・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
法具と防珠の確認を終わらせて家に戻り、二人に実験をする事を伝えた。
私はその辺りの敵性動物と魔物の同種を複数捕まえ、地下実験室へ向かう。
地下実験室に到着した私は手早く準備を整える。
周囲に影響が出ない様に遮断する結界を張り、捕らえた生物を入れておく檻を用意した。
まずは魔力で実験だ。
敵性動物から試していこうか、大きさは私の身長ほどの四つ足の獣だ。
先程から私を襲おうと暴れている。
私は動物の周囲にもう一つ結界を張り、中に魔力を少しずつ送り始める。
最初の内は全く変わらなかったがやがて動物の動きが鈍り始め、更に魔力が濃くなると動けなくなり、最終的に死んだ。
魔力の濃度以外は何も変えていない、自然な状態のままだ。
次は魔物だ。
四つ足の目が沢山ある魔物で、先に実験をした動物と同じ程度の大きさだな。
結果は、動物よりも長く持ったが最後は同じように死んだ。
動物と魔物、一度ずつしか行っていないのではっきりと言えないが、クログウェルの言っていた通り、過剰な魔力は生物を死に至らしめるという事が分かった。
次は魔素での実験だ。
死体を処理して魔力濃度を戻し、動物を入れる。
では魔素を送ろう。
しばらくは変わらなかった。そのまましばらく送っていると動物が唸り始め、目は血走りよだれを垂らし始めた。
更に送り続けると動物の顔にいくつもの短い切れ目が走り、次々に瞼を開き始めた。
捕まえて来た魔物に似ている。
更に魔素を送り経過を見ていると、今度は苦しみ始めた。
やがて体が裂け全身が原形を留めないほど滅茶苦茶になり、そのまま死んだ。
魔素が動物を魔物に変えている?
私は仮説を立てた。変化した動物が捕まえて来ている魔物に何となく似ていたからだ。
次に魔物に実験を行ったが結果は同じだ、苦しみ始め全身が原形を留めなくなり死亡した。
まだ何とも言えないが、興味深い。
私は実験に没頭していった。
その後カミラとルーテシアにしばらくこもる事を連絡し、実験体を集めなおして実験を行った。
その結果分かった事は、まず魔素も魔力も濃すぎると動物、魔物共に死に至る事。
死ぬにはかなりの濃度が必要で、自然には恐らく起きないだろうという事。
そして種族や個体によって耐えられる濃度が違う事も分かった。
次に動物は魔素を多く吸うと魔物に変わる個体がいる事と、変化する濃度にも差がある事が判明した。
だが魔素を与えても魔物にならずそのまま死ぬ個体が殆どで変化するのは極僅かだった、最初に魔物に変化したのはかなり運が良かったと言える。
そしてこの方法で変化すると、時々突然変異ともいえるような凄まじい変化を起こす事も分かった。
見た目も完全に変化し、元となった動物よりもはるかに強力なっていた。
ただ、すべての魔物がこの変化で生まれていると考えるのは難しい。
素質があり魔素の許容限界を超えると魔物へと変化する。
私はそう考えているが、変化するにはそれなりの濃度が必要だ。
そんな事がそうそうあるとは思えない。
そうするとこの世界に魔物が大量に存在する事がおかしくなってしまう。
冒険者が討伐しても討伐しても現れていた魔物が、こんな方法だけで増えているとは考えにくい。
そうなると大量に何らかの方法で発生している上で、魔素による変化もあると考える方が自然だろう。
色々と本来の目的以外の事も分かった、中々楽しかったな。
そう思ってカミラに少し話をした所、魔物が森などの空間にいきなり発生する事は今では常識だと言われた。
私はその事を今まで知らなかった自分に呆れていると、カミラに「まさかお母様が知らないとは思わなくて……ごめんなさい」と謝られた。
私はカミラにこれは自分の見落としである事を告げ、彼女の頭をしばらく撫で続けた。
自分が思っていたよりも無知だった事に呆れてから少し時が経った頃、私はある事を試したくなっていた。
それは「人に魔素を多く吸わせたらどうなるのか」と言う事だ。
ただ、私に敵対せずただ暮らしている者を実験体にするのは私が気に入らない。
と言う訳で、ヒトハにそれなりの人数の重犯罪者の集団を探す様に頼んでおいた。
