・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
前回のヒトハの報告から僅か数日後。
昼の少し前、ソファでカミラとルーテシアの二人が作る料理を待っている時、ヒトハから緊急の報告が来た。
『緊急のご報告を致します』
『何があった?』
『アーティア帝国城にて帝国統一主義者である側近と軍の上層部の者。その殆どが死亡いたしました』
殆どが死んだ?
「お姉様、お料理が……」
「ルーテシア、ちょっと待ってね」
私を見たカミラがルーテシアを止める。
「緊急だ」
私がそう言うと二人は何も言わなくなった。
『主様?』
『ヒトハ、分かっている事は?』
『現時点で分かっている事は、帝国統一主義者を隠れ蓑にしていた独立支持者の側近が、何かしらの理由を付け帝国統一主義者達を会食に招待し毒殺したという事です』
『また思い切ったな』
『確実ではありませんがその場に居た者の言動から、その会食の関係者は全て独立支持者側の者であったと思われます』
『招待をした独立支持者の側近は?』
『共に毒を食し死亡しました。彼女以外の独立支持者の側近はそれぞれ理由をつけて出席しておりません。更に出席していなかった帝国統一主義者の側近達も殺されている可能性が高いと思われます』
『この事で帝国内に動きは?』
『現在城内は混乱して……』
突然ヒトハの声が止まる。
『どうした?』
『申し訳ございません……たった今得た情報です。元同盟国の三国が進軍を開始、それと同時に各地が独立を表明しました……かなりの地域が離れたようです』
『全て計画していたのか?』
『はっきりと断言は出来ませんが、計画だと思われます』
命を捨てるか。そうしなければ疑われ、同じ独立支持者の仲間に手が伸びる可能性がある事は分かるが。
そこまでする覚悟を持てる者は多くは無いだろうな。
報告の内容を私から聞いたルーテシアは言葉を失い。
カミラは「帝国も終わりね……いえ、以前から分かっていた事だった」と呟いていた。
カミラの言う通り帝国は以前から色々と国として問題が出ていたからな。
ヒトハからの報告の中に、ルーテシアにだけ教えていない報告がある。
意外にも私の判断ではなくヒトハが進言してきた事だ。
内容は何と言えばいいか。「人の闇」とでも言えばいいか?そういった物だ、わざわざ触れるような内容ではない。
言える事は、国の上層部が腐り落ち、多くの人々が裏でそれを被っていた、という事だ。
それから次々と独立する地域が増え、度重なる独立によって力を失ったアーティア帝国は敗北。
帝国は解体され皇帝と全ての側近、軍の上層部も全員処刑された。
これを聞いた時、最初から彼らは生き残る事など考えていなかった事を知った。
皇帝と側近達、そういえば名前も知らないな。
お前達が帝国を裏切り滅ぼした事は、間違いでは無かったと思っている。
アーティア帝国の上層部がやっていた事の詳細は、同盟国の手により表に出る事無く葬られた。
その後各国の大物が何人も姿を消したようだが。
解体された帝国の各地域は同盟国に属さずある程度まとまりを見せ、それぞれが国のように点在する形となった。
戦争の終結が三国から宣言され戦争が終わり、森林国家ユグラド、魔工国ガンドウ、獣王国カルガは戦争で疲弊した自国と、荒れ果て残骸が散らばる戦地を立て直すために内政に力を入れ始めた。
「お姉ちゃんが作った国、無くなってしまいましたね……」
ルーテシアが悲しそうに呟く。
戦争の終結の報告を機にヒトハも一旦私の元に戻り、リビングには全員が揃っている。
「育ちすぎた国は駄目になる物なのかしらね……」
カミラは平然と言っているが、私は彼女がしてきた努力を聞いている。
本当に何も感じていないという事は無いだろう。
「そんな事は無いといいたい所だが、人の思想の変化は早いからな。世代を重ねる速度が速いからか?」
『国が乱れた際、強引に正すだけの力がある者が存在し、その存在が揺らぐ事無く永遠に支配していれば……あるいは永遠の繁栄を可能に出来るかも知れません』
ヒトハがそんな事を言う。
「そんな者がいるとは思えないが」
私がそう答えると、ヒトハは私を見ているように感じる。
『私には可能だと思われる方にお二人ほど心当たりがございます』
「ヒトハさん、それは誰……」
ルーテシアがそう言いながら私とカミラを見て言葉を切る。
『ルーテシア様のお考えの通りです、我が主様であるクレリア・アーティア様とご息女であるカミラ・アーティア様ならば可能だと考えております』
やろうと思えば出来そうだが、そんな事はしないだろうな。
牧場で何も変わらず暮らし続けるモー牛達を永遠に眺めるような物だぞ。
「アーティア帝国は無くなったが間違いなく一時代を築いた、私は自分の名を冠した国が繁栄した事を嬉しく思っている」
私がそう言った時、小さくカミラが「ありがとう」と呟いたのが聞こえた。
「戦勝国の三国は内政に力を入れているのよね?」
カミラがヒトハに聞く。
『はい。戦勝国である森林国家ユグラド、魔工国ガンドウ、獣王国カルガの三国は戦場に散らばる死体と残骸の回収。戦没者の家族への対応などに力を入れています』
「今回は……今回もかしら?確か以前も戦争を仕掛けられていたわよね?……あの三国は長く存続するかも知れないわ」
「カルガは良くも悪くも真っ直ぐな者が多いし、ガンドウは鍛冶などの職人が多いからな、変な方向に意欲が向かない限り滅多な事にはならないだろう。ユグラドは寿命が長いため思想の変化が遅い事と、森と共に生きる思想が根付いているから急激に変わる事は無いだろう」
「ガンドウの変な方向とは何ですか?」
ルーテシアが私に聞いてくる。
「例えばだが、材料に人が一番合うからと使い始めたり、人自体を改造して兵器にしようとしたり、町や人や大地、世界そのものを無に帰すような威力の兵器の研究に囚われたり」
「怖い事言わないでくださいお姉様!」
それを聞いたルーテシアが叫ぶ、実際どうだろうか?兵器もだが、儀式魔法もこれから先、何か問題を起こしそうだ。強大な魔法陣や立体魔法陣を作り上げる知識と労力と魔力があればだが。
いや、周囲の魔力を使う技術があるという事は、世界に影響を及ぼすような儀式魔法が以前よりも簡単に出来るという事だ。
規模によっては世界中の魔力を吸う事になる可能性も無いとは言えない。
「ヒトハ」
『何でしょうか、主様』
「魔法陣に関する事と、どこかで大掛かりな魔法の準備の情報があればすぐに知らせてくれ」
『かしこまりました』
その後すぐにヒトハは現在の魔法陣の情報を集めてくれた。
魔道兵器の登場で魔道兵器用の魔法陣は現在も活発に研究されているが、個人や儀式魔法の魔法陣の研究者は数を減らしたようだ。
それでもまだ研究している者達は数多くいるらしいが。
アーティア帝国が滅び、新たな国が多く生まれ、戦争も終わった世界はまた平穏を取り戻した。
私達も再び町へ行くようになり戦争前の生活に戻って行く。
アーティア帝国の上層部がやっていた事は凄く酷い事ですが、描写しません。