少女(仮)の生活   作:YUKIもと

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 この作品の注意事項

・作者の自己満足

・素人の作品

・主人公最強

・ご都合主義

・辻褄が合わないかもしれない設定

・注意事項が増える可能性

 等が含まれます。

 以上をご理解したうえでお読みください。

 読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。





047-03

 

 カミラのドレスを新調してからも皆で穏やかな日々を過ごしている。

 

 クログウェルは最近は私達と語り合うか、寝てばかりいる様だ。

 

 今日も私とカミラは訓練を続けながら穏やかに過ごしていたが、突然クログウェルから相談をされた。

 

 「世界を渡りたい?」

 

 「うむ……以前貴様は可能だと言っていた覚えがある……我をどこかに送る事は出来るか?」

 

 「可能だが、何故他の世界に行きたいと思ったんだ?」

 

 「人が溢れここではもう自由に飛べぬ……このままお前達と暮らすのも良いと一度は考えた……だが……やはり飛べない世界では生きていけぬ」

 

 「ここでも飛ぶ事は出来る」、そう言いかけて私はやめた。

 

 彼女がこの判断をしたのは私が原因だ。人の行く先を見たいと、人類と戦うのを止めたのは私だ。

 

 私が止めていなければ早い段階で彼女は人と敵対し、恐らく人類を滅ぼしていただろう。

 

 それを私が止め、強者である私にクログウェルは従った。

 

 ぶつかり合い、お互いが意思を曲げなければ弱い方が折れるか消えるしかない。

 

 お互いにそれを良く分かっているからこその選択。

 

 言動は偉そうだが彼女は私を強者と認めたあの時から一度も私に逆らった事が無い。

 

 だから彼女は選んだ、私の意思に背かずに自分の意思を貫く道を。

 

 それならば私の答えは一つだ。

 

 「分かった、お前を他の世界へ送ろう」

 

 

 

 

 

 

 あれから私はクログウェルの望む世界を聞き、出来るだけ近い世界を選びだした。

 

 知的生命体の存在しない、自然と命が溢れる世界を。

 

 見つける事さえ出来れば送る事は簡単だ。

 

 

 

 

 

 

 翌日、私達は島にある丘の上に居た。

 

 クログウェルが出来るだけ早くして欲しいと言ったため今日にした。

 

 カミラとヒトハも見送りに来ている。

 

 「これからお前を別の世界へと送る、準備は良いか?」

 

 「うむ、いつでも良いぞ」

 

 「念の為カミラはヒトハを持ってそこから動くなよ、クログウェルも移動はするな」

 

 「うむ」

 

 「わかったわ」

 

 クログウェルはとカミラの返事を聞いた私は魔力を放出した。

 

 

 

 

 

 

 クレリアがあたしを送る準備を始めた……カミラもあたしを見送るために来ている。

 

 この島での暮らしは悪くは無かった。

 

 ……このまま空を捨てて暮らすのも良いかも知れないと思ってしまう程に。

 

 でも……クレリアに言った通り、あたしは自由に飛べない世界では生きていけないみたい。

 

 弱者は強者に勝てない。当然の事だ……彼女の意思に背かずに私の意志を貫くにはこの方法しか思い浮かばなかった。

 

 そう考えている内にあたしの体が浮き上がり、複合精密立体魔法陣が包み込む……そして魔力が大量に流れ込むのを感じた。

 

 「準備が出来たぞ」

 

 早い……流石だよ。あたしには理解出来ない異世界間の移動準備をこんな短時間でやっちゃうなんて。 

 

 「……元気でね、クログウェル」

 

 カミラが声をかけてくる、出会った頃は同じ位だったのに強くなっちゃって。

 

 「向こうで楽しんでやるつもりだ」

 

 これは本気だ、行くからには楽しまないとね。

 

 『向こうの世界でも危険はあるでしょう。油断しないようにしてください』

 

 ヒトハは言動があたし達に少し近くなってきたね。

 

 「安心しろ、その様な隙は見せん」

 

 二人と挨拶をかわしてからクレリアに合図する。

 

 「では行くぞ」

 

 クレリアの言葉で周囲が暗闇になり……クレリアの声だけが聞こえる。

 

 「いつかまた会おう」 

 

 「ふん……貴様から会いに来たら会ってやる」

 

 いつかあなた達の意思で会いに来て欲しい。

 

 そしてあたしは落ちて行くような感覚を感じ……次に吹き付ける風を感じた。

 

 目に入ったのは暖かい日差しが降り注ぐかつてのあの星の様な大空と、眼下に広がる自然にあふれた大地だった。

 

 あたしは翼を大きく広げて雄叫びを上げ、大空を加速した。

 

 

 

 

 

 

 「行っちゃったわね……」

 

 「生きていればまた会う可能性はある」

 

 カミラの寂しそうな声に答える。

 