それからしばらくいつも通りの生活をしていると、ヒトハから連絡があった。
『主様、重犯罪者達の根城を発見致しました』
『どんな事をしている奴らだ?』
『幸福薬が主な収入源のようです』
『幸福薬とはなんだ?聞いた事が無いぞ?』
『裏で流通している錬金薬のようです。通常の錬金薬の効果に加え、幸福感やとてつもない快楽を得られるなどの効果があるようですが、依存性が高い上に使い続けると体に異常を起こし死亡します』
そんな物が出回っているのか、しかし……。
『幸福感と快楽、それに加え通常の錬金薬の効果もあるのか』
『はい、錬金薬の効果もあるのです……私の想像ですが、これを作った者は自分の薬をもっと売りたいと、金が欲しいと考えたのでしょう』
『自分の薬を買わせるために依存性のある成分を入れたと?』
『恐らくは……そして客が抜けられなくなった所で価格を上げるなりしてしまえば……』
『抜けられなくなった客は大金を支払ってでも買うようになる訳か』
実験材料に出来そうな犯罪者を探して貰ったら面白い物が見つかった。
『先程ご報告した通り、この幸福薬は通常の薬としての効果もあります。この薬の依存症になった者は必要も無いのに飲み続けるようになるため、その結果薬の有効成分の過剰摂取で死に至る事が多いようです』
『作っている側はこの事を分かっているのか?この薬で大勢が死ねば騒ぎになるだろう?』
『初期はそれで事件になった事もあったようですが、現在は客の依存度により成分を調整しているようです』
『何となく想像はつくが、説明出来るか?』
『相手の依存度に合わせ本来の錬金薬としての効果を薄めていき、最終的には依存成分だけにしているようです』
『そうするだろうな』
『しかし依存成分その物にも毒性はあるようで、最終的に死ぬ事は変わりません。それ所か依存成分により体調を崩し、それを治すためにまた幸福薬を飲み……という連鎖になる事が多いようです』
『見事に自滅しているな』
『この幸福薬は先の戦争に紛れて裏で世界中に広がりつつあり、各地に秘匿された生産工場が出来ています』
『国は気が付いているのか?』
『今の所は気が付いていないようです』
気が付いていないのか。しかし、本当に気が付いていないのか?
『依存症からの回復は出来るのか?』
『生産している組織の実験情報によると軽度の依存なら摂取しなければ苦しみながらも時間が解決するようですが、重度の依存者は発狂死するようで、実質治療不可能です』
『ヒトハ、各国に証拠の幸福薬と警告を送っておけ』
これぐらいはしておこう、広がりすぎて人類が全滅するような事は避けたい。
『かしこまりました』
「ふう……今日の仕事も終わりだな」
森林国家ユグラドの錬金薬研究者になって半年、ようやく仕事にも慣れて来たが、ちょと遅くなっちまったな。
後片づけをして自分の机に書類を置きに行くと、俺の机の上に一本の瓶が置いてある。
「何だ……?俺はあんな物置いた覚え無いぞ?」
警戒しながら近づいてみるとそこにあったのは錬金薬だった。
「市販の錬金薬?何でこんな所に……?」
どう見ても市販の錬金薬だ……解毒薬か。
「ん……?」
錬金薬の下に手紙のような物が置いてある、俺は薬を持ち上げそれを取った。
「手紙か……?」
俺は中身を取り出しそれを読む。
「何だこれは、悪戯か?」
その手紙には裏で危険な錬金薬である幸福薬が作られている事、見た目では判別困難である事、服用した者の陥る状態や末路などが細かく書かれていた。
……そして今置いてあるこの錬金薬が問題の幸福薬だと書かれている。
「……どうするかな……」
知らない間に置かれていたのもそうだが怪しすぎる。
どう見ても普通の錬金薬だし先輩の悪戯だと思いたいが……。
今日残っているのは俺だけ。先輩は悪戯はするけど俺の反応を見たいのかいつも必ずその場にいるし……何よりこんな質の悪い悪戯をするような人じゃない。
……どうせ遅くなってるしな……それにこの内容、作り話にしては出来過ぎているようにも感じる。
「ま、騙されてやるか……」
俺はそう考えながら成分分析の準備を始めた。
幸福薬は言ってしまえば麻薬のような物ですが、薬としての効果もしっかりと出せます。