・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
島の悪魔……写影では美しい女性にしか見えなかったが、初めて彼女達に会いたいと考え始めてから約五年が過ぎた。
自由に行動出来るだけの地位を手に入れるために力を尽くし、何とか周囲からの圧力を気にする事無く行動出来るだけの地位に就く事が出来た。
幸いかつての部下も健在で、あの島に行くのなら力を貸すと言ってくれた。
そして俺達はとうとうあの島に向かう事が出来る。
「皆、ありがとう。……この件に関しては私の地位と権限において君達に迷惑をかけない事を誓おう」
「あの時も行ったろ?ついて行くってよ」
私がある程度の地位を求めたのは周囲に邪魔をされない様にと言う理由の他に、彼らに行動の責任が及ばない様にする為でもあった。
五年前島に突入した時は考え無しに動いて誤魔化すのに苦労した、だが今ならば堂々と行動する事が出来る。
当日乗っていく魔道飛行戦艦は新型だが非武装だ。
どうせ攻撃する気は無いし、した所で彼女達に通用するとは思えない。
それなら余計な警戒を抱かせないように最初から非武装で行けばいい。
彼女達は何者なのか?人類をどうする気なのか?どうしても直接聞いてみたい。
私達は二日後、再びあの島へと向かう。
『主様、以前ご報告した人間の軍人が島へと来る様です』
私は庭で本を読んでいる時にヒトハからの報告を受けた。
『以前島の周りを飛び回り、帰って行った戦艦の艦長だった男だな?』
あの戦艦については調べていた、あれだけ変な動きをすれば調べるに決まっている。
私はヒトハから時々彼についての報告を受けていた。どうやら私達に対して一般的な人類とは違う考えを持っている様だ。
実際に私達と会って会話しようとしているらしい。
『どうやら二日後に島に来るようです』
『ヒトハも当日は島に戻れ。私と共に奴に会うぞ』
『かしこまりました』
私はカミラにも一緒に会うように伝え、彼が来るのを待った。
そして二日後の昼前。
遠くに非武装の魔道飛行戦艦が姿を見せた。私達は特に変わった事はせず、そのまま庭でくつろいでいた。
戦艦はある程度島に近づくと停止し、中から小さな乗り物が一つ出て来た。
戦艦はそれを見届けると帰って行く。
通信用の魔道具が作動しているな。
その小さな乗り物は地上に着陸した。中から現れたのは短い黒髪、青い目の背が高い、がっしりとした男だった。あまり若くは無いか?
彼は私達の元へやって来て緊張した声を出す。
「……突然の訪問申し訳ない。使徒の方々とお見受けします……どうかお話をしていただけませんか?」
そう言って頭を下げた、本当に珍しい男だな。
「話はしよう。だが、まずは食事でもどうだ?」
「……いただきます」
彼は僅かに考えた後、了承した。
私はカミラに食事の用意を頼み、彼との会話を続ける。
「この庭で食べるか?家に来るか?」
「……お宅にお邪魔出来れば」
何かを決意するように言う。
そう警戒しなくとも相手が何もしなければ何もしないが、彼がこの状況で気を抜くのは難しいか。
私達は家に入りカミラの料理を待つ、彼は私をチラチラと見るが何も話そうとしない。
「食事が終わったらゆっくりと話そう。お前が何かしようとしない限り私達は危害を加える気は無い、安心しろ」
そう言うと少しだけ硬さが抜けたように見えた。
やがて料理が用意され、食事となった。
「っ!?う、美味い……!」
彼は驚き、呟くと無言でひたすら食べた。
途中で自分の行動に気が付いて恥ずかしそうに俯き、カミラに笑われた。
食事が終わりソファに案内して飲み物を出す、彼はモー乳だった。
「それで?お前は誰だ?」
私は彼に問う。
「申し遅れました!私はアーティア合衆国空軍遊撃艦隊所属第三位!シズキ・カシルズと申します!」
すると突然立ち上がり名乗る彼。
「丁寧なあいさつをありがとう。私はこの島で暮らしている、クレリア・アーティアだ」
