・作者の自己満足
・素人の作品
・主人公最強
・ご都合主義
・辻褄が合わないかもしれない設定
・注意事項が増える可能性
等が含まれます。
以上をご理解したうえでお読みください。
読者の皆さんの暇潰しの一助になれば幸いです。
月に移住してから少し時が経った、私達は島にいた時と変わらぬ穏やかな日々を過ごしている。
現在、私は拠点を出て月面を一人で歩いていた。見上げるとそこには惑星イシリスが見える。
イシリスと言うのは人類がいつの間にか付けていた自分達の住む世界、つまり今私が見ているあの惑星の名称だ。
今更だが私達もあの惑星をイシリスと呼ぶ事にしようと決めた。
現在の人類は私達が居なくなった事を認識し、世界に敵は居ない状態になっている。
そのせいか戦うための技術の研究は少なくなり、それ以外の物に力を入れるようになっているようだ。
ヒトハからの報告に興味を引く物があった。映像と音声を世界中に同時に送る、魔力通信放送という物だ。
『魔力通信放送か、興味深いな』
『送信側の様々な映像と音を離れていても受信側が確認する事が出来る物です。通称「魔放送」と呼ばれ現在人類に人気があります』
世界中と話が出来る技術はかなり前から出来ていたな、そこからこのような物が生まれるとは。
『ヒトハ、それを見るにはどうすればいいかわかるか?』
『受信魔動機を入手すれば可能なようです』
魔動機か。人類は単純な機能や構造の物を「魔道具」、複雑な乗り物や装置を「魔動機」と呼び分けるようになっていた。
『可能なら手に入れて持って来てくれないか?』
『かしこまりました』
「お母様、それ何?」
あれから数日後、ヒトハが受信魔動機を手に入れて戻って来た。
家のリビングに置こうと思いヒトハと一緒に向かうと、ソファに座っていたカミラが不思議そうに聞いてくる。
「人類が開発した魔力通信放送を見るための受信魔動機だ。音声付きで離れた場所の映像などを見られるらしいぞ」
「へえ……凄いわね。今から見るのよね?私も見たいわ」
「今置くから待っていろ」
「はーい」
私は座りながら見る事が出来る位置に受信魔動機を置く、思ったよりも大きいが問題は無い。
「動かすぞ」
私は平たい円状の受信魔動機を作動させる。
「何も起きないけど……」
カミラが呟く。間違いなく作動しているが何も映らない、これは恐らく……。
『魔力通信放送が月まで届いていないのだと思われます』
ヒトハが私の予想を代弁した、私は以前の念話を思い出していた。
「これは中継する必要があるな」
「あー、なるほど……月で使う事なんて想定している訳無いものね……」
カミラも気が付いて苦笑いしている。
月程度の距離なら簡単に届くように出来ると思うが、必要も無いのに出来るようにはしないか。
「中継する物を作って来る」
「気を付けてね、いってらっしゃい」
『主様、お気を付けて』
カミラとヒトハを家に残し惑星イシリスの傍に転移して、魔放送の魔力を探り届いている範囲を探す。
やがて魔放送と思われる魔力を見つけた。
間違いないだろう、その魔力はイシリスの近くの宇宙空間にまでは一応届いているようだ。
私はその場で魔放送に対応した小型の中継増幅魔動機を作った、これで月の拠点でも見る事が出来るはずだ。
そういえば、以前作った念話の中継塔はどうなっているだろう。
気になった私は消えかけている記憶を頼りにかつて中継塔を作ったと思われる場所へと向かったが、そこには何も存在しなかった。
場所を間違えたか?それとも人類に回収されたのだろうか?魔法金属の塊だったからな。
どちらにしても既に必要無い物だからいいだろう、そう思いながら私は月の拠点へと転移した。
拠点に戻ると騒がしい音が聞こえる。リビングに行くと受信魔動機から何かの競技の映像と音声が流れていた。
「お母様!映ったわよ!?ほらほら!」
カミラがはしゃいで私をソファに連れてくる、ヒトハも私の隣に飛んでくる。
「綺麗に映っているな」
「そうね、見る物は選べないみたいだけど」
『カミラ様、現在放送されているのはこの放送だけのようです』
「あ、そうなのね。これから増えたりしないのかしら?」
『増える可能性は高いと思います』
そんな会話をしながらも魔放送を見続けるカミラとヒトハ。
その姿を横目に、私も初めての魔放送を楽しんだ。
魔力通信放送が我が家に来てから、受信魔動機はよく使われるようになった。
一人になった時はとりあえず作動させている。
皆で一緒に見る時も多く、今は三人で競技放送の後の情報放送を見ている。
《各国は上流階級や資産家などを対象とした人工の空に浮かぶ島を作る事を決定しました。また増え続ける人口の増加に対応するために地下都市を作る事も決定され、この双方の計画は近い内に着手される予定で……》
「空に島か」
「今なら可能なんじゃないかしら?大きな戦艦が浮いている位だし」
『生活用に設計する事で暮らす事は可能だと思います』
「上流階級や資産家向けと言っていたが、逆に不便では無いか?」
「んー、そういう人達は自分ではやらずに使用人に任せるらしいから、不便な事なんて気にしないんじゃないかしら?」
私の疑問にカミラが答える。
「確かにそうか。私も二人に色々とやって貰っているし、彼らの事を言える立場では無かったな。もし不便な事や要望があれば言ってくれ、何とかしよう」
「今の所は無いわね」
カミラは紅茶を飲みながら言う。
『……私も特にはございません』
今の所は問題無いか?嫌々やらせたくは無いし、何かあれば考えるつもりだったのだが。
ある日、私は拠点で各作業をしているゴレムの元を訪れた。
収穫された物を箱から回収していない事に気が付いたからだ。
収穫物を入れる箱の容量は大きくても無限ではない。
回収しなければいずれ入らなくなる。時間の感覚がズレている私達では忘れ、やがて溢れる未来が見える。
私は容量が自動で増える食糧庫を作り、そこに集めるようにしておく事を考えた。
家の隣に専用の食糧庫を建てる、この食糧庫は容量がギリギリになると周囲の魔素と魔力を使って勝手に容量が増えるようにしてある。
恐らくこれでずっと平気だと思うが、思い出した時には見に来よう。
私は各ゴレムの設定を変更し、収穫物を定期的に箱から食糧庫に移すようにした。
搾りたてのモー乳も冷えていなかったので冷やしてから保存するように改良しておいた。
こうして私達の家の横にある食糧庫にゴレムが時々納品しに来るようになった。