・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
世界が落ち着きを取り戻し、私達が変わらぬ日々を送っていたある日。
いつもの様に何処かへ出かけていたクログウェルが怒りの気配を纏わせながら戻って来た。
「クログウェル、何があった?」
「ふん……魔道飛行戦艦だったか?あれにいきなり襲われてな、返り討ちにしてやった」
「なるほど、空にも人が増えて来たからな」
「手を出すなとは言うまいな?」
クログウェルが私を睨む。
「構わない、いくらでも返り討ちにするといい」
「ほう?手を出すなと言うかと思っていたが……」
「敵に気を遣う必要は無い」
「うむ、当然の事だな」
「ただ私達に迷惑はかけるな、守って貰いたい事が二つある」
「なんだ?聞くだけ聞いてやる」
「一つはお前がここに住んでいる事を悟られない様にしろ、人が追って来ている時はここに近づくな」
「うむ、それは良いだろう。どうせ返り討ちにするからな」
「もう一つはお前からは絶対に手を出すな、攻撃を受けた時だけ反撃して欲しい」
「何故だ?」
「お前からも手を出せば人類は全力でお前を討伐しに来るだろう。大量の魔道飛行戦艦相手ではいくらお前でも危険だ。手を出せば被害を受け、手を出さなければ何もしてこないと理解されれば、手を出してくる事が無くなるかもしれない」
「うーむ……」
唸り声を上げて考え込むクログウェル、私はもう一つ付け加えた。
「下手に手を出して飛ぶ度に飛行戦艦が纏わりついてきたら面倒だろう?」
「それは……確かにな……分かった!我からは攻撃しないと誓おう」
「ありがとう、もし攻撃を受けたら消し飛ばしてやれ」
「もちろんだ」
クログウェルはそう言って家の前で寝始めた。
今日は三人で町で開催されている「ボッシュ」と言う競技を見に来た。
ボッシュとは特別な装備をまとい空を飛び、ボールを自分の魔力で飛ばし合って相手の拠点に入れれば得点になるという競技の事だ。
八対八で行われ、拠点をボールから守る門番一人を必ず用意し、残りを前衛、中衛、後衛に振り分けて戦う。
原型はかなり昔からあったようだが、正式に競技となってからまだ日は浅い。
それでも既にかなりの人気を誇る競技になっているらしい。
む、そろそろ始まるな。
ボッシュを観戦し終わった私達は人が多い通りを三人で歩いていた。
「面白かったですね!」
ルーテシアはかなり気に入ったようだ、確かに面白かった。
「誰も死ぬ危険が無いのは良いわね、試合自体も見ていて面白かったわ」
カミラはかつての闘技場でも思い浮かべているのだろうか、現在の競技で命の危険がある物はそう無いんじゃないか?
私は話を聞きながら不審な動きをしている男が近寄って来ているのを感じていた。
男は人混みに紛れ私達に……ルーテシアの後ろに近づいてくる……そしてルーテシアの尻に手を伸ばし……。
「あの選手の動きが……」
「ぎゃあぁぁ!?」
「っ!?」
いきなり真後ろで悲鳴を上げた男に驚いて咄嗟に離れるルーテシア、周囲の人々も何事かと男を見ている。
「ルーテシア、行くぞ?」
私は気にせずにルーテシアに声をかける。
「え?でも彼が……」
ルーテシアがそう言うと男は指を押さえながらどこかへ行ってしまった。
周囲の人々も男の去っていった方を見ている者が多かったが、やがて人の流れに混ざって行った。
「どうしたんでしょうね?気にしても仕方ないわ、行きましょうルーテシア」
カミラはそう言いながら私をちらりと見た、カミラなら気が付いているよな。
「はい……」
不思議そうにしながら歩き出すルーテシア。
『私がやろうと思ったのに……』
『すまないな、お前も狙われる時があるんだからからその時にやってくれ』
『そうするわ』
念話でカミラと会話する、ルーテシアの尻を狙った男の指を私が魔法でへし折った。
私達が人通りの多い道に行くと、稀に指を折る男が現れる事になる。
ルーテシアは弱くは無い、殺気などにも反応出来るだけの実力はある。
しかし殺気にしか反応しない。
戦争が終わってさほど時間が経っていないのにあんな者もいる、実際に関わったり被害を受けていなければこんなものなのだろうな。
それから時が経ち、元アーティア帝国の独立した地域は徐々に各国に吸収され始めていた。
ヒトハからの情報では無理矢理な物ではなく、独立した地域の方から支援と保護を求めたのだという。
各国はその求めを受け入れた。それ以来、国に保護を求める地域が時々現れている。
現在私は砂浜を散歩している。
ついでに何か流れ着いていないかも探している、今まで大した物は見つかっていないが。
流木や海藻がほとんどだがたまに生物の死体なども流れ着いている事がある。
ん?あれは。
歩いていると波打ち際に何かが流れ着いている、私はそれに近づいた。
ただの塊に見えるが、これは食い荒らされた人間だな。
私は以前クログウェルが魔道飛行戦艦を返り討ちにした事を思い出していた。