「私はカミラ・アーティア、クレリアお母様の娘よ」
『ヒトハと申します』
私とカミラの名乗りに驚いた顔をした後、ヒトハの名乗りで軽く体が跳ねた。
「いっ……今のは!?」
「彼女だよ」
私は隣に浮いているヒトハを示す。
『驚かせて申し訳ありません』
「あっ……いえ……失礼いたしました、問題ありません」
問題がありそうな表情で言うシズキ、始めて念話を受けたらこんな物か。
「話ならいくらでも付き合ってやる、落ち着いて話す事をしっかりとまとめてから話せ」
彼が落ち着くのを待ち、再び会話を始める。
「失礼しました。もう……大丈夫です」
彼はそう言ってソファに座りなおす、そして私達に言う。
「早速ですがお聞きしたい事があります。……お二人は先程アーティアと名乗りましたが……我々の国と何か関係があるのですか?」
まずそこからか。
「あると言えばある。アーティア合衆国より以前にあったアーティア帝国は知っているか?」
「はい。我々の国の基礎となった、かつて世界の大半を支配していた大国だったと認識しています」
「そうか、知っているのなら話が早いな。隣にいる彼女がアーティア帝国の最初で最後の皇帝、女帝カミラ・アーティアだ。会えて良かったな」
彼が動かなくなった。大抵こういった時は皆、同じような反応をする。
「いや、それは……」
彼が何とか口を開いた。
「当時の皇帝の記述は無いのか?同じ見た目だと思うが」
彼は思い出しているのかカミラをじっと見ている。
「まあ信じなくても良いわよ?貴方が信じなくても事実は変わらないし」
微笑みながらカミラが言う。
「いえ、信じます。あれだけの力を持つ方がそのような嘘をいう意味が無いですから……。それと残されていた資料には帝母クレリア様と記述がありましたが……」
「ああ、それは私だ。カミラが私の娘なのだから当然だな。姿も記述と同じだろう?」
「……はい、間違いなく」
彼は頷く。言っておいてなんだがよくそんな内容まで覚えているな、私より記憶力がいいかも知れない。
「お二人は……森人なのですか?アーティア帝国があったのは三百年以上前の事ですから……」
「お母様、私達はいくつなんでしょうか?」
「私に聞かれても覚えていないぞ。カミラは確か昔百五十年程一緒に暮らしていたから……八百から千の間くらいじゃないか?」
「私はそれ位なのかしら?まあ少なくとも森人の寿命じゃないわね」
「私は少なくとも一万は越えているから話にならんな」
そんな事をカミラと話し合っていると彼の反応がまた無い事に気が付いた。
「大丈夫か?そのままだと話が進まないぞ?」
「あっ、ええ……ではお二人は何者なのですか?」
「分からん」
「えっ……?」
「分からんと言っている。一応カミラは血を吸う事も出来るため自分を吸血種と呼んでいるが、私は全く分からないし自分で名前も付けていない」
「なる……ほど……」
「すまないな、答えてやれなくて」
「いえ!問題ありません!」
私がそう言うと彼は大きめの声で返して来た。
「では……お二人は……人類をどう、お考えですか?」
彼は一度深呼吸すると再び疑問をぶつけて来る。
「私は今までずっと人類の発展を見て来た、これからもそうするつもりだ。お前達が手を出してこない限り、敵対する気は無い」
「私もお母様とほぼ同じね……何もしないならわざわざこちらから手を出す気は無いわ」
それを聞いて彼は安心したようだ、そして頭を下げた。
「過去から現在まで、貴女方を一方的に敵視して攻撃した事を人類として謝罪いたします。申し訳ございませんでした」
「気にしていない。強大な力を持つ者が何もしないと言っても安心は出来ないだろう?こちらも反撃はしているしな」
気持ちは受け取る。ただ全てを彼が謝る必要は無いと思う。
あくまでも私の考えだが、過去の者の行いから学ぶ事はいいと思う。
だが過去も含めた全てを自分の事の様に気にする必要は無い。
過去の事は過去の事だ。
やったのは当時の人間達で、彼では無いのだから。