・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
しばらく本を読んでくつろいでいたのだが、私は地下に異常を感じた。
「地盤が無くなりそうだ」
本から顔を上げ、呟く。
「地盤?」
聞き返してくるカミラに説明する。
「この島の障壁は島を覆うように張ってあるが、障壁の範囲に入っていない島の地盤が攻撃で削られて無くなりそうだ。このままだとこの島が水没する」
「……大丈夫なのよね?」
少し心配そうに言うがそこには私への信頼も含まれているように感じる。
「大丈夫だ。今は島を浮かせておいて、後で直す」
「さらっと言ってるけど……相変わらずお母様はお母様だわ」
安心したような呆れたような表情でカミラは呟いた。
「諦めて帰るようならそれでもよかったが、無理そうだ。壊滅して貰おう」
「そうね。このままだとずっと撃っていそうだもの……効いて無い事は分かっていると思うんだけれど」
「人類は後が無いと考えているのだろう。何せもう攻撃してしまったからな、反撃されて滅ぶかもしれないと思えば必死にもなるだろうな」
「その気は無いのよね?」
「勝手に滅ぶのならともかく私が滅ぼす気は無い。だが反撃はする」
私は読みかけていた本に目を移し再び読み始め、魔法を使う。
魔道戦略兵器の攻撃が人類の敵が存在する島に降り注いでいる。
どうだ!我々の進化に驚くがいい!
「準備出来次第どんどん撃ち込め!遠慮はいらんぞ!打ち尽くしても良いと言われているからな!」
普段は魔道戦略兵器はそう撃てる物ではないからな、使う必要のある敵が居ないから許可が出ん。
使う相手が残っていて嬉しいぞ……!
何が災いだ……あの島に居る奴らもこれで消える、我々が真の世界の頂点となる!
「島の状態はどうだ!消えたか!?」
「いまだに健在です!障壁も消えていません!」
私の質問に通信士が答える……しぶといな。
「いずれ耐えられなくなる!止めは私の艦が行うのだ!他の艦に奪われるな!」
私は島の障壁が消えるのを今か今かと待つ、とっとと私に殺されろ!
「……っ!?ほ、報告!!北側に展開している第一艦隊の一隻が爆発!周囲の艦を巻き込み消滅しました!!」
……は?爆発?
魔道兵器の安全性は完璧なはずだぞ!?確かに過去には事故を起こしたが、現在はあり得ない筈だ!
「何だこれは!?」
「さっさと報告しろ!」
通信士が叫ぶ、報告するように言うと通信士が答える。
「……第三艦隊、第八……第十四……多すぎて把握出来ない程の艦が次々と爆発を起こし周囲に被害を出しています!」
どういう事だ!?今までこんな事は無かった!
「まだ増えていまっ……!?」
報告の途中で艦を激しい揺れと轟音が襲った。
「何が起きた!?」
「我が艦の上空に展開していた四番艦が爆発!周囲を巻き込み消滅しました!」
……奴だ!あの島の悪魔どもがなんかやっているんだ!
早くあの悪魔を殺さなくては!早く!早く!早く!!
私は未だに障壁を維持する島を睨み、さらなる攻撃を指示しようとして、光に包まれた。
魔道飛行戦艦は魔力を多く積んでいるからすぐ爆発するな。
私は本を読みながら魔道飛行戦艦に積まれている圧縮魔力にきっかけを与える。
溜まった魔力にきっかけを与えてやれば、暴発し周囲を巻き込み消えて行く。
圧縮魔力の爆発は中々の威力だ、魔法金属製の船体が丸ごと消滅するとは。
威力ばかり求めて防ぐ事を考えていないのかも知れない。
もし国が対立し戦争になった時、あの威力の攻撃をお互いに撃ち込むのか。
人口が一気に減りそうだな。
次々と戦艦が爆発している影響か島への攻撃が減って来た、攻撃している余裕が無くなって来たか?
あの後、私は地盤を修復した。
人類側にどれだけの被害が出たかは知らないが、全滅する前に撤退して行ったので以前よりは賢くなっている。
ただかなり遠い位置だが、島を取り囲むように常に戦艦がある程度常駐するようになった。
監視だろうな。
実際は何もして来なければ私達もする気は無いのだが、前回といい今回といい頑なに会話しようとしないからな。
彼等は遠巻きに島の周囲をうろつくが、一定の距離を保ち入って来る事は無かった。
ただ、以前一度だけ何を思ったのか一隻で突っ込んで来て、長々と島の周囲をうろついて帰って行った戦艦がいた。
何もしてこなかったから放置したが、何だったんだ?
私は人類が私達に対して恐怖を感じているとヒトハから報告を受けた。
その報告を機に、私達が居ては人類が安心して発展出来ないのではないかと考え、姿を隠す事を検討し始めた。
「みんな……俺のわがままに命をかけてくれてありがとう!」
俺は帰還した後、乗員を集めて頭を下げた。
「俺達は艦長に命を預けてる、謝る事はねぇよ!」
「そうだ、どこだろうが俺達はついて行くぜ!」
乗員達が声をかけてくれる、俺はもう一度頭を下げた。
「しかし本当に何もしてこなかったですね……」
乗員の一人が言う。
「……そうだな。これは艦長の考えが当たってるか?」
誰一人耳を貸さなかった島の悪魔の言葉……何もしないなどと言われても実際に大量に被害を出している彼女達を信じられない気持ちは良く分かる。
俺は以前から、勉強を兼ねて今までの戦闘報告を読み漁っていた。
そしてある事実に辿り着く。報告を見る限り、彼女達からは今まで一度も攻撃を仕掛けていない事に。
戦闘記録は映像の撮影も義務付けられている……この情報に間違いは無いはず。
俺は考えた、「人類が攻撃をしたせいで彼女達も身を守るために戦うしかなかったのではないか」……と。
その考えを確かめるには実際に行ってみるしかない。俺は乗員にこの話を聞かせて今回の事を話した、無駄死になるかもしれない事も……。
皆はついて行くと言ってくれた……死ぬかもしれないこの行動に。
そして今回の事で確信した。どれほど島に近づいてもこちらから手を出さなければ相手は何もしてこなかった。
つまり……人類が一方的に襲い掛かり敵視していただけで彼女達はただの被害者である……という可能性が高くなった。
しかし今の彼女達は人類にとって恐怖の対象だ。今更人類が手を出したせいだと言って人類の考えが変わるだろうか……。
幸い……と言って良いのかは分からないが、彼女達に人類が手を出す事は当分無いだろう……。
これからずっと無いと言えない……いつかまた人類は必ずあの島に攻撃をする、俺には何となく分かっていた。
島に居る存在に会ってみたい、俺はそう考えるようになっていた。
どんな事をされるか分からない、自分の判断を呪うかもしれない……だけど……会って話をしてみたい……俺のその気持ちは大きくなっていく一方だった。