた時。私達はどうすればいいのかしらね……」

 

 少し暗い声で言うカミラ。出来るだけ共存出来るようにしたいが、駄目なら残念だが人類を滅ぼすか、月にでも行くか。

 

 「そうなったら人を滅ぼすか月にでも行こう」

 

 「お母様が良いのなら人類を滅ぼすのは構わないけれど……月って、お母様が教えてくれた空にある三つの惑星の事よね?」

 

 「その名前も知識から取っただけで正しくは無いのだろうが、まあその月だな。後、あれは空にある訳では無い、更に外側の宇宙と言う所にある物だ」

 

 「あれ?以前は空だと聞いたと思うけど……?私の記憶が間違っていたかしら?」

 

 「いや、以前は確かに空にあると言った。それは間違いない」

 

 「お母様」

 

 「ん?」

 

 カミラの声に目を向けると、真剣な顔をしてこちらを見ているカミラと目が合った。

 

 「何かあった顔をしているわ」

 

 「私の表情はあまり変わらないらしいぞ?」

 

 「何年一緒にいると思ってるの?」

 

 長くいれば分かる物なのか。

 

 「隠す気は無い、ルーテシアとクログウェルにも話しておこう。集めてくれ」

 

 「わかったわ」

 

 

 

 

 

 

 やがてルーテシアとクログウェルが庭に集まった、雨は話している間に上がったようだ。

 

 クログウェルは横たわり、私達は椅子に座る。

 

 「わざわざすまないな」

 

 「お話とはなんです?お姉様」

 

 「我まで呼ぶとは……何用だ?」

 

 私は自分に起きた事を話した。いつの間にか知識が増えていた事と、宇宙の事を伝えたのだが、三人の反応はそれぞれ違った。

 

 「何も問題は無いのですか!?大丈夫ですよね!?」

 

 焦って心配するルーテシア。

 

 「なるほど、体は問題無いのよね?そっか、それでさっきはああ言ったのね。宇宙かぁ……私もお母様と行きたいわね」

 

 心配しつつも私と行く宇宙を想像するカミラ。

 

 「そんな事か。今更貴様に何があっても驚かんわ!しかし宇宙か……高い空を飛んでいた時もあの惑星とやらの大きさは変わらなかったからな。空とはそこまで高い物なのだと思っていたが……空の外にあったのだな、納得いった」

 

 私の心配より宇宙に興味があるクログウェル。

 

 「いつの間にかあった宇宙の知識は不十分の筈だ。現在分かっている事は呼吸が出来ず過酷な環境で、僅かな力で移動出来るという事だけだ」

 

 「……私は間違い無く無理ですね」

 

 ルーテシアが残念そうに言う。

 

 「行きたければ何か考えてみよう」

 

 魔法や私の力があればどうにか出来るかも知れない、もし実際に行うなら他の生物で実験してからの方が良いな。

 

 「我はどうだ?」

 

 「昇れるだけ昇ってみたらどうだ?体に異変があったらすぐ戻れば死ぬ事は無いと思う」

 

 魔力が宇宙にあるのなら不可能ではないはず、後はクログウェルの体が適応出来るかだな。

 

 「私も試してみようかしらね」

 

 「お前は私寄りだからな、平気だとは思うが注意しろよ?」

 

 その後は宇宙について皆で話し合って過ごした。

 

 

 

 

 

 

 私の知識の話をしてからも変わらぬ日々を過ごす私達。

 

 深夜に私はいつもの様にヒトハからの報告を受けていた。

 

 『現在の戦況は膠着状態ではありますが、意図的に作られた膠着状態だと思われます』 

 

 『そうか』

 

 『アーティア帝国の侵攻を各国は守りに徹して受け流しています』

 

 『状態はほぼ変わらずか』

 

 『膠着状態とはいえ戦闘自体は頻繁に起こっていますので、各国の被害は着実に増えております』

 

 『魔道兵器の残骸が散乱する中で戦っていたりするのか?』

 

 『はい』

 

 その後、私はヒトハに指示を出してカミラとルーテシアが起きて来るのを待った。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。