・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
人類が私達を避けるようになり何年経っただろうか?
長い間情報収集に大活躍してくれたヒトハはしばらく情報収集を休ませ、共に過ごすようにしている。
クログウェルは出かける事が少なくなりよく寝るようになったが、それでも時々魔物を取ってくる。
私達は島の森と畑、海で取れる食材と買い溜めした資源を使い生活し、人の町へは行っていない。
だがそろそろヒトハにまた情報収集に向かって貰おうと考えた。
私は庭の椅子に座ってくつろいでいる。
その私の隣で浮いているヒトハに話しかけた。
「ヒトハ、今から情報収集に戻って欲しいのだが。行けるか?」
『問題ありません、主様』
「そうか、情報は自由に集めて構わない。では頼む」
『かしこまりました』
私の言葉を聞きヒトハは転移して行った。
それから再びヒトハからの情報を受けるようになったのだが、ある日ヒトハから私達に関する事が報告された。
『私達の写影が人類に渡っている?』
『はい、実際に写影を確認いたしました。隠し撮りだと思われますが間違いなく主様とカミラ様でした』
『出回っている量は?』
少数ならヒトハに処理を頼もう。
『不特定多数の者に撮影されていたようで、どこにどれだけの量があるか不明です。すべて処分する場合、情報収集を停止した上で行ってもどれほどの時間がかかるか分かりません』
何故そんな状態になった?
『写影はしばらく状態を維持しなければ撮影できないはずだが?』
『どうやらその後に瞬間的に撮影できる写影具が一般にも出回ったようです』
そんな物が出来ていたとは気が付いていなかった。
当時は確か戦争になるかならないかという時で、ヒトハにそんな事を調べる指示もしていなかったはずだ。
だがこれはこれで構わない、こういった事があるから楽しい。
『放っておけ』
『よろしいのですか?』
『情報収集を停止しなくてはいけない上に、いつまでかかるか分からない事をさせる気は無い。何より、その程度は問題無い』
『かしこまりました』
『そのまま情報収集を続けてくれ、頼むぞ』
『はい』
私はヒトハの返事を聞くと念話を切った。
それからも人類は発展を続ける。
世界中の大陸の魔物を狩り、森を切り開き、私達の島の付近を除く世界の隅々まで手を伸ばしていった。
「精密立体魔法陣?」
『はい、人類が開発した最新の魔法陣で「高密度立体魔法陣」とも呼ばれています』
私達は戻って来ているヒトハの報告を聞くために庭に集まっている。
ヒトハの状態に問題が無い事は組み込んでいる私の一部を通して分かっているが、それでも念のため時々報告ついでに手元に戻して直接確認している。
「名前から推測すると単純に立体魔法陣の密度を高めて使うと言う事かしらね?でも……」
カミラが意見を言うが歯切れが悪い、私も引っかかっている事を口にする。
「人類は立体魔法陣を使えなかったはずだ、なぜいきなり改良が行われているんだ?」
「お母様もそう思うわよね?」
私の疑問にカミラが同意する。
今までそんな事は聞いていなかったが、以前から使えていたのか?だが使えるようになっていたならヒトハが放置するとは思えない。
「ふん、何を言っているんだ……簡単な話だろう。我にはわかる……ほぼ同時に見つかったのだ!」
クログウェルが自信満々に言うが、そんな事があるだろうか?
カミラは黙って考え、私がヒトハに問いかけようとした時ヒトハが言った。
『クログウェルさんの言葉の通りです、立体魔法陣と精密立体魔法陣の技術はほぼ同時に見つかりました』
ヒトハのその言葉に静寂が訪れる。
「間違いないな?」
『間違いありません』
私の確認にヒトハが答える。
「我の言った通りでは無いか!ふはははは!」
大喜びのクログウェルだが私はそれなりに驚いている。
新たな技術とその改良法がほぼ同時に見つかる事など初めてでは無いだろうか。
「こんな事ってあるのね……」
「くくく……これだから面白いんだよ、カミラ」
呟くカミラに私は言う。
こういった事があるから人類を見ているのは面白い、久しぶりに驚かせて貰った。
『並行して複合技術も開発されているようです』
更にヒトハから情報が渡される。
「複数の魔法陣を組み合わせて使う技術だったか?」
『はい、それを立体魔法陣にも使えるようにしているようです』
「これは急速に発展しそうだな」
それから人類は再び発展を続けた。
大陸は全て人類の支配圏になり、かつての脅威であった魔物は意図的に残された僅かな自然の中に少数が残るのみだ。
様々な食材が栽培され、多数の動物と魔物が家畜として育てられるようになって行った。
複合精密立体魔法陣も技術が確立した。
その時は、その技術を使って私とカミラも独自に魔法陣を作ったりして楽しんでいた。
地上には人が溢れ、様々な魔道飛行船が空を飛び交い、彼らは世界を手に入れた。
私達の島の付近を除いて。
ある日、私が砂浜で読書をしているとヒトハの本体が軋む感覚を感じた。
耐えられないと判断した私はヒトハを強制転移させる、すると私の正面にひび割れたヒトハが現れた。
『……主様?私は……?』
すぐに転移させたが、ヒトハの本体から伝わった威力を見る限り転移させて正解だったと思う。
「処置をする、話はカミラを呼んでからだ」
何があったかを聞かなくてはいけないが、まずは修復だ。
私は魔法金属を取り出しヒトハの修復を行いながら念話を飛ばす。
『カミラ、すぐに転移でいつもの砂浜に来い。ヒトハの報告を一緒に聞け』
私が念話するとカミラが転移で現れた、余計な問答をせずに動いてくれるのは流石私の娘と言うべきか。
「一体何が……ヒトハ!?どうしたの!?」
カミラはすぐにヒトハの状態に気が付いて駆け寄った。
その間も修復はしているのでもう危険は無いが、外見を後回しにしているからひび割れたままだ。
「もう大丈夫だ、後で精密検査と修理だな」
「そう、良かった……」
私の言葉に胸をなでおろすカミラ。
「さて、ヒトハ。何があった?」
『魔道兵器研究所付近にいたのですが……閃光に包まれた後、主様の前にいました』
これだけでは分からないな。
「ヒトハ、最後にいた場所を教えろ。私が見てくる」
『かしこまりました』
「カミラはこのままヒトハのそばにいてくれ。私は状況を確認しに行く」
「……気を付けてね、お母様」
私は頷くとヒトハがいた場所の付近に転移した。
「人類は何をした」
ヒトハがいた位置の上空に転移した私は、眼下に広がる巨大なクレーターと周囲の更地を見ていた。
ヒトハは魔道兵器研究所付近に居たと言ったが、眼下には何も残っていない。
魔力は……異常は感じないな。多少濃いだけだ。
恐らくヒトハはこの状況を作り出した現象に巻き込まれたのだろう。
転移させなければ壊れる所か、僅かな私の構成物だけを残して消滅していたかも知れない。
魔道兵器研究所、そしてこの状態。
予想だが、私にはこれしか思い浮かばなかった。
魔道実験事故。
恐らくそう間違ってはいないだろう。
何が原因かが気になるが、施設も人も全て消えてしまったようだし、これ以上ここに居ても何もわかりそうにない。
人類も気がついているだろうし、帰るか。
島へ帰った私はヒトハのいた所がクレーターと更地のみになっていた事、ヒトハが恐らく魔道実験事故に巻き込まれた事などを説明し、ヒトハの精密検査と修理、改良を行った。