 会えない訳では無い、あの世界は分っているからな。

 

 「クログウェルが世界を渡る決断をしたのは私が原因だ。人が溢れても飛ぶ事は出来るし、襲ってくる人類を返り討ちにする事を止める気も無かった、それでも……」

 

 「不自由よね、それは」

 

 カミラが言う。そうだな、彼女にとってそれでは不自由過ぎた訳だ。

 

 「今頃自由を満喫しているだろう」

 

 別れ際にまた会おうと言ってしまったが、会う事はあるだろうか。

 

 カミラに言った通り生きていればいつか会うかもしれないな。

 

 それに私の場合相手が死んでいても会おうと思えば会えるからな。

 

 

 

 

 

 

 クログウェルが世界を渡ってから時が流れ、人類は今も数を増やしている。

 

 海は少しづつだが陸に変えられ人の町が増えて行き、夜でも町中は昼のように明るくなり人類は昼夜を気にしなくなった。

 

 最近は私達の島の付近にも魔道飛行戦艦や魔道海戦艦が姿を見せるようになり始めた。

 

 クログウェルという目立つ脅威がいなくなったので、人類は私達の事を忘れ始めているとヒトハから報告があった。

 

 これでまた人の世界に紛れて生活する事も出来るだろう。

 

 

 

 

 

 

 私達の島は今、人類の最新魔道飛行戦艦に囲まれている。

 

 「こうなったか」

 

 「お母様、私達の写影が人類の手に残っている時点でいつかはこうなっていたと思うわよ?」

 

 こうなった原因だが、私達の島の付近に現れ始めた人類が私達を発見したからだ。

 

 その姿からかつての邪竜の使徒と判断された様だ。

 

 そこまでは良い。だが人類がいきなり攻撃をして来るとは思っていなかった。

 

 障壁に阻まれ島には届かなかったが、攻撃してきた者を私が許すはずも無く、反撃によって相手は消滅した。

 

 それから人類の中で「古い言い伝えにある災いが目覚めた」と言うような事になり全人類との敵対へ至った訳だ。

 

 見つかった時もだが、今囲まれた時にも事前に敵意は無いと伝えたが駄目だったな。

 

 対話をしようとする者が僅かしか居ないのか、完全に敵扱いで話す気も無いのか。

 

 どちらにしても向こうがその気なら相応の対応をしよう。

 

 ヒトハに尋ねた所、以前の戦いから少なくとも三百年以上は過ぎていると言われた。

 

 三百年程しか経っていないのに古い言い伝えとは言い過ぎでは無いだろうか?

 

 そんな事を口にすると、カミラから「人類にとっては違うわよ?」と言われた。

 

 その言葉を聞き、確かに人からしたら少し昔の話だと考え直す事にした。

 

 だがその後、「以前の戦いの時に若かった森人はまだ余裕で生きている程度の時間だぞ」と言うと、カミラも考え始めてしまったが。

 

 実際、当時の事を知る森人の年配達は私達に関わる事を止めたらしいな。

 

 だが血気盛んな若い者達を止める事など、ましてや世界の動きを止める事など出来なかったようだ。

 

 そんな訳で私達は人類と敵対し、今まさに攻撃されそうな状況なのだが、私達は家でくつろいでいた。

 

 「確か魔道戦略兵器と言ったか?」

 

 『はい、別名として圧縮魔力砲とも呼ばれているようですが』

 

 ヒトハに現在の人類の切り札の名前を確認する。かつて事故を起こした兵器は時を経て安定して使用出来る兵器になっていた。

 

 「周囲の魔力では足りずに結局この兵器だけは魔力貯蔵式に戻ったのよね?」

 

 カミラがヒトハに言う。

 

 『はい。使用する魔力量が膨大で周囲の魔力だけでは発動までにかなりの時間がかかるようになってしまったため、圧縮魔力を併用する形になっています』

 

 いつか周囲の魔力を効率的に集める技術も開発されるのだろうな。

 

 「魔力が周囲に満ちているからって……考え無しに使って問題無いのかしら?」

 

 カミラがため息をついて話している途中で、くぐもった小さな轟音と僅かな振動が起こり、家の外が光に包まれた。

 

 「……攻撃を開始したのね」

 

 カミラが呟く。障壁は張ってあるが、最新の魔道戦略兵器は流石の威力だな。

 

 私の障壁にそれなりの負荷が掛かっている。

 

 威力的には以前カミラが私の障壁を破った魔法と比べられる程の物だと思う。

 

 「この威力の攻撃を島一つにこれだけ撃ち込むとは」

 

 「お母様だって敵には容赦しないわよね?」

 

 「確かにそうだ。この攻撃は当然だな」

 

 『記録では相当な数の圧縮魔力の用意があったはずですので、しばらく続くと思われます』

 

 私は二人と会話しながらモー乳を飲む。

 

 

 


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