関係あるかは分からない、全く関係なく別の何かが起きただけかもしれないしな。
私は死体を燃やした。流れ着いた死体は焼く事にしている、腐るからな。
陸地から遠く離れた海上で落とされた場合、生き残っても帰還は難しいだろう。
現在、個人で長い距離を飛べる者は人類の中には恐らくいないはずだ。
更に魔道飛行船を始めとした乗り物が作られ始めてから、軍での個人の魔法の能力は以前ほど重要視されなくなったらしい。
戦うなら個人で魔法を使うより、周囲の魔力で発動出来る魔道兵器の方が良いと考えるようになったのだろう。
周囲の魔力を利用して様々な魔道具を発動出来るようになった事でわざわざ自力で魔法を使おうとする者は減り、それに合わせて魔法を使える様にする者も減少しているようだ。
ただ、いざという時自力で色々な事が出来るのは間違いなく便利。
そう考える者もいる。
更に熟練者は個人携帯兵器である法具や個人障壁発生装置である防珠を装備した者とも対等に戦えると言われているため、魔法を習得に行く者は減ってはいても常に一定数は居るらしい。
学校は魔法だけを教える場所では無いしな、実際は以前と比べて学校全体の生徒の数は大きく変わっていない。
その内の何人が魔法を選んでいるのか、という話だ。
そう言えば、私は法具と防珠がどのような物か実際に見ていないな。
ヒトハに持って来て貰おうか。
私はヒトハに法具と防珠を用意して貰い皆で性能を見る事にした、クログウェルは興味が無いらしい。
「これが法具と防珠なのね」
法具は長方形の本体に持つ部分と射撃のための引き金が付いた物で、防珠は腕を覆う大き目の腕輪のような物だった。
「魔力で動く人類の武器ですか……」
ルーテシアもまじまじと見つめている。
『この二つが標準的な携帯型の装備です。威力や連射速度、連射時間などの向上のための研究は現在も行われています、使用方法ですが……』
ヒトハから説明が行われ実際に効果を確認する為の準備を始める。
「予想以上に軽いな」
「そうなの?魔法金属でも使ってるのかしら?」
私は法具を持ちカミラと話す。
「まあ撃ってみよう」
私は構えて正面の岩を撃つ、反動は無く低く唸るような音と共に岩に小さな穴が開いた。
「……これだけ?」
カミラが空いた穴を見て言う。
「その様だな」
私はそう言って法具を置き、岩に開いた穴に近づく。二人も私について来た。
私の親指より二回りほど大きな穴が開いている。
「こんなので使えるの?」
『法具には種類がありファイアボールなどを放つ物もありますが、これは貫通力を求めた物です』
カミラの呆れた声にヒトハが答える、ルーテシアは穴を調べている。
「予想以上に地味だったな」
「威力も話にならないし……これでよく戦ってたわね……」
カミラと話していると穴を調べていたルーテシアが言う。
「お姉様とお姉ちゃんにはそう見えるかもしれませんが……これは一般的にはかなりの脅威だと思いますよ?」
「そうなの?」
カミラが言葉を返すとルーテシアが説明してくれた。
岩よりも強度のある魔物などほとんどおらず、個人で持ち歩く事が出来て実質いくらでも攻撃出来るこの武器は、私達が考えているよりもずっと優秀なのだと一生懸命教えてくれた。
「なるほど……私やお母様の基準がおかしいだけで、十分優秀であると言う事ね?」
「はい……大型で強力な魔物は大型の魔道兵器を使えばいいだけです。これほど簡単に……それこそ子供でも使えるような武器に、これだけの威力がある事は凄い事なんです、むしろ危険とも言えると思います」
カミラとルーテシアの会話を聞き、私はそこまで優秀なのか?と考え込む。
どう見ても威力が低い、岩に穴があけられる程度では話にならない。
「ルーテシア、貴女のお姉様が考え込んでいるわよ」
「……お姉様とお姉ちゃん二人の基準がおかしいだけです。これでも一般的には優秀なんです……」
ルーテシアが私にもう一度説明してくる。
「わかった、悪かった。私とカミラの基準がおかしいのだな」
「はい、そうです」
納得させようと頑張るルーテシアの頭を撫でる。
「そうやってすぐ撫でる……嬉しいです」
ルーテシアが後半の言葉を呟くようにこぼす。
これで法具の実験は終わりにした。
もちろん防珠も実験をしたのだが、あまりの弱さに疑問を抱いていた所をルーテシアが再び私達に一生懸命説明してくれた。
「本体が壊れたらどうなるんだろうな?」
「効果が消えるだけでしょう?」
私とカミラは魔道兵器が壊れた時どうなるかの話をしていた。
「ため込んだ魔力が周囲に爆発的に広がるんじゃないか?」
「確かに……でもそれだけなら特に問題はないんじゃないかしら?」
だがクログウェルと会った時、魔素や魔力が濃すぎると生物は死ぬような事を言っていた。
本当なのかは確かめていないが私達はこの兵器を使う事は無いし、関係無さそうだ。
「実験も終わりましたし……まずは片付けて戻りませんか?」
ルーテシアが私達にそう促す。
そうだな、まずは片付けよう。