・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
彼からの質問は続く。
「次の質問なのですが……貴女方と共に居た黒い魔物が見当たらないのですが、外出中なのでしょうか?」
「彼女は黒竜クログウェルという」
「彼女……女性なのですか!?」
「ああ、多少気は荒いが普通に会話も出来るぞ?」
「会話も出来る……そうだったのですか……今はどちらに?」
どことなく暗い表情になるシズキ。
「もう居ない」
「っ!?……失礼ですが……お亡くなりに?」
「違う。彼女は別の世界に行く事を望み、私がそれを叶えた」
今頃は思うままに空を飛んでいるだろう。
「あの……?申し訳ない……意味が分からないのですが……」
「もう居ないが死んだ訳ではないという事だ」
「そう、ですか……」
彼は何とも言えない表情をしている。しばらくすると気を取り直したのか再び質問をして来た。
「あなた方はこれからもここで私達を見続けるのですか?」
「いや、私達はいずれここを去るつもりだ」
「……一体どこへ?」
「それは言えない。ただお前達を怯えさせる事無く観察出来る場所だ」
「その様な場所があるのですか……」
「だからお前達は安心して発展するといい。そしてお前達が私達を忘れた頃、またお前達の世界に紛れ、楽しませて貰う」
「それで良いのですか……?」
シズキは私とカミラを見て言う。
「何がだ?」
「人類全てに恐れられ敵視され……たった三人で。寂しくは……無いのですか?」
「何とも思わないな」
私は素直な意見を伝える。
「私は親しい人と暮らすのは楽しいし、親しい人が死ぬと悲しくも感じるけど。きっと一人でも平気だと思う……出来ればお母様とは離れたくはないけどね」
カミラも自分の考えを述べる。
彼は黙って私達の言葉を聞いている。
「お前は人として考えているのだろうが、私達は人では無い。お前が考える事が全て私達にも当てはまると思わない方が良い」
「そうですね……」
彼はそう呟いた。
時刻は夕方になり、彼は帰るようだ。
「本日はお話をしていただいてありがとうございました」
そう言って彼は立ち上がり深く頭を下げた。
「話す事が出来て楽しかった。人類の中にもお前のような者が居る事が分かって良かった」
私がそう言うと彼は少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「所で、お前を連れて来た戦艦は帰ってしまったようだが。あの小さい船で帰れるのか?」
「これで連絡をして迎えに来て貰う予定です」
彼はそう言って手に収まる大きさの魔道具を見せてくる、連絡用の魔道具か。
「……正直に言いますと、何かあった時に犠牲を私だけにするためでもあったのですが……」
彼は迎えの連絡をした後、申し訳なさそうにそう言った。
「連絡が無ければ、私達に何かをされたという事で見捨てる事になっていたのか?」
「そうです。正直死ぬよりも辛い目に遭う事も覚悟して来ていたのですが……」
「簡単に滅ぼせる相手にそんな事をしてどうするんだ?」
「そ、そうですね……」
私がそう言うと苦笑いするシズキ。
「ああ、それともう一つ」
「……何でしょうか?」
「今日の盗み聞きは見逃してやる」
「っ!?……ありがとうございます」
目を見開くシズキ。
その後当たり障りのない会話をしながら待っていると戦艦が到着し、彼は帰って行った。
帰りの戦艦内の艦長席で俺は深く息を吐き、体をほぐす。
「バレていましたね……」
「そうだな……」
俺は隠し持っていた二つ目の通信魔道具を取り出し通話を切った。
通話状態のままにしてバレない様に持ち込んだつもり……だったんだが。
乗員皆が今日の話を聞き、録音もしてある。
「戦艦に魔道兵器……これだけの力を手にしても彼女達にとって人類は取るに足らない相手だったみたいだな……」
俺は半ば呟くように言葉をこぼす……実際に会って話した事で確信した。
彼女達は本当に俺達を脅威だなどと思っていない。むしろ滅ぼさない様に気を使ってすらいる。
「いやー、何というか……録音はしましたけど、こんなの公開出来ませんよ?」
「そうだな……しかし処分してしまうのは駄目だ」
「資料室の奥に厳重に保管しておきますか?あそこはもう誰も探しに来ませんし……」
「そうだな、俺が奥深くに隠しておこう」
俺達は帰る道中ずっと彼女達とかわした話の内容を語り合っていた。
彼の乗る戦艦が離れていくのを見ながらカミラが口を開く。
「彼、黒髪だったわね」
「そうだな」
「名前からすると魔道飛行船の基礎を作った彼の子孫よねきっと」
「多分な」
「盗み聞きを見逃したのは巫女の血が入っていたから?」
「いや、元々誰に聞かれても良かった。もうすぐ私達は居なくなるのだから」
「そうね……そういえば神殿は今はどうなっているの?」
「ヒトハが言うにはウルグラーデの神殿は今でも代々続いているらしい。ただ現在の巫女はただの職業の一つで、自由神信仰も信仰する理由が変わっているようだ」
「どういう事?」
「以前は自由を愛する人々がその教義に共感して信仰していたようだが、最近は自由を求める人々が教義に魅力を感じて信仰しているようだ」
「なるほど……」
「自由を愛する事から自由を願う事に変わっているという事だと思う」
「人類は自由が無くなっていると感じているのね」
「私には分からない事だな」
「自由神様ですものね」
「もう誰も知らない事だ」
笑いを堪えているような顔で言うカミラに返しながら、私達は三人で家に向かって歩き始めた。
月の拠点を作ってから十年が過ぎ、問題も無かったため移住をする事にした。
ルーテシアの遺灰とペンダントはウルグラーデに残っているケインとミナの墓に移した。
私はシズキ・カシルズにヒトハを通してここから居なくなる事と、この場所を好きにして良い事を伝えた。
私達がここで暮らしていた形跡は全て消し、住んでいた家は回収し月でも使う事になった。
カミラがルーテシアと共に過ごした家を壊したく無いと言ったからだ。
「行くか」
やる事を終え、私は二人に言う。
「そうね」
『主様、いつでも移動可能です』
こうして私達は月へと転移した。
月の裏側へと移動した私達だが、家の場所を決めていない事に気がつき、カミラに好きな場所を選ばせた。
そして彼女は海辺を住居に決めた。
家を設置してしまえばもう特にやる事は無い。
この隔離された世界はこのままで安定しているし、畑や家畜、魚の養殖も私の作ったゴレムが管理しているからな。
その後に訓練用の土地も欲しくなったので訓練場も作った。
宇宙での訓練はその辺りの宇宙空間に障壁を張る事で可能なので問題無い。
取り敢えずはこれで良いだろう。これから私は二人と一緒に月で惑星を観察しながら暮らして行こう。
私は拠点内から星が散らばる宇宙を一度見上げた後、家に戻って行